過去作D
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『潜行花火』をご存知だろうか。

 

皆様の中にはテレビ中継などでその美しい姿をご覧になった事のある方も多いだろう。

別名『打ち下ろし花火』とも呼ばれるこの花火は、地上500m程の高さに滞空しているヘリコプターや、試行機から地面に向かって打ち出される。

普通の花火ならば地面にぶつかった瞬間爆発してしまうところだが、この潜行花火は特殊な筒によって螺旋回転を加えられ、更に自身の持つ直径20cm程のドリルを駆使して地面に“潜行”していくのである。

火花をまき散らしながら豪快に潜行していくその姿は、従来の打ち上げ花火しか見たことの無い方に大きな衝撃と、同時に感動をもたらしてくれる。

だが、驚くべきは潜行した後である。

5秒程地面を掘り進んだ後、一気に爆発し高さ3メートル弱の火花をあげるのだ。

絶妙な火薬の配合により生み出される、色とりどりの火花を見て感動しない方はいないだろう。

最近では仕掛け潜行花火なども出てきて、複数の潜行花火の光が生み出す『星型』や『メガネ』更には子供に嬉しいアニメの有名キャラクターなどが私たちの眼を楽しませてくれている。

また、金色に輝く火花が長い時間空中に残り続ける『柳潜行』なども風流でお好きな方も多いことだろう。

様々な種類を持つ潜行花火は、既に打ち上げ花火顔負けである。

 

だがこの素晴らしき花火も、開発当初は様々な壁に苛まれていたようだ。

打ち下ろす場所はどうするのか、安全性は問題ないのか、何より本当に潜行するのか。

開発者は皆から馬鹿にされていたと聞く。

だが彼らは世間の悪評に挫けることなく、一つ一つ地道に問題を乗り越えて、こうして世に潜行花火を生み出したのだ。

それを見た科学者たちは驚愕し、手のひらを返したように賞賛の言葉を浴びせたという。

潜行花火の美しき姿を見るたびに、私は彼らの苦労に想いを馳せる。

私は、彼らと同じ国の人間ということを誇りに思う。

彼らの素晴らしき努力に、精一杯の拍手を送りたい。

 

聞くところによると、また来週にも潜行花火大会が催されるらしい。

今回は新たな試みとしてロケットとして本国から打ち下ろされるようだ。

打ち下ろしの模様は全国にハイビジョン放送されるとの事なので、皆様も是非その目で新たな潜行花火の姿をご覧になっていただきたい。

 

なお今回の打ち下ろし会場はユーラシア大陸中部の中亜人民連合国の首都バルダウとの事だ。

毎回の事ながら、大変に危険なので間違っても間近でご覧になさろうとはしないで頂きたい。

逃げ惑う人々と美しい火花を肴においしいお酒を嗜んでは如何だろうか。

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一般向けの作品だと、在庫が少なくて非常に困ってます。
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