仮面ライダーEINS 第十四話 交錯するR/また会う日まで
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仮面ライダーEINS

今回の事件は……。

 

「俺は探偵、あんたに聞きたいことがある」

 

「あのガイアメモリは学園都市が唯一所持を認めているものだ」

 

「確かに君は信じられる漢さ。だがもしあのメモリが外に持ち出されたら?」

 

「俺が潰す。それが学園都市としても責任でもあり、鳴海さんとの……約束だ」

 

「ったく、陳腐な泣き落としになっちまったじゃねえか」

 

「ミュージアムを再興する」

 

 * OP:W-B-X ~W-Boiled Extreme~ *

 

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第十四話 交錯するR/また会う日まで

 

 * *

 

――2011年10月17日 15:00

――学園都市 理系学区 特殊実験棟 大深度地下施設『知識の根』

「……」

「どうだい、様子は?」

「非常に残念だが逃げられたらしい」

 一騎のフィリップの目の前には奈落とも形容できる空間が広がっていた。そこには崩れ落ちたブロックがいくつかと、捜索活動をしているG-6が確認できるが、それ以外に目立った物がない。

「しっかし、ここに墜ちて脱出できるってあのドーパント一体なんなんだ?」

 かなりの高所の為、翔太郎はやや遠巻きからその様子を眺めていた。

「しかもタダの脱出じゃない。俺達やハルが見ている監視カメラをかいくぐっての脱出だ」

「相手のガイアメモリを調べることから始めるべきだね。ドーパントのことは僕たちの方が詳しい。翔太郎、僕たちはそちらを当たろう」

「いや、ちょっと待ってくれ」

「……っておおう!」

 翔太郎が急に出てきた親友の声に驚きそちらのほうを向いた。

 

照井竜/仮面ライダーアクセル

ACTER:木ノ本 嶺浩

 

「よう、照井」

「やあ、照井竜」

「お前何でここにいるんだ。亜樹子の面倒はどうした?って……知り合い?」

 翔太郎が照井と一騎を交互に見る。一方のフィリップは白紙の本を読み始めていた。

「アインツの実働実験を何回かつきあって貰っている。ちなみに言っておくが結婚式には呼ばれていない」

「なら呼ばれなかった方がよかったぜ。何せこいつの結婚式は大波乱だったからな」

「ふむ。で照井、情報交換と行こう」

「ああ。今回の件、かなり大事だ」

 

 * *

 

――2011年10月17日 15:32

――学園都市 理系学区 医療学部 

――一騎の研究室

「かなり面倒なことになった」

 一騎の研究室に集まった一同は、晴彦を加えて大会議の催しであった。

翔太郎、フィリップ、照井は来客用のソファに。一騎と晴彦はそれぞれのデスクに座っていた。

「財団X。これは知っているな」

「無論。学園都市の最大の敵であり……」

 翔太郎の言葉に反応した一騎がデスクにあるスイッチを押すと、プロジェクタが起動し壁に情報が表示される。

「奴らはこの学園都市で実験を数回繰り返した」

 一騎がコンピュータを弄り画面を変える。

「まず最初に学園都市創設時だ。この時俺は仮面ライダースカル……鳴海荘吉らと共に阻止している」

 画面には在りし時の仮面ライダースカルが映し出される。師匠の戦う姿を殆ど見なかった翔太郎やフィリップはもちろんだが、何より照井は嫁の父の姿は初めて見ることになる。

「それでここ最近はなりをやや潜めていたんだが……つい先月頃から異様なまでに介入を初めてきた」

「理由は?」

「不明だ。個人的な見解だが……奴ら、学園都市のトップシークレットが欲しいんじゃないかな?」

「例えば……?」

「多すぎて見当が付かん。とりあえず"知識の根"にあるものは大体欲しいんじゃないかな?」

「まあTerrorのメモリなんかは悪党だと欲しくなる」

 かつて風都を巨大な実験都市としていた秘密結社、ミュージアムの首領はTerrorのメモリを使い、文字通りの恐怖の帝王として君臨していた。

基本性能は水準以上、特殊能力として自由自在に操れる恐怖結界などのまさに帝王にふさわしい力を擁していた。

「おそらく連中の計画に必要な物が学園都市にあるんだろう。学園都市を攻めてぶっ壊したところに……」

 一騎が自分の拳を掌に打ち付け、大きな音をあげる。

「それを掻っ攫う算段じゃないか?」

 一騎の解説に納得した風都のライダーは椅子に深く背中を預けた。

「一騎、大変だ」

 口調から騒々しさは感じられなかったが、晴彦が一騎に異常を知らせた。

「どうした?」

「財団Xのエージェントと思わしき人物の潜入を確認」

「どこだ?」

 その場にいた全員が晴彦のデスクに集合し、モニターに注目した。

「中央区。監視カメラに一瞥くれているよ。時間は昨日だね」

 詰め襟の白いスーツをした男がカメラ目線で映し出されていた。おそらく狙撃手を探している最中に偶然映ったものだろう。

「こいつ……風都でも見たことがある。確か風都に残っているミュージアム残党を統括している奴だ」

 照井が言葉に一騎が疑問符を出した。

「風都から財団Xは完全に撤退したと聞いたが?」

「さっき行った面倒とはこのことだ。どうやら連中、ガイアメモリの悪疫な情報を手に入れている」

 照井から出てきた言葉に、翔太郎とフィリップの脳裏に赤く燃える仮面ライダーの姿が映し出される。

「じゃあこの件は、過去の栄誉に縛られた哀れな一人の暴走が生み出したものじゃないと?」

「ああ。おそらく財団Xは再びガイアメモリの価値を再認識した。そして再びガイアメモリを製造しようと着手している」

 現在ガイアメモリを製造する技術は失われていた。ガイアメモリを作り出すには"地球の記憶"にアクセスできる人間が必要となる。

「待ってくれ。今ここの僕がいれば何の問題もない」

 そう、フィリップがここにいて仮面ライダーであり続ける限り、ガイアメモリは製造されない。そのはずだった。

「確かにそうだ。しかし……」

 今度は学園都市の検索係が会議を止め、キーボードを走らせる。晴彦がモニターに出したのはある男の経略だ。

「井坂深紅郎……」

 照井は意外なところで仇の顔を見て低い声を出した。

「彼はガイアドライバーを介さずに大量のメモリを複数併用した。その結果……」

 次に出てきたのは三つの棒グラフだ。

「彼の身体は"地球の記憶"そのものを取り込めるほどに変質している」

「これを応用すれば再びガイアメモリを製造できるってことか……」

 晴彦の解説に照井は腕を組み、翔太郎は画面の端に映っていた財団Xのエージェントを指さした。

「おおかたこいつは既に何本ものガイアメモリを自分の身体に挿して準備は終えているってことか。最後の仕上げにTerrorのメモリ。かつてミュージアムが使っていたともなれば宣伝効果もばっちりってことか」

「ああ、そうだ」

 そこで思い出した様に一騎がフィリップの方を向く。

「細川のメモリ。何か分からないか?」

「確かにテラードーパントもかなり厄介だが、あのドーパントもかなり厄介だ」

 Wやアインツが歯が立たなかった防御力、加えて全身が発光した際に発生した謎の衝撃波。おそらくライダーがあの場に二人いなければかなりの苦戦を強いられていただろう。

「よし、検索を開始しよう」

 

 * *

 

――?? ??:??

――地球の本棚

 真っ白な空間に無数の本棚が並んでいる。そこでフィリップは多数の本と向かい合っていた。

――キーワードは?

「キーワードはT2ガイアメモリ」

 照井の口から出てきたのは最新型のガイアメモリの名称だった。

「ってことは普通のマキシマムじゃメモリブレイクできないじゃねえか」

――大丈夫だ。今はアクセルも新しい力を持っているし、今は三人もいるじゃないか。

「おいおい、さすがにアインツじゃメモリをブレイクできないぞ」

 一騎から二人のライダーとは違う点が語られる。

「アインツは史上最弱と言ってもいいくらいだ」

――それに関してはこちらに任せてくれ。しかしT2ガイアメモリだけでは絞りきれない。

 フィリップの目の前の本はかなり多い。以前に砕いた物も含まれているだろうが、それを含めても絞りきれない。

――キーワードを追加してくれ。

「あいつの特徴……か」

「堅い」

 まず一騎から出てきたのはその特徴であった。それに同意する様に翔太郎も頷く。

「それにあんな絶壁から脱出したことも考えなきゃならない」

 "知識の根"の最深部に落下し、多くの目が見ている状態で這い出た能力だ。

「絶壁……そうか」

 翔太郎の言葉に一騎が思いついた様だ。

「キーワードを追加してくれ。キーワードは壁」

 地球の本棚ではフィリップが一つの本を見つけたところだ。

――Wallのメモリ。能力は壁との同化し移動と障壁の発生。

――素晴らしい。おそらく細井のメモリはこれだろう。しかしよく分かったね

「絶壁を脱出するのはおそらく壁と同化するかそれに近い能力で伝って脱出した。そうすれば俺達が見てる前でも脱出できる。加えて俺達と戦闘したときに発生したあの衝撃波。あれは何かをぶつけられたよりはぶつかったというほうが近かった」

――なるほど。さすがだ。

「さて、こちらも見つけた」

 学園都市ライダーの相棒、晴彦が敵二人を発見した。

 

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――2011年10月17日 18:54

――学園都市 理系学区

 二人で行動していた細川と財団Xのエージェント。その道は人に溢れかえり、二人の姿を隠すには格好の逃げ道……に思えた。

だがその二人の目の前に赤いバイクに跨った照井が佇んでいた。照井は二人を発見しているらしく視線があった。

二人は照井を見るや来た道を引き返し、路地に入る。だがその先には翔太郎がハードボイルダーに腰を預けていた。

さらに来た道を戻る。

さっきまでそこは人に溢れかえっていたはずだ。たくさんの人の姿はなく、"壁"までほど遠い広場が広がり、そして二人の目に映ったのは四人のライダーが佇んでいる姿であった。

「よう、お二人さん。生憎ここからは通行止めだ」

 白服二人の目の前に四人の仮面ライダーの姿があった。

「な、何故だ!」

「ここは俺達仮面ライダーアインツの庭だ。回り道どころかお前達の行き先も既にお見通しだ。加えてこの周りのビルは侵入者防止用の電磁障壁になっている」

「くそっ!」

 

『Terror』

『Wall』

 

「Terrorのメモリはどうやらプロトタイプのようだね」

 目の前で変化を終えた二人のドーパントを目にし、フィリップが評価を下した。

彼らが戦ったテラードーパントは饕餮を模した王冠を戴せているはずだが、それが小さい。

「なるほど。要するに成りきれてない偽物ってことか」

 翔太郎がダブルドライバーを腰に当て、相棒の腰にもダブルドライバーが現れる。

「翔太郎。ここは僕に任せてくれ」

「いいぜ、相棒。思いっきり暴れてこい」

「ファング!!」

 突然二体のドーパントの間に火花が散り、小さな恐竜がフィリップの掌に現れる。彼はそれを変形させ、メモリを起動させる。

 

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 * BGM:W-B-X ~W-Boiled Extreme~ *

 

『FANG!!』

『JOKER!!』

 

『ACCEL!!』

 

4――9――1――3

 

「変身!!」「変身!!」

「変ッ身!!」

「変身!!」

 

『FANG!!JOKER!!』

『ACCEL!!』

『EINS』

 

 四人がそれぞれ、覚悟を叫び戦場に三人の仮面ライダーが現れた。

 

――さあ

 

『お前の罪を数えろ』

「振り切るぜ」

「派手にいこう」

 

『おい、アインツ。それ俺達のパクリじゃねえだろうな』

「安心しろ。スカルから受け継いだものだ」

「……来るぞ!」

 まずはPテラードーパントが手から黒い波動を放出する。

WFJは右に、アクセルは左に、そしてアインツはこれを飛び越えPテラードーパントを踏み台にウォールドーパントに迫る。

「俺はこっちをやる。君らの因縁だろ、君たちが終わらせろ」

「恩に着る!アインツ!」

 アインツはそのままウォールドーパントにドロップキックを加え、二体のドーパントの距離を開ける。

「さて、対策は既に出来ている」

 早速アインツコマンダーを開き、コードを入力する。

8――8――8

 

「超変身!!」

「BLASTFORM」

 

 アインツのベルトから青いリングが飛び出し、回転を始め光球となる。その光球から数発のエネルギー弾が飛び出し、ウォールドーパントを後退させる。

もともと衝撃力の強い弾丸だ。相手の堅さに関係なくダメージを重ねることが出来る。

それにも構わずウォールドーパントが肉薄してくるが、これをアクスモードで迎撃した。

基本的に堅い物質は斬るより殴るの方がダメージは通りやすいだろう。だがアインツの攻撃は基本的に斬撃、打撃に囚われた物ではない。ブラストアクスが雷を纏いウォールドーパントを斬りつける。スタンナイフとも言うべきその攻撃は、殺傷力を抑えながらも攻撃力は増している。

この斬撃攻撃に一旦ウォールドーパントは間合いを開けるが、今度はこれをガンモードで追撃する。

「くそっ!」

「悪いが、仙道先生の思いを踏みにじった貴様に与えてやる慈悲はない」

 ウォールドーパントは吶喊を選択するが、アインツはその足下を狙い体勢を大きく崩される。その大きく体勢を崩したウォールドーパントを大きく蹴り飛ばした。

「はぁ!」

 戦場から少し離れたところでPテラードーパントとWFJとアクセルが交戦していた。

エンジンブレードを携えたアクセルとアームファングを展開したWFJはその攻撃力の高さでPテラードーパントを圧倒していた。

そもそもWFJとアクセルはこれよりも強いテラードーパントと戦い、勝利している。もはやプロトタイプに負ける道理はなかった。

「どうやらあの厄介なフィールドも、ドラゴンも召喚できない様だね」

『所詮はまがい物ってことさ!』

 WFJが左脚でPテラードーパントを蹴り飛ばした。

状況が悪いと判断したPテラードーパントはほぼ全力に近いエネルギーを使い、黒い竜巻を発生させる。

「いけるね、アクセル」

「任せろ」

『ああ、俺達でライダーツインマキシマムだ』

 WFJがファングメモリのホーンを三回叩き、アクセルはドライバーのハンドルを強く握る。

 

『FANG!!MAXIMUMDRIVE!!』

『ACCEL!!MAXIMUMDRIVE!!』

 

 Pテラードーパントが闇のフィールドを形成し始めると同時に二人のライダーが同時に必殺技を起動する。

Pテラードーパントから闇のフィールドが投げ放たれたとき、そのフィールドは竜巻へと形を変え二人のライダーに迫っていく。

そしてタイミングを合わせ黒い竜巻に対して同時に必殺技を放った。

 

『ライダーツインマキシマム!!』

 

 蹴り返した。

漆黒の竜巻は加速と牙の切り札の意志に勝てず、その色を白く変え、断末魔をあげるPテラードーパントを巻き込んだ。小さくだがガイアメモリが砕けた音がしたため、これで戦闘不能だろう。

しかし竜巻はエネルギーを失わず、アインツとウォールドーパントの戦場に迫りつつある。この様子を見たアインツは、アインツコマンダーを開きコードを入力する。

0――0――0

 

「ライダードレイン!!」

『RIDERDRAIN!!』

 

 左脚のプロテクターが変形展開し、黒い波動が吸い込まれ始める。

おもむろに白い竜巻に走り出したアインツは、左脚の跳び回し蹴りで竜巻に蹴りを入れる。すぐさま竜巻はアインツの左脚の前に吸収され、その足に光が宿る。

9――9――9

 

「ライダーキック!!」

『TRANSFORM!!RIDERKICK!!』

 

 ウォールドーパントはアインツ・ブラストにほぼ弄ばれていた状態であり、かなり体力を消耗していた。

「うおおお!」

 ウォールドーパントがかけ声と共にほぼ全力に近いエネルギーを使ってその拘束から脱する。しかしアインツは既に空中へと跳び立ち空中で一回転を終えていた。

残りの余力を使ってウォールドーパントは障壁を生み出すが、アインツはそれを易々と打ち破った。ツインマキシマムほどのエネルギーを纏ったその運動体を止めることは出来なかった。

「おりゃああ!!」

 ライダーキックの直撃を受けたウォールドーパントは大きく吹き飛ばされる。

「ライダー三人分……いや、ライダー四人分の威力だ。特と味わえ」

 吹き飛ばされる途中でガイアメモリが排出され、それは小さな音を立て砕けるのであった。

 

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――こうして俺達は学園都市にあったガイアメモリを破壊した。

 

――学園都市のお偉い先生方には申し訳ないが……

 

「あれでよかったんだよ。むしろあの防衛網に満足していた俺達が悪かったんだ。次は強化ガラスに高圧電流が流れる仕掛けにしてだな……」

 

――と、新しい防護壁を作るのに躍起になっている。元気なもんだ。

 

「アキちゃん。次の休みに学園都市に行かないかい?色々美味しい食べ物を検索しておいたんだが……」

「人の嫁を気安く誘うな!!」

「え、竜君!焼き餅!?焼き餅焼いてくれてるの!?」

 

――まあ、こっちは賑やかだが……学園都市では波乱が続きそうだな。

 

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次回予告:

――クビ!?

 

――あんたらは時代遅れだ。

 

――変身

 

EPISODE15 双撃

 

 * *

 

長編:Eine Episode der NULL

鋭意制作中

説明
この作品について
・この作品は仮面ライダーシリーズの二次創作です。

執筆について
・隔週スペースになると思います。
・日曜日朝八時半より連載。
・長編は8/6に公開です。
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仮面ライダー 仮面ライダーEINS アインツの世界 TINAMIの世界 仮面ライダーW 

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