魔動少女ラジカルかがり SHOOTING -第三話Bパート- |
「あちらに見えますのが、惑星壊滅時に無人兵器のGALLOP兵団が根こそぎ吹っ飛ばした都市中枢部です」
暗黙的にお守りを任されたヤマトさんとユーノくんをつれて作業外空域を飛行する。複数部族の共同作業ということもあってか、現場作業員となる駆け出しのユーノくんはまずは現場の見学からだ。
無数の砲弾、爆撃で瓦礫に埋もれた都市では重機を使った残骸撤去が必要となってくる。
魔法という人力リソースは最小限の対物浮遊魔法などのサポートに割り振られることになる。
長丁場だ。精神的疲労の溜まる高度な魔法は連発できない。
その点、無尽蔵のエネルギーで機械を駆使するダライアス一族と補助魔法を得意とするスクライア一族の相性はとてもいいらしい。
細かい瓦礫を魔力の粘土で固めて重機で一気に持ち上げるのは見ていて楽しいものがある。
地上部では準人型重機が研究所と思わしき場所の瓦礫をアームで掴んで撤去作業を行っている。
「あっちの丸くて可愛いのが((働き蜂|ツインビー))で、無骨なのがネオプトレモスです」
どちらも昔にここ本星で戦闘用として生まれたのだが、物を掴むことができるという特徴と人間の動きの延長でそのまま操れるという特性から、武装を外し改造を積み重ねられて重機に生まれ変わったものだ。
なお、内部には補助用の独立魔力炉が搭載されており、その魔力炉だけで長時間単独運用が可能なため、武装付きならばその大質量で殴って戦える質量兵器一歩手前の代物が完成する。
独立魔力炉は時空管理局技術部門の強い要請もあって復元されたものなのだが、取り扱いは政治的に中々難しいものがあるようだ。
あ、演算機らしきものが掘り起こされた。遠目からは破損箇所が見当たらない。
演算機そのものにも高い価値があるが、重要なのはその中身のデータだ。
私自身は現場作業は主ではなく機械技術者として来ているので、解析作業のほうを見にいこう。
「それじゃあ私は本部に戻りますね。危ないので瓦礫や重機には近寄らないでくださいね」
さてさて何が出てくるだろうか。
――――――
テスト投稿二次創作SS 魔動少女ラジカルかがり SHOOTING
テスト内容:内容自体が試験的
原作世界:魔法少女リリカルなのはアニメシリーズ
原作設定:日本製シューティングゲーム各種
ジャンル:(話の本編に関係ない)裏設定の列挙
――――――
いやいやいや。まさかまさか。こんなものが発掘されるとは。
演算機に残っていたのは、各地の機械都市遺跡の座標と純機械文明時代の設計サンプルデータ。
魔動機械の登場で機械技術の一部が切り捨てられたらしいので、あの研究所はそのあたりの古い超技術の研究を行っていたと推測された。
その中にあったのだ、戦闘機の設計図が。
R-GRAY1、R-GRAY2。
本星ダライアスに対しクーデターを起こした殖民惑星連合。それに対する鎮圧作戦であるセシリア侵攻作戦に投入された戦闘機だ。
まさに歴史の教科書に出てくる戦闘機。クーデターは一つの血塗られた歴史であり、英雄機とは言われないが少数の編隊で敵拠点を制圧するなど、機体の性能パイロットの技量ともにエース級の戦績を残している。
設計図をざっと見てみたが、純科学時代の機体ながらエンジン部は魔力炉に近しい何かがある。
魔法など万民に扱えない不良品の技術だとか言われていた時代だが、ときおりこうして機械の中に魔法で扱われるエネルギーの片鱗を見つけることができる。
燃料切れとパイロットの疲弊が純科学戦闘機の克服すべき課題だが、優れた動力部の発明が優秀な戦闘機の開発の切欠になっているのが私たちの歴史に現れている。
ミッド式の魔法は現実に干渉する魔法プログラムを起動するというもの。
私たちの今の魔法は干渉の本質である魔力エネルギーを生み出し機械で制御するもの。
魔力素など、魔力を生み出すリンカーコアのただの餌だ。本質はあくまで魔法というプロセスと魔力というエネルギー。
純科学的アプローチで魔力の存在に気付くのは不可能などと言われているが、こうして過去の産物から見受けられる以上、魔力に到るための何かがあったのだろう。
まあ、当時も原始的な魔法による魔動機械なども不安定ながら確かにあったわけだから、頭の柔らかい技術者が取り入れたというのがオチのような気がするが。
R戦闘機のフォースなんて、突き抜けた技術者の典型だ。「敵宇宙人が強力なら敵宇宙人を培養して兵器にしてしまえ」とか。
ミッドチルダでは復興局でたまにある頭のネジの外れた発明品とかがなかなか見られなかったので、これからの発掘作業が楽しみだ。
これはこれで良いバカンスと言えるだろう。
さて、都市部の発掘が終わって、これからの計画では工業地帯に向かうことになっていたのだが、研究所からの情報で得た都市遺跡方面の調査も別働隊で行われることとなった。
というのも、機械都市遺跡のリストの中に、歴史上重要な地が記載されていたのだ。
鳳来ノ国中枢部。
歴史の折り返し地点とも言われる、二機の英雄機と人類の敵による一大決戦の地だ。
機械大国。遺伝子改造された戦闘機乗りの発祥地であり、人類の敵の総本山。
書籍化され映像化され語り継がれてきた御伽噺の中の世界と言ってもいい。
工業地帯の発掘と共に進められた別働隊による調査結果は白であった。
今回の短期共同発掘作業の本来の目的は残存魔動機械の回収だが、それが霞むほどの考古学的価値がある。これは間違いなく今回の発掘の目玉となるだろう。
工業地帯での作業中もどこかそわそわする女性発掘員たちが見受けられた。勿論、全員ダライアス一族だ。
私の名前も鳳来ノ国で敵と刺し違えて英雄になった戦闘機乗りから名付けられていたりする。
もう一人の私の決着の舞台を目にしてみたい。
結局私も気が気ではない時間を過ごすことになった。
落ち着かないね、などとユーノくんに心配されたり、俺のこと無視してないか、などとヤマトさんに文句を言われつつも時間は過ぎた。
工業地帯発掘作業は一定の成果を収めつつも広大な未探査区画を残して撤収であった。
急に予定に入った鳳来ノ国への移動ということ以外にも、第一回の短期発掘作業なので、本星の劣化状況を確認するという全体の趣旨もあってのことだ。
撤収作業は皆妙に手際が良いものだった。ダライアス側の期待感が他の発掘隊の面々にも伝染したらしい。
鳳来ノ国の戦いを元にした絵本「いかるが」はコテージの購買で大人気だとか。
ああ、いかるががいく・・・。
なんて自治区でも人気のこのフレーズ、幼児向けの絵本なのにしっかりいれてあるあたり作った人はいろいろ解っている。
なんでかがりのふねはここででてこないの? などと昔は言ったものだけど。
そんな小さな頃を思い出しながら船に戻った。いや、今も十分小さいんだけれど。
鳳来ノ国まではユーノくんといっしょに「いかるが」を読むことにした。ヤマトさんにはアニメ劇場版でも渡しておけばいい。
「この人達は死んでもなお成し遂げられることができて、本当の意味で生きることができたんだね」
ユーノくん、絵本の感想としてはヘビーです。
まあでも浪漫を食べて生きる部族なら、これからの発掘作業はそれくらいのポエミーな気概があったほうが良い。
次元空間航行船で本隊ごと移動した先に待っていたのは、渓谷の要塞であった。
何百年も前の遺跡だというのに、要塞としての外観が保たれている。
このころには建築資材の素材も惑星外建造物に使われるような劣悪環境でも超長期劣化しない化学素材が使われていたのだが、要塞が撤去されずに丸ごと残っているというのは驚きだ。
((斑鳩|いかるが))の軌跡として残されていたのだろうか。
英雄機斑鳩は、難攻不落と呼ばれたこの要塞を突破して鳳来ノ国へ進入した。
ここはいわば鳳来ノ国の城門だ。
CGで再現されたものを何度も見てきたけれども、実物を目の前にすると感慨深いものがある。
歴史に残る名所であると同時に物語の名舞台でもあるのだ。
ミッドチルダでも暇を見つけて観光旅行などを友人達としたものだが、ベルカの聖王教会を見た近代ベルカの魔導師のあの人はこのような感情を得ていたのだろうか。
だがここは通過地点。今回の発掘対象ではない。
地に突き立った巨大な鉄塊は何だろうかなどと皆で話しながら、船は中枢へ向かって進んでいく。
休憩室でユーノくんとお菓子とお茶で一息つくのはもう日課となっていた。
他愛もない雑談から発掘の細かい考察まで、話す話題は尽きない。
音速などはるかに超えた速度を出せる船が要塞を過ぎてから発掘地点まで着くのはあっという間であったが、地上部でのキャンプ構築が終わるまでしばし時間がかかる。
「これから向かう先に何があるんだろうってわくわくするんだ。こういうのが発掘の醍醐味なのかな?」
「私たち自慢の“てきのほんきょち”ですからね。きっと損はさせませんよ」
ユーノくんは浪漫あふれる発掘者へと着実に進んでいっているようだ。
「骨董物の無人仏鉄塊が生きていて襲い掛かってくるとかは勘弁ですけどね」
さすがにそれはー、と二人で笑いあう。
話しているもの同士にしか笑いのポイントがわからない他愛のない会話を繰り広げられるまで仲良くなった。
あ、仏鉄塊は鳳来ノ国の戦闘機である飛鉄塊よりも大きなスーパー機動兵器のことです。でも単座式。
「ユーノくん、カガリちゃん、隊長が呼んでこいってさー」
時折ふらっと現れるヤマトさんは、まあ予想とはさほど外れていない行動をとっているのだろう。
さて、今日のティータイムはこれで終わりだ。
「行きましょうか」
食べかけのスナック菓子をバッグにしまい、お手拭で手についた油をとる。
同じようによちよちと手を拭くユーノくんを見てこういうところは変わらないなーと思いつつコップを洗浄器に投げ込み、二人を促して部屋を出る。
私たち三人を指して幼少組などと呼んでいる人たちがいることに二人は気付いているだろうか。
艦橋で隊長さんに告げられたのは、先遣隊への同行命令であった。
何かあったときに身を守れるということで先遣隊の魔導師の護衛としてついていくことになったのだ。
意外と発掘隊の中では魔導師としての能力がそれなりに高い私たち三人。私は機体とセットだが。
まあこんなところで空戦魔導師資格なんていう物騒な武闘派資格を持っているのは私とヤマトさんくらいだろう。
ダライアスの重機は武装が搭載されていない。スクライアは攻撃魔法が苦手。
発掘作業中に暴走機が出たら結界魔法で無効化して撤退とマニュアル化されていたが、この場ではそうもいかない。可能な限りここでの発掘作業を進めたいのだ。
無人仏鉄塊とまではいかないが、何らかの独立防衛システムが生きているかもしれない。
完全武装で転送ポッドへ向かう。
ヤマトさんはいつも見ている中等部の制服を元にした白いバリアジャケットと、改造を重ねすぎてフレームから色々突き出している長杖型デバイスだ。
パーツを組み合わせて作る自作デバイスながら頑丈な作りをしていて、自在に形を変えられる魔力刃を使って槍や斧や大剣としても使えるというもの。何でもこなせるヤマトさんに相応しいデバイスだろう。
ユーノくんはマントが特徴的な作業着のまま。バリアジャケット代わりになる不可視の結界を身にまとえるらしい。
デバイスは小さな赤い宝玉のペンダント。レイジングハートというインテリジェントデバイスだったか。
高性能高出力。魔法の苦手分野を克服すべくスクライアの一族から与えられたという攻撃向けデバイスだが、一族が一族だけにロストロギア技術が使われていそうで気が気じゃないとか。デバイス好きのヤマトさんも妙に嬉しそうに眺めている。
私の方はまあ相も変わらず。身長が伸びるたび復興局から送られてくる桃色のパイロットスーツにヘルメット代わりのバイザー。初等部ならまだしも中等部で全身ピンクは止めたいんだけれど。なおヘルメットはビジュアル的に認められない、だそうだ。
背中のジョイントには一対のシップ、ビックバイパーが接続されている。背中につなげている間は待機状態で簡単な飛行や障壁のみの機能しか使えず、両肩に繋ぎなおすことで本起動が行える。
私一人だけ浮いた格好のまま地上部へ転送される。
すでに先遣の調査隊が四名、一機の空中輸送機に乗って待っていた。
キャンプはまだ構築途中だ。
「それでは飛行していきましょう。不用意に歩いたら崩落の危険がありますからね」
空戦魔導師の私とヤマトさんは当然飛行できるのだが、ユーノくんも飛行魔法を使える。飛行魔法というのは先天的な才能がない限り、相当の努力をしないと習得できないものだ。天才なのか努力家なのか。まあこの場に選別されるほどに魔法の実力は高いのは確かなのだ。
「映像記録は私と調査隊が行いますので、二人は周囲の警戒をお願いします」
地下にある中枢部への巨大ハッチが視界いっぱいに大口を開けて鎮座している。内部構造までは演算機の記録からは解らなかったため、これが閉じていたなら別の進入口を開けなければならなかったところだ。内部構造が不明な場所への転送は危険だし、なにより転送では満足に機材を運べない。
魔導師三名を先頭に先遣隊は門の中へと降りていく。
シェルターの役割も果たしているであろう地下中枢部への門は、なんとも広大で深い。
速度を出さぬまま通り抜けた先、金属建材で作られた巨大な空洞があった。地下に掘られた長大な洞穴。小型戦艦ならば通り抜けられそうな円形の廊下。
仏鉄塊や飛鉄塊の上空への射出口としても使われていたのだろうか。
天井や壁面には鉄骨の柱や梁がむき出しになっている。なるほど、確かにここはサイバーでメタリックな“てきのほんきょち”だ。
宙から足元に目を向けると、これがまた。飛鉄塊らしき大破、中破した機体の残骸、残骸、残骸。
壁に注意を向けると、機銃で撃ち抜かれたらしき半ばで折れた鉄骨もある。
明らかな戦闘跡。ここははるか昔に斑鳩ともう一つの英雄機((銀鶏|ぎんけい))が通った跡なのか?
中枢部の地上上空には未だ生きたテラフォーミング用環境保全フィールドが張られているようだった。そのためか土砂の堆積などは見られない。
先ほどの渓谷の要塞のように人が星から消えても当時のまま保護され続けてきたのだろう。
鉄塊を後にして長大な傾斜廊を下っていく。真っ直ぐと地下へ地下へ。ときおり横道や非常口らしきものが壁のほうに見えるが、ここは“戦闘機が進める道”を選んでいこう。
結果、さらに地下へと続いていく鉄のトンネルを真っ直ぐに進んでいくことになる。
「あれは仏鉄塊……いえ、大きいですけど飛鉄塊ですかね」
原型を保ちながら真っ二つに折れて落ちている鉄塊もやりすごして奥へ。
進むごとに残骸の数も残った形として見える大きさも増大していく。
ここにきて大型のものが増えたのはその船体の大きさで進路を塞ぎ、強力な侵入者の強行突破を防ごうとしたのだろうか。
空中輸送機の調査隊の人が調べたそうにしているが、今回は我慢してもらおう。
そしてまた開いた巨大な円形のハッチが見える。その奥は広間になっているようであった。
広間の中心に向かってすり鉢上になった広間。上は吹き抜けになっていて、天井ははるか遠くにある。
今まで以上の瓦礫に埋もれ、壁のいたるところに破壊の跡がある。ここだけ地上部の機械都市郡のような酷い有様だ。
瓦礫の間に転がっている砲塔は仏鉄塊のものだろうか。もしそうだとしたら、ここが最後の仏鉄塊と戦った斑鳩達の終着地点になる。
「ここだけ道中にあった飛鉄塊に共通する装甲パーツが見当たらないようです」
調査隊からもそう報告がくる。
仏鉄塊『((田鳧|たげり))』と英雄機二機の戦いの記録はここ鳳来ノ国の監視記録に残っており、それが後々のノンフィクションの物語となった。記録によると田鳧と斑鳩、銀鶏は地下の最深部で互いの最大兵装を交互に打ち合ったと残っていた。
それならば、この崩壊した広間も納得ができる。
「カガリ、カガリ、ちょっとこっちに来て!」
小回りの聞かない調査隊の代わりに広間の内周を巡回させていたユーノくんが戻ってくる。
「あっちに落ちている装甲だけ、他とは何か違うようなんだ。勘違いだったら悪いんだけど……」
「いえ、とりあえず見てみるだけ見てみましょう」
調査隊の輸送機を連れてユーノくんの促す方へ向かう。
私は遺跡発掘に長けるスクライアの直感というものを信用している。((超能力|レアスキル))というものも世の中では公に認められているのだ。
誘導されるままに広間の端のほうまで辿りつく。
「この装甲なんだけど……」
熱でひしゃげて捻じ曲がった細長い鉄の塔。
よほどの勢いをつけて落ちたのだろう。金属製の床板を貫いて突き立っている。
変形しているが元は真っ直ぐと伸びていた刀身状の装甲だったのだろう。
その形の装甲を携えた飛鉄塊の正体に思い当たり、軽い目眩に頭を抱えてしまう。
興奮を通り過ぎて頭が空っぽになってしまう。
「こんなところに残っているとは……。サルページされて博物館行きでもしていたのかと思いましたが。
斑鳩が、そこにはあった。
一次調査は終わり地上まで戻ると、発掘キャンプの展開が終わっていた。
今は持ち帰った情報を元に、発掘計画が話し合われているのであろう。
実働部隊である私たち三人はコテージの中で休憩している。
頑張ったご褒美ということで、ユーノくんのお姉さん(実の姉ではなく部族でユーノくんのお世話をしていたらしい)から果物のパイをいただけた。
三人でのんびりティータイムだ。
「あれが見せてもらった映画に出てきた主人公か? 皆すごい騒ぎようだけど」
「そういえば何だかんだでヤマトさんには、この遺跡が出てくるような古い時代のお話はしたことありませんでしたね」
斑鳩を見つけて気分がいい。
せっかくだから英雄達の歴史なんかをお話してみよう。
初めはそう、魔法なんて大して発展のしていない管理外世界にはよくある純科学の文明でした。
ただ、その科学力が惑星の外に飛び出し、人の住めない星を住めるようにしてしまうテラフォーミング技術を携えるほどに発展してしまったわけです。
幾多の世界でもよくある通り、空に広がりすぎた文明はどこかで軋みを生み出してしまいます。
殖民惑星連合への抑圧の結果、クーデターを引き起こしたセシリア連合戦争。
軍部による人口削減の企みで軌道衛星から無数の無人兵器が押し寄せたマシン兵団戦役。
原始的な魔法を使って魔動機械での内紛が起きた聖霊機関事件なんていうのもありましたね。
そんなこんなで人間同士で争って疲弊していく中、急に現れたんです。
宇宙人が。
亜時空星団バクテリアンなんて直球な命名を当時されていたんですが、戦いを続けているうちに人はバクテリアンの正体を知ってしまいました。これは未来の自分達が作り出した殖民惑星攻撃用の兵器だって。
星系内生態系破壊用兵器バイド生命体。
バイドの構造を解析した結果、やつらは人間を元にした二重螺旋構造のDNAを持っていることが判明したんです。当時から人類を次の段階へ進化させようという試みは行われていたんですけれど、人類の進化を担う研究の未来はこうなってしまうのか、なんてもめたのが今の魔法科学への始まりなんですけれどこれは置いておきましょう。
嘆きつつも戦況を打破するための研究は続きバイドすらも対バイド戦への兵器として取り込み、滅び尽くし、かくして人類は平和を取り戻した、と。
宇宙人の侵略は人間同士の結託を強くすることになり、バクテリアン戦役、バイド戦役と続いて使い物にならなくなった殖民惑星を捨てて人工衛星と本星で人口調整をしながらつつましく生きていくことになりました。
でも、疑問が残ったんです。未来の破壊兵器はどうやって時間を巡って過去に飛んできた?
純科学文明ですから、時間移動どころか異世界移動すらも満足にできないわけです。
当時、初歩的な魔法科学として注目を浴びていた聖霊機関も人体改造と機械のエネルギー源という、まあ私たちの部族のもつ魔法科学技術と同じ方向性です。現実を書き換える類のものではありません。
未来では超技術で時間を自在に操るのか? では何故過去の自分達を滅ぼそうとするのか?
時代は進み、遺伝子改造が少しずつ進められてきたころ、その答えが発掘されました。発見ではなく発掘です。
発掘されたのはここ、鳳来ノ国の地下中枢。生命の進化と時空間の操作を可能とするロストロギアです。
このロストロギアは人類を自らの思うように進化させようとする意思が働いているらしく、未来の人類のあり方に気に喰わなかったためにバイドを過去に飛ばして人類を一旦消し去ろうとしたというのが当時の歴史学者達の意見だったそうです。
そんな管理世界を見渡してもそうそうないような物騒な代物、放っておけるわけもなく、先ほど発掘された斑鳩ともう一機の銀鶏によって粉々に破壊されたわけです。
「……なるほど。じゃあここはフィクションでも何でもないあの映画に出てきた国の跡で、戦場跡でもあるってわけだな」
「そうなるわけです。こういう経緯もあって、斑鳩達は私たちの文明にとっては第一級の英雄機なんですよ」
まあ、そんな英雄達の活躍も星が滅びた今となっては意味がなくなってしまった。
「カガリ、そのロストロギアっていうのは何て名前で呼ばれていたの? 資料には第一級指定遺失物としか書かれていなかったんだ。絵本にも名前が出てこなかったし」
「……((産土神黄輝ノ塊|うぶすなかみおうきのかい))なんて当時は呼ばれていましたけどね。頼まれてもその名前なんかでは呼びません」
彼の物体をその名で呼ぶものは私たちの中には居ない。
英雄の守ったこの星は、破損しながらも復活したその産土神を名乗るロストロギアによって滅びてしまったのだから。
歴史の舞台の発掘が始まる。
見つかるのは英雄ばかりではない。ここは“てきのほんきょち”だ。
精密飛行ができる私とヤマトさんは、広間の上空から田鳧と思わしきパーツを探していた。
私はバイザーの倍率調整を、ヤマトさんはサーチ魔法を使って飛び回っている。
「あっちから声が聞こえる……」
不意にヤマトさんが上空の壁に向かって飛んでいった。
上空にも自壊して弾けた斑鳩の破片が突き刺さっている可能性は高いが……声?
「この壁の亀裂、なんだか変な感じがしないか?」
何かが突き刺さって奥に入り込んでしまっているようだ。
バイザーを調節して、亀裂の中を覗き込む。
何かが見える。淡く光る何かが……。
そこでバイザーの補助演算を行っていたシップから警報が鳴り響いた。
あはは、ヤマトさん。いつもながらとんでもないことを巻き起こしてくれる。
「ヤマトさん。貴方の言っていた通りスクライア一族は第一級品の発掘に縁があるようですよ」
亀裂の奥に輝く黄色に光る石の塊。
嫌悪感と安堵感を同時に抱いてしまう存在感。
人の敵。生物の支配者。
輪廻転生を強要する産土神。
世界を滅ぼしたロストロギア、((石のような物体|THE STONE-LIKE))の欠片が眠っていた。
――――――
あとがき:全ては石のような物体の仕組んだことだったんだよ! な、なんだってー!
大半がもう使わないだろうということで趣味に走った裏設定語りのオンパレード祭りでした。
SHOOTING TIPS
■ツインビー
合言葉はBee!で良くも悪くも知れ渡ったポップでキュートなSTGの1P自機。2Pはウィンビー。
一部の人にはゲームよりもラジオのほうが有名です。
■ネオプトレモス
緑色の装甲が何とも硬派な、ロボットアニメに軍機として出てきそうなR-TYPE FINAL登場の白兵戦用兵器装備強化型。
正式名称TL-2A2"NEOPTOLEMOS"。戦闘機としてパンツァーポリス1935(ラノベ)やシルバーガンばりの白兵戦剣技を見せてくれます。
■R-GRAY1、R-GRAY2
レイシリーズ二作目であるレイストームの自機。3Dを生かした画面演出と独特のロックオンシステムが人気。
某機人オットーさんのスキルとは関係ありません。といいたいですが緑の光線がR-GRAY1のロックオンレーザーにそっくり。
■聖霊機関
初心者向けSTGのエスプガルーダに登場する錬金術による動力源。人間に使うと覚聖して性別が反転するというTS好きへのご褒美。
ちなみに最終ステージ後半以降は初心者向けではありません。
■石のような物体
トレジャー製縦STG、プロジェクトRSシリーズの伝統ボスユニット。
内容は一定時間ただひたすら((無抵抗での弾避け|ドットイート))をし続けるというもの。
演出戦の一つの極み。
説明 | ||
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