真・恋姫無双 双璧の番 第一話 |
時は乱世。漢王朝は腐敗し、賊が略奪の限りを尽くす。
そんな時代。
場所は幽州琢群。
この平和な平原の地にも、乱世の影は忍び寄っていた。
「…くぁーぁー……」
琢群にあるとある町のとある食堂で、一人の少年が盛大な欠伸を掻いていた。
その体躯は細い。肩ほどまで伸びた青黒い髪は、さらさらと少年の動きに合わせて揺れていた。
「…眠い…」
目を擦り、自らの欲望を素直に口にする。
そして、机へと突っ伏し、すやすやと寝息をたててしまう。
「こらこらこら。そんな簡単に寝ちゃだめでしょ?」
ベシベシと、机へと突っ伏してしまった少年を叩く人影が。
性別は女。年は若く、寝ている少年とそう変わらないように見える。少年とは対照的な、長く赤黒い髪を頭の後ろで纏めている。
少年を揺らすように叩いた後、自らはその対面の席へと座る少女。
「んー? なに?」
「なに? じゃないよ。こんな昼間から堂々と寝ないの」
少女から注意を受けた少年は、心底嫌そうな顔をしながら抗議する。
「えー。嵐(らん)のケチー」
「ケチでもなんでも良いわよ。それより螢(ほたる)、この近くに賊が出たって話、聞いてる?」
螢と呼ばれた少年の抗議は、嵐と呼ばれた少女の声で一蹴される。そして、本来の目的であったであろう言葉が嵐の口から発せられる。
「いいや。全く聞いてない。と言うか、俺は行かないよ? 賊退治なんてさ」
「だーめ。螢も来るの」
ガシッ
とても良い笑顔で、嵐は嫌がる螢の腕を捕まえる。
腕を捕まれてしまった螢は、ばつの悪そうな顔をしながらため息を吐いた。
「はぁ…。賊って、どこまで行くのさ」
「すぐ近くの砦よ。早くしないと、手柄を横取りされちゃうよ?」
「そんな手柄なら、両手を上げて献上するね」
「あー、はいはい。いいから行くわよ」
嵐は呆れた声をだし、やる気の無い螢をズルズルと引きずっていく。
食堂の外にいた人間は驚いただろう。食堂から、一人の少女が一人の少年を嬉しそうに引きずる姿に。
「…いい加減離してくれたりしないんですかね?」
町から出て少し経った後、いまだに引きずられ続ける螢が嵐に提案を持ちかける。
「いーや。離したら逃げるもん」
「逃げないって。もう町からずいぶん来たみたいだしさ」
半ば諦めていたようで、気だるそうに主張する螢。
それを聞いた嵐は、それもそうかと、掴んでいた螢の腕を離す。
「…もう砦も見えてるしさ」
体に着いた土を払いながら、目標に到着した事を伝える螢。
「あれ? 以外と螢って軽かったんだ。結構引きずったのに全然疲れてないよ?」
「おいおい…」
嬉々とした表情で、腕をぐるぐると回す嵐に、螢の冷静な突っ込みが入る。
「さて、冗談はそこまでにして…」
先程までの表情から一変、狂気にも見える殺気が、体から滲み出ている嵐。
「…今日は何人殺せるかなぁ? ねぇ、螢?」
「分かんないよ。相手が何人いるかも知らないし、逃げられなければ良い方じゃない?」
常人にはなんとも理解しがたい会話だが、これが二人の普通だった。
時折、自らの狂気に体を震わせる嵐を背に、螢は賊の居座る砦へと踏み出した。
「頭ぁー、そろそろまた奪いにいかねぇと、酒が足りなくなりますぜ」
砦の中。小柄な男が、頑丈そうな椅子に座った男に話しかける。
「ん? そうだな。酒も女も足りなくなったか…。おい、外の奴に連絡してこい。明日、奪いに行くとな」
「へい!」
頭と呼ばれた男は、命令を下した後、椅子に改めてふんぞり返る。
その体は、頭らしく他の者よりがっしりとしており、ずいぶんと力があるように見える。
頭は見るに耐えない禿げ方をしていたが。
「ん? 外が騒がしいな…。女でも見つけたか?」
頭の頭に浮かんだ考えは、他の者の声によって遮られた。
「頭ぁ! 大変です!」
「どうしたぁ!」
「そ、それが、二人組の男女に仲間が殺られて…!」
「はぁ!? …他に寝ている奴を叩き起こしてこい! お灸を…」
ドガン!
次の瞬間、頭のいた目の前の壁が、轟音と共に消し飛ぶ。
「な、なんだぁ!?」
「おー、いるよいるよ。…クズどもが」
「あは♪ どうやって殺してあげよっかなー♪」
壁があった向こう側には、長大な剣を肩に担いだ螢と、斧を両手と背中に計四本携えた嵐が立っていた。
「さて…。死ぬ覚悟は、できてるか?」
はい
お久しぶりの方はお久しぶりです
とは言ってもほとんど始めましてですね
フリューナです
まあ、がんばって行きます
古い方の作品はほとんど消しましたのであしからず…
完結させられるようにがんばります
説明 | ||
はい ものすごく久しぶりです しかも新しい物語と言う感じでd |
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コメント | ||
おもしろそうだけど、支援とかは様子見させてください。(VVV計画の被験者) | ||
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