真・恋姫無双「新たなる地と血」第11話
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練兵場へと向かう途中、一刀は3人と話をしていた。

「なあ、秋蘭や桂花、季衣は俺の事を何時思い出したんだ?」

「ああ、華琳様がお前の名を呼んだあの時に思い出したよ。」

「思い出したくも無かったけど、私もあんたの名を華琳様が呼んだときにね。」

「ぼくも華琳様が兄ちゃんの名前を呼んだときに思い出したよ。」

みんなが俺の事を覚えていた。桂花なんかは「あんたの事なんか思い出したくも無かったけどね。」と悪態をついてきたが嬉しかった。

家族の絆とは違う仲間との絆、一刀にとってそれは非常に嬉しいことだった。

自分には一樹がいる、だが言ってしまえばそれ一つだけ。贅沢を言えば知り合いや仲間が居らず自分の事を知らないと言うのは寂しいものである。

絆が広がり自分を知っている人間が増えると言うのは嬉しかった。

「ありがとうみんな、俺の事を思い出してくれて。」

一刀は感謝をする。

「気にするな。お前は華琳様の、そして我々の恩人でもある。」

「そうね、一応華琳様の恩人なんだから。唯それだけよ。あんまり近寄らないでくれる。汚らわしい、ふん。」

「僕も兄ちゃんとまた一緒に居れて嬉しいよ。」

一刀の感謝の言葉にそれぞれ顔を赤くしながら答える。

そんな様子を一人面白くなさそうに見ている人物がいた。夏候惇である。

(華琳様だけでなくなんであいつらはあんな奴と楽しそうにしゃべっているのだ!

 あんなへらへらとした素性の知れない奴など私が叩き斬って華琳様をお守りするのだ!)

楽しそうに談笑している一刀に殺気を向けながら闘志を燃やしていく春蘭であった。

春蘭のその様を後ろから見て華琳は少しばかり呆れる。

(それにしてもさっきの一刀、すごく見違えたわ。)

8年と言う歳月が彼を成長させたのではなく、一樹という子供の存在が一刀に父親たる自覚をもたらしたものだろう。

それにより体つきや顔つきだけではなく精神的な成長もありさっきの春蘭からの決闘の申し込みにも余裕の対応が見受けられた。

だからといって一刀が勝つとは限らない。

なにせ以前の世界では飛将軍・呂布(恋)、軍神・関羽(愛紗)、魏武の大剣・夏候惇(春蘭)この3人は各国で武で並ぶもの無しとされている武将なのだから。

話の中では司馬懿によって武を鍛え上げられたとは聞いていたが実際の所はどれほどのものであるか不安である。

一刀のほうは春蘭の殺気を涼しげに受け流しているのが不思議なくらいだ。

そんな事を考えながら練兵場に到着し秋蘭が審判をする事となった。

練兵場の真ん中には春蘭は七星餓狼を持ち、一刀は剣を二本持ってきているが一本を構え、もう一本は鞘に収めたまま持って立っていた。

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華琳と他数名は思い当たる節があるのかじっと一刀を見つめる。そんな中秋蘭が審判として二人の間に立つ。

「それでは夏候惇将軍と北郷一刀との試合を行う。両者前へ!」

「お前なぞ一瞬で叩き斬ってやる!」

鼻息荒く春蘭は殺気を放つ。一方の一刀は

「いや、試合で叩き斬っちゃあ駄目でしょう。」

と冷静に突っ込みを入れる。

「それでは始め!」

秋蘭の開始の合図と共に春蘭は一気に一刀との距離を縮め七星餓狼を振り下ろす。

この瞬間誰もが春蘭の勝ちを確信した。

ガキィィィィン!!

だが次の瞬間鋭い金属音が響き手元に何も持っていない春蘭が呆然と立っていた。

『な?!』

誰もが目を疑った、一刀が春蘭の剣を弾き飛ばしたのであった。

そして後ろには今しがた弾き飛ばした春蘭の剣が地面に突き刺さる。

「・・・ハッ!し、勝者北郷!!」

いち早く勝者である一刀を宣言する。全員が予想外の出来事に驚く、あの夏候惇に勝ったのだから、一刀が。

しかし春蘭は当然自分が負けた事を納得せず再戦を要求する、一刀のほうも特に嫌なそぶりを見せずこれを了承した。

「今度は油断などせん!貴様を叩き斬ってやる!!」

意気込んでいる春蘭をよそに見ている者はこれで一刀の実力が判ると再戦の様子を見逃そうとせず食い入るように全員が見つめていた。

幾ら春蘭が油断していたとは言え負けるなどありえない。

2戦目が開始され流石に春蘭は先ほどのように突撃せず今度は慎重に相手を観察をしてくる。

その様に一刀は今度は逆に一刀が先制攻撃を仕掛ける。

一瞬で間合いをつめ右手に持った剣で突きを繰り出す、その攻撃を春蘭は右へ避けたがさらに右から一刀の回し蹴りが襲い掛かってくるがこれは後方に避けた。

そこから一刀の攻撃が来ると踏んでいた春蘭は迎撃の態勢を取っていたが一刀は深追いせずその場所に留まっていた。

この一連のやり取りを見た秋蘭だけは春蘭は負けると感じていた。

一刀が防御に廻れば打ち崩すことが出来ず攻撃に転じれば隙の無い細かな技でヒットアンドウェイを行なう。

「くっ、ちょろちょろ避けおって!さっさと当たって負けろ!!」

そんな状態に春蘭は苛立ち始め次第に攻撃が粗くなっていき大振りの攻撃が目立ってくる。

それを見逃さず一刀は次に来た大振りの攻撃を剣で受け止め押し返す、重心を崩された春蘭は踏ん張りが利かずよろめく、そこへ一刀は足払いをし倒れ込んだ春蘭に剣を突き付ける。

「これで勝負ありだ。」

「勝者北郷!」秋蘭によって勝者を宣言される。

またまた一刀が勝った、これで一刀の実力が証明された。

当然全員驚いていた。誰も予想できな出来事が起こったのだから。

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「ちちうえ〜すご〜い!」

息子の一樹は父の勝利にはしゃいでいた。

しかし負けた春蘭はというと

「貴っ様〜私に勝ちおって!華琳様見ましたか?やっぱりこいつは北郷では無いです。北郷が私に勝てるわけが無いのですから!」

どうやらまだ認めていない様である。しかも見当違い方向で…

「!ちょっと待って春蘭、あなた一刀の事を思い出したの?」

「?はい。ですがこいつは北郷を語る偽者。大体北郷はこんなに大きくも無いですし、私に勝てる訳が無いんですから。よってこいつは北郷では無い!」

すさまじいまでの正論を述べた(本人はつもり)春蘭はドヤ顔をする。

「……春蘭(姉者)(様〜)」

皆呆れ果てている。どうやら今の成長した一刀を一刀と認識していないようだ。

「…一刀、何か無いかしら?春蘭にあなたを証明するものを。」

「う〜ん、なにかあったかなぁ?」と一刀は荷物の中を漁ってみる。

「お、これはどうかな?」やがて見つけ取り出したそれを着る。

「あ!それは」

それは以前一刀が着ていた聖フランチェスカの制服、流石に年月が経ち所々薄汚れてはいるが一目でこの大陸には無い物と判る服である。

それを見た者は「おぉ〜」と感嘆した。

一刀の方も久しぶりに着たが袖が通らず着たと言うより肩に掛けている状態である。

「どうかな?」

春蘭に問いかけてみるが反応が無い。

「?」

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〜〜〜春蘭の脳内〜〜〜

チッ

タダイマニンショウチュウ

チッ

タダイマニンショウチュウ

チッ

タダイマニンショウチュウ

チーン!

ニンショウデキマシタ

ホンゴウカズトトカクニン

〜〜〜春蘭の脳内終了〜〜〜

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「おお!北郷ではないか、立派になって!はっはっはっはっはっ!」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

もう皆何も言えなかった。

「…なんにせよ、これで問題が無くなったわね。」

玉座に戻った一行は一刀を客将という扱いにし仕事を与える。と言っても当然立場上政には関わらす事が出来ず、街の警備等が主となった。

その後一刀の歓迎会が行なわれ、散々皆に絡まれたのはまた別のお話。

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歓迎会の途中、眠ってしまった一樹を背負い宛がわれた部屋に入り寝台に寝かし、備えられた水を飲む。

「…嘘をつくって辛いな。」

それは華琳にも話していない泉の死んだ後の話。

あの後男は逃げたが少し離れた所で死んでいたと、後を追いかけていった街の人から聞いた。そして死んだ男を一刀も確認したが奇妙なことに死因が判らないでいた。切り傷も毒を服用したような後が無いのだ。

一刀は妙に引っかかっていた。そもそも泉が死ぬことが。以前鍛錬中に泉が怪我をし一刀が慌てて治療しようとしたが目の前で直ぐに傷がふさがっていくのを見て驚いた事があったのを思い出していた。

泉によると管理者は特異体質らしく死ぬ事はほぼ無いと言っていた。そんな泉を普通の人間が殺せるのか?そして狙われたのは一刀。何より男の原因不明の死。

一刀はここから答えを導き出した。まさか、と思うが考えれることはそれしかなかった。それ故見聞を広めると言って街を出、真っ先に向かったのは泰山の神殿。

しかし以前泉と来たとき同様何も見つけられなった。もっとも管理者でも無い一刀が出来る事は精々中を見る事だけだったが。そして結局は判らないままになってしまった、彼らが本当にこの世界にいることが…

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あとがき

 

皆様如何お過ごしでしょうか。書中お見舞い申し上げます。

 

急に暑くなりましたね。これからさらに暑くなるでしょうが皆様も体調には十分気をつけてお過ごしください。

 

さて第2部が始まって最初に出会ったのは華琳様御一行、しかも泉さんが死んでいると言う超展開。どうでしたでしょうか?

 

ナゼ最初に華琳様かと言うとやっぱりこの後の展開上彼女のような方がいると何かと都合が…ねぇ?

 

ま、そんな訳で(どんな訳だ?)ではではまた次回ぃ〜

説明
これ投稿終わったら風呂入るんだ…
早く汗を流してさっぱりしたいww
今日は休みでほぼ一日(脱線しつつ)これを書いてた。
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コメント
320i さん 誤字報告有難う御座います。一刀「泉の地獄の特訓によるものです(涙。一樹は今の所同年代の子と同じ位の身体能力しか無いです。」(アロンアルファ)
殴って退場 さん まったくです。けどこれが春蘭らしいところw(アロンアルファ)
春蘭は相変わらずだな・・(殴って退場)
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