「はぁ・・・」

廊下にてため息をつく春蘭

「どうした姉者？ため息などついて」

隣で歩く秋蘭が姉の様子を見て訊ねる。

「秋蘭、私はいつまで華琳様のお役に立てるのだろう？」

「いきなり何を言い出すのだ、姉者」

沈んだ声を出す春蘭は更に続ける

「乱世は終わったのだろう？という事は、私のような戦う事しか出来ないような武官の仕事はだんだん減ってくる。秋蘭のように文官の仕事をこなせればいいが、私に文官の仕事をやらせた所で足を引っ張るだけだろう・・・」

いつになく深刻に悩んでいる春蘭

「姉者、そこまで心配せずともよいのではないか？」

「いや、このままでは私はただの無駄飯喰らいになってしまう。華琳様が言っていた。働かざるもの食うべからずと。働かなければ食べてはいけないのなら、無駄飯喰らいになってしまった時点で私は食事の権利を失うのだ。そうなれば餓死してしまうだろう・・・その時は秋蘭、華琳様の事は頼んだぞ？」

「・・・姉者、その言葉の意味は・・・」

正しい意味を秋蘭が姉に説明しようとした時

「だったら武官、文官以外の仕事を紹介してやろうか？」

突然後ろから声が響いた。

振り向く二人

そこには

一刀が呆れた顔をして立っていた・・・

「北郷！？貴様、盗み聞きしていたのか！！」

春蘭が剣を抜く

「いや、何か珍しく深刻な顔してたから気になってな・・・」

「・・・どの辺りから聞いていたのだ？」

秋蘭の問いに一刀はこう答えた。

「私はいつまで・・・って所から」

「ほとんど最初からではないかーーー！！」

ブン！

「うお！危ねえ！！」

春蘭の斬撃を寸前で避ける一刀

「避けるな！！」

「いいや避けるね！この若さで頭の上に輪っかを浮かせたくはねえ！！」

ブン！ブン！と自慢の七星餓狼を振り回す春蘭とそれを避け続ける一刀

「・・・ところで北郷」

そんな中秋蘭が一刀に言った。

「姉者に仕事を紹介してくれると言う話だったが」

「おお、丁度人材を捜索中だったんでな・・・っと！」

剣を避けながら言う一刀

「・・・姉者。そろそろ許してやったらどうだ？姉者の心配を北郷が解決してくれると言う事らしいぞ？」

「むう・・・」

秋蘭の言葉にしぶしぶ剣を収める春蘭

「ったく、そのすぐ剣を抜く癖どうにかしろよな・・・」

「う、うるさい！それで、その仕事とは何だ！？」

怒鳴り散らす春蘭

「ああ、それはな・・・」

「わ〜〜い！」

子供の嬉しそうな声が響く。

「私とも遊んで〜」

「ズルイ！僕とも〜」

はしゃぐ子供達

その中心にいるのはパンダの着ぐるみであった。

「・・・あれが仕事か」

「おう！桃香にやらせようと思ってたけど、白紙に戻っちまったからな。誰に頼もうかと思ってたんだが、丁度良かったよ」

その様子を遠目に見ている一刀と秋蘭

ちなみに着ぐるみに入っているのは春蘭である。

魁の国のマスコット計画

企画倒れになってしまったタヌキのピーチちゃんに代わって新たなマスコットを考案していた一刀

その代わりを春蘭にやらせていたのだった。

ちなみに名前はチェリーちゃんである。

「しかし、意外と子供好きみたいだな？春蘭は」

子供達の頭を撫でたり、抱っこしたりしてあげているチェリーちゃん

「まあな、姉者も楽しそうだ」

笑顔でチェリーちゃんを見つめる秋蘭

見ていると後ろからタックルしてくる子供もいる。

「秋蘭もやるか？双子のパンダってのも面白いと思うんだが・・・」

「フフッ、考えておこう・・・」

そんな会話を交わす二人だった。

そして春蘭の仕事にマスコット、チェリーちゃんが追加されたのだった。

その後

時々街で子供と遊ぶチェリーちゃんと

一緒に子供達と遊ぶもう一匹のパンダ、アッキーちゃんの姿が街で見かけられるようになったのであった

・・・・・・

「せっかくだから各国にマスコット作るか。呉では・・・甘寧辺りにやらせたら面白いかな？」

一刀がそんな事を言っている時、呉では

「クシュン！」

くしゃみをする甘寧の姿があったそうな・・・

彼の野望は

終わらない・・・