ヒューレインジョーク 2
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三ヶ月後

 

 

「まぁ、このコミュニティーはそういう訳で完全な実力社会なんだ。」

奥まった住宅街にある鬱蒼とした公園には平日とあって誰も居ない。志木と丸太は石畳の階段の踊り場に居た。

これから志木が向かう先、SFSコミュニティについてガイドするのが丸太だった。

「実力社会?でもここのリーダーは世襲で決まるんだろ?」

「まぁ、そうだね。別に制度化したわけではないのだけどね。」

「それこそ、権力構造が完成しているじゃないか。相反しているよ。」

「いや、持って回った言い方をして悪かったよ。

結論から言えば、必ず現リーダー筋の血統は皆優秀な異能者を輩出しているんだ。

所謂、異能者の名門とでも言えばいいのかな?」

「遺伝するのか?これって?」

だとすると俺の親族にも自分と似たような状況にあって、皆が皆それを知らずに隠しているのだろうか?

ただでさえ現実味の無い話に、自分の父や母が異能者であるとなると少し可笑しくなってくる。

「さぁ、確かなことは解らない。ただ、世襲は現リーダーを含んで三代連続で続いてるからね。

3代も続いているんだ。当然、君がさっき言ったようにある程度の権力構造が出来上がっていると思われるし、現にそういう体制に移行しつつはあるんだ。リーダーの取り巻きが最近、しゃしゃり出てきてね、

どうせ次代のリーダーもリーダー筋が継承するのだからと言って、王族にでもした様な特別扱いをするんだ。」

丸太はそこで煙草をくわえて、禁煙していたことでも思い出したのか、

渋い顔をしてそれを箱に戻した。いつになく挙動不審である。どうしたのだろう?

「まぁ、でも矛盾するようだけどさ、実力社会だからこそ、そういう実績があって、それ故に威光ある血統が重視されるというのは結構自然な流れではあるんだろう。

それに、そういった腐敗を差し引いたって現リーダーのパラメータは群を抜いているからね。」

なんだか丸太らしくないと思った。

解り易いかは別にして、こいつは話の意図を伝える為なら、事実をある程度誇張するし、

そういう意味で主張はっきりとしている。今回は若干政治的なことではあるし、

スパッと誰に気を使うわけでもなく言及すると思われたが、なんだかパッとしない。

そんな志木の顔色を読見取ったのか、丸太は言い訳のように続けた。

「その、あれだね。この話題はこの界隈ではタブーでね。落ち着かないんだよ。」

「タブーって?」

 

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