双子の吸血鬼 第10章;百年な日々(3)
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今回は珍しく一人称で進行します。

主役はエヴァです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 私はあることで悩んでいる。

何時ごろからだっただろうか。そんな事は意識したことがなかったので今まで気づけなかった。

しかし、気づいてしまえばそれをそれ以外のものとして認識する事はできなかった。

私エヴァンジェリンが兄さまであるヴァンガードを兄としてではなく男としてみていたという事に・・・・・・

 

 

 私はそんな想いを胸にイギリスのあるところへと来ていた。

私はその中にある長い椅子に一人腰掛け想い悩んでいた。頭の中にふとよみがえるのは兄のヴァンガードの顔である。

しかし、その悩みの深さと比例してその悩みを解決する術を持っていなかった。

私はそんな悩みから少しでも逃れようと顔を上げる。

するとそこにあったのは大きな絵の描いてある鏡張りの大きな窓である。その窓には幾人もの天使が描かれていた。

誰かに相談する事ができればよかったのだが、あいにくそんな深い相談が出来る相手などはいなかった。

そこで、訪れた所がここ教会である。

私は熱心なキリスト教信者ではなかったものの、この悩みを紛らわす事さえできれば、と思って選来てみた場所である。

 

「ふぅ・・・・・・」

そんな私にため息が漏れる。そう思ってこの場所に来てみたもののたいして悩みなど軽減はしなかった。

そんな鬱々としている私とは裏腹に何の感情も持っていない窓に描かれた天使は先ほどから変わらす慈愛のこもった笑みを浮かべていた。

 

「天使なら、私のこの悩みを解決してよ・・・・・・」

つい弱音が漏れまう、私はその笑みが私をあざ笑っているように見えたので思いっきり睨んでやった。

そこで私は後ろから誰かが近づいてくることに気づく。

 

「おやおや、お嬢さんそんなに天使を見つめてどうしたのかな? 悩みかね?」

足音がやけにしていなかったからどこかの暗殺者かと思ったがどうやら違ったようだ。

 

「えぇ、どうも一人では解決できそうになくて・・・・・・」

私はそういいながら振り向くと、そこそこ年の取ったおじさんがいた。服装から見るにどうやらこの教会の関係者のようだ。

 

「では、私目がそのお悩みを聞いてしんぜよう」

男はそう言うと、私の隣に腰を下ろしてきた。

 

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「そう、なら聞いてもらえるかしら」

私はその悩みの重さに耐える事ができなくて、ついにその悩みを打ち明けてしまった。

兄の事を兄妹として見れなくなっている事、そんな兄に男を見てしまう事、そのような考えは倫理的に考えてまずいから誰にも打ち明けられない事。

兄が他の女に優しくしている所を見ると、たまらなく胸が苦しい事。

等初対面の人物に話すにしてはありえない悩みを赤裸々に語った。

こんな事をしたところでその悩みが解決するわけでもないのだが、話し終えたことで私の気も楽になった気がする。

(人生、私達の場合はまだまだ永いのだゆっくり考えていこう)それが話してみて出てきた解決法である。

 

「ふむ」

今まで黙って私の話を聞いていた、その男が口を開く。

「なるほど、それは深い深い悩みですね。 ちなみにお兄さんは?」

私のこの気持ちを知っているか?ということだろう。

・・・・・・今更考えてみるとどうだろう。兄さまは私にいつも優しい、それに私のことは好きだと何時だったか聞いたことはあるけれど。

それは、兄妹としての親愛であって、恋愛ではないのだろう。

「いえ、それはないと思います」

私は、小さな声で言う。

 

「では、そんな頑張っているお嬢さんに洗礼名はどうかな?」

その男は笑みを浮かべながら言う。

「洗礼名?」

私はその聞き覚えのなかった単語に興味がわいた。

「洗礼名とは、キリストの教徒が洗礼を受けるときにつけられる名前だよ。クリスチャンネームとも言うんだ」

「それで何で私がその洗礼名を・・・・・・? 私は教徒ではないのだけれど・・・・・・」

「それでも、もらっておいて損は無いと思うよ。 新しい名前を得ることで良い考えが浮かぶかもよ。 気に入らなければ名乗らなければ良いし」

私はそれでいいのだろうかと思う、いや教徒として・・・・・・

「はぁ、なら頂いてみようかしら・・・・・・」

「ならそうですね。アタナシア・キティはどうでしょう? 可愛らしい名前でしょう?」

私はその名前を頂いてその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 私は教会を後にし、城へと帰るために空を飛んでいた。

その途中私は新たに手に入れた名前を一人頭の中で反響していた。

エヴァンジェリン=アタナシア=キティ=マクダウェル・・・・・・予想以上に長くなってしまった名前を思っていた。

兄さまは可愛いと言ってくれるだろうか?

私はその洗礼名とやらを気に入っていた。キティなど可愛らしい名前ではないか。

兄さまにその名前で呼ばれている所を想像してみる。すると、自然に顔がほうけてしまった。

(いいかもしれない・・・・・・)

 

 ふと私は目の前を見る。すると太陽がかなり西に傾いていた。どうやら、あの教会でかなりの時間を食ってしまったらしい。

私が城へ帰るためにはひとまず魔法世界に戻らなくてはならない、城が魔法世界にあるからだ。

その為にゲートを作って魔法世界に行く必要があるのだけれど、そのゲートを作るためには一先ず人のいないところに行かなくてはならないらしい。

兄いわく極力こちらの世界では魔法使いであるという事は隠すべきだという決まりがあるのだそうだ。

その為に人気が無い所を私は探していた。

すると右手に丁度よく人気のなさそうな山が見える、私はそこに降り立った。

 

 辺りを見渡す。やはり思ったとおりで人っ子一人いる事はなかった。まぁ、野犬などはいたかもしれないが・・・・・・

そこで私は手を前にかざし呪文を詠唱する。

兄さまに出かける前に教えてもらった物である。この魔法で出るゲートの先は城の私の部屋に繋がっているのだ。

詠唱を終えるとゲートが目の前に出来た。兄さまのゲートは炎のゲートで私も炎のゲートを作ろうとしたのだが上手くいかず出来上がったのがこれである。

それは、私の足元に出来るもの。そう、影である。

関係ない話ではあるが兄さまと同じゲートが出来ないと知ったとき泣きそうになったのを覚えている。

私は足元に出来上がった影を見つめるとすこしため息をついてそのゲートに飛び込んだ。

 

 

 「ふぅ・・・・・・」

私は部屋に戻ってきた。

兄に戻ってきた事を伝えるべく兄がいると思われる場所へと向かった。すると、案の定兄はそこにいて沈みかけている太陽を見ながら酒を飲んでいた。

傍らには光になっている、チャチャゼロがいた。

 

「おっ、エヴァか? お帰り。どうだった?」

私が兄に数歩近付くと気づいたらしく私の方を向いて声をかけてきた。

「ただいま、兄さま」私は笑顔でそういって見せた。

そして、その日あったことを報告した。勿論話たくない事は話さない。それなのに何故話したかというと洗礼名とやらで呼んでもらうためだ。

「ほう、洗礼名ねぇ・・・・・・。それで、どんなだ?」

兄はすこし渋い顔をして聞いてきた。なので、私はアタナシア・キティだと答える。

すると、兄の感情が高ぶっていた。私は何故だか分からない。

表情では、笑みを零しているが内心は憤怒のごとく起こっているに違いない、長年一緒に過ごしてきた私だからこそ分かる事だ。

「ほう、アタナシア・キティねぇ・・・・・・それで、エヴァはそれを気に入ったのか?」

「私は可愛いと思うのだけれど・・・・・・」

私はその事に驚きつつも答える。

 

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「だから兄さま? 試しにキティと呼んでいただきたいのだけれど・・・・・・」そして、私はもっとも言いたい事を言った。

「? いいけど・・・・・・『キティ』」

そして、兄さまは不思議に思いながらもキティと私の事を呼んだ。

 

 あぁ、兄さま。どうして貴方は私の兄なのだろう。

私は貴方の事をこんなに思っているのに伝えられない。

いっそ、兄弟でなければよかったのに・・・・・・

 

 その瞬間私の頭の中はショートしていた。

何故だかは分からない、妹のエヴァから、貰った名前のキティに呼び方が変わっただけなのに・・・・・・

私は妹のエヴァだという意識がキティだと無いからか・・・・・・

「兄さま? これから私のことはキティと呼んでください」

それから私は兄さまに自分を呼ぶときはエヴァではなくキティと呼ぶように頼んだ。

「いいけど・・・・・・」兄さまは首をかしげながらも了承する。

「ナラ オレサマモ・・・・・・」

「チャチャゼロお前はダメだ」チャチャゼロも呼びたいというが了承しなかった。

この日、私はあることを決めた。

それは、兄さまにはキティと呼ばせ、他のものにはエヴァと呼ばせることだ。

そうすることで、私は兄さまの特別なのだと、妄信的ながらも実感できるからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 私は一人ベッドに横になってりあることを思い返していた。

あの後私は意味もなく、兄さまにキティと呼ばせ続けていたのである。

何度も呼ばれることでその名前への感情も薄れていくかと思いきや、そんな事もなくそのキティという誰だかしらないものにつけられた名前は俄然その重さを軽くする事はなかった。

私のエヴァではなくキティという名前に込められた願い、それは世界を征服したいだとか、大金持ちになりたいだとかそんな大きな願いではない。

ただ、ただ、兄さまと幸せに暮らしたい。それだけであった。

 

 私は目を閉じて、自分の新たな兄さまと私だけの名前を思いながら眠りへと着いていった。

「ふふふ・・・・・・、兄さまと私だけの名前」

そんな私は顔のニヤケが止まらなかった。誰だか名前を聞き忘れたがあの教徒の人には感謝をしなくてはならない。

 

 今日は良い夢を見る事ができそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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あとがき

 

どうも、帽子です。

今回の内容は短いです。

さらに、毎回思っていたことですが内容が薄いと思います。(文章の表現などが下手くそなのはともかくとして)

前々からなんとかならんものか、と悩んでいた所この小説を書いている途中にふと、解決案を思いつきまして・・・・・・

それで改善されるか、といわれると。やった事がないのでわかりませんが。今よりも更に面白く読める気がします。

 

三編にわたり百年な日々をお送りしましたが、ここで新規一辺ようやく、連合国、帝国などの話が出てきます。

ナギなど原作組みもようやくといった感じで出演させます。

いままで、オリジナルキャラクターがほとんどだったのでようやくナギなどを出せるのか、と思うとなんだかオラワクワクすっぞ。みたいな。

次回作もよろしくおねがいします。

説明
小説書き素人が無謀にも長編小説に挑戦
今作品は魔法先生ネギま!の二次創作です。
稚拙な文章ではございますが楽しんでお読みいただけたのなら
これ幸い。
では、「双子の吸血鬼 第10章;百年な日々(3)」をお楽しみください。
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魔法先生ネギま! エヴァンジェリン 長編 オリジナル主人公 小説書き初心者 

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