重なる私の後悔を、繋げて
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「26年と1年分の想い」

「後悔しないで」

「オカリンと」「仲間」

「鳳凰院凶真」「岡部」

「倫太郎」「彦星様」

「願い」「あなたに託したからね」

 

反響する誰かの言葉が、私に流れ込む。

誰も居ない、ひとりぼっちの空間で。真っ暗な世界で。

沢山の言葉と想いと記憶が溢れてる。

これは誰の記憶?

これは、私の記憶?

 

知らない事の筈なのに、涙が溢れて止まらない。

まるで、自分の記憶の中で迷子になってしまったみたいで。

自分自身を探す為にに、光り輝く彦星様を探す。

けれど、前を見ても後ろを見ても真っ暗で。

 

「オカリン……オカリン……っ!」

 

声を上げる。反響し続ける《誰かの声》と同じ様に。

 

「オカリン……ねえ、オカリン。まゆしぃは、ダメ、だったのかな」

 

不意に、ダメだった、という言葉が出る。

それをきっかけに、響く声の質が変わる。

凛とした、真っ直ぐな信念を持った声。

誰だっけ。

 

「ダメだった、失敗したのかもしれない」

 

誰かが言う残酷な仮定。

首を振って、涙を止める。

深呼吸をして、笑顔を作る。少し引きつってしまったかもしれない。

 

「……ううん、大丈夫だよ。大丈夫だよね、オカリン」

 

真っ暗闇の中、《空》であるべき場所を見上げ、手を伸ばす。

 

「私の知らない、どこかの未来で、オカリンが……岡部倫太郎として、まゆしぃや、ダルくんや、……織り姫様と幸せなら、まゆしぃは……」

 

伸ばした手は何も掴まない。

ゆっくりと伸ばした手をおろそうと、した、瞬間。

 

体が急激に引っ張られる。この世界から弾き出される感覚。

 

「……っ、」

 

痛みを伴う。反響が強くなる。声の主はもう分かる。

 

「私の声……ッ!オカ……リン……っ、まゆしぃは……っオカリンの……織り姫様に……っなりた……かっ」

 

ぶつり。

意識が途切れる。

同時に、先程まで引きちぎられそうに痛かった《体》の感触がちゃんとある。

手には、温もり。

 

目を開けると、そこはラボのソファに座っている《私》と、横にはオカリン。

 

「オカリン……」

「お、目覚めたか、まゆり」

「オカリンが……まゆしぃを、此処に、連れ戻してくれたの?」

「寝ぼけてるのか?……さては、大量の唐揚げの中で溺れる夢を見て苦しんでいたのか?流石食べ盛りの女子高生だな」

「……ううん。苦しかったけど、見れて、良かったかなって」

 

オカリンが首を傾げている。

繋いだままの手の温もりが優しくて、涙が出そうになるのを止める為に笑う。

 

「…ふ、フゥーハハハ!まゆりが夢の世界に未練があっても、人質としてこのラボに居てもらうからな!」

「……うん、まゆしぃは、ここに居たいな」

 

今度こそ、ちゃんと笑う。

《後悔》しないように。後悔を、無駄にしないように。

 

今、オカリンの隣に居られる事を、幸せだと思う為に。

 

 

end

 

説明
本編・ドラマCDネタバレ有り。ドラマCDβ「無限遠点のアークライト」を聴いて号泣した勢いで書きました。本編とも深く繋がりのあるドラマCDでどれ聴いても泣いてます。カップリング的な意味で報われなくてもまゆしぃ好きだよまゆしぃ!そんなまゆ→オカ。
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