GROW2 第二章 おとうさん |
GROW2 第二章 おとうさん
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アリスちゃんが連れ去られてから一週間が経った。
俺はあれから立ち直るのに随分とかかった。
俺は今まで以上に努力をし、強くなろうとした。
もう誰も傷つけないように・・・
失わないように・・・
そんな俺が、裏生徒会室にいると、意外な人物がアリスちゃんを連れて帰ってきたのだった。
1
「久しぶりだな、アキ」
「親父?」
なんと、アリスちゃんを連れてきたのは俺の親父、渡邊齦聖だった。
なぜ親父がアリスちゃんを連れて来たのか?
確かにアリスちゃんを押し付けたのは親父で、多少なりとも親父にも責任がある。
しかし、なぜあの親父がこんな父親まがいなことをやっているのだろうか?
逆に不思議な感じがした・・・
「今回は、この子を無理やり押し付けた俺にも少しは原因があると思う。
お前には本当にすまなかったと思っている。ごめんな・・・」
あの親父が俺に謝るなんて何かあったんだろうか?
それにこんな尻拭い的なことまでするなんて普段の親父からは考えられない・・・
「なぁアキ。お前に一つだけ頼みたいことがあるのだが、聞いてくれるか?」
俺の意見なんて全く聞かず、何でも無理やり押し付けてくるあの親父が俺に対して
お願いだって?
「この子のことなんだが。出てきてくれるか?」
親父がそう言うと、背中から小さな影が出てきた。
「げ、元気かい?」
「貴様はっ!!」
「なっ?」
俺よりも先にに反応したのは、後ろの円卓テーブルで話を聞いていた、裏生徒四天王のうちの
一角、御狩懈(ミカルゲ)刹那さんだった。
その次に俺、生徒会メンバーもざわついている。
今にも飛び出していきそうな刹那さんを抑える生徒会メンバー。
なぜかと言うと、刹那さんは先日この子と戦って完敗している。因縁の相手なのだ。
俺は怒った感じで言った。
「何でその子がここにいるんだ?」
「こいつエイミーっていうんだ。」
親父は少女(エイミーというらしい)の頭に手をのっけて行った。
親父は笑いながら答える。
「随分と苦労したんだぜ、こいつを連れてくんの。
組織を脱退させるために本部にカチコミに行って来たんだがなwww」
「そんな危険なところにアリスちゃんを一週間を連れまわしてたのか!!」
「治郎さんも一緒にいたぞ」
「な!?」
一週間も見かけないと思ったらまさか治郎右衛門さんまで連れまわしていたのか。
それなら随分と一方的な戦いだったんだろうな・・・
俺は勝手に想像する。
「それにしても相手がめちゃめちゃ強くてよぉ
治郎さんと二人掛りで引き分けに持ち込むのがやっとだったぜ・・・
でもあのあとシグマーって奴と友達になってなww
いやいや参るぜまったくよ」
親父は笑って言っているがとんでもない話だな。
親父も強いがまあいいとして、あの治郎右衛門さんと引き分けるなんて・・・
どんだけ強いんだよそいつwww
「だが親父、何でその子を連れてこようと思ったんだ。敵だったんだろ。
ましてやアリスを連れ去った張本人の上に、刹那さんにまで手を上げたんだぞ!!」
俺は親父に対して意見するが、
「こいつを連れてくるよう提案したのは治郎さんだ、俺じゃない。
この子はな、物心付いた頃から組織に使われていたらしい。親に捨てられたんだよ。吸血鬼って
理由だけでな・・・」
「吸血鬼?」
「そう。だから治郎さんはこの子を救うために組織に乗り込んで説得しよとしたんだ。
まあ結果戦いになってしまったがな・・・
この子は使役されているだけで悪い奴じゃないんだ。聞いた話によると、刹那の件もそちらから
攻撃してきたそうじゃないか?命までは取らなかったろ・・・」
「しかしこいつはアリスちゃんを殺そうとした、会長もだぞ!!
黙って見過ごせなかったんだ、わたしは」
刹那さんが言う。
親父が言うには誰も殺す気はなかったらしいがやっていたことは犯罪だ。簡単に許されることは
ないのだが。
「この子には十分反省させたしもう問題はない。この件でこの子使役していた野郎の件も
すでに解決済みだ。まあ治郎さんが、だがな・・・」
「しかし齦さん、こいつはっ・・・」
納得できないでいる刹那さんに親父は言った。
「お前の正義感は十分理解している。だがな、刹那。行き過ぎた正義感は・・・
ただの傲慢(ごうまん)だ」
親父は続けて言う。
「今回の件、お前の悔しさは十分分かる。俺も何度も経験した。だが、このような件が二度、
三度続いた時、お前はどうする?」
「・・・・」
親父の問いかけに何も言葉がない刹那さん。続けざまに親父は言った。
「経験を積め刹那。強くなるのはその後だ。
今回の件でお前は何を学んだ?
ただ負けて悔しかっただけか?
誰も守れずむなしかっただけか?
そうじゃないだろ。
お前はたくさん学んだのさ、今回の件で。
今回の件がつまりお前に対する教訓になる、糧(かて)になる、そして経験になる。
負けたからといってふさぎこむな。弱いうちは負けたっていい、泣いたっていい、ただ、
決して後悔だけはするな。
お前は、お前たちは・・・それだけ俺にとって大切な・・・
“家族”さ・・・」
「齦さぁぁぁぁん」
涙を流し親父に抱きつく刹那さん。
親父が一瞬だけ刹那さんの、刹那さんの本当の“おとうさん”に見えた。
2
あのあと俺は、親父に呼び出された。何やら話があるとか・・・
親父はなんだかいつもと雰囲気が違っていた。まるで、まるで何か重大な決意をした
感じに見えた。
ちゃぶ台に座り、お茶をすする親父を見つけ、対面に座る俺。
「おお、来たかアキ。よく来た。今日はお前に二つだけ話があって来たんだ。」
「二つ?」
「そうだ。まずは楽しい話から。
エイミーが家族になった。てゆうか養女だな。まあよくしてやってくれ」
「は?親父が面倒みないのかよ?今回の件で・・・」
「だからこそだ!!」
親父は俺の言葉を遮る。
「お前ははっきりいって弱い。確かに一般人に比べたら多少はマシかもしれん。
だが今回の件でお前は実感したはずだ。誰も守れねえと・・・
見た感じ多少何か特訓した見てぇだがなっちゃいねえ
そんなんじゃ意味ねぇ」
「じゃあどーすんだよ?」
「俺が鍛えてやる。ただし三日だけだ。」
「三日?たった三日で何が変わるんだよ。だいたい三日って何で三日なんだ」
「まあ事情があってな。ローンができちまって。
大丈夫だ。毎朝治郎さんとたまに校長に鍛えるように頼んである。
俺がするのは二人についていけるだけの手助けだ。
まあ頑張れや。父ーさん応援してるからよ。」
親父はニッコリ笑う。まったく、こんなときだけおとうさん面かよ。
「なんだ、泣いてんのか?ふふふ、涙脆いやつだなまったく」
「親父だって泣いてんじゃんかよ」
「これは汗だ」
たわいもない会話をする俺たち。
ずっと親父が一緒にいたらいいな、と思っていた。
3
なんと親父は家を建てていたらしい。なるほど、ローンてこれか。
しかしでかい家だな。実質今は五人いるのだが、二階建て木造でこの広さは少し大きいな。
ちなみに五人とゆうのは俺、アリスちゃん、親父、夢幻、エイミーさんだ。
お世話になった夢幻も家に招待をした。
この家はでかい庭もあるのでそこで修行できるらしい。
さっき夢幻とエイミーさんが軽く戦ってきたのだが・・・
引き分けだったーーwww
いやいや夢幻どんだけ強いんだよ夢幻ww
しかしあっという間に時間は過ぎて行った。
その日親父が酒を飲んで酔っ払ったせいで、修行は明日からになった。
実質二日だ。いやいや、大丈夫かよ・・・
次の日、庭には俺、親父、夢幻、エイミーさんの四人がいた。アリスちゃんは縁側に座って
見学している。
役割はこうだ。
俺、修行。
親父、先生
夢幻、エイミーさん、組み手要因
アリスちゃん、見学
とゆう感じだ。
親父は真剣だ。そんな親父はとんでもないことを言ってきた。
「お前は俺と同じで魔術の才能がある。だが、まずは気を使えるようにならんとな」
うんうんうなづくおやじ。おまえら三人もうなづくなww
しかし気を使うね。どんな感覚だろう。てゆうかマンガじゃないんだから。
「まあ軽く説明するぞ。お前はもともと格闘技の才能がある。一発でできるはずだ。
まずは全身に気合を込めろ。精神を集中させるんだ。
次に手を前に出せ、手に集中して気を込めろ。」
こんな感じか・・・
「なかなかうまいじゃないか。次に身体から電気を出せるようになれ」
「は?」
「いやいや、初歩中の初歩だぞ。本来人間は電気を身体にためやすい性質だ。それを逆に
利用する。まあ簡単な話運動エネルギーを電気エネルギーに変換すればいい。」
「どうやって?」
「人間でゆうモーターはなんだ?」
「心臓か?」
「そうだ。心臓を活発に動かし運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
もともと身体中をとりまく静電気を利用して放つのだ。
これを利用すれば全身に電気を纏(まとう)うことや、身体の一部を瞬間的に速くできたりする
さあ、やってみろ!」
「できねぇよ(笑)」
いやいや親父?無理だからね・・・
人間には無理だからね・・・
バリバリバリバリッ
「え?」
俺は妙な音がしたから隣を見ると、夢幻とエイミーさんが電気を纏っていたww
いやいやおまえらww
なんか疲れたよ俺・・・
その後電気類全般、魔術もくそもない俺に対し親父は体術のみの特訓をした。
二日後には夢幻とまともに組み手ができるまでの成長ぶり。
頑張った。
親父はその夜俺に一言だけ弱音を吐いた。
「俺は家族なんて持つ資格なんてなかったのかな・・・」
親父・・・
親父はそれから何も話さなかった・・・
3
次の早朝、親父を見送りに生徒会両メンバーが集結した。
親父は意味もなく見送りとかを嫌うのだが、今回の見送りは俺が提案した。
親父は振り向きざまに一言、
「またな」
それだけ言って歩いて行った。
なにか言わないと。何のために見送りに来たのか分からない。
俺は考える。何を言うべきか。何を伝えるべきか・・・
そんなことを考えていると親父が立ち止り言った。
「元気でな・・・アキ。」
う、親父・・・
涙で前が見えない。
親父、親父。
そして俺は親父に対して叫んだ。
「オヤジィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
お世話になりましたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
息子に背を向けたままニッコリ笑う親父。
その眼には、少しの涙が見えた・・・
次回予告
CORW3
体育祭
もしかしたら前篇後篇にわけるかもしれません
ではでは
説明 | ||
アリスちゃんを連れて帰ってきた親父 その隣にいた意外な人物とは・・・ 父親と息子の考えが交差する中、親父が出したある提案と は・・・ |
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