双子の吸血鬼 第5章;旅 |
城から無事抜け出したヴァンとエヴァ・・・・・・しかし、抜け出るたえに強いられた犠牲クリスティン・・・・・・
クリスティンの墓標を作った二人は、新たな安住の地を求め再び旅へ出る。
二人は何処へ向い何をなすのか、今はまだ分からない。。。
ヴァン達二人は城を脱した後何をするという訳でもなくただただ、南へ下っていた。
この時代、地図などはもちろん普及などしておらず何処へ行くにしても何処に何があるなどの地理関係は全く分からない状態だった。
城を脱してからの初日の夜、ヴァン達二人はこれからどうするか話し合った。
そこで出た答えが、未だ開発されていない所へ隠遁しようという物だった。
先の、アダムスに裏切られるという事件からヴァンは人間を信じられなくなっていた。
そして、エヴァにとっては兄のヴァンがいればほかはどうでも良いという意見
両者とも人知れずの所へと隠れ住むのは賛成であった。自分達の生活に波風を立てないでほしいという本音もあった。
そして、今日は城を出てから丁度1週間経ち空はこれほどまでに無いほどの晴天である。
「そういえば・・・・・・」
エヴァが後ろの馬車から馬を操っている。ヴァンに声を掛ける。荷台に仰向けに寝転がりそのきれいな長い金髪を荷台の上へと広げていた、そして、目を猫の様子を見ていると今すぐ
にでも寝てしまいそうな表情だ。実際こう天気がよいと眠くなってしまうだろう。
「私が、クリスティンに前聞いた話なんだけど・・・・・・この世界の果てはと化け物の住む場所といわれていて、人は全然近寄らないんだってよ。兄さま」
その話を聞いたヴァンは今の自分達には都合がよさそうな場所だ。と思い、早速そこへと行く事にした。
「その世界の果てとやらはどこにあるのかな?」
「なんでも、はるか南の海を越えたはるか彼方にあるんだとか・・・・・・」
今話題にでている、世界の果て、とは今で言うアフリカ大陸の事である。
このときの人類は未だこの大陸のことを知らず、後を見ても暗黒大陸として、しられ黒人奴隷として、貿易が盛んになるのも未だ先の話である。
かくして、ヴァン達二人はその世界の果てを目指す旅となった。
しかし、ここで一つの問題が起きる。
「そういえば、この馬もずいぶん年をとっちゃったよねぇ・・・・・・」
エヴァがこちらを向き馬を見ながら言う。
「そうだなぁ、はじめ頂いた頃と比べると大分歩くペースも変わったし・・・・・・」
ヴァンもどうやら、同意のようだった。
「この様子じゃ、世界の果てまで行くのは難しいかも」
そう、その問題とはこの馬の老化が原因だった。この分だと世界の果てに行き着くどころかそこに行くためには海を越える必要があるのだが、そこの海にたどり着くのも怪しいのであ
る。
「そうは言ってもどうする事もできないしなぁ」
それもそのはずである、二人はこの大陸のどこぞかしこで賞金首として出回っており、下手に町にでも入ろうとするならばあっという間に牢獄行きなのである。
しばらく、そのことについて悩んでいた二人であったがふと、疑問に思ったことがあったヴァンがエヴァに問いかけた。
「そういえば、エヴァ。 なんで、あの時生き返れたんだ? 心配云々で生き返れはしないだろう?」
「兄さま分かってなかったの?」
エヴァは心底意外そうに言う。
「人が生き返る訳なんて、分かるはずも無いだろう・・・・・・」
ヴァンは馬を操りながらすこし肩をすくめて言うと、エヴァはその答えを教えてくれた。
「だって、私達もう人じゃないもの・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
すこし、尻すぼみに言われたその言葉は二人の胸に重くのしかかる。改めて言われたヴァンもその事に気づくと、気分が落ち込んでいった。そう簡単に割り切れるものじゃないのだ。
そして、しばらくその空気のまま馬を歩かせ続けるとヴァンに良い考えが思い浮かんだ。
「吸血鬼なら空とかを飛べないだろうか?」
その考えは普通の人間にとっては突拍子も無い事だが、吸血鬼である今の二人には突拍子の無い事でもなかった。
「良い考えね。兄さま」
そういって、二人はあれこれ、背中から羽などが出ないか試してみるが、都合よく出るという訳でもなく結局道中会うであろう馬売りから姿を隠して馬を買おうという事になった。
それから数日がたった。しかし、こういう時に限り、馬売りを見かけない買おうと結論付ける前になら、何度かその姿を見かけたのだが、なぜだろうか・・・・・・
この馬ももう老婆となり、苦しそうだ。早く楽にしてあげたいという気持ちが二人に芽生える。
そんな時、一つの集団が見えた、馬売りかと思ったがどうやら違うようでヴァン達二人を狙った賞金稼ぎのようだ。
ここ最近ヴァン達二人は馬の問題も深刻だったが、自分達を狙う賞金稼ぎの増加に困っていた。
それでも、魔法と高い魔力を得た、ヴァンによってなぎ払われていたが、安心して旅の方へと、集中できないので迷惑だった。
その時に、馬を奪えば良いと思うがヴァンの魔力の高さがあだとなり、かなり魔力を抑えても馬ごとなぎ払ってしまうのだ。
「魔法で空を飛べはしないものか・・・・・・」
ふと、ヴァンは自分が使っている魔法を見て呟く、辺りはヴァンの使った魔法の名残が残っており、焦げている。
「その考えが何故今まで出てこなかったのかしら・・・・・・」
そのヴァンが賞金首を蹴散らしていた様子を少し離れた所で見ていたエヴァが言う。
そうして、ヴァン達二人は近くの大きな木が作っている木陰に移動し新たな魔法の開発を始めた。
二人が魔法開発を始めてから数時間・・・・・・
「できたぁあああああああ!!」
黙々と作業に取り組んでいた二人が、歓声をあげる。
「よし、では魔法をかけてみようか・・・・・・」
ヴァンはたった今できあがった、魔法を自身にかけてみる。すると
「うぉおおおおおお!!」
ヴァンは数メートル浮かび上がった、そこでヴァンは少し右へ行ったり左へ行ったりまわってみたりと動作確認をした。
「エヴァ、どうやら大丈夫のようだ、エヴァにもかけてあげるね」
そして、しばらく動作確認をし危険が無い事を確認したヴァンはエヴァにも魔法を掛けることにした。
「はい、兄さま」
そういって、エヴァは兄の前に座り目を閉じた。
エヴァもヴァンには劣るものの素晴らしい魔力があるので、ヴァンにわざわざかけてもらうことも無いのだが何故か自身は魔法を使わないのである。
たいていの敵はヴァン一人でなんとかなるのでどおってことはないのだが、やはり二人魔法を使えるものがいたほうが今よりも安心は出来るだろう。
そのことをいつだったかヴァンはエヴァに提言しエヴァもそこまで言うのだったらと、魔力の属性判断をしてみたところ、闇に特化している事が分かった。
エヴァに魔法をかけ終え、二人して空に上がると、側に先ほどまで載っていた馬が擦り寄ってくる。
「どうしようかしら、この子。このまま捨てていくのもかわいそうだし・・・・・・」
「なら、この子にも魔法をかけてあげようか・・・・・・」
その捨てられそうな子犬の瞳を向けてくる馬に向って二人は、この子も連れて行こうと思いこの馬にもヴァンは魔法をかけた。
幸い、聡い馬だったようで、浮かび上がったとしても、なんら抵抗する様子もなく、浮かび上がった。
そして、二人と馬一匹は空高く浮き上がりまだ見ぬアフリカ大陸へと、向って進んでいった。
二人と一匹はそれから、何という苦労なしにアフリカ大陸へと、たどり着いたそれもそのはずで浮かび進んでいくそのスピードが速く、空にいるために誰もヴァンとエヴァの姿を捉
えられるものはいなく、妨害という物が一切無かったからだ。
ヴァン達はどうやら馬だけで大分距離を稼いでいたらしく、その新大陸まで数十時間という短時間でたどり着いたのである。
その二人と一匹はどうやら適当な森林を見つけそこに降り腰を休めていた。
どうやら、エヴァが不機嫌になっているようであった。
「まったく、どうしてあんなに早く飛んだのかしら? そのお陰で髪の毛がぼろぼろだわ」
「だから、悪かったって」
その理由は海の上を高速で飛び去ったため、その時の速度+海のその塩の混ざった空気のお陰でエヴァの髪の毛がぼろぼろになってしまったのが原因のようだった。
先ほどからヴァンは平謝り状態である。馬はおいしそうにそこらへんに生えている草を食んでいる。
それからしばらくエヴァの説教が続き、ヴァンが開放されたのはエヴァからのある条件が出されたためである。
「そうね、今からまた、ヴァンが飛んで行って、ここからなるべく近い所で城を見つけてくることね」
その言葉は要するにヴァン単騎でどこかしらここから近くにある城に攻め入り落として来いといっているのである。
今までのヴァンならばこのような事は不可能であった。
しかし、今日まで相次ぎ賞金稼ぎに狙われる事によって人間達は我らとは違い敵なのだという意識が植え付けられていた。
「わかったよ・・・・・・」
だから、ヴァンはそう言って、浮き上がり城を探すために飛び立っていった。
「フフフ・・・・・・やっぱり頼れるお兄さまだわ」
ヴァンはエヴァから、城探しの命を承り空から城を探していた。
「うーむ、ないなー」
簡単に見つかるはずは無いとヴァンも分かってはいたが、やはり中々見つからないものである。
今、ヴァンが探している部分は内陸部大陸の内側を探しているのだ。
「文化が進んでないから、城というものが作られていないのだろうかー」
そうぼやきつつ、ヴァンは内陸からどんどん進んでいく。
ヴァンが今城を探している土地は大半が森に覆われていた。
見つからないというより、この生い茂る木々によってかくされているのかもしれなかった。
そすして、ヴァンはさらに進んでいくと、目の前に海が現れた。
「あぁーっ、もうこの大陸の反対側まできちゃったのか」
そう言いつつヴァンが辺りを見渡すと、なにやら大きな影が現れた。
「なんだぁ?」
ヴァンは不思議に思って、空を見上げても
「ない・・・・・・」
ならば、という事で空に浮きあがり見てみると、そこには雲に隠された大きな城があった。
「何だありゃ・・・・・・」
それを見た、ヴァンは急いでエヴァと馬を連れてこようとする。
先ほどよりも数倍はやいスピードで戻ると
「エヴァ! 凄い城を見つけた! 結構スピード出して飛ぶけど我慢してくれ!」
「ちょッ・・・・・・」
と言ってエヴァと馬に魔法を掛けると、海を横断したときとは比べ物にならないスピードで飛び進んでいくそして、先ほどの場所に来て、上を見上げると未だそこに城はあった。
「なによこれはーーーーッ!!」
その城をエヴァが視認すると、目を丸くしてそう叫んだ。
そして、城の傍らにある土地に降り立ちその城に入るヴァン達。
ヴァン達は二人と一匹かたまりながら、城を進んでいくヴァンがいくら強いといっても油断する事はできないからだ。
そして、何事も無く城の奥深く恐らく玉座まで到達するとどうやら無人であるという事が確認できた。
「つかれたーっ!!」
ヴァンはこの城には誰もいないと考えそういうと、疲れを取るために勢いよく大の字に横になった。
その様子を見ながらエヴァはこの城の壁に目をむける、それはどうやら土を焼き長方形に固めた物を何層にも積み上げ出来ている壁だった。
「すばらしいですね 兄さま。さすが兄さまですわ」
「えぇ?そぉ?」
頭をかきながら、返事を返すヴァン妹に素直に褒められた事に照れているのだろう。
(あぁ、やっぱりすてきですわ 兄さま)
そんな兄を見て頬を紅くする妹。
そんなやり取りをしていると、ヴァンがあくびをした。朝から長時間飛行していたため、疲れたのだろう
「あぁ、兄さまも今日はもうお疲れでしょうから、もう寝る事にしませんか?」
「ふわぁあう。そうだね。 今日の長時間飛行で疲れたのかも・・・・・・」
エヴァが気をきかせてそう言うと、ヴァンはその考えに同意し、崩れるように足から倒れ、眠りに着いた。
そんなヴァンを見た、エヴァは少しヴァンを見て何かしら考え事をしていると荷物の中から少しだけ大き目の布団を取り出して眠っているヴァンと一緒にその毛布をかぶり眠った。
余談だがその顔は寝るまで終始まっかっかだったという。
説明 | ||
小説書き素人が無謀にも長編小説に挑戦 今作品は魔法先生ネギま!の二次創作です。 稚拙な文章ではございますが楽しんでお読みいただけたのなら これ幸い。 では、「双子の吸血鬼 第5章;旅」をお楽しみください。 |
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