上条「もっと落ち着いた年上の人が好みなんだ」 美琴「」 |
―いつもの公園―
美琴「いたいた。いやがったわね!! アンタ!!」
上条「またか、ビリビリ。いい加減にしてくれよな」
美琴「ビリビリ言うな! 私には御坂美琴って名前があんだゴラァ!!」
上条「はぁ〜。不幸だ……」
美琴「まったく! アンタはいつもそうやって不幸、不幸って言ってるけど、何が不幸だっていうのよ!」
上条「決まってんだろ! そうやって突っかかってくるヤツがいるからだよ!」
美琴「あ〜、もううっさいわね! 別にそのくらいいいじゃない!! かわいい女の子が絡んであげてんのよ!?」
上条「だーっ!! 女の子って言うがな、俺は、もっと落ち着いた年上の人が好みなの!!」
美琴「えっ…」
上条「あれ……? 御坂さん……?」
美琴「―――ッ!!」ダッ
上条「ええー!? 無言でダッシュ!? 何かしましたっけー!?」
美琴(年上って、無理に決まってんじゃない……。どうしろっていうのよ……)
数日後
―――
学校から帰宅中
美琴(はぁ……。結局逃げちゃったのよね……。年上で落ち着いてるなんて私と間逆じゃない……)
美琴(って、何日こんなこと考えてるんだろ……。あれからあの公園には行ってないし……)
―常盤台女子寮―
美琴(あー、本当にどうしよう……って、何アレ?)ガサ
美琴「郵便物?」
美琴(黒子宛かしら? ん? 私宛?)
美琴「差出人は……『ネギ・スプリングフィールド』? まさかねえ……」
―自室―
美琴(黒子はまだ帰ってきてないか)
美琴「んー。危険物って感じじゃなさそうだし、とりあえず開けて見ましょうか」
美琴(手紙と……二色の飴玉……かしら?)
美琴「なになに? 赤い方が年齢が上がり、青い方は年齢が下がる薬です。よければお使いください?」
美琴「怪しいわね……。でもネギって、まさかネ○まの……?」
美琴(本物なら面白いけど……)
ガチャ
白井「お姉様? どうかしましたの?」
美琴「あ、黒子」
美琴(ちょうどいいわ。黒子で試してみましょう)
美琴「飴を買ってきたんだけど、黒子も一ついる?」
白井「いいんですの? では遠慮なく」
美琴(確か青い方は、年齢が下がるんだっけ?)
ボン
白井「意外とおいしいですわね……。あら? なんだかお姉様が大きく見えますの」
美琴(ほ、本当に小さくなったわ! ということはこれは本物!?)
美琴「そそそ、そんなことないわよ。気のせいでしょ!?」
白井「そうでしょうか……?」
美琴「そ、それよりも、こっちの方はどう? きっとこれもおいしいわよ!」
白井「二つももらっていいんですの!? まさかお姉様!!」
美琴「いいから舐める」
白井「え? は、はいですの」
白井(今日のお姉様は威圧感がありますの……)
―――
美琴(まさか本物だったなんてー!! でも、これがあればアイツにも!)ゴロゴロー
白井(さっきからお姉様の様子がおかしいですの……)
白井「お、お姉様? どうかなされましたの?」
美琴「べべべ、別になんでもないわよ!!」
美琴(残りは4つずつか〜。大事に使わないとね)
残り四個
翌日
―いつもの公園―
美琴(これがあれば、アイツも……。さすがに私とは別人ってことにしておかないとまずいわよね)
美琴(名前は……美鐘(ミカネ)でいいかしらね。それっ)
ボン
美鐘「うわ、本当に大きくなった。胸も割りと大きくなるのね」
美琴(ブラは外れちゃったけど、ちょっと安心したわ……。年齢は二十歳ってところかしら?)※ちなみに私服です。
上条「あれ?」
美琴(うわっ!? もうきたのっ!?)
上条「美鈴さん……ですか?」
美鐘「えーと、アン…、あなたは、母…、美鈴の知り合いかしら?」
美琴(危ない! いきなりボロがでるところだったわ!)
上条「ええ、そうですけど……。上条当麻って言います」
美鐘「私は御坂美鐘って言うの。よろしく当麻くん」
美琴(こんなもんかしら? 年上っぽく、年上っぽく……)
上条「えっ!? 当麻くん!?」ビクッ
美鐘「ダメかしら?」
上条「い、いえ、構いませんが……」テレテレ
上条「それで、美鐘さんは、美鈴さんのどんなお知り合いで?」
美鐘「ええーっと……。そう! 妹なの! 見えないかしら?」
上条「いえ、すごく似てますよ。おいくつなんですか?」
美鐘「ん、二十歳ね。あなたは?」
上条「高校一年です。美鈴さんとは、えーと、美琴さんとの関係で……」
美琴(今、美琴って!!)
美鐘「へ、へえ〜。どんな関係なの?」
美琴(これは聞いておかなくちゃ……)
上条「ええ!? う、う〜ん。……友達ですかね?」
美琴(友達……か。まあ、仕方ないわよね)
上条「それで、なんでこんなところに?」
美鐘「えーと、そう! 美琴に会いに来たのよ!」
上条「こんな時期に……?」
美鐘「そそそ、そうなの! こんな時期にしか、学校の休みがなくてね!」
美琴(く、苦しいかしら……?)
上条「はあ。そうなんですか」
美琴(よし、セーフ! バカで助かったわ!)グッ
美琴(これ以上話すとボロが出そうね。そろそろ引き上げ時――)
上条「あ、そうだ」
美鐘「え? な、なにかしら?」
上条「よければ連絡先とか教えてもらえませんかね?」
美鐘「え、ええ。いいわよ。じゃあ――」
美琴(って、ケータイのアドレスはダメだわ!!)
美鐘「携帯忘れちゃったみたいなの! 君のを教えてくれれば、こっちから連絡するわ!」
上条「あ、はい。えーと、これです」
美鐘「ふぅ……。ありがと。じゃあまたね」
上条「はい。また今度」
美琴(なんとか乗り切ったわね。ファーストコンタクトはまあ及第点かしら)
美琴(でも、これおもしろいんだけどすごく疲れる……。電気も出さないようにしないといけないし)
美琴(でも、まあ、バレるまでは続けてみようかな? うん)
―――
―常盤台女子寮 私室―
美琴(よし。新しいケータイも用意したし、いざメールを……)
美琴(内容はそうね……。初めてだし、よろしくって感じで〜)ピピピ
白井(お姉様の様子がまだおかしいですの……)
―――
―上条家―
ユーガッタメール
上条「ん? メールか。えーと、『美鐘です。よろしくね。』って短っ!」
イン「どうしたの〜、とうま〜?」
上条「いや、なんでもないぞー。夕飯はもうちょっと待っててな〜」
イン「もう待てないかも!!」
上条「着信音設定しておくか。御坂と同じでいいかな」
―――
―常盤台女子寮 私室―
美琴(やっぱり短すぎたかしらね? 最初のは200文字くらいになっちゃったし……)
ソノゲンソウヲブチコロス!!
美琴「あ。返ってきた」
美琴(『こちらこそよろしくお願いします。まだこっちにはいるんですか?』か……)
美琴(いることにしないと、次に会いにくいわよね)
―――
―上条家―
ムシスンナヤゴラー
上条「もう返ってきたのか」
イン「とうま、さっきからブツブツ言ってて怖いんだよ」
上条「あ、悪い。先に食ってていいぞ」
イン「いただきます!」ガツガツ
美鐘『しばらくはこっちにいるつもりです。見かけたらよろしくね』
上条「返信は〜っと、そうだな……」
―――
―常盤台女子寮 私室―
美琴(でも、どうしよう……。これで気を引けても、意味ないんじゃ……)
ソノゲンソウヲブチコロス!!
美琴「『もちろんです。よければ、明日美琴さんと三人で話でもしませんか?』って無理に決まってるだろー!!」
美琴(っていうか、意外と喰いつきいいわね!?)
白井(お姉様……)
―――
―上条家―
ムシスンナヤゴラー
上条「おっ!」
美鐘『私は大丈夫なんだけど、美琴は無理みたいなの』
上条「ははっ。それじゃあ、っと……」
イン「ごちそうさま! とうまの分もいただいたんだよ!」
上条「ええっ!?」
―常盤台女子寮 私室―
ソノゲンソウヲブチコロス!!
上条『それじゃあ、二人ではどうでしょうか?』
美琴「マジ? アイツはいつもこんなこと言ってるわけ?」
美琴(でも……、せっかくだしOKしてみようかな)
美琴「『OK! じゃあ、今日会った公園で待ち合わせね』っと」
白井「お姉様」
美琴「!! な、なに? 黒子」
白井「明日出かけますの?」
美琴「そ、そうなの。ちょっと面倒な用事がね〜」
白井「それにしては大変うれしそうな顔してますわよ?」
美琴「そうかしら? きっと気のせいよ!」
白井「まあ、いいですけど」
美琴(明日はアイツとデート……、なのかしら?)
残り三個
―――
―いつもの公園―
美琴(遅い……。もう約束の時間は、二十分以上過ぎてる……)
美鐘「アイツはまだなのかしら?」イライラ
美琴(今日はサイズの合った服を買ってきたし、アイツへの対応も考えてきた。何があっても大丈夫でしょうけど)
上条「いや〜、すみません。遅れまして〜」
美鐘「だ―――、大丈夫よ。それでどこでお話しましょうか?」
美琴(さっそく想定外の対応をするところだったわ……。コイツに電撃を飛ばさないのは難しいかも……)
上条「あれ?」
美鐘「ど、どうかしたのかしら?」
美琴(ば、ばれた? いやでも、この外見じゃばれようがないわよね?)
上条「い、いえっ! その……遅れてしまってすみません!!」
美鐘「だから、もういいって言ってるじゃない。それとも、そのお詫びに何かしてくれるのかしら?」
上条「はいっ! 上条さんにできることなら!」
美琴(ええっ!? さっきから想定外のことしか起こらないんですけど!!)
美琴(ううっ……大人っぽく……大人っぽく……)
美鐘「そ、それじゃあ、あそこのお店でコーヒーでもおごってもらおうかな?」
上条「え? そんなことでいいんでせう?」
美鐘「どんなことをされると思ったの?」
上条「え!? いやー、その……」
美琴(コイツのこんな反応って私は見たことないわね。年上相手にはこんな風なのかしら?)
上条「と、とにかく! あそこの店にいきましょうか!」
美鐘「ま、いいけどね……」
美琴(っと、危ない! ちょっとずつ素に戻ってきてる!)
美鐘「じゃあ、行きましょうか」ニコ
上条「は、はい」
―喫茶店―
美鐘「それで話って何をするのかしら?」
上条「え? えーとですね……。その……美琴さんとは仲いいんですか?」
美鐘「ま、まあ仲はいい方ね。あの子のことならなんでも知ってるわ」
美琴(まあ、本人だし)
上条「そ、そうなんですか〜。ええと、その……」オロオロ
美琴(なんかテンパってるわね。緊張してるのかしら? ちょっとおもしろいかも)
美鐘「ふふっ。緊張しなくてもいいのよ? そ、そうだ。当麻くんは、好きな子とかいないの?」
美琴(こ、これくらい聞いても自然よね!? 第三者のお姉さんって感じで!)
上条「ブッ!? い、いえ、あの、今はいない……ですかね」
美琴(ほっ。なんだ。結構女の子といるから、もしかしてもう誰かと付き合ってたりするのかと思ってたけど……)
美鐘「あら? そうなの? じゃあ、彼女もいないのね」
上条「え、ええ。そうなんですよ」
美琴(よしっ! いい情報ゲット! これだけでも『美鐘』になった甲斐があったわ)
上条「まともに女の子と歩ったこともなくてですね……」
美琴(ん? それはさすがにうそじゃないの? コイツが……?)
美鐘「そ、それなら、私が練習相手になってあげようか?」
上条「え?」
上条「それはどういう……」
美鐘「女の子とデートもしたことないんでしょ?」
上条「うっ、はい……」
美鐘「だから、その練習相手になってあげる」
美琴(ん? もしかして、私すごいこと言ってる?)
上条「ええっ!? マジですか!?」
美鐘「その、今は、フリーなの。だから特に気にしなくてもいいわ」
上条「いいんでしょうか……? うーん……」
美琴(一応、誰でもいいってわけじゃないみたいね)
上条「じゃあ……、お願いしていいですか?」
美琴(あれ!? デートの約束よね、これ!?)
上条「それじゃあ――」
美琴(今からはまずい! たしか黒子で試したときは、効果が三時間くらいしかもたなかったのよね)
美鐘「明日なんて休日だしどうかしら?」
上条「えっ? 明日ですか?」
美鐘「今から行かなくちゃいけないところがあるの! 明日じゃ都合が悪いかしら?」
上条「ああ。いえ、大丈夫です。それなら、場所は今日と同じ場所で、時間はお昼ごろでどうでしょうか?」
美鐘「ええ、いいわ。明日は、女の子を待たせちゃダメよ?」
上条「は、はい!」
―――
―常盤台女子寮 私室―
美琴(最後の方は、かなりよかったんじゃないの!? 意外と私も演技派ね!)ゴロゴロ
ソノゲンソウヲブチコロス!!
上条『明日はよろしく』
美琴「大丈夫かしら? 明日も遅れて来そうな気がするわね」
白井「お姉様……。明日もお出かけですの?」
美琴「え、ええ。そうなの! まだ用事が終わらなくてね!!」
白井「もしかして、あの類人猿と会うおつもりですか!!」
美琴「ちちちちち、違うわよ!? な、なんでアイツなんかと!?」
白井「ぐぐぐぐぐ、あの類人猿めっ……」
美琴「あーっと、メール返信しておかないと」
白井「お姉様? 機種変更なされましたの?」ジトー
美琴「え? ち、違うわよ? これはその……、用事の件で持たされたのよ!」
白井「……まあ、そういうことにしておきますの」
―――
―上条家―
ムシスンナヤゴラー
美鐘『デートプランはあなたに任せていいかしら? お昼から三時間くらいしか時間は取れないんだけど』
上条「そうだな……」ウーン
イン「とうま? 何してるの?」
上条「あ、インデックス。明日の昼出かけてくるから、小萌先生のところ行っててくれ」
イン「え? まあ、いいケド」
上条(返信っと)
―――
―常盤台女子寮 私室―
ソノゲンソウヲブチコロス!!
上条『できるだけ頑張ります』
美琴「よし、これで明日はOK」
美琴(フフッ。明日はアイツとデートか〜。楽しみ〜)
白井「…………」
残り二個
―――
―いつもの公園―
美琴(アイツが来てからこの薬を飲んだ方が、長い時間一緒にいられるわよね。薬を飲んでいる間は、あいつの右手には気をつけなくちゃ……)
美琴(っと十五分前か……。アイツはどのくらい遅れて――ってもういる!? すぐ行かなくちゃ!)ボン
美琴(よし! 準備完了! 行くわよ!)
美鐘「ハロー、当麻くん。待たせたかしら?」
上条「あ、今日は先にこれましたよ」
美鐘「うんうん。偉いぞ! いつもそうならいいんだけどね」
上条「あははは、面目ない……」
美鐘「それで、今日はどこに連れて行ってくれるの?」
上条「その前に、お昼にしましょうか」
美鐘「ん、それもそうね」
―カフェ―
美琴(へぇ〜。結構、雰囲気よさそうなところじゃない)
美鐘「うん、及第点。結構いい店知ってるんだね〜」
上条「え、ええ。その友達に聞いたんですけどね」
美琴(むむむ?)
美鐘「へえ? 女友達?」
上条「ち、違いますよ! 隣に住んでるやつからです!」
美鐘「本当かしら……?」ジト
上条「ゴホン! そ、それで、何にします?」
美鐘「ま、いいわ。そうね、私は海鮮ドリアにでもしようかしら?」
上条「それも良さそうですね。じゃあ、俺はボロネーゼにしてみます」
美鐘「あ、すいませ〜ん」
(注文中)
美琴(思ってたよりも緊張してないし、別人で通せばいけるわね。……でも、本当にそれでいいのかしら?)
―――
食事中
美鐘「それで? 今日は、これからどこへ連れて行ってくれるの?」
上条「あはは、ベタなんですけど、遊園地でもどうかと思いまして」
美琴(ゆゆゆゆゆ、遊園地!? こいつと!?)
美鐘「ふ、ふ〜ん。いいんじゃない? 結構好きなのよね」
上条「そうなんじゃないかと思いましたよ」
美鐘「え? どうして?」
上条「え!? い、いや、美琴のやつも好きそうじゃないですか!」
美鐘「そうね。きっと好きよ」
美琴(まあ、アンタといければどこでも……)
―――
美鐘「ふう。ご馳走様」
上条「結構良かったですね」
美鐘「ふふっ。そうね。――あら? く、口元にソースがついてるわよ?」スッ
美琴(これくらい普通! これくらい普通! ナプキンで拭いてあげるくらい普通!)
上条「ええっ!? じ、自分でできますって!」
美鐘「もう取れたわよ。さ、じゃあ次行きましょうか」
上条「え? あ、はい。じゃあ、ついてきてください」
美鐘「オッケー」
―遊園地―
美鐘「うーん、遊園地っていうのも久しぶりな気がするわ」
上条「そうなんですか?」
美鐘「小学校の遠足以来かしら……」
上条「だいぶ前の話ですね」
美鐘「え、ええ。そうなの! それ以来これなくてね〜」
美琴(あ、危ない! 二〜三年前どころの話じゃなかったんだった……)
上条「じゃあ、なにから行きます?」
美鐘「そりゃもちろん、ジェットコースターでしょ!」
上条「デスヨネー」
美鐘「あら? 苦手なの?」
上条「いえ、そうだろうなと思ってたので」
美琴(こ、行動パターンを読まれてる!? さすがにばれないとは思うけど、次はちょっと苦手なところに行ってごまかさないと……)
―――
美鐘「あーっ! 楽しかった!」
美琴(やっぱりスカッとするわね! それにコイツと一緒に乗れたし///)
上条「そうですね。それで次は……」
美琴(ううう…… 苦手だけど、しょうがないわよね……)
美鐘「お化け屋敷なんてどうかしら?」
上条「えっ!? 大丈夫なんですか?」
美鐘「え?」
上条「え? いやその、結構怖いって話ですよ? 知りませんでした?」
美鐘「だだだだ、大丈夫に決まってるじゃない!」
―お化け屋敷―
美琴(ううう、怖い……)ギュッ
上条「あのソデの裾をつかまれると歩きにくいんですが……?」
美鐘「ううう、だ、ダメ?」
上条「うっ、まあいいですけど……」
美琴(それにしても、なんでこいつは平気なの〜?)
ガサッ!!
美鐘「きゃぁっ!?」ギューッ
上条「うおぁっ!? その……腕を絡まれるとですね……」
美鐘「ううう……」
上条「はぁ……。じゃあしっかりつかまっててくださいよ?」
美鐘「うん……」
―――
美鐘「け、結構怖かったわね!」
美琴(もう入りたくないわ! あ、でもコイツに抱きつけたのはよかったかも)
上条「いや、そんなレベルの怖がりかたじゃ……」
美鐘「うっさい! そういうことにしておくものなの!」
上条「ははは、そうですか」
美鐘「よーし、次行くわよ、次!」
一時間後
―――
美鐘「んーっ! 結構楽しめたわね〜」
美琴(残り時間はあと三十分くらいかしら?)
上条「じゃあ、そろそろ最後にします?」
美鐘「〆はなににしましょうかね?」
上条「あ、あれなんてどうですか?」
美鐘「い、いいけど……」
美琴(ええー!? 観覧車!? それに何? コイツの雰囲気……。もしかして……)
―観覧車―
上条「いやー、それにしても今日はありがとうございました」
美鐘「い、いや、こっちも楽しめたわよ」
美琴(どどどど、どうしよう!?)
上条「そ、それでですね。言わなくちゃいけないことが……」
美琴(これってあれよね!? 告白っぽい雰囲気!?)
上条「俺、実は―――」
美鐘「だ、ダメっ!! 今は、その先は聞けない!! え、えーと、次に会ったときにまた聞かせてくれないかしら?」
上条「え? は、はい。そうですか……」
そうして、この日のデートは終了した。
―――
―常盤台女子寮 私室―
美琴「はぁ。どうしようかしら……」
白井「お姉様? どうかしましたの? 今日は随分と暗い顔をなさっていますが」
白井(類人猿とケンカでもしたのでしょうか)
美琴「んー、ちょっとね〜。あ。そうだ」ピピピ
美琴(黒子には話せないけど、佐天さんと初春さんに相談でもしてみましょうかしら)
ソノゲンソウヲブチコロス!!
美琴(ん? あいつからメール?)
上条『今日はなんか変な感じになっちゃってすみません。次に会えるときにまた、話したいと思います』
美琴「本当にどうしよう……」
チャントパンツハイテルカー?
佐天『相談ですか? 別にいいですよ。いつものファミレスで待ってますねー』
美琴(助かるわ。でも、どう相談すればいいかしら……)
ヌッフェ!!
初春『佐天さんと一緒に待ってますね〜』
美琴(まあ、話してみれば何か解決するかもしれないわよね)
美琴「あいつに返信しておかないと」
美鐘『明日はちょっとダメみたい。会えそうなときはこっちから連絡するわ』
美琴「まあ、こんなもんでしょ」
白井「私の扱いがぞんざいですの……」
残り一個
―――
―ファミレス―
初春「あ、御坂さーん。こっちです!」
佐天「まってましたー」
美琴「急に呼び出しちゃって悪いわね」
初春「いえいえー、全然大丈夫ですよー」
佐天「そうですよ! なんていったって御坂さんの頼みですもん!」
美琴「それで相談なんだけど――」
佐天(白井さんがいないってことは、もしかして……)
美琴「その……、あ! 友達の話を聞いて欲しいの!」
佐天(恋バナ!!)
初春(恋花ですね〜)
佐天「まかせてください! 御坂さんの悩みをちゃんと解決してみせます!」
美琴「え? あ、ありがと」
初春「それで、その友達がどうしたんですか?」
美琴「え、えっと、友達の好きな人が、その子以外の人を好きになっちゃったみたいなの」
佐天「ええっ!?」
初春(いきなりすごい展開です!)
佐天「それってつまり略奪愛ってことですか!?」
初春「火曜サスペンス劇場みたいな展開ですね!?」
美琴「だけど、その人は、実は友達本人なのよ」
初春「はい?」
佐天「すみません。意味がわかりません」
美琴「うーん……。私なんだけど、私じゃないみたいな状況なのよね……。って違う! 友達の話!」
佐天・初春(もう遅すぎます)
佐天「さすがに、そのレベルの返答に困る相談は初めてです」
初春「どうすれば、いいんでしょうか……?」
佐天(変装した状態で告白でもされたのかな?)ボソボソ
初春(あ、その可能性はありますね!)ボソボソ
佐天「う〜ん、そうですね〜……」
佐天「結局、御坂さんはどうしたいんですか?」
美琴「え?」
佐天「その人のことが好きなのか、それともどう断ろうか悩んでいるのか……」
美琴「私は……」
美琴(どうしたいのかしら……?)
初春「どちらにしろ、正直に話すのがいいと思いますよ」
美琴「正直に?」
佐天「隠してることがあるなら、正直に話しちゃったほうがいいですって!」
初春「じゃないと、いつまでも苦しいままですよ?」
美琴(そうなのよね……。残り一個しかないから、次で最後なのよね)
美琴「そうよね! わかった。そうしてみるわ。……じゃなくて、そう伝えておくわ!」
佐天(そこまで、隠そうとしなくても。隠れてないけど)
初春(気がつかないフリをしてあげるのが優しさですよ)
佐天「じゃあ、がんばってくださいね!」
初春「応援してます!」
美琴「ありがと!」
―――
―常盤台女子寮 私室―
美琴(そうよね。いつまでも逃げてるわけにはいかないわ。正面から向き合わないと……)
美鐘『明日なら、なんとか都合がつきそうです。放課後になったら、いつもの公園で待っててください』
美琴「はあ。ちゃんと言えるかな……」
ソノゲンソウヲブチコロス!!
上条『わかりました。それじゃあ、また明日』
美琴「いよいよ。明日が勝負ね……」
白井「え? これで私の出番終わりですの?」
翌日
―――
―いつもの公園―
美琴(あいつは……もう来てる……)
美琴(最後の一個……。えーい、覚悟を決めるわよ!)ボン!!
美琴(よし! 気合十分!)
美鐘「その……おまたせ」
上条「あ、待ってました」
美鐘「うん。偉いぞ」
美琴(どう切り出そうかしら……)
美鐘「それで、話なんだけど――」
上条「えーと、実は」
美鐘「あ! ちょっと待って。その前に言わなくちゃいけないことがあるの!」
上条「いえ、前回俺が言いかけて終わったので、先に言わせてください!」
美鐘「ええっ!?」
美琴(それは、こ、困る!!)
美鐘「えっと、だからその前に――」
上条「いいから聞いててくれ」
美鐘「だから――」
上条「好きになっちまったんだよ!!」
美鐘「」
美琴(どどどどど、どうしよう!? 嬉しいんだけど、もう手遅れ!?)
美鐘「えっと、その……」
上条「お前はどうなんだ? 俺のこと嫌いか……?」
美鐘「そそそそ、そんなことない……けど……」
上条「けど……?」
美鐘「その、だから、あの……」
上条「あー、もうだから――」
上条は右手で美鐘の肩をつかんで言う。
上条「――お前が、好きなんだよ!! 美琴!!」
その瞬間、美琴にかかっていた幻想が壊れる音が、辺りに響いた。
―――
――
―
美琴「え?」
上条「聞こえなかったか? お前が好きだっていったんだよ」
美琴「あれ? なんでアンタ、私が――」
上条「実は、あの薬送ったの俺なんだよ!」
美琴「はい!?」
上条「その、子供扱いして、傷つけちゃったかなと思って、いろいろ友達にあたってみてな」
美琴「で、でも、なんで?」
上条「その……、ほら、お前と会うとさ、いつもケンカ腰になっちゃうだろ?」
美琴「うっ、そうだったけど」
上条「だから、最初はいつボロを出すかなって楽しんでたんだ」
美琴「傷つけた、っていってる割には随分ひどいマネするわね……」
上条「でも、それだけがお前の一面じゃないんだなって気付かされたんだよ」
美琴「えっ……」
上条「一方通行と戦ったときはさ。あれも確かに別の一面だったけど、お前の泣き顔くらいしか見られなかった」
美琴「そうだったわね」
上条「今回はさ。最初は、演技みたいだったけど、デートの時なんかは、素で笑ったり、怖がったりするお前を、初めて見たんだ」
美琴「えぅ……」
上条「それで、その……お前のことをかわいいって思っちまったんだよ!」
美琴「え? じゃあ、本当に私のことを……」
上条「ああ、何回でも言ってやる――」
上条「―――お前のことが好きだ、美琴」
美琴「――うん!」
上条「それで、お前はどうなんだ?」
美琴「ええっ!?」
上条「はっきりと言葉で聞きたいんだ」
美琴「ううっ。その……私もアンタが――」
上条「ああ」
美琴「――アンタのことが、ずっと好きだったのよ」
上条「その、なんだ。……これからもよろしくな、美琴」
美琴「フフッ。こちらこそ、当麻」
そして美琴は、『素顔』で大きく微笑んだ。
これからの二人にご期待くださいEND
後日談という名の補足
【差出人】
美琴「それにしても、なんでアンタはあんな差出人の名前で送ってきたワケ?」
上条「え? いや、お前さ、コンビニで立ち読みしてるだろ?」
美琴「ん? まあ月曜と水曜にね」
上条「それを見かけて声をかけようと思ったんだけど、電撃受けるのが怖くてな。後ろを通ったときチラッと何読んでるのか見たんだよ」
美琴「それでネギって……」
【入手元】
美琴「あの薬はどうしたわけ?」
上条「あれは、ネットで知り合ったカッキーネさんにもらったんだけど」
美琴「そんな怪しいもんいきなり送りつけたわけ?」
上条「いやいや、あれ二つもらってさ。一つは速攻でインデックスのやつが全部食べちまったんだよ!」
美琴「それで、でっかくなったり、小さくなったりするのを確認したのね……」
説明 | ||
SS速報に投下した上条×美琴ものを修正したものです。 自己評価★★★☆☆ |
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