真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 20話 |
国号を呉と改め、数週間が経った。
独立の式典は大々的に行われ、そうすることで内外に呉国を喧伝することだ出来た。
そのおかげか呉に協力したいという豪族が内だけではなく外からも訪れるようになった。
これも冥琳の手腕のお陰である。
これにより経済的に潤った呉は多くの兵を養うことが出来るようになり、すぐに起こるであろう魏国との戦いに向け着実と準備を進めることが出来た。
俺もこの期間は忙しく、次の王として有力な豪族に姉さんと挨拶に向かったり、城での宴に参加したりと大変であった。
「あぁ〜、疲れた……」
寝台にうつ伏せで体ごと倒れこんだ。
「ここのところ働き詰めですから、早く休まれたほうが良いと思います」
「でも、こうして思春と2人っきりでいるととても休まるよ」
思春の労りの言葉にそう返すと顔を真赤にし、
「からかわないでください」
「からかってないよ。
思春がこうしてそばにいてくれるだけで、俺は幸せだよ」
うつ伏せの姿勢のまま思春の手を引き、こちらに引き寄せる。
膝立ちの姿勢になった思春に顔を近づけ軽く軽く口付けをする。
でもそれ以上の行為は行わない。
いや、正確には出来ない。あまりにも疲れすぎて。
余談だが思春と初めて結ばれた翌日、姉さんにそのことがバレた。
思春の普段とは僅かに違う、変な動き(がに股)を見て勘が働いたと言う。
パッと見では気づかない僅かな違いを見抜く姉さん、恐るべし。
その後、そのことで俺をさんざん茶化された。
そんな事があったからと言う訳だは無いが、とにかく近頃の政務の忙しさのせいでなかなか2人きりになる機会がなかった。
今日はたまたま仕事が早く終わり(それでももう日はくれているが)、2人で話すことが出来た。
少し話した後、「疲れているでしょうから」と言い思春は部屋から出て行った。
思春と入れ替わる形で今度は姉さんがやって来た。
「一刀〜、まだ起きてる?」
「姉さん?どうしたんだ?」
扉からひょこっと顔をのぞかせる姉さんに返事をすると、
「よかった、まだ起きてて。
もうすぐ母様の命日でしょ。だから魏との戦いが始まる前に墓参りに行きましょう。
ということで次の休み、予定空けといてよね」
そう言い、部屋から顔を引っ込め出て行ってしまった。
「そうか……もうそんな季節か…」
母さんに報告しなくちゃいけないな。
これまでの事、そしてこれからの事を。
母さんに話す事を考えながらその日は眠りについた。
【??? side】
「ん〜ふふ♪ふふ〜ん♪」
軽やかにスキップしながら僕は城の中を進んでいる。
さて、目的地はどっちかな?
「ふふふ♪……おや?あれは……」
訓練場の前を通ると、すみの方で何人かの兵士がこそこそと話していた。
「あれは確か許貢のところに居た兵達……ふむ、なるほどなるほど」
そういえば魏は明日から呉に向けて遠征だったね。
……面白そう。
「ねえねえ、どうしたんだい?なにか相談かい?」
「ん?誰だお前?関係ないだろ、すっこんでろ」
「ぶーぶー、冷たいなー。そんなこと言わずに話、聞かせてくれよー」
そう言うと兵士の一人があからさまに鬱陶しそうな顔をしながら話し始めた。
「ちっ、わかったよ。
俺達はもともと呉郡の許貢様のところに仕えていたんだ。
だけどよぉ、孫家の奴らに許貢様はやられちまって俺達は魏へと来たんだ。
だから次の呉との戦い、どうにかして孫家に復讐出来ないかって考えていたんだ」
そう言い終えると兵士たちはまた話し合いを始めた。
ふふっ、やっぱりそうだった。
「ふむふむ、なるほどねー。
そうだ!僕にいい考えがあるよ。実はもうすぐ孫堅の命日なんだ。
孫堅の命日には孫策がいつ墓参りをしてるって話だよ。
その時は何でも孫堅とゆっくり話したいということで護衛を付けずに向かうらしい。
だからそこを狙うんだよ」
「なに!?その話は本当か!?」
僕の話を聞いて先程まで話し合っていた兵士たちは一斉にこちらを向いた。
「ホントホント。曹操様も孫策を討ったと聞いたらきっと喜んでくださるよ。
出世もまちがいなし!」
話を聞き終え、兵士たちは意気揚々と孫策暗殺の準備に向かった。
ふふふっ、ちょっと言っただけですぐその気になるってやっぱり単純だな。
「さ〜て、では行くとしますか〜」
再びスキップで目的地に向かうことにした。
「ふ〜ふ♪んんん♪っと、ここだここだ」
目的の部屋を見つけ、ドアを両手で力一杯開ける。
「ハロ〜〜〜!元気かな?劉協陛下」
目的の人物、劉協にコンタクトを取るため、僕は目的の人物の名前を叫んだ。
【??? end】
【劉協 side】
ずっと考えていた。
何がいけなかったのかと。
何故、母様と姉様は死んでしまったのかと。
皆は言う、母様は愚かな王だったと。姉様はただの人形だったと。
だから死んでしまったのだろうか。
考えても考えても答えは分からない。
そんな時、声が聞こえた。
「…う…いか。…協…下。…劉協陛下!聞こえますか?」
若い男の声だった。
呼ばれていることに気が付き、ゆっくりと顔を上げると目の前に若い男が立っていた。
「はじめまして劉協陛下。 ご機嫌麗しい」
そう言い恭しく頭をさげる男。
「早速ですがお話を。陛下は魏に、曹操に国を盗られて悔しくはありませんか?」
そういえば曹操は魏国をつくり、自分を王と名乗ったのであったな。
「代々受け継いできた国を踏み荒らされるのは悔しくありませんか?
霊帝様や劉弁様が守ってきた国を奪われるのは悔しくありませんか?」
母様と姉様の名前が出てきた時、私は思わず体をびくつかせた。
母様と姉様の国……
「……しい」
「ん?」
「…やしい、悔しい!私の、朕の天から授かりし国を踏み荒らすなど言語道断である!」
そう叫ぶと男は手を叩き笑った。
「はっはっはっ、その意気です、陛下。……なら、私めの力をお使いください」
そう言い男は家臣の礼を取り頭を下げた。
「……よかろう。名をなんという」
「はい。…で御座います」
男は顔を上げ微笑みながら名乗った。
【劉協 end】
まえがきにも書きましたが、この話20話を突破しました!
まさかここまで来るとは思ってもいませんでした。
これも日頃読んでくださる皆様のお陰です。コメントとかマジ励みになります。
話的には、今全体の半分弱ぐらいでしょうか。まだまだ続きます。
???ですが、こいつはオリキャラです。見た目若い男で少しチャライ感じ。
最後に劉協と話して居た男とこの???は同じ人物です。
名前はまだ秘密。多分明かされるのは話の終盤あたりになるかと。
次回はあのイベントまで良ければいいなと思います。ではノシ
説明 | ||
この話ももう20話か…拠点とかあるからもっとですけど… 今回はまだ魏との戦闘は始まりません。 しかし着実にあのフラグが…… |
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コメント | ||
>nameneko様、クォーツ様 あの男は嫌ってくれてもOKです。まあ、ちょっと間は出番ないと思いますが。(lovegtr) 執筆お疲れ様です。思春、本当に良かった・・・。そして、最後のやつが余りにも胡散臭い・・・どうなる雪蓮&一刀 次作期待(クォーツ) 最後に出てきた男は好きになれそうにないな。次回も楽しみにしています。(VVV計画の被験者) 次回も楽しみです。(readman ) |
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