仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双 feat戦国乙女 新たなる外史への扉 究極完結編 |
ノブナガ達は真紅の甲冑を持ち去った伊達先生を追う。
ノブナガとミツヒデは近くの村で馬を買ってそれに乗る。
一刀とヒデヨシはマシンディケイダーに乗って走る。
一刀は運転のため前、ヒデヨシは一刀の後ろに乗っている。
一刀は運転しているのにもかかわらずノーヘルであり、ヒデヨシはきちんとヘルメットをしている。
「一刀さん、そんなスピード出して、ヘルメットなしで大丈夫なんですか〜?」
「ノーヘルなんて慣れてる」
「そういう問題なんですか〜」
「そういう問題だ」
「……ところで、一刀さんはマサムネさんが伊達先生だっていつ分かってたんですか?」
「疑ったのは初めて会った時で分かったのは前にお前とノブナガが忍返しに引っかかってた日。
そんで確認を取ったのはお前が西国に行く途中で風邪ひいた時だ」
「一刀さん、よく最初の時に分かりましたね」
「人見知りは知り合いでも顔を背けるが、あの時の先生はお前だけに背いていた。
そんでお前が先生に似てると言ってピンときた。
それからそのあとの雨の日にあいつはお前のこと見て『日出さん』ってぼやいてたからな。それで確信した。
俺が風邪ひいたお前に薬渡してもよくならなかった後に俺が持ってたのと同じような風邪薬を住職が持ってくるのを見てな。
近くにいないか探してみたら案の定いたさ。本能寺の時もな」
「先生は何が目的で真紅の甲冑を…」
「俺も分かってるようで実際は分かってない。だがこれだけははっきり言ってたぜ。あいつにとってお前は大切な生徒だってな」
「…伊達先生……」
そんな会話をしている時であった。一刀の携帯電話が鳴り始める。
「一刀さん、この音って……」
「俺の携帯だ」
「一刀さん、携帯持ってたんですか?」
「ああ、隠し持ってたさ。ヒデヨシ、俺の代わりに出てくれ。上着の右ポケットに入ってる」
「は、はい!」
ヒデヨシは一刀の体にしがみつきながら、一刀の上着から携帯電話を取り出し、電話に出る。
「もしもし」
「もしもし! ……ってあんた誰!?」
「あ、私、日出佳乃って言います」
「ああ、あんたが聞いてたヒデヨシってあだ名の子ね」
「ところでそちらは……」
「ボクは賈文和。それより一刀出して」
詠が一刀に代わるように言う。
「え、でも一刀さん、今運転中……」
「いいから出して!」
詠が怒鳴るようにヒデヨシに言う。
「は、はい!」
ヒデヨシは思わず返事をする。
「あの〜、一刀さん、賈文和って人から電話に出ろって……」
「詠が? とりあえず俺の耳元に携帯をやってくれ。運転しながら話すにはそれしかないだろ」
「分かりました」
ヒデヨシは一刀に言われて携帯電話を一刀の耳元にやる。
「もしもし」
「一刀、やっと出たわね」
「どうしたんだ?」
「単刀直入に言うわ。今持ってる真紅の甲冑、全部壊しなさい!」
「………悪いが今は無理だ」
「どうしてよ?」
「こちらにはその真紅の甲冑がないからだ」
「な、なんでよ!?」
「さっき出たヒデヨシの担任の先生に盗まれて、それを追いかけてるところだからだ」
「じゃあ……」
「分かってる。とにかく真紅の甲冑を壊せだろ」
「そうよ」
「え!?」
一刀の会話を聞いていたヒデヨシが驚く。
「な、なんで!?」
「その情報……東王父からのものか?」
「ええ。東王父もあんたのいる世界に向かってるわ。どのくらいかしたら合流できると思うけど……」
「詳しいことはあいつに聞くとして、とにかくは俺は破壊に専念すればいいんだな?」
「そういうこと」
「分かった」
「一刀さん」
「うん?」
電話相手が詠から月に代わる。
「ご無事で」
「ああ」
一刀が答えると電話が切れる。
「電話しまってくれ」
「あ、はい」
携帯電話を一刀の上着の右ポケットに戻すヒデヨシ。
「でもなんで真紅の甲冑を壊さなきゃいけないの?」
「別の外史とはいえ、俺の仲間の外史の管理者が言ったんだ。
相当やばい代物だってことだ。だったら俺は壊すだけだ」
「お館とあけりん、納得するかな?」
ヒデヨシが後ろの方にいるノブナガとミツヒデの方を見る。
「納得してもらうんじゃない。納得させる。それしかないな。
とにかくはお前の担任の先生を見つけることだ」
一刀達はマシンディケイダーと馬を走らせる!
すると先には倒れている伊達先生を見つける。
「伊達先生!」
「マサムネ!」
一同はバイクと馬を止めて、降りる。
「先生! しっかり! 伊達先生!」
ヒデヨシが伊達先生の体を揺らす。
仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双 feat戦国乙女 究極完結編
「おい! しっかりしろ!」
一刀も伊達先生の体を揺らす。
「マサムネーーーーー!!」
ミツヒデが伊達先生の襟をつかむ。
「貴様! よくも裏切ってくれたな!」
ミツヒデが殴ろうとする。
「やめてあけりん。怪我してるんだよ」
「だが!」
「ミツヒデ!」
ノブナガが声で静止させる。
「マサムネ、貴様がそこにおるのに何故城が襲われておる?」
「何?」
一刀達が安土城の方を見ると黒い煙が出ていた。
「あれは!?」
「くそ、イエヤスか!」
「え? とくにゃん?」
「とうとう本性現しやがったか!」
一刀が拳と拳をぶつける。
「一刀さん、とくにゃんってどういう……」
「その人の言う通りよ……」
「先生!」
伊達先生は語る。安土城に向かう時にイエヤスに襲われたのだ。
そして今にいたると……。
「『鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス』? あいつのやってることは『鳴かぬなら鳴いた時殺してしまえ』だぜ」
「本能寺から甲冑を盗み出すまではうまくいったのに……」
「なんで甲冑を盗もうなんて……」
ヒデヨシが伊達先生に尋ねる。
「そんなの伊達家が天下を取るためよ」
「……」
「黙れ貴様!」
ミツヒデが再び伊達先生につかみかかろうとした時、安土城から爆発音が聞こえてくる。
「ちっ、城に急ぐぞ! 小娘め、派手にやりおって!」
ノブナガとミツヒデは急いで馬に乗る。
「とりあえずこいつのことは俺とヒデヨシに任せてくれ。
こいつには俺も今すぐに色々聞きたいことがあるからな……。なに、俺もすぐに追いつく」
「……任せる」
ノブナガとミツヒデは急いで城に戻る!
伊達先生の傍には一刀とヒデヨシしかいない。
「さてと、俺から聞きたいことがあるけど、あんたから言いたいことあるか?」
「………日出さん」
「へ?」
「あなたまでここに来てしまうなんてね…」
「へ? それどういうことですか?」
「…」
伊達先生はあるものを取り出す。それは伊達先生がこの世界に来る前に拾った携帯電話みたいなものであった。
「これを使った時に……」
「なんだそりゃ?」
するとその携帯電話みたいなものの液晶画面が青く光りだす。
「あ! これってあの時の!」
ヒデヨシはこの世界に飛ばされた時に見た光だと思い出す。
「あれって伊達先生だったんですか!?」
「本当は戦国時代に遡って、真紅の甲冑を探すつもりだったのよ。
でもついたのはこの世界で、あなたまでここに連れてきてしまって……。
きっとあなたを巻き込んだことで色々捩じれてしまったんだわ」
(……つまりは正史の戦国時代に行く予定が外史の戦国時代に来たと……。
こいつは外史の管理者…じゃないというわけか。くそ、俺でも分からなくなってきたぜ)
一刀が少し頭を抱える。
「だけど、この世界にも真紅の甲冑が存在していて………」
「…そんなにあの甲冑が欲しかったんですか?」
ヒデヨシが伊達先生に尋ねる。
「あれが手に入れば……っ!」
「先生! とにかく手当を……」
「私の乗ってきた馬がいれば……」
「馬ですね! 探してきます!」
ヒデヨシは馬を探しに行く。
「お願い……」
「いい生徒だな」
「ええ。それであなたから聞きたいことは?」
「あいつが戻ってきたらでいい」
一刀が座り込む。
ノブナガ達は何とか城下までたどり着く。
「お館様、静かですね」
城下には人の気配が感じられない。
「忍返しに引っかかったのでしょうか?」
「いや、城の者達も静かなのはふにおちん。!」
ノブナガは城にイエヤスの家紋旗が掲げられてることに気づく。
「! はああああああああ!!」
ノブナガ達は城下に突入し、まずは屋敷にいる敵兵達を倒す!
その頃イエヤスとハンゾウは忍返しのところから進んでいた。
「ハンゾウ」
「はははは、はい!」
イエヤスはハンゾウを盾に罠を発動させながら、進んでいた。
(今日の殿はすごすぎる。すごすぎて、怖い!)
「ハンゾウ」
「はっ!」
そしてその二人の後をこっそり追うシロ。
「…………」
一方、ヒデヨシと伊達先生と一刀は何とか伊達先生の馬を見つけ、安土城へと進んでいた。
「頑張ってください。あともう少しでお城です」
「ありがとう」
「伊達先生、さっき聞きそびれちゃったんですけど、どうして甲冑を探そうとしてたんですか?」
「そうだな。ヒデヨシもいることだし、聞かせてもらおうか」
「それは……私が伊達政宗公の末裔だから…」
「え!?」
「先祖が果たせなかった天下統一の夢、その末裔が代々に渡って成し遂げようとしてきた正しい日本のあるべき姿を…」
「…………」
「私はそれを実現させるために……っ!」
「先生! 伊達先生!」
先生は意識を失いかける。
「とにかく急ぐぞ!」
二人は馬とマシンディケイダーを走らせる!
一刀達が城に向かっている間、ノブナガ達は捕まっていた兵士達を解放し、城に向かうが、イエヤスは結界を張っており、入れないようにしていた。
そうしている間にもイエヤスは忍返しを通過し、城に入り込んでいた。その後を追うシロ。
そしてようやく一刀達は城下にまでたどり着いた。
「まったく、どうかしてるよ。甲冑の伝説なんて本当かどうかも……」
「甲冑は……」
「!」
「先生!」
「ありがとう、もう大丈夫よ」
ヒデヨシはおぶっていた伊達先生を降ろす。
「甲冑の伝説は真実よ」
「でもそんなの聞いたことないですよ」
「俺もだ。まあそもそも世界が違うから何とも言えないけどな」
「私やあなたがいた世界の時代に伝説は知られていなかったの」
「二人がいた時代?」
「じゃあ先生は一体どうやって?」
「……ある日、私達の時代から遥か未来の伊達家の末裔が現れたのよ」
「何?」
伊達先生は真相を語る。
それは伊達先生とヒデヨシが飛ばされる少し前。伊達先生は母からのメールを見て落ち込みながら、神社を尋ねた時であった。
突如と祭殿が光り、そこから謎の存在が現れ、その人物は「下手こいた」と言って倒れた。
そしてその人物は戦国時代に行くはずがなぜか現代に飛んできてしまい、伊達先生に巻物を残し、消滅。
伊達先生は残っていた携帯電話のようなものから自分達伊達家しか知りえないものが記録されていることを知った。
「……もしそれが本当なら、彼が見つけたものはまだ私の時代にはあるはず。それを確かめるために私は東北の実家に向かったの。
夢か現実か、確かめるために……。そこで何も見つけられなければすべてなかったことにしようと思っていた。
けれど、かすかに覚えていたデータ通りに探してみればね……本当にその場所で見つけたの。彼が持っていた宝玉と古文書を…」
「ええ!?」
「私は運命的なものを感じたわ。彼が現れたのも偶然なんかじゃない。こうして私は彼と同じ古文書を手に入れた。
そして真紅の甲冑の伝説を知ったの。甲冑さえあれば天下を取ることが出来る!
昔から聞かされていた祖先の無念を晴らせる」
「けどそんなことしたら、歴史が変わっちゃうじゃないですか!」
「そうだ! 特異点じゃない限り、それをしたら大変なんだぞ!」
一刀は仮面ライダー電王(それに加えて響鬼と龍騎)の力を持つ異世界の自分とその一刀の孫で仮面ライダーNEW電王の力を持つ北郷矢刀(やと)のことが頭によぎる。
「そういうのってありなんですか!?」
「ありよ!」
「「!!」」
「私は間違った歴史を正したいの。正しいものが天下を取らなければ、正しい歴史はあり得ない。
天下を取るのは信長でもなく、ましてや家康なんかでもない。
我が伊達家の天下こそ、正しい歴史であるべきなのよ!」
「!」
一刀は伊達先生のほほを叩く!
「!」
「か、……一刀さん……」
「歴史を変えるのはあり? 伊達家の天下こそ正しい歴史?
手前、寝言は寝て言え!」
一刀が伊達先生の襟をつかむ。
「一刀さん!」
「あなたには分からないでしょ。我ら伊達家の無念が……、ましてや異世界の人間なんかに……」
「ああ、分からねえよ! だがな! 分かってないのはお前だって同じだ!」
「私が分かってない?」
「そうだ! あんた達伊達家の人間にとっては伊達家の天下が正しいと思うだろうけどな、あんた達以外の人間はどう思ってるんだ?
分かってそれを言ってるのか?」
「そんなの分からないわよ」
「ああ、そうだ! 俺だって分からん! けどな……あんたが今まで積み重ねてきた記憶の歴史も正しくなかったのか!?」
「!」
「こいつと会ったことは間違いだっていうのか!?」
一刀がヒデヨシのことを指差し、伊達先生はヒデヨシの方を見る。
「もし間違ってたんなら、なんでこいつを助けた? 間違いだったら助けなければいいだけだ。俺だったらそうしてる。
けど、助けたっことはその記憶は正しいものだってことだろ?」
「……」
「それに仮に歴史を変えたとしたらあんたはこいつと会えなくなるんだぞ! 根拠はないが俺から見たらそう思える!」
「………」
「俺は……俺は……自分がこれまで積み重ねてきた記憶の歴史は正しいものだと信じている。
どんなに辛いことがあろうとも楽しいことが多かった。
たとえ辛いことの方が多くてもそれに打ち勝つくらいの楽しいことだってあったはずだ!
それが間違ってる? だから正しいようにする? ふざけるな!
未来の時間を変えることは出来るが、記憶の時間は変えられないんだよ! あんたが歴史を変えるとしたら絶対、こいつや今までのことは絶対記憶に残る!
そしてあんたは気づく。自分が何をしてしまったかな……」
「……そんなこと……」
「…?」
「…そんなこと、分からないでしょ!」
伊達先生が一刀の手をほどく。
「ああ、俺にだって分からないことだらけだ。だがあんたのやろうとしてることは俺が戦ってきた外史の管理者以上のことだ。
もしこの後も同じ考えを持つんだったら、俺はあんたを倒す!」
一刀はそう言って城の方へと向かう。
「一刀さん……」
「それと俺は知り合いから真紅の甲冑を破壊するように頼まれた。だから壊す、以上!」
一刀は城へと歩き出す!
「…………」
「とりあえず手当の道具借りてきますね」
「甲冑はどうなるのかしらね」
「え?」
「まあ、イエヤスなんかにあの甲冑は扱えないでしょうけど。かと言ってさっきの人が壊せるとも思えないけど…」
「もしかして先生、まだ甲冑のことを……」
「このまま放っておいたら天下はノブナガかイエヤスを取るのよ。それじゃあ世界は何も変わらないわ。
この世界を正しく導くには伊達家のこの私が天下を取る必要があるのよ」
「なんで先生がそんなことを……なんか先生変ですよ。甲冑のせいでどうかしてますよ」
「! そうかもね、でもそれだけの価値があるのよ、あの甲冑には……」
その一方でイエヤスはとうとう真紅の甲冑のある間へとたどり着いた。
「ついに天下がこの手の中に…」
イエヤスの錫杖から魔法陣が現れ、イエヤスは錫杖の魔法陣を甲冑の額に当てる。
すると甲冑が光りだす。
「ふふふふ」
「バカな!」
その様子を見ているシロ。
甲冑の異常は伊達先生の方にも届いていた。
伊達先生の持つ端末から『UNJUST ACCESS』と大量の『ALERT』文字が出てきていた。
「! なんですか?」
「宝玉が何かに反応している。まさか甲冑が!? ありえないわ!
古文書にはこんなこと……」
「伊達先生…」
「きっと甲冑だわ。甲冑が発動したのよ。でもなぜ……宝玉がこちらにある限り発動はしないはず……。
嘘よ! イエヤスは一体どうやって……」
「先生、とくにゃんは大丈夫なの?」
「力を操るにはこの宝玉が必要なのよ。そんな宝玉のない甲冑を纏ったら……」
「暴走する」
そこにヒデヨシ達が見たことない男が現れる。
「あなたは一体……」
「通りすがりの仮面ライダーさ。しかし一刀は相変わらず面倒なことに巻き込まれてるな」
「一刀さんの知り合い?」
「それより、あなた。なぜ甲冑のこと知ってるの?」
伊達先生がその男に尋ねる。
「だってあそこにある甲冑シリーズ、俺の知り合いが作ったものなんだもん」
「嘘よ!?」
「本当だ。だからこうしてわざわざ俺までこの世界にやって来たんだ。ところで一刀はどこだ?」
「一刀さんなら城の方に……」
「そうか。じゃあ俺も行くか!」
「待ってください!」
ヒデヨシが男を呼び止める。
「何? 俺結構忙しいけど……」
「私も行きます!」
「日出さん?」
「危険だけどいいかい?」
「とくにゃんが危ないんでしょ? だったら……」
「…仕方ない。安全の保障は出来ないと言っておくぜ!」
男は走り出す!
「待ってくださいーーー!」
ヒデヨシも走って男を追う。
「宝玉のことはずっと伏せていたのに…。それが裏目に出たというの……」
そのころ、城の前ではいまだにノブナガ達が結界に手間取っていた。
「お前達、まだここにいたのか」
一刀がようやく到着する。
「一刀殿」
「俺がやる。変身!」
「カメンライド、ディケイド!」
一刀はディケイドに変身する。
「こいつでぶっ壊す!」
ディケイドは一枚のカードをディケイドライバーに挿入する。
「フォームライド、オーーーーーズ! サゴーゾ! サゴーゾ! サゴーーーーゾ!」
ディケイドはディケイドオーズサゴーゾの姿になる。
「うりゃあ!」
ディケイドオーズはバゴーンプレッシャーによるロケットパンチで結界を破壊する!
「よし! これで!」
「お館!」
そこにヒデヨシと謎の男が来る。
「ヒデヨシ!」
「東王父!」
そう、ヒデヨシの元に現れたのは東王父であった。
「ずいぶん時間かかってるな」
「今俺が来て壊したところだ。お前こそ遅かったな」
「色々あるんだ」
「お館! とくにゃんを助けて! このままだと大変なことに…」
「何を騒いでおる!」
「だからとくにゃんが…」
そんな時甲冑の間で爆発が起きる。
「一刀!」
東王父が一刀の名前を呼び、ディケイドオーズはディケイドの姿に戻る。
「ああ!」
ディケイドはマシンディケイダーを呼び出す。
マシンディケイダーに乗るディケイド。
「うおおおおおお!!」
ディケイドの乗るマシンディケイダーは城の壁を無理やり上る!
「誤算だったな。妖術使いのイエヤスがどこまでいける見届けるつもりだったが、まさか発動させちまうとは!」
シロがつぶやく。
「このままじゃ暴走しちまう!」
シロは兜の輪っかを取り外し、イエヤスに襲い掛かる!
「そこまでだ、小娘!」
しかしイエヤスの後ろにはバリアのようなものが張られ、攻撃が防がれる。
「邪魔だ、犬っころ」
「ぐあっ!」
シロは飛ばされてしまう。
「ちぃ……」
イエヤスの魔力に反応し、真紅の甲冑はイエヤスの体に装着される。
「よし! ついた!」
そこにディケイドが到着するが遅かった。
真紅の甲冑をまとったイエヤスのオーラにシロとともに吹き飛ばされてしまう!
「うわあああああ!」
「シロ!」
ディケイドは空中で何とかシロを捕まえて、マシンディケイダーで何とか着地する。
「シロ! 大丈夫?」
ヒデヨシがシロの元にやって来る。
「くそ、間に合わなかった」
ディケイドは一度変身を解く。
「予想より早いな。相手は……」
「! マサムネ! 貴様何をのこのこと!」
そこに伊達先生がやって来る。
「やはり甲冑は発動してしまったのね」
「残念ながらね」
「何!?」
「『真紅の甲冑を纏いし者は己の魂をもて、天下を得たり』とあるけど……、宝玉がないとその力は暴走するはず…」
「ああ、それに付け加えいいか」
東王父が伊達先生に意見する。
「付け加え?」
「その言葉には誤りがある。だからこう修正しよう。
『真紅の甲冑を纏いし者は邪なる魂をもて、天下焼き尽くせしむ力を得たり』。
そしてこの言葉があの甲冑の秘密だ」
「古文書と書かれてることが違う……」
「さっきも言ったろ、あの甲冑は俺の知り合いが作ったって…」
「東王父、その知り合いって……」
「南華老仙だ」
「あいつかよ!」
「ああ。南華老仙が外史の破壊に乗り出そうとする少し前のことだ。南華老仙は人の心に反応する甲冑を作り上げた。
それが真紅の甲冑だ。その甲冑はスペック上では善にも悪にも染まることができるんだけど、出来上がった甲冑は負の部分にしか反応しなかったんだ。
そして甲冑は厳重封印された。南華老仙が死んだことで無くなったものだと思っていた。実際に消えてたからな。
けど、まさか、別のエリアに行ってたとは思わなかったと言うわけだ。おそらくあんたの持ってるその古文書はどこかでその甲冑のことを聞いたんだけど、どこかで話が捩じれてできたんだと思うぜ」
東王父が伊達先生に告げる。
「そんな……」
「俺に壊せと言ったのはそういうことか」
「まあそれはともかくとして……イエヤスは甲冑を発動させたことでその内に秘めた邪悪な心を開眼させたようだな……」
「そんな……じゃあとくにゃんは……どうなっちゃうの?」
「闇に飲まれる」
東王父が答えを言う。
「闇に飲まれたら最後、二度と元には戻れなくなる。まだ甲冑をつけてすぐならどうにかなるけどな」
「じゃあ、どうにかしてやらないとな」
一刀がイエヤスのいる方を見る。
すると部屋から光が上へと登り、そこから巨大な魔法陣が現れる。
「あーあ、派手にやってるな」
暗雲が広がる。
「イエヤスめ、これほどの使い手だったとは…」
「本当なら、私が甲冑を使いこなすはずだったのに」
「伊達マサムネ」
ミツヒデが伊達先生に声をかける。
「貴様いったい何者だ? なぜそこまで知っておる」
「私達はあなた方にとって遠い未来の世界からやって来た者なのです」
伊達先生が正直に言う。
「未来じゃと?」
「ええ。でもより正しく言うと、時空連続体的の時間軸的には遥か未来ですが、多世界解釈論的には複数の異なる事象平面を横断する形で……」
「難しく説明しすぎだ」
東王父がツッコム。
「…つまりはお前達は別の国から参ったということか?」
ノブナガはバッサリと聞く。
「そんなものですね」
「まあこのマサムネとヒデヨシは同じ世界と言うか同じ国だけど、俺とこの東王父はまた別の国出身ってことだ」
「と言うことだから、そんな難しい話しなくていいぞ」
東王父や一刀はよく分かるが、ノブナガ達にとってはよく分からないうえにそんな時間も今はない。
「今だから言えるけど、ノブナガ」
「なんじゃ?」
「お前、本当ならミツヒデに殺されてるぞ」
「何!?」
「!」
東王父の言葉でノブナガが怒りの形相を見せる。
「それが一刀やそこにいるヒデヨシ達の知る歴史。
まあそこのミツヒデが思いとどまったり、お前の驚異の身体能力で事無きは得たけどな」
「それが正史の歴史。だけどここは外史と言うまた別の世界だ。
俺はそうならないように色々努力してたんだよな……」
一刀がイエヤスのいる天守閣を見る。
「…っても今はあいつを止めることが一番だ」
天守閣では……。
「殿、此度の満願成就、おめでとうございます」
『おめでとうございます』
罠にかかっていたハンゾウ達がイエヤスの元に戻ってきていた。
「……早速天下取りの大号令を」
「では消えて」
『はっ?』
「聞こえなかった? 消えなさいと言ったのよ」
「殿?」
「役立たずのごくつぶしどもに用はない。とっと失せよ!」
イエヤスが錫杖を振る。するとその衝撃だけでハンゾウ達が飛ばされる。
『何!?』
「ちっ!」
一刀が再びマシンディケイダーに乗り、何とか落ちてきたハンゾウ達を全員キャッチする。
「よっと」
一刀がハンゾウ達を地面に降ろす。
「これしっかりせい。上で何があった?」
ミツヒデがハンゾウの一人に尋ねる。
「徳川の忍の者か」
「答えよ、イエヤスは一体なにをしておるのじゃ?」
「真紅の甲冑を召し……」
『!』
「ですが……殿はお人が変わられてしまいました。
代々徳川家は妖術を得意とする家門。殿はとりわけその血を濃く受け継いでいた」
「そりゃあ、あの甲冑にとってはうってつけの相手だな」
「どういうことだ?」
一刀が東王父に尋ねる。
「よく言うだろ。妖術使いは基本的に裏で何かするタイプだって。
濃く受け継いでるんならなおさらだ。あの甲冑は心にため込んでる奴を欲するからな。
イエヤスとはそういう意味じゃ相性抜群と言うわけだ」
「それがまさかこのようなことになるとは……おいたわしや……」
ハンゾウが涙目で言う。
「お慈悲でございます」
ハンゾウ達が起き上がり、全員頭を下げる。
「なにとぞ、なにとぞ、殿をお助けください!」
「お館…」
「是非もない。全てはきゃつの自業自得じゃ」
「確かにな。知らなかったとはいえ、自業自得なのは違いない」
ノブナガと東王父は非情な言葉を口にする。
「………」
黙り込む一同。
「とは言っても自業自得の原因は俺にもあるけどな」
「え?」
「だってさ、あの真紅の甲冑、元々俺の所属してた組織の長が作ったもんだぜ。
組織の長がいなくなったのと同時になくなってたから本当になくなったもんだと油断してたからな。
その油断がなければこんな事態にはならないと思うしな……」
天守閣にいるイエヤスは力がたまっていく錫杖を見る。
「こんなにたぎって…、あなたも暴れたいのね。いいわ、今解き放ってあげる」
そういうとイエヤスは錫杖を天に掲げる。
すると上空にある魔法陣が大きくなる。
『!』
「お館様!」
「……!」
「何する気だ」
すると上空の魔法陣から複数の魔力波が発射され、地上へと落ちてくる。
その様子は下の領民達も見えていた。
「素敵……いっぱい出たわね」
悦に入るイエヤス。
「ちっ……」
「やるな……」
「イエヤスめ……お前達!」
ノブナガが兵士達に指示を出す。
「ここより、退けい!」
『お館様!?』
「あのような雷をくらったらひとたまりもない。
ここはひとまず退くのじゃ」
「なりませぬ、お館様! お館様を置いて尻尾を巻くなど尾張の武士の名折れ」
「いっそ、盾になって死ねとお命じくださいませ」
「ふ、このわしがただ逃げろ思うてか?」
「?」
「お前達は手分けして城下の領民達を城から離れた安全な場所に導くのじゃ。
尾張の武士なら、領主ではなく領民の盾となってみせよ」
『はっ!』
兵士達は領民達の避難誘導に向かう。
「良いこと言うね」
「当たり前のことじゃろ」
「そうだな。国は民とか下の人がいて初めて成り立つ。
下の人がいないと人は……いや、生き物全て、一人じゃ生きていけないからな。よく分かるぜ」
一刀がノブナガの意見に賛同する。
「……ところでなぜお前達は残っておるのじゃ?」
ノブナガがミツヒデ達に問う。
「お館様が逃げぬとあれば、私も残る所存です」
「お館もとくにゃんも放っておけません。他に行くところもないし……」
「俺はあの甲冑の始末しないといけないからな」
「俺は破壊者として正史の流れを破壊するだけだ」
ミツヒデ、ヒデヨシ、東王父、一刀がそれぞれの意見を口にする。
「ふ、仕方のない奴らじゃ。してマサムネ、お前は?」
「真紅の甲冑を纏った者がどうなるのか最後まで見届けます」
「そうだな。力に溺れる人間を見ておかないと自分も同じ目に遭うかもしれないからな」
「それに…、私はこれでもこの子の保護者ですから」
伊達先生がヒデヨシに対して言う。
「先生…」
「好きにしろ」
「「言われなくても」」
一刀と東王父がそれぞれドライバーの準備をしようとすると……。
「ノブナガ殿」
どこからか声が聞こえてくる。
「これは一体何事です?」
そこに現れたのはヨシモトであった。
「ヨシモト殿、何故ここに?」
ヨシモトは尋ねられるも答えず上空を見る。
「あれは徳川の葵紋。あそこで何が起きてるのですか?」
「とくにゃんがお館の甲冑を横取りしちゃったんです。そしたら急に暴れ始めちゃって…」
「その原因があの甲冑と言うわけだ」
「え?」
ヨシモトは信じ切れず、イエヤスが見えるところまで近づく。
「イエヤスちゃん、そんなところに居たら危ないわ。早く降りてらっしゃい。イエヤスちゃん」
「お母さんみたいなこと言うね、あのヨシモト」
「まあイエヤスの保護者みたいだからな……」
ヨシモトの行動を見てつぶやく東王父と一刀。
「私の言うこと…聞いてますか?」
「あの年増……人の名を気安く口にして!」
「まずい!」
東王父はイエヤスの様子が見えたのでイエヤスがどんな心境なのかすぐに分かった。
「離れろ!」
「え?」
東王父が叫ぶがイエヤスは錫杖を床に着けると、上空の魔法陣から魔力波が飛んできて、ヨシモト目がけて振って来る。
「!」
「馬鹿者!」
ノブナガが走って、ヨシモトをかばう。
「「お館(様)!」」
二人は無事であった。
「よかった」
「ノブナガ殿」
「これで分かったであろう。あれがイエヤスの本性じゃ」
「イエヤスちゃん……」
「完全に闇に支配されるな、ありゃ」
「まだ助けられるか?」
「まだなんとかいけると言う感じだが、あまりに同調しすぎると時間が短くても無理になるな」
「そんな……」
「あの秋山って奴が不思議なくらいだ。あいつが抱えてる闇は今のイエヤス以上だからな。
よく自我を保てたり、能力を自由に使えてるのが不思議なくらいだ」
「そんなにあいつすごいのか」
「今まで見てきた中じゃ、あいつを越える闇の持ち主はいなかったな」
東王父と一刀がこの場にはいないが二人が一度会っている人間のことを話す。
そうこうしているうちにイエヤスは再び魔法陣から魔力波を飴のように降らし、周辺に魔力波が落ち、破壊される。
「無差別になってるぞ」
「破壊衝動に駆られてるってことだ」
「雷が力を増しておる」
「……そりゃ同調率が上がってる証拠だ。こんなに短時間で上げるとは……」
「………」
ミツヒデがクナイを取り出す。
「何をするつもりじゃ?」
「お館様、お許しください」
ミツヒデは走り出す。
「待てミツヒデ!」
ノブナガが追うも、魔力波で阻まれ追いつけなくなる。
「ミツヒデ!」
「仕方ない!」
(この命お館様のために……!)
「待て!」
城の屋根を上っていたミツヒデの前に東王父が立ちふさがる。
「貴様、どけ!」
「悪いけど、今はどけないな」
「イエヤスは私が……」
「悪いけど、今のままじゃ勝機はない」
「何!?」
東王父がディエンドライバーを取り出す。
「ここは一旦下がれ」
「だが!」
「下がらなきゃ撃つぞ」
そう言いつつも東王父はミツヒデの足元を撃つ。
「これはこういう武器だ。分かったかな?」
東王父は振り返り際にイエヤスの方を向き、イエヤスに弾を発射させるが、魔法陣で防がれる。
「こういうわけだ。生半可の攻撃は今のあいつには効かない」
「……」
「だから一旦下がるぞ」
東王父はそう言いながらミツヒデの体をつかんで、無理矢理降りる。
「!」
降りた東王父はあることに気が付く。
「あらら、客が増えてるな」
『え?』
一同が後ろを向くとそこにはシンゲンとケンシンがいた。
「ノブナガ殿、第六天魔王ともあろう者がこのざまか」
「すまん」
ノブナガは謝ってすぐにミツヒデの元に行く。
「お館様」
ノブナガはミツヒデの頬を叩く。
「まあ無理ないな」
「申し訳ございませぬ。お館様の名を汚すような無様な戦いを…」
「馬鹿者」
ノブナガがミツヒデを抱きしめる。
「あのような真似、もう二度とするでない。わしの寿命を縮めるつもりか」
「………」
「一体あそこで何が起きているのです?」
ケンシンが尋ねる。
「うむ」
「これは俺から説明するべきかな」
東王父が説明する。
その間にイエヤスは甲冑の影響であざが出来始めていた。
東王父はやって来た二人に説明した。
「それは…」
「まさに……容易ならぬ事態。ノブナガ殿は真紅の甲冑の素性を知った上で集めておられたのか?」
「………」
「甲冑が揃わなければ、イエヤスちゃんもあのような振る舞いに及ばなかったはずですわ」
「天下布武のつけ、高くついたな」
「みんな……」
「まあそう言ってやるな。あれは簡単に情報が得られるものじゃないから……」
東王父が何とかノブナガをフォローしようとすると……。
「頼む御一同。この通りじゃ」
ノブナガが頭を下げる。
『…………』
「今は罪なき領民に及ばぬよう、イエヤスを止めねばならぬ。
その後でならば、いかなる責めも喜んで受けよう。なれど、今だけはわしに力を貸してくれ」
ノブナガが懸命に頼む。
「お館様…」
「やれやれ、敵わんな、ノブナガ殿には……」
「鎧を憎んで、イエヤスちゃんを憎まずですわ」
「罪を憎んで人を憎まずの変え版か」
「織田ノブナガが頭を下げしこと、後世語り継ぎましょう」
「!」
ノブナガが顔を上げると笑顔で受け入れてくれる、ヨシモト、シンゲン、ケンシン。
「お主ら…」
「仲いいな、お前達」
「この声は」
一刀達、一部の者が聞き覚えのある声がする。
「あたしら抜きで何盛り上がりいうが」
「貴様ら……」
一同が声の方をするとそこにはモトナリ、モトチカ、ソウリンの西国の三人衆がいた。
「主役は遅れてくるもんじゃ」
「見かけない顔だな。何者だ?」
シンゲンが尋ねる。
「しらざあ言って…」
「あいつらは毛利モトナリ、長曽我部モトチカ、大友ソウリンの西国三人衆さ」
一刀がずばり言った。
「「「一刀(さん)、言わせてぇ〜な!」」」
モトナリ達三人が声をそろえて抗議する。
「お前達の名乗りが長いからだ」
「何? あの三人のお前の何?」
東王父が一刀に聞く。
「俺が怒ってぶっとばした三人」
「怒ったって……ファングジョーカー使ったの?」
「ああ。ついでにXとアマゾンも使った」
「大判振る舞いだな」
「それほどあの時の俺は怒ってたっことだ」
「してなぜ尾張に?」
「……っほん。まあ真紅の甲冑が集まったという記念と……」
モトナリ達が一刀の方を見る。
「うん?」
「命助けてもらったお礼をと……」
「相変わらずだな、お前」
東王父が嫌みたらしく一刀に言う。
「うるせぇ、お礼なら別にいいのに。俺、人殺し嫌いなだけからな」
「まあお礼と記念にと思ってきたんけど、途中で妙な胸騒ぎを覚えてん……」
「拙者達と同じだな」
「甲冑の異変を虫が知らせたか」
「この場合はこの世界が知らせてくれたんだな」
「どういうことだ?」
一刀が東王父に尋ねた。
「この世界はまだ消えたくないと言うことだ。だがあの甲冑のせいで消えそうになる。
だからその脅威を取り除けそうな存在を呼び寄せた。そういうことだ」
「なるほどな。俺は消えようとする世界は見てきたけど、残りたいと思う世界は初めてだな」
「エリアの違いと言うやつかな」
一刀と東王父が少し自分達が見てきたものを思い出すが、今はその余裕はない。
「あれがその原因かいね?」
モトナリが天守閣の方を見て尋ねる。
「そうだ」
すると上空の魔法陣から魔力波が再び振りそそがれ、それはノブナガ達の方に落ちてくる。
「避けよ!」
「うわぁあああああああ!!」
一刀が一人派手に宙で体を回転させ、吹き飛ぶも何とか着地する。
「な、何? あれなんなん?」
ソウリンが慌てて尋ねた。
「イエヤスの雷だ」
「ちょうどよい、貴様らも手を貸せ。あやつを倒すぞ」
「「「ええええええええ!?」」」
西国の三人は驚きの声を上げる。
「先ほどまでの勢いは口先だけか?」
シンゲンが挑発する。
「……そんなことないわいね」
「声がどもってるぞ」
「一刀さん、それはちょっと……」
モトナリがしぶしぶそうな顔をする。
「……東王父さん」
「うん?」
ヒデヨシが不安そうな声で聞く。
「真紅の甲冑をやつけたら、とくにゃんはどうなるの?」
「同調率によるけど、大半の確立で死ぬ」
「!」
「イエヤスとてひとかどの武士。天下に覇を唱えんと欲せば、それなりの覚悟があってのこと」
「でも…」
「もしこの戦で命を落とすのなら、それがあ奴の天命」
「でも…だって……、ヨシモトさんはそれでいいの!?」
「………」
「嫌だよ! そんなの! 皆、とくにゃんを殺さないで!」
ヒデヨシが懸命に言うも、皆黙る。
「そんな……」
「まあ待ちな」
そこに一刀がヒデヨシの肩を叩く。
「なんのために俺がいるの?」
「一刀さん」
「俺だって、誰かが死ぬのは見たくないからな。
それに俺は破壊者だ。そういう流れ、俺が破壊してやるよ」
一刀が歩き出そうとすると…。
「待て」
ノブナガが止める。
「何だ?」
「ヒデヨシ、殺すなと申したな。殺すよりも生かす方がはるかに難しい。
まったく…無茶を言うやつじゃ」
ノブナガはヒデヨシの頭をなでるように触る。
「わしを信じよ」
「お館」
「なんだ、お前も殺さない気まんまんかよ」
一刀が鼻で笑い、ノブナガも笑う。
「そうじゃな、どうじゃ?」
ノブナガが他の武将達に是非を問う。
「ふ、難関ではあるな」
「難関であればこそ、突破し甲斐があると言うもの」
「それでこそ、戦と言うものよ!」
皆が笑う。
「皆…」
「今一度いう、ヒデヨシ。わしを信じよ!」
「お館を…信じる…」
「では参るぞ!」
『応っ(ええ)(ああ)!!』
武将達と一刀と東王父が走り出す!
一刀と東王父はディケイドとディエンドのライダーカードをそれぞれ取り出す。
そして互いの持つドライバーに挿入する。
「「カメンライド」」
二つのドライバーに待機音が鳴り響く。
「「変身!!」」
「ディケイド!」
「ディ、エーーーンド!」
一刀はディケイド、東王父はディエンドに変身する。
「ノブナガは変わったわね」
「え?」
突撃する様子を見守るヒデヨシと伊達先生。
『うおおおおおおお!!』
突撃した一同は城を上り始める。
『おおおおおお!』
『えゃああああああ!』
『うおおおお!』
「「イエヤスーーーーー!!」」
ノブナガとディケイドがイエヤスの名を叫ぶ。
「ふ、雑魚がいっぱい」
イエヤスは笑う。
イエヤスが錫杖を振るい、衝撃波を繰り出す。
『うわああああ!』
『うううう!』
『くっ…!』
全員衝撃波を食らうもうまく着地する。
「軽く振っただけであれか」
「近づくことも叶わぬとは…」
「イエヤスめ……」
「お館様、今のイエヤスには我々がばらばらに仕掛けても、勝ち目はありませぬ」
「ほいじゃあ、どうすればええんじゃ」
「………一刀」
「これ使っていいか?」
ディケイドがあるものを取り出す。それは仮面ライダーディケイドをファイナルカメンライドと言う強化変身させるケータッチであった。
「上出来だ。それとカード更新だ。オーズのファイナルカメンライドを使えるようにする」
ディエンドが新しいケータッチ専用カードを一刀に投げ渡す。
「サンキュー」
「なんじゃ、そりゃ?」
「一斉攻撃するのに適したもんだ」
「そういうこと」
ディケイドはケータッチ専用カードをケータッチに挿入し、ケータッチを起動させる。
「クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト、電王、キバ、W、オーズ」
そして最後に自身の紋章のパネルを押す。
「ファイナルカメンライド、ディケイド!!」
ディケイドははベルトの真ん中にケータッチを入れ、ディケイドライバーを右腰部分に付け直す。
ディケイドの体にはそれぞれの紋章を押したライダーカードが付いたヒステリーオーナメントが現れ、マゼンタ色から黒と銀色の体に変わり、目の色も緑から赤へと変化。
額にファイナルカメンライドのカードが付き、そしてディケイドは仮面ライダーディケイドコンプリートフォームにファイナルカメンライドした。
「ふん、姿が変わろうと無駄なこと…。所詮雑魚が群れたって雑魚なのよ」
イエヤスは無駄なことだと言うが……。
「無駄かどうかはやってみなきゃ分からないぜ。
それに手前は何か勘違いしているようだな」
「何?」
ディケイドコンプリートフォームがイエヤスに説教をする。
「手前、本当に一人で天下統一出来ると思うのか?」
「出来るわ。この力さえあれば…」
「ふ、そんなこと考えてる時点でダメだな。いいか、国ってのは上に立つ人間以外がいて初めて成り立つんだ。
手前がやろうとしてることは力と恐怖で人を縛ること。そんなんじゃいつか下の人間は皆死んで、そのうち上の人間も死んで国は滅びる。
そんなんじゃだめだ。だからこそ人は協力し、助けあう。
今のお前にはその協力してくれる奴がいない。だったら俺達が負けることなんて……ない」
「貴様……何様のつもりだ?」
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
「さてと、説教はこれくらいにしてまずは一発でかいのでいくか」
ディエンドは一枚のライダーカードをディエンドライバーに挿入する。
「カメンライド、コア!」
ディエンドがディエンドライバーを上に向けて撃つ。するとディエンドの後ろには城くらいの大きさの仮面ライダーコアが現れる。
「アタックライド、クロスアタック!」
ディエンドがディエンドライバーにアタックライドカードを入れる。
ディエンドが入れたカードは召喚したライダーの必殺技を発動させるカードだった。
するとコアは口から熱視線を出す。
「ふん!」
イエヤスはその攻撃を防ぐ。
「!!」
イエヤスは想像よりも重く強い攻撃で少し踏ん張る。すると次第に熱視線は消え、コア自体も消えた。
「この程度……」
「龍騎! カメンライド、サバイブ」
するといつの間にか近づいていたディケイドと召喚された龍騎サバイブにシンゲン。
「炎竜軍配撃!」
「ファイナルアタックライド、リュリュリュ龍騎!」
シンゲンの炎竜軍配撃、ディケイドのライドブッカーと龍騎サバイブのドラグバイザーツバイのドラグブレードからバーニングセイバーが放たれる!
「バカの一つ覚えね」
イエヤスはそれらの攻撃を防ぐ。すると攻撃と防御がぶつかると同時に煙が立ち込める。
「キバ! カメンライド、エンペラー」
ディケイドは次にキバエンペラーフォームを召喚する。
「朱雀剛爆砕!」
「ファイナルアタックライド、キキキキバ!」
すでにディケイドの近くにいたミツヒデが朱雀剛爆砕を、ディケイのライドブッカーとキバエンペラーフォームのザンバットソードからファイナルザンバット斬が放たれる!
「くっ!」
イエヤスは何とか広域シールドのようなもので防ぐ。
「ふ」
「ファイズ! カメンライド、ブラスター!
カブト! カメンライド、ハイパー!」
ディケイドは一気にファイズブラスターフォームとカブトハイパーフォームを召喚する。
「ファイナルアタックライド、ファファファファイズ! カカカカブト!」
ディケイドがライドブッカーをガンモードにし、ファイズブラスターフォームはファイズブラスターをカブトハイパーフォームはパーフェクトゼクターを構え、ソウリンの元に立つ。
「いくぞ、その大砲、ちゃんと直ってるんだろうな?」
「誰が壊したん? ちゃんと直したばい」
「それは……悪かったな!」
「いっけーーーー! 弩・佛狼機(ドン・フランキー)砲!」
1つの大砲とフォトンバスターとマキシマムハイパーサイクロンとその二つが合わさったエネルギー砲が放たれる!
「小癪な大筒が……! ふん!」
イエヤスがまた違うバリアで砲撃を防ぐ。
「…」
「イエヤスちゃん!」
「アギト! カメンライド、シャイニング」
ヨシモトとそのあとを追うディケイドとアギトシャイニングフォーム。
「ファイナルアタックライド、アアアアギト!」
「たああああ!!」
ディケイドとアギトシャイニングフォームはシャイニングクラッシュを放ち、それと同時にヨシモトも変則の矢を放つ!
「くっ! この年増が!」
イエヤスはシャイニングクラッシュをかわすと同時に何とかヨシモトの矢をさばく。
「年増ですって!?」
「年増! 年増! 年増! 年増!」
「ブレイド! カメンライド、キング」
ディケイドはブレイドキングフォームを召喚。
「いい加減になさい。烈風真空波!」
「ファイナルアタックライド、ブブブブレイド!」
ヨシモトが強力な矢の攻撃を放つと同時にディケイドとブレイドキングフォームはロイヤルストレートフラッシュを放つ!
「!」
イエヤスは再び魔法陣の盾で防ぐ。
「はあっ!」
「響鬼! カメンライド、アームド」
ディケイドがジャンプしたと同時にアームド響鬼を召喚。モトチカと合流する。
「ファイナルアタックライド、ヒヒヒ響鬼!」
「喜鬼斬山(ききざんざん)! てゃあああああ!」
ディケイドとアームド響鬼は音撃刃・鬼神覚声、モトチカは喜鬼斬山(ききざんざん)を放つ!
イエヤスはその攻撃を下に移動することでかわす。
「W! カメンライド、エクストリーム」
ディケイドはすぐに下に移動してWサイクロンジョーカーエクストリームを召喚。
待ち構えていたケンシンとともに突撃する。
「ファイナルアタックライド、ダダダW!」
「雷光連撃槍!」
「たあああああああ!!」
ケンシンの雷光連撃槍とディケイドとWサイクロンジョーカーエクストリームのダブルエクストリームがイエヤス目がけて放たれる!
イエヤスはシールドを張る暇なく、何とか錫杖で防ぐ。
「虫けらが次から次へと!」
「お前が相手してるのは虫けらじゃないぜ!」
「それに……」
するといつの間にか回り込んでいたモトナリがイエヤスを攻撃。
イエヤスは紙一重で避ける。
「仮に虫けらだとしてもその虫けらにやられる気分はどうかねえ?」
「電王! カメンライド、ライナー」
ディケイドは電王ライナーフォームを召喚する。
「超クライマックスじゃないのは俺の意思で決めてるからか」
「ファイナルアタックライド、デデデ電王!」
ディケイドと電王ライナーフォームは電車切りの体勢に入り、レールの上に乗る!
「黒葬の舞!」
モトナリは黒葬の舞の衝撃波をディケイドと電王ライナーフォームの後ろに当てる。するとレールに乗っていた二人のスピードが上がる!
「電車切り!」
モトナリのおかげでディケイドと電王ライナーフォームの加速は通常よりも上がっていたためイエヤスは防御しきれず、ライドブッカーとデンカメンソードの二つの剣がイエヤスを斬る!
「ぬぁあああああ!」
攻撃を食らってもイエヤスはまだ無事であり、甲冑もまだ健在だった。
イエヤスは攻撃を食らった反動で、上空の魔法陣から魔力波を放つ。
すると周りがどんどん破壊されていく。
イエヤスは再び外に出る。
「はあ……はあ……」
「クウガ! カメンライド、アルティメット」
ディケイドはクウガアルティメットフォームを召喚する。
「ファイナルアタックライド、ククククウガ!」
「(うまくコントロールして…)はあああああ、はあああああああ!!」
ディケイドとクウガアルティメットフォームが手を広げる。
するとイエヤスの体が突然燃え始める。
「う、あああああああ!!」
「な、何!? なんで突然燃えてるの?」
外から見ているヒデヨシからしてもイエヤスが突然燃え始めたように見える。
正確にはイエヤスが燃えてるのではなく真紅の甲冑が燃えているのだ。
クウガアルティメットフォームの力には超自然発火能力があるが、これは本来生物を内側から燃やす冷酷非情な技である。
しかし一刀は何とかディケイドの召喚などでコントロールすることによって甲冑のみを燃やすことに成功したのだ。
「こんなものだな」
ディケイドは超自然発火能力を解除すると同時にクウガアルティメットフォームが消える。
「はあ…おのれ……はあ……」
「こいつでもっと弱くしてやるぜ」
「オーズ!」
ディケイドは新しくできたオーズの紋章を押す。
「カメンライド、プトティラ」
ディケイドの横に仮面ライダーオーズプトティラコンボが姿を現す。
「ファイナルアタックライド、オオオオーーーズ!」
ディケイドとオーズプトティラコンボの体から強力な冷気が放出され、、その冷気がイエヤスを凍らせる。
「う、動けない……」
イエヤスは冷気によって凍らせられたために完全に動きを止めらる。
「!」
「はあああああ! たああああああ!」
ディケイドが後ろを思いっきり向くと同時にオーズプトティラコンボのテイルディバイダーでイエヤスを攻撃する!
テイルディバイダーはイエヤスを凍らせている氷を砕くもイエヤス自体はまだ健在であった。
「はあ…はあ………」
(これでいい。まだあいつは気づいてないようだな)
ディケイドの目的はイエヤスを倒すことではなく別にある。
そしてイエヤスの前にノブナガが立つ。
「ノブナガ…」
「…参る!」
ノブナガがジャンプする!
「非情ノ大剣!」
「光魔葵ノ……」
「はあああああ!!」
イエヤスの攻撃よりも早くノブナガの攻撃が繰り出され、イエヤスは攻撃を中止し、ノブナガの攻撃を防ぐ。
「ぬうううううう!」
「くうううううう!!」
攻撃の衝撃はすさまじく城の周りだけでなく城自体が壊れていく。
そしてノブナガの攻撃はそれだけでなく、イエヤスの錫杖にひびを入れていった。
「何!?」
「こいつを待ってた! 東王父!」
「ああ!」
ディエンドはファイナルアタックライドカードをディエンドライバーに挿入する。
「ファイナルアタックライド、ディディディディエンーーーード!」
ディエンドライバーを前にして、ディメッションシュートの体勢に入る。
「はっ!」
ディメッションシュートが放たれ、ディメッションシュートはイエヤスを遥か上空へと飛ばす!
「ぬうううううう!!」
「よし!」
ディケイドは改めてケータッチを取り出し、ケータッチのカードを抜いて、再び入れ、ボタンを押す。
「シャイニング、アームド、キング、ハイパー、ブラスター……」
先ほどと違う順番でパネルを押す。すると先ほどと同じ紋章のパネルを押しているのに発せられる音声が変わっているのだ。
「…エンペラー、サバイブ、ゴールドエクストリーム、ライジングアルティメット、プトティラ、スーパークライマックス」
ディケイドは最後に自身の紋章を押す。
「ファイナルカメンライド、ディケイド!」
ディケイドはコンプリートフォームのさらなる姿、真コンプリートフォームへとファイナルカメンライドしたのだ。
この姿は今まで二度なったことがあり、その姿は普通のコンプリートフォームとは打って変わる。
まずはヒステリーオーナメントと額のファイナルカメンライドのカードがなくなる。
それからケータッチにはライジングアルティメットの雷のようなものが付き、右腰に付いたディケイドライバーにはアギトのドラゴンネイル。
顔のところには龍騎サバイブの触角。頭部にはカブトハイパーの角。胸部分はファイズブラスターの時に出てくるフォトンブラッドの筋。胸部分にブレイドキングフォームのスペード。
背中には装甲響鬼の無数の剣と電王超クライマックス時のウイングフォームを模した翼とそれを多い被るようなキバエンペラーのマントが付く。
さらに今までの真コンプリートフォーム発動時にはなかったWサイクロンジョーカーゴールドエクストリームとオーズプトティラコンボの特徴も加えられた。
サイクロンジョーカーゴールドエクストリームの特徴である金色のクリスタルサーバーがディケイドにも付き、そしてオーズプトティラコンボのテイルディバイダーも尻部分についた。
「真コンプリートフォーム、バージョン2と言ったところだな」
「ああ」
ディケイド真コンプリートはファイナルアタックライドカードをディケイドライバーに挿入する。
「ファイナルアタックライド、ディディディディケイド!!」
上空に飛ばされたイエヤスをディケイドの紋章が固定する。
「くうっ! だがこの程度なら問題…」
「ありだ。錫杖とか甲冑をよく見な」
ディケイド真コンプリートフォームが言うので、イエヤスが錫杖と甲冑を見てみる。すると全てにひびが入ってることに気づく。
「これは……」
「さっき俺が燃やした後、急に冷やした狙いが分かったか?」
そう、一刀は金属疲労を狙って、クウガアルティメット→オーズプトティラの順で攻撃をしたのだ。
一刀の狙いにイエヤスは気づかずまんまと今、はまったのだ。
そしてディケイドの紋章から順にオーズ、W、キバ、電王、カブト、響鬼、ブレイド、ファイズ、龍騎、アギト、クウガの紋章が現れる。
「ほっ!」
ディケイド真コンプリートフォームは紋章目がけてキック体勢で飛んでいく!
「たあああああああああああああああああ!!!!」
次々に紋章を突き破り、最後にディケイド自身の紋章に到達すると同時にキックがイエヤスの体に直撃し、その場で大爆発を起こす!
「ああああああああああ!!」
「とくにゃーーーーーん!」
ヒデヨシが叫ぶ。
最初に爆発から出てきたのはディケイド真コンプリートフォームであり、ディケイド真コンプリートフォームは着地する。
「一刀、イエヤスは?」
ディケイド真コンプリートフォームは黙って上を指差す。
すると爆発から痣が消え、ほぼ素っ裸になったイエヤスが落ちてくる。
「馬鹿者!」
ノブナガは何とか落ちてきたイエヤスを抱き留める。
「っ! イエヤス……大丈夫か?」
「確認しろ。生きてるし、息はある」
ディケイド真コンプリートフォームは変身を解き、元の一刀に戻る。
「ふん」
ディエンドも変身を解く。
「これで終わりか?」
「そうだな」
「……まぶしい朝日だな」
朝日が出てきたことに気づく。
少しして、イエヤスが目を覚ます。
「目が覚めたか?」
「私は……」
「悪い夢を見ておったようじゃ」
「………」
『殿』
そこには嬉しくて涙を流すハンゾウ達がいた。
「お前達、生きていたのか」
『ご無事で何より』
「役立たずのくせに、本当に体は頑丈なんだから」
「はい、おかげさまで」
「褒めてないわ!」
「主が主なら」
「家臣も家臣か」
感服するシンゲンとケンシン。
「……」
壊れた城を黙ってみているミツヒデ。
「お館様、城が……」
「城などまた作ればよい。大切なのは人じゃ、そうであろう?」
「はっ!」
「その通り」
一刀が笑顔で答える。
そしてイエヤスのやったことを責めたてる武将達。
「イエヤスよ、われらに言うことがあるであろう」
「………」
イエヤスは嫌そうな顔をする。
「……でした…」
「はあ?」
「声が小さい、聞こえんぞ」
「………でした」
「もっと大きい声で!」
「言わなきゃ撃つぞ」
「いくらなんでも脅すな」
イエヤスにディエンドライバーを向ける東王父にツッコミを入れるシンゲン。
イエヤスは膨れ顔になるも……。
「す、すみませんでした! ごめんなさい! 私が悪うございました!」
「よくできました」
東王父はディエンドライバーを下げる。
「最初っからそういえばよいのじゃ」
「……! は、はい!」
ノブナガの顔を見て顔を赤らめるイエヤス。
「人間、素直が一番じゃ。のう、ミツヒデ」
「はっ」
(それはギャグで言っているのか?)
ミツヒデに振るノブナガを見てそう思った一刀。
「ノブナガ様、お願いがございます」
「うん?」
「これからは、ノブナガお姉様と呼ばせてくださいませ」
「何?」
「は?」
「お、姉様!?」
イマイチ分かってないノブナガと反応に困る一刀とミツヒデ。
「ノブナガお姉様、どうかこのイエヤスを罪滅ぼしのためにお側に置いてくださいませ」
『え?』
一刀だけでなく他の武将や東王父も同じ反応をした。
するとイエヤスはノブナガに抱きつく。
「ちょ…」
「ノブナガ様の凛々しさに私は確信しました。
お姉様こそ私の運命の伴侶」
「へ?」
とても反応に困るノブナガ。
「な、何を言われる! お館様は私のものだ!」
ミツヒデがノブナガの片腕をつかむ。
「その手をお放し! ヘタレメガネ!」
イエヤスも対抗してもう一つの方の腕をつかむ。
「ちょ、ちょっとイエヤスちゃん、あなた何を言っているの?」
「なぁにこれ……」
色んな意味で困る一刀。
「皆元通りだね」
笑顔で答えるヒデヨシ。
「どこが!?」
ツッコム一刀。
そして一同による安土城の復興作業に入ろうとしていたが、モトナリ、モトチカ、ソウリンは用事があるとして先に出て行こうとする。
「ぼちぼち出立しようと思いますきに」
「行くのか」
「また急な…」
「こげん見えても、うちら一国の主なわけやし。そう長い間、国元を開けるわけにはいかんけんねん」
「お祝いしたかったんけど、また今度やね〜」
「そいつは悪かったな」
「しかし……大きな借りを作ってしまったな」
「そのうち返してもらうわいね。利子つけてね…」
「……そういえばヒデヨシはどうした? 奴にも見送りをするよう申し伝えよ」
「はっ」
「しかしなんやかんやで別れはつらいな。あんなことがあったとはいえ、俺はお前達のこと結構好きだったけどな」
「「「!!!」」」
一刀の言葉に顔を赤くする三人。
「どうした?」
(この天然が……)
一刀の鈍感さを見て陰で笑う東王父。
「ま、まあうちら行くは」
「ヒデヨシによろしくっと……」
「そうか……」
そうしてモトナリ、モトチカ、ソウリンは去って行った。
「それにしてもヒデヨシはどこだ?」
その頃ヒデヨシは炊き出しの飯を食べていた。
炊き出しの飯を食べているといつものようにシンゲンとケンシンが喧嘩していて、ヒデヨシは何とか止めていた。
「二人ともやめてください〜」
「おーほっほっほっ、もうよろしいではないですか。こうしてイエヤスちゃんも無事に戻ってきたことですし。
うん、本当一時はどうなることかと思いましたけどね」
そう言いながらイエヤスに抱きつくヨシモト。
「いやいや、完全復活してるよとくにゃん達……ね、先生……」
ヒデヨシが伊達先生のいた方を見るといつの間にか伊達先生の姿がなかった。
「あれ? 伊達先生?」
伊達先生はと言うと端末と宝玉の力であるものを探していた。
それはなんと真紅の甲冑の兜であった。
真紅の甲冑はディケイド真コンプリートフォームで完全に破壊されたが、あくまでも破壊されたのは鎧部分であって兜は爆発の衝撃で飛んで行ったのだ。
「壊れてないわ、これ」
額部分に少しひびがあったものの完全に壊れてはいなかった。
「あー、なんだここにいたんですか、伊達先生」
そこにヒデヨシがやって来る。
「いきなりいなくなるから探しちゃったんですよ」
ヒデヨシは伊達先生が真紅の兜を見つけたことに気づく。
「伊達先生…」
「やっぱり私……諦めきれないわ」
「何を…」
「これは運命なのよ」
「ちょっと……」
「ヒデヨシ」
次に来たのはミツヒデだった。
「お館様がお呼びで…」
「あ、あけりん」
「貴様! 何をしておる!?」
「これは私のものよ。最初っからそうなるはずだった…」
「何を言うか! それはお館様が……」
「ノブナガなんかには渡さないの!」
「! 何を!」
「待って! 先生…、ねえどうしたの?」
「正さないとダメなのよ」
「何を?」
「最悪だと思ったことない?」
「どういうことですか?」
「私達のいた世界。夢も希望もない。あなただってそう思っていたでしょ」
「………」
「皆自分のことしか考えてない。他人のことだってどうだっていい。
そんな世界を私もほとほと嫌になったのよ」
「先生……」
「そんな時にこの甲冑の伝説を知ったの。そして思ったのよ。過去の過ちを正さない限り、明るい未来はやってこないって。
私は子孫の願いと私の思いを叶えるために、歴史を遡ろうとしたの。でもたどり着いたのはこの世界で伊達マサムネと言う人物が存在しなかった。
ならばこの世界で自分の理念が正しいことを証明してみせようと思ったの。それが出来るのは伊達の血を引く私しかいないって。
この甲冑を使ってせめてこの世界だけでも理想郷にしてみせる。信長でも家康でもなく、この私がそれを……」
「マサムネ! 貴様!」
「ね、日出さん。あなたも手伝ってくれるでしょ?」
「先生………、あたし……」
そんな時であった、伊達先生の足元に銃弾が撃たれる。
「!」
三人が攻撃してきた方を見る。
すると上には一刀、ノブナガ、それにディエンドライバーを向けていた東王父がいた。
「そう言うセリフは悪の女王様とかが言うセリフだぜ」
「そうだな。べたすきで面白くない」
「何を言ってるんだ、貴様ら」
「「気にするな」」
「……ともかくだ、マサムネ! お前のその覚悟を見せよ!」
ノブナガ達が一斉に飛び降りる。
「その甲冑を纏い、その力で天下を取る覚悟が貴様にあると言うのであれば、今ここでわしに示して見せよ」
「もっとも兜だけじゃどうにもならないけどな」
東王父が笑いながら言う。
「兜だけでどうにかあったら怖いよ。まあかなり固い防具にはなると思うけど」
「使い道それしかないのか?」
「ないな」
一刀の質問に東王父がきっぱり答える。
「……マサムネよ、わしも貴様と同じ考えであった」
「?」
「天下統一はわしの悲願であった。ゆえに貴様に古文書を渡された時、その真紅の甲冑は役に立つと思う多。
天下を治めた後、わしの行く手を阻む者がおれば、甲冑を使って倒すだけのこと、そう考えておった」
「…………」
「だが甲冑を纏い、力ずくで人を支配したところで、それは真の天下取りとは言えん」
「!」
「天下を取る、等しく人を制する。
その真の意味は此度の一件でわしは悟った」
「…」
「古文書には最後この甲冑を纏った者には神の怒りを買ったと記されていたな」
「ええ」
「なあ、その神って南華老仙のことになるのか?」
「そうだな。事実一度ある外史が真紅の甲冑のせいで危機に陥ってな、南華老仙がそれを止めたんだ」
「そうなのか」
「それがなぜか古文書に書かれてたとは思わなかったけどな」
「あのままわしが甲冑を纏っていたとしたら、恐らく同じ末路を辿ったであろう。貴様もだ! マサムネ」
ノブナガが伊達先生を指差す。
「………」
そこにシンゲン、ケンシン、ヨシモト、イエヤス、シロもやって来る。
「わしは己の無力を思い知らされた。あの時、イエヤスを前にして、わしは一人では何もできおらん」
ノブナガが後ろにいる一刀達を見る。
「ここにいる皆の力があったからこそ家臣を…領民を……引いてはこの国をわしは守ることができたのじゃ」
「それとこの外史をな」
「後は三人欠席」
一刀と東王父が付け加える。東王父の言葉で噂の三人は思わずくしゃみをしたとかしてないとか。
「天下取りとは決して武力ではない。人を信じ、等しく人から信じられることだ。
わしはそう知るに至った。しかしマサムネ、貴様がよしとせず甲冑を纏い、その力で天下を取ろうとするであれば、このわしが天に代わって貴様に鉄槌を下してやろうぞ!」
ノブナガが大剣を取り出し、伊達先生に向ける。
「おいおい、それは破壊者の役目じゃないのか?」
ノブナガの横に立つ一刀。
「あの甲冑の不始末は俺がつけるべきだろ」
東王父もノブナガの横に並ぶ。
「さっさと甲冑を纏え! 例え、この実が裂けようともわしが貴様を倒す!」
「よもや、ノブナガ殿が倒れることがあれば、次は拙者が相手をいたす」
槍を構えるケンシン。
「いや、それはわしのセリフじゃ。意に沿わぬのはわしの性に合わん」
「あなた達……私が……この甲冑が怖くないの?」
「ふ、あんたみたいな根暗器じゃないのよ」
「私も同感ですわ。だって、あなたのことよく知りませんもの。そんな人に従えるわけないでしょ」
「私も貴様など、決して認めぬ!」
全員が自分の武器を構える。
「と言うわけだ。それにさっきも言ったけど兜だけじゃどうにもならんよ」
「兜だけに怖がれって言われても説得力ないぜ」
東王父と一刀があざ笑うかのように言う。
「……いいわ、私に従わない者を全て排除するだけのこと……」
「先生!」
ヒデヨシが訴える。
「先生、もうやめてよ! 先生がお館達と戦うなんてそんなのダメだよ!」
「仕方ないでしょ、正しい世界を作るためには力で押さえつけてでも従ってもらうしかないのよ」
「そんな…」
「……っふ」
一刀が思わず鼻で笑う。
「何がおかしいの?」
「東王父」
「なんだ?」
「俺が破国をいつ力で従わせた?」
「そうだな……、ないな。お前政治とか人任せで国の主なんて名ばかりだもんな」
「だよな〜」
「それでもお前は破国にいる人達から国の主って認められてるけどな」
「そうそう。ってなわけだ。力で抑えようなんて間違ってるし、皆だけじゃなく自分も滅ぶぜ」
「いいわ。私の覚悟を見せてあげる!」
「「どうぞ」」
一刀と東王父が声を揃えて言った。
「先生! やめてよ!」
ヒデヨシの言葉を無視して伊達先生は端末をいじるも起動しない。
「あれ? どうして?」
「だから意味ないって。それにディケイドの破壊の力でその兜にも力は全然ないしな」
「……ヒデヨシ」
「?」
ノブナガがヒデヨシに言う。
「これがわしの得た答えじゃ。ふん!」
ノブナガが近づき、真紅の兜を上空へと弾き飛ばす!
「ふん!」
そして落ちてきた兜を一刀両断した!
「真紅の甲冑などこの世にはいらん。皆の手でまっすぐ切り開いて行けばいい。
マサムネよ、お前も心の荷を降ろしたらどうじゃ」
「さっすがノブナガと言うべきか」
「え? どういうこと?」
「先生、あんた本当は分かってただろ。もう力にだけ頼っても意味ないこと。
その兜には力がないこと。そんでもって俺達が絶対阻むってこと。
まったく、大した人だぜ」
一刀は思わず頭をかく。
「それにさ、俺言ったよな。こいつと会ったことは間違いか? って…。
あんた見てて思った。あんたはヒデヨシと会ったことは間違いじゃないと思ってる。
だったら正す必要なんてない。あの時は言わなかったけどな、歴史が正しいかどうかを決めるのは人じゃない。世界が決めるんだ」
こうして伊達先生の野望は潰え、真紅の甲冑一式すべては完全に破壊された。
そして翌日、シンゲン、ケンシン、ヨシモト、イエヤスは国元に帰ることになった。
「では失礼する」
「世話になった」
「それはこちらの言い分じゃ」
「いいえ、私がもう少ししっかりしていれば」
「それはもうよいではないか。皆が無事であったのだから万事こともなしじゃ」
「申し訳ありませんでしたノブナガお姉様。私またすぐに戻ってきますので…」
「いいや、結構!」
ノブナガに近づこうとするイエヤスに立ちふさがるミツヒデ。
「イエヤス殿も疲れておるであろう? ゆ〜っくりと屋敷に戻って養生してくだされ。
ゆ〜〜っくりとな………」
「お気遣いありがとうございます。では…ミツヒデさんもせいぜい足元をすくわれぬよう気を付けることだな」
イエヤスがミツヒデの耳元でとんでもなく怖いことを言い、ミツヒデは怒りの形相を見せる。
「やっぱり狸ね」
「変わんないなとくにゃん」
「あの甲冑のせいで腹黒い部分はディケイドでも消せなかったか」
「それとも悪人じゃなくても腹黒いってことか?」
「…たち悪いな」
伊達先生とヒデヨシと東王父と一刀は苦笑いする。
「ヒデヨシ」
「へっ?」
ヒデヨシを呼んだのはシンゲンとケンシンであった。
「こっちが片付いたら一度甲斐に遊びに来い、もてなしてやるぞ」
「へ?」
「拙者もだ、待ってるぞ。もちろん一刀殿もな」
「ま、機会があったらな」
「じゃっ、またな」
「また会おう」
「ああ」
こうしてシンゲン達は帰って行った。
「わしらも戻るとするか」
「はっ」
「……どうしたヒデヨシ」
帰っていく一行を黙ってみていたヒデヨシ。
「へっ?」
「何やら浮かぬ顔をしておるの」
「また落ち着いたところで会いに行けばよかろう」
「あ、いや、実は……あの………」
ヒデヨシはためらうが…
「あたし達も帰ろうと思うんです」
「何?」
ヒデヨシは昨日の夜に伊達先生と話し、自分達の世界に帰ると決めたのだ。
「貴様、帰り方が分からんと言ってたではないか」
「…そうかマサムネ、貴様も同じ異境の者であったな」
「!」
ヒデヨシを連れてきた原因である伊達先生が連れて帰れないはずはないのだ。
「はい」
「だったら、俺も帰るとするか」
一刀も帰ることを宣言する。
「お主も帰るのか?」
「ああ。随分世話になっちまったな」
「それじゃあ俺は先に帰っておくわ。マシンディケイダーは俺が運んどく」
「頼むわ」
そう言って東王父はマシンディケイダーのあるところに向かった。
「では支度が整ったら、声をかけろ」
「はい」
そう言ってノブナガとミツヒデも去って行った。
「結構素っ気ないのね」
「お館はシャイなんですよ」
「そうなの?」
「そうなんです。…! シロ」
シロが三人の前にいた。
「帰るのか」
「!」
「ああ」
「うん」
「何この犬?」
「達者でな」
「そっちもな。結局お前さん何者なんだ?」
「シロだ」
「そういうことじゃないんだが……まっいっか。東王父の話だとこの外史は安定したから相当なことがない限り崩壊することはないみたいだしな」
「? 先生?」
「?」
ヒデヨシと一刀が伊達先生の方を見る。
「犬が……犬が喋って……」
「知らなかったのか」
「あーあ、シロですか。シロって喋れるんですよ」
「え? そうなの? ここってそういう世界だったの?」
「いや、あいつだけだと思うが……」
一刀はそれ以上のことを言おうとしなかった。
そしてヒデヨシ、伊達先生、一刀は準備を整えて最初にヒデヨシが飛ばされた場所へときた。
(よかった。皆元通りになってる)
ヒデヨシが最初に来た時はいきなり焼き討ちに遭っていた村が今では完全に復興されていた。
「ヒデヨシ、急いだゆえ傷が増えたかもしれぬが……本能寺の住職に置いてきた荷をまとめてもらったのだが、貴様のはこれしから見つからなかった」
ミツヒデがそう言ってヒデヨシに渡したのはヒデヨシの携帯電話であった。
「あ! すっかり忘れてた。あけりん……」
「大切なものだと申しておったから……」
照れるミツヒデ。
「あけりん……ありがとうあけりん!」
ヒデヨシが嬉しさのあまりミツヒデに抱きつく。
「お世話に……いえ、色々迷惑かけちゃったわね」
伊達先生がノブナガに謝る。
「ふ」
「あなたにも」
「まったくだ。貴様が武士であったならばためらうことなく切り捨ててるところだ」
「まあそのお詫びと言ってはなんだけど…」
そう言いながら伊達先生はミツヒデの耳元で何かを言い、それを聞いたミツヒデの顔が真っ赤になる。
「き、き、き貴様! そのような破廉恥な…ことを……」
「頑張ってね」
(今度は何吹き込んだんだ)
一刀が知りたくてもあまり知りたくないとも思った。
「お館、お世話になりました」
「さっきも言ったけど、俺も……随分世話になったな」
「礼を言うのはわしの方じゃ」
「へ?」
「お主らのおかげでノブサダ殿の仰ってた言葉の意味がわしにもようわかった。
人の心とは、水の流れのごとし」
「ああ、あの時の」
「なんだそりゃ?」
一刀は知らないが、この話はノブナガとヒデヨシが忍返しに引っかかってた時にノブナガがヒデヨシに自身の過去話をしたのである。
「お主らに会わねば、わしはイエヤスもマサムネも斬っておった。
己の刀のみで人を制しておったであろう。あげくに神の鉄槌をくろうたであろう」
「……」
「まあその神に当たる人物俺が倒してるけどな。…となると俺がその神になるのか?
嫌だな〜それは……」
「ヒデヨシ、それに一刀のおかげじゃ。礼を言う」
「そんな…」
「そうそう。結局その答えを出すかはお前次第なんだしな」
「わしは決して忘れはせぬぞ。お主らと共に過ごした日々を。ほんに楽しいひと時であった」
「ああ」
「お館」
ヒデヨシの目から涙が流れる。
「あたしもです」
「なんだ? 泣いてるのか?」
「仕方ないじゃないですか」
「一つ言っておく。この先どのようなことがあろうと、お主らは己のやり方を信じて生きよ。
必死に生きてこそ、その将来は光を放つものだ」
「言われなくて俺はそうしてるつもりだけどな」
「そうか。これは一本取られたな」
「はい…」
ヒデヨシは涙をぬぐう。
「あ、そうだ。お館、これ」
ヒデヨシは携帯電話についていたストラップをノブナガに渡す。
「よいのか? これは大切にしておった根付であろう」
「はい。でもお館に持っていて欲しいんです」
「そうか、ならば」
ノブナガはストラップを頂戴する。
「大事にしよう」
「あたしも、お館のこと、一刀さんのこと、皆のこと、忘れません」
「それじゃあ俺からはこいつをやるか」
一刀はそう言って上着からあるものを取り出す。それは今まで一刀達が歩んだりしてきたことを撮った写真であった。
「これは……」
「写真だ。きれいに写ってるだろ?」
「確かにこのような絵、初めて見たわ」
「まあこの時代にはまだないからな。それとこの世界にあるものでも作れるように素材を書いておいた。
これで作れるぜ」
「そうか」
「そして最後に一枚取るか」
一刀が首にかけているカメラを手に取り、全員と自分も写るようにカメラを調整する。
「はい、チーズ」
記念の一枚を撮った。
そして伊達先生の持つ宝玉の力でヒデヨシと伊達先生は青い光に包まれる。
「さてと……」
一刀の前には銀色のオーロラの壁が現れる。
「それじゃあな」
「お館、あけりん! 元気でね!」
「お主らも達者でな! また会おう!」
「………っうわ!」
青い光が止むとそこにはヒデヨシと伊達先生、そして銀色のオーロラの壁と一刀の姿がなくなっていた。
「行ってしまったな」
「はい……」
「わしらも帰るぞ」
「はっ」
ノブナガとミツヒデも帰って行った。
そしてヒデヨシと伊達先生は自分達のいた正史の世界へと帰ってきた。
「帰ってきたのかな?」
「ええ」
二人が戻った場所は最初にいた神社であった。
「今何時」
ヒデヨシが携帯電話を見ると携帯電話は壊れたままであった。
「壊れてる」
ヒデヨシが携帯電話のパネルを触ると携帯電話の写真が写し出され、その写真には自分と一刀とノブナガとミツヒデが写っていた。
しかし写真はすぐに消えた。
(………夢じゃなかったのかな)
ヒデヨシは携帯電話を大事に抱きしめる。
ヒデヨシ達は昔と同じようにいつもの生活に戻った。
「皆、元気にやってるかな。一刀さんも……」
ヒデヨシは空を眺めながらそう思った。
一刀と言うと……。
「いててて………」
一刀が自分がいた外史に戻っていた。
「お帰りなさい」
一刀の前にいたのは管輅であった。
「出迎え、お前かよ」
「一刀さん、とんでもないお土産を持って帰りましたね」
「とんでもない土産?」
「後ろですよ」
「?」
一刀が後ろを振り向くと……。
「「「一刀(さーーーーーーん)!!!」」」
なんとそこにいたのはモトナリ、モトチカ、ソウリンの西国三人衆の三人だった。
「お前ら……帰ったんじゃなかったのか!」
「それがね〜」
「三人で話し合ったんけど」
「うちらも一刀と一緒にいることにしたと」
「国はどうするんだ!? お前達領主だろ!」
「それなら下の者に任せたと」
「だからこれで心置きなくいられるん」
「一刀さ〜ん」
「あ〜もう!」
『一刀(さーん)!』
そこにようやく破国の将の皆がやって来る。
「って一刀! 一体誰連れてきてるのよ!」
「知らざあ言って……」
「長いからやめろ!」
モトナリ達の名乗りを再び止めようとする一刀。
モトナリ達を見て、一刀やモトナリ達に詰め寄る破国の将達。
そしてそれを少し遠くで見る東王父と逃げてきた管輅。
「相変わらずですね、一刀さんは」
「まあ天然ジゴロなのは昔とかどこの世界でも変わらないさ」
他人事のように言う東王父。
「とりあえず一刀さんには後日、あの三人を元の世界に帰してきてもらわないと…」
「あの三人すぐに帰るかな…」
そしてその輪の中心となってる一刀。
「まあそれはそうと皆で写真撮ろうぜ」
「「「写真?」」」
「あとできちんと説明してやる」
そう言いながら一刀は何とか輪の中心から逃げようとする。
「とりあえずは写真だ!」
そう言って一刀は写真館へと入っていき、カメラの準備をし、モトナリ達も月や詠達の指示に従って写真を取る配置につく。
「さてと……」
一刀はカメラをいじりながらふと空を眺めた。
(俺はこうしていつも通り(?)な日常を過ごそうとしてるぜ)
「一刀さん! まだかいな!?」
「もうすぐだ」
一刀はカメラの準備をし終える。
(ま、お前達も元気でな)
そして一同は写真を撮るのであった。
映画的キャスト
北郷一刀
日出佳乃
織田ノブナガ
明智ミツヒデ
今川ヨシモト
徳川イエヤス
武田シンゲン
上杉ケンシン
服部ハンゾウ
毛利モトナリ
長曽我部モトチカ
大友ソウリン
程c
郭嘉
董卓
賈駆
周泰
楽進
李典
于禁
呂布
陳宮
趙雲
馬超
馬岱
北郷矢刀
睦月美沙緒
桜井智樹
イカロス
見月そはら
守形英四朗
五月田根美香子
ニンフ
アストレア
カオス
管輅
シロ
伊達マサムネ
東王父
秋山総司郎
完
説明 | ||
この話は作者が書いていた「仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双」の続編とされるものですが、舞台は「戦国乙女(アニメ版)」となっています。また話によっては主人公である一刀があまり出番がないことがあることをご了承下さい。 今回でこの物語は最終回であり、原作とは部分部分違う場面が存在します。 それと注意事項として一刀のセリフにディケイド関係の歌の歌詞として使われていた部分が出てきます。 |
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コメント | ||
モトナリ、モトチカ、ソウリンはこれからの続編や番外編があれば出てきそうだな。(アーマイル) 原作とアニメは内容知らないけどおもしろかったっす。最後がhappy endっていうのがいいっすね(VVV計画の被験者) |
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