恋姫をやったことない人が書く恋姫(仮)〜5話〜
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――キィィンッ――キィンッ――ガキッ――ガキィィンッ――

 

突如始まった2人の戦い、最初はお互いに様子見の為か、武器を何度か打ち付けあっての競り合いを繰り広げていた。

そして何度目かの打ち合いの後、互いに後方に跳躍し距離を取った。

 

関羽「くっ、さすがにやりますね、ユーリ殿。」

 

ユーリ「そうか?関羽だって中々だぜ。」

 

関羽「そうですか・・・ではそろそろ本気を出してもらえませんか?」

 

ユーリ「やっぱり分かるか?でも、本気を出すかどうかはアンタ次第だがな。」

 

関羽「私相手では本気でやるまでもないと?」

 

ユーリ「本気を出してないのはお互い様だろ?」

 

関羽「えぇ、ですからここからは本気を出します・・・なのでユーリ殿こそ怪我をする前に本気を出して頂きたい。」

 

そう静かに告げ武器を構える関羽は、ユーリを睨むように見据えた。

そこには今までとは明らかに雰囲気の違いが見て取れる。

今までにも何度かこういう敵意を向けられたことはあったが、これは今までとは比べものにならない。

意思の弱いものはそれだけで戦意を削がれてしまう様な強力な敵意だった。

 

(へっ、こいつは・・・言うだけのことはある、ってか)

 

その変化を感じたユーリは関羽に賞賛し、対応すべく気持ちを入れ替え集中する。

 

ユーリ「なるほど、確かにこのままじゃやばそうだ。」

 

関羽「分かってもらえたようでなによりです、それではまず――先ほどの一撃、返させて頂こう!」

 

そういうと強く地面を蹴り、一気に間合いを詰めてくる。

その明らかに今までとは違う速度に反応が遅れるユーリ。

 

ユーリ「ちっ!」

 

関羽「でやあぁぁぁーーっ!!」

 

関羽はその速度に乗せ、大きく振りかぶった武器を彼女の持てる膂力すべてを持って振り下ろす。

 

――ズドォォォンッッ!!

 

タイミングを違え、避けきれないと思っていたユーリだったが関羽の攻撃は自分では無く、彼の横スレスレの地面を抉っていた。

 

ユーリ「・・・優しいとこあんじゃねぇか。」

 

関羽「言ったでしょう、先ほどのお返しだと。」

 

ユーリ「そうかよ・・・じゃあこっからは本気でいくとしますか!」

 

関羽「望むところ!」

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そう言ってお互いに様子見を終えた2人は更なる激突を繰り返す。

 

ユーリ「はあぁぁっ!!」

 

――キィィンッ!!

 

関羽「くっ・・・てりゃあぁぁっっ!!」

 

――ギィィンッッ!!

 

ユーリ・関羽「たああぁぁっっ!!」

 

――ガキィィンッッ!!

 

そのまま鍔迫り合いの様な形で2人の武器が交錯する、そのまま動きを止め睨み合う2人。そこで

 

関羽「っ・・本気を出して戦って頂けるのは感謝いたします、しかし・・何故こんないきなりなのですかっ!?」

 

ユーリ「戦闘中におしゃべりとは随分余裕じゃねぇか。」

 

関羽「話をはぐらかさないで下さいっ!思えば私が自身の強くなりたいという気持ちについて話をしてからユーリ殿の雰囲気が変わったように感じます。

・・・あの時ユーリ殿に対して無礼な物言いなどはしていないと思うのですが?」

 

ユーリ「あぁ、別にんなことはなかったぜ、アンタが気にしてんのはもっと別のことだ。」

 

関羽「それは一体何なのですかっ!?」

 

ユーリ「わかんねぇか?」

 

関羽「だからこうして聞いているのですっ!」

 

そういって武器に力を込める関羽。それに呼応してユーリも力を入れ、互いに反発させるように武器を弾き後方に跳躍する。

 

ユーリ「・・・もう一度聞く。本当に自分一人強くなればそれでいいと思ってんのか?」

 

関羽「またその話ですか!?先ほども言った通り、そんなことは当たり前です!私がもっと強ければこんなことにはならなかった!

ご主人様をお守りすることが出来た!そう思うことの何がおかしいのですかっ!?」

 

ユーリ「じゃあそれを一緒に戦うみんなの前で言えるのか?」

 

関羽「っ!!そ、それはっ・・・」

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ユーリ「分かったか?それが答えだ。アンタのその考えは一緒に戦った仲間を否定する言葉なんだよ。

桃香も鈴々も孔明も兵士達も、みんな命がけで戦ってるんじゃねぇのか?それを自分一人強ければいい?

じゃあ今までに命を落としたり負傷した奴らは、全部アンタの責任だっていうのか?自惚れてんじゃねぇぞっ!」

 

関羽「くっ!だが、私が強くなれば助けられる命が多いことも事実!私は、間違ってなど・・・いないっ!」

 

ユーリ「別に強くなろうとすることが間違ってるだなんて思っちゃいないぜ。

・・・じゃあもう一つ聞く、アンタは自分一人で『北郷一刀』を救えると思ってるのか?」

 

関羽「そ、その為に強くなろうとしているのですっ!」

 

ユーリ「じゃあ思ってるんだな?」

 

関羽「っっ・・」

 

ユーリ「アンタ一人で『北郷一刀』を救えると『思って』るんだな?」

 

関羽「・・・」

 

(ったく、意地張り過ぎだっつーの)

 

関羽「貴方に・・・」

 

ユーリ「ん?」

 

関羽「貴方に・・・今さっき話を聞いただけの貴方に何が分かるというのですかっっ!?

ご主人様を失った時の気持ちが分かるというのですかっ!?分かるはずなんてありません・・この悲しみは、私にしか分からないんですっ!!

だから、私一人でも・・・ご主人様をお救いしてみせるっっ!!」

 

(へっ、やっと気づいたか)

 

ユーリに心を責められ、激昂する関羽。それは他でもない、関羽自身そのことに気付いているということの裏返しに過ぎないのに。

しかし、自身を吐き出した関羽の言葉に満足したように微笑を漏らすと、その感情に応えるようにユーリは

 

ユーリ「はっ!そこまで言うんなら、オレ一人くらい・・・倒してみせろっ!!」

 

関羽「言われるまでもないっ!!」

 

そう言って再び武器を交える2人。

だが先ほどの様に拮抗するのではなく、

 

ユーリ「おらおら、どうしたっ!?アンタの想いは、力は、そんなもんなのかっ!?」

 

関羽「くっ!バカに・・・するなっ!!」

 

一撃の力は関羽に軍配が上がるが、スピード・技・手数の多さで徐々にユーリが関羽を押し始める。

また、基本を積み重ねてきた正統派の武を持っている関羽にしてみれば、ユーリの様に変則的な動きをする相手は相性が悪かった。

それでも何とか直撃は受けず、防戦を繰り広げる関羽だったが

 

ユーリ「爆砕っ!」

 

関羽「ぐあっ!!」

 

一瞬の隙を突かれ、爆砕陣という技の衝撃に体勢を崩してしまう関羽。

 

ユーリ「これで――!」

 

そう言って体勢を崩した関羽に迫るユーリ、しかし完全に体勢を崩し切っていなかった関羽は、十分にその攻撃に対応出来そうだった。

そこで関羽は立ち上がりユーリの攻撃を迎え撃つよりも、相手が近づいてくるギリギリまで体勢を崩したフリをして、相手の攻撃に合わせてカウンターを入れる算段を立てた。

 

ユーリ「終わりだっ!」

 

そうとは知らないユーリはもらったとばかりに攻撃を繰り出してきた。

 

(よしっ!ここでっ!)

 

絶妙なタイミングで立ち上がり、ユーリの攻撃に合わせる関羽。

 

関羽「もらったっ!!」

 

そう言って渾身の一撃を放つ関羽、(捉えた!)と思った矢先

 

ユーリ「幻狼斬!」

 

という声が聞こえたと思ったら、自分に向かってきていたはずのユーリの姿は無く、自身の武器を弾きながら何かが高速で横をすり抜けていく気配を感じた。

 

ユーリ「惜しかったな、でもオレに騙し討ちは10年早ぇ。」

 

先ほどまで確かに自分の前方にいたはずのユーリの声が後方から聞き、

 

関羽「なっ!いつの間にっ!?」

 

聞こえた声に咄嗟に反応し振り向こうとする関羽だったが、

 

ユーリ「遅ぇよ、今度こそ終わりだ、覚悟しな。戦迅っ、狼破っ!!」

 

そうユーリが叫ぶと彼の拳から溢れだした闘気が狼の形をして関羽に襲いかかる。

なんとか対応しようとする関羽だったが、ユーリの言うとおり時すでに遅し、ろくな受け身を取ることも出来ずもろに食らい吹き飛ばされてしまった。

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関羽「ぐわぁっっ!!」

 

――ドシャッ!

 

――カランカラン――

 

地面に叩き付けられた衝撃に武器を手放してしまう。

 

関羽「くっ、はぁっ・・・」

 

意識は残っているもののダメージが大きすぎて満足に体を動かせそうにない、それでも何とか武器を拾おうとする関羽にユーリがゆっくりと近づいてくる。

 

ユーリ「大丈夫か?」

 

関羽「ユーリ殿・・・」

 

ユーリ「まだ戦うか?」

 

そう言いながらも既に臨戦態勢は解いているユーリを見て

 

関羽「・・・いえ、私の完敗です。」

 

ユーリ「まぁアンタも強かったぜ、正直魔導器無しじゃ勝てる気はしねぇな。」

 

関羽「慰めは・・・要りません。」

 

ユーリ「そうか」

 

そう言って倒れている関羽の隣に腰を下ろすユーリ。

2人は呼吸を整えるように、その状態のまま沈黙し続ける。

そろそろ関羽のダメージも抜け、会話くらいまともに出来るだろう頃合いを見て取ったユーリは

 

ユーリ「・・・さっきの話の続きだけどな――」

 

関羽「っ!」

 

先ほど自らの激昂により話を無理やり断ち切った話題を振られ、体を緊張させる関羽。

しかし、ユーリは話を続ける。

 

ユーリ「アンタはもう少し周りの声を聞いた方がいいぜ。」

 

関羽も敗者としての諦観なのか、自らの心を見つめなおす為なのか黙って聞いている。

 

ユーリ「アンタにとって大事なのは『北郷一刀』だけなのか?」

 

関羽「・・・いいえ、姉上に、鈴々、朱里、共に戦ってくれる皆――他にも大切なものがあります。」

 

そう言う関羽はとても悔しそうな顔をしていた。

そしてそれはきっとユーリに負けたことに、では無くそんなことも忘れてしまっていた自分自身に対してだろう。その表情を見たユーリはしばらくの沈黙の後

 

ユーリ「それがわかってりゃ十分だ・・・さて、長くなっちまったしそろそろ戻るとしますか。」

 

関羽「・・・私は、少し風に当たってから戻ります。」

 

そう言う関羽の言葉に込められた感情に気付いていたユーリは、

 

ユーリ「ん、じゃあ先に戻ってるぜ。」

 

ただ一言だけそう言って陣に向かい歩き出した。そして数歩歩いた時

 

関羽「ユーリ殿。」

 

関羽が地面に仰向けのままユーリを呼んだ。

 

ユーリ「なんだ?」

 

関羽「・・・『愛紗』、これからは私のことをそう呼んで下さいませんか?」

 

ユーリ「それは関羽の『真名』か?」

 

関羽「はい、是非受け取って頂きたい。」

 

本当に信頼出来る人にしか預けない、と関羽本人が言っていた『真名』。

それを預けてきた関羽の心情、そのすべてを理解することは出来ないがその想いには応えなければいけないと思ったユーリは

 

ユーリ「・・・あんまり遅いとみんな心配するだろうからな、早く戻って来いよ、『愛紗』」

 

そう言って返事も聞かず再び歩き出すユーリ。そして

 

関羽「はい、ありがとう・・・ございます。」

 

恐らくユーリにも聞こえてないであろう声で、そう呟いた愛紗だった。

説明
関羽VSユーリです。
以前も書きましたが戦闘シーンって難しいですね、表現とか擬音とか。
普通にストーリーを進める3倍近く時間がかかります。
しばらく戦闘シーンは書きません。


んで、正直ユーリにしちゃ感情出しすぎじゃない?って思われる方もいらっしゃると思いますが、種馬さんがまだいないのでどうしてもユーリにトークの比重が置かれてしまうせいです。
また、蜀中心で行く以上、愛紗をヤンデレにはしない方向で進ませたいので今の内にヤンデレフラグ封印の為、こういう話を挟んでみました。
途中でちょいちょいTOVキャラの名前が出てきたのは「仲間」というものをユーリ自身が意識していることを少しでも表現する為です。

多少以上に原作との相違点はあると思いますが、逆にそんながんじがらめに制限されて小説が書けるかー!と開き直ってみたり。

あ、それと賛否両論あると思いますが、ほぼ全員に「真名」を預ける際は何かしらのエピソードを加えてからにしようとは思ってます。
現状では「命の恩人」で桃華、今回で愛紗、鈴々は・・・もはや張飛と一度も名乗ってないことにさっき気づきましたがもういいや。
まぁキャラ的に華琳様陣営辺りは華琳様が許しちゃったら許すしかないかなーとは思ってますが・・。
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恋姫 愛紗 桃香 鈴々 朱里 TOV ユーリ 

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