袁・恋姫+無双 奪われた御遣い |
「お邪魔いたしますわ、一刀さん。」
私は直接彼に会いに行った。
審配正南。
田爺曰く、南方では知らぬ者がいないほどの大罪人。いずれ、歴史に名を残す人物。
そう聞いていますが、矢張り何度見ても変らない・・・いや、少し違う。もっと深まってしまったのだろう。出遭った時よりも濁った目付き、感情が表に出てしまうほどの短慮な顔つき・・・何より、暇を見つけては兵士以上に訓練をしていて出来たぶつぶつな掌。
あぁ、なんと醜くも儚い。
美しさが無いのに見入ってしまうその歩み・・・もっと隣に居たい。いえ、傍に置いときたい。其れだけが私を此処に呼んだのだ。
「如何しましたか?姫君。」
「二人の時は真名でも良い、と言った心算でしたが?」
「申し訳ございません。我儘な妹分が寝ているので。」
「あら、そうでしたか。兄妹仲良くて良いですわね。」
「一方的な我儘っぷりを見せますがね?」
と、妹自慢に入った。
臧洪・候惇・張徳、通称『審臣三人衆』
この三人、癖が強く千冬さんはおろか、淳于さんすらも手に余ってしまった武将。
田爺としては、「千人将の位が相応しい程の力量を持つ」といわれているが、余りの手癖の悪さから一刀さんに丸投げしてしまった人たち・・・まぁ、そんな三人と旅をしていたと言う一刀さんが凄いと思いますが。
臧洪さんはなんとも顔に包帯を巻いており、曰く「顔に大火傷があって人に見せたくない」との事・・・まぁ、嘘でしょうけど。恐らく顔を隠さなければ成らないほどの人物でしょう。無ければ田爺が「王たる将。」と評価しませんわ。
候惇さんは・・・何をやってますの夏候惇さん?華琳さんの所から抜けて此方に来るなんて??まぁ、裏切ったなんて偽流言に踊らされて此方に来たのでしょうけど。ただ、華琳さん一筋だった彼女を此処まで信頼させた彼もまた以上だろう。
張徳・・・一刀さんの妹さんは凄い。力量だけなら二人を越し、未だ成長し続けているなんてどんな化け物ですの。
そんな三人ですが、今では一刀さんの臣下扱い。勿体無い気がしますが、彼女たちの手綱を握っているのは一刀さんだけなので仕方ありませんわね。
「一刀さん、昼間の事ですが・・・大丈夫ですの」
軍議の話、其の時一刀さんはあろう事か青州城を落すとの事。単純計算でも分かるほど、勝敗は決している。
「ご安心を、姫君」
と一刀さんは手を前に出した。
「策とは言えない簡単な事・・・もうすでに青州城は我等の物です。」
「一体何処に根拠を・・・」
「青州黄布党廖化・周倉・孫仲・趙弘、そして渠帥である張曼成の内、廖・周・孫・趙・・・・まぁ、渠帥以外は此方に寝返る約定を確約させました。」
・・・なんですと??
「まぁ、十万の内8万は此方に「い、一体どうやってそんな約束を?!」・・・まぁ、簡単に言いますと張曼成という将が城で略奪強奪を当たり前のように遣り始め、最近飢饉のせいで食料が無いのに毎日宴会騒ぎ。韓忠という男が勇気を振り絞って張曼成を止めようとしたものの、客将になったという太子慈というやつが韓忠を切り捨てたせいで残り4人は此方に寝返りたいとの事です。」
・・・何という自業自得。ですが・・・
「信じれるのですか?」
「恐らく・・・最近、青州からの脱走兵の殆どが黄布の兵達でしたので。」
そうですか。
「それで、城を落した後は?どうする御積りで?」
「暫く、降伏した兵の訓練、及び内政をせねばなりますまい。旨くすれば冀州と青州の二つを任せられるでしょう。」
「そうですの・・・所で別件ですが。」
「何でしょう?」
「あなた・・・天の御遣い・北郷一刀。ではありません事?」
なぜ
ナゼ
NAZE
「どうしてそう思いで?」
「・・・感ですわね・・・そして、妹さんから出た殺気が証拠ではなくて?」
・・・まずい、このままでは計画が!!
「そうだといえば・・・どうなさいます?」
もしならば・・・眠ってもらうか、永遠に・・・
「どうもいたしませんわ。」
・・・・・
・・・
・・
・
「なぜ・・・ですか?」
「なぜって、簡単では在りませんか?今のあなたは審正南。御遣い・北郷一刀は死んだといいますわ。ならば、この地で袁家参謀・審正南として生きれば宜しいですわ。オーーーーホッホッホッホ!!と、夜更けでしたわね。」
はっは。
あはははは・・・
なんとも世の中は残酷だ。
英雄は残虐非道で有能・・・凡君は優しく無能。
・・・だが、
心地いいのは凡君か・・・
いいだろう、審正南として生きてやる事が増えたな。
漢賊を滅ぼし、孫家(雪蓮は除く)をどん底に追い落とし、曹操に絶望を叩き付け、もう一人の天の御遣いの一味を根絶やしにする。
そして・・・袁紹、麗羽の夢を叶える。
なんか、最後だけ天の御遣いらしい事をするな。
でも、今は黄布賊の事に集中しよう。
何でも・・・張曼成が書物「太平要術」をもっているらしいからな。
其れさえ手に入れれば・・・復讐が楽に、より残酷に出来るんだからな!
待っていろよ。太平要術!!
憎悪は安らぎを得るも其れを棄て、修羅へと入る。すべては復讐の為。そして、自分を癒してくれた姫の願いを聞き入れる為。憎悪の化身は今、修羅に入り修羅を越える。
説明 | ||
哀しき剣が一つ、袁の柱となる。才能溢れる友を持つ凡才の令嬢と憎悪の刃が会合する夜。その行く先は天すらも分からない。 | ||
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コメント | ||
村主7 様>まぁ確かに無印の麗羽様は嫌いでしたね。逆に愛紗マジヒロインw。兎に角も麗羽様の活躍にご期待。(流狼人) 連投です いやどうしても本編での所業のアレさ(無印・真での無策っぷり、璃々人質時間稼ぎといった下策)が尾を引いてしまい・・・ ともあれこの作品での成長っぷり期待しています(村主7) readman様>ありがとうございます。麗羽さま・・・及び顔・文両将軍の活躍にご期待!(流狼人) 村主7 様>いや、華琳様に比べれば・・・という事で。あと、例えばなので深く考えないように。麗羽さまの成長っぷり見ていてくださいね。(流狼人) 麗羽カッコ良すぎる!この作品の麗羽が1番好きです。(readman ) いやいや5p目、凡君では無いかと<ここの麗羽 感とは言え正体見抜いた上で手元においておく・・・並では出来ない所業でしょうし 本編通りなら即効で王朝もしくは孫家に身柄引き渡し行いそうでw(村主7) |
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