上条「救われぬ者に救いの手を」最終日 |
共同生活10日目
―上条の部屋―
神裂「おはようございます」
上条「んっ。おはよう」
神裂「昨日はまた暴走してしまったみたいですね」ハハハ
上条「実は、あんまり覚えてないんだよな」
神裂「それは残念です。とてもかわいかったのに」
上条「え? 上条さんが!?」
神裂「はい。とっても」ニコ
上条「あんまり聞きたくないな……」
上条(今更なんだが、火織って実はS?)
神裂「しかし、おかげさまでいい思い出ができました」
上条「別にこれ以降会えなくなるって訳でもないだろ?」
神裂「あ、それもそうですね」
上条「まったく……」
神裂「それに、当麻のことですから、きっとまたすぐ会えると思います」
上条「それは、上条さんがまた何か事件に巻き込まれるってことですよね?」
神裂「そういうことです」
上条「それも素直に喜べませんよー……」
神裂「ふふっ、冗談です」
上条「冗談で済めばいいんですけどね……」
上条「そういえば、何時の飛行機なんだ?」
神裂「12時ちょうどの便ですね」
上条(というと後4時間くらいか)
神裂「といっても、2時間程度前には空港に行ってないとマズイですね」
上条「あれ? そうなのか?」
神裂「色々と手続きがありますから、その程度前に行くのは当たり前ではないですか」
上条「え? イタリアに行ったとき、30分前に空港に着いた上条さんって……」
神裂「能力者が外に出る場合、いろいろ手続きがあって時間がかかるんですよね? よく間に合いましたね」
上条「そ、そこは気合で」
上条(たしかに、インデックスの服の件もあってかなりギリギリだった気がする……)
上条「よし。それじゃ、飯食って、荷物まとめようぜ」
神裂「そうですね。そうしましょう」
上条(と言っても、大した荷物持ってきてなかったよな?)
上条「あ」
神裂「どうかしましたか?」
上条「堕天使エロメイド服はどうすんだ?」
神裂「お、置いていくに決まってるじゃないですか! あんなもの持って行けませんよ!」
上条「それもそうか」
上条(うちに置いていかれても困るんですけどね)
〜〜〜
上条「って本当に荷物少ないな」
神裂「ええ。こちらで購入したものがほとんどですし」
上条「それじゃ、遅れても仕方ないし行こうか」
神裂「え? 見送りに来てくれるんですか?」
上条「そりゃそうだろ。上条さんはそこまで彼女に冷たくありませんよ?」
神裂「あ、ありがとうございます」
上条(そもそも行かないって選択肢がある訳ないだろ)
上条「本当に忘れ物はないよな?」
神裂「…………」
上条「神裂?」
神裂「あ、すみません」
上条「何か見てたみたいだけど、どうしたんだ?」
神裂「いえ、またここに来れるのは先になりそうなので、少しでも目に焼き付けておこうかと」
上条「そっか」
神裂「すみません。なんだかしんみりさせてしまって」
上条「ん、いいって。そんなに思ってくれてうれしいし」
神裂「そうですか……」
上条「それじゃ、そろそろ行こうか」
神裂「はい、当麻」
バスで移動中
―――
上条「なあ、火織」
神裂「なんでしょうか?」
上条「……この10日間は楽しかったか?」
神裂「はい?」
上条「土御門にからかわれたり、ちょっと怖い思いもしただろ? だから、うちに居る間楽しんでもらえたのかなーってさ」
神裂「もちろん楽しかったですよ? 楽しさ以外にもいろいろありましたけど」
上条「そっか。……それならまた来いよ」
神裂「え?」
上条「デカイ事件が起きれば、また会うこともあるだろうけどさ。別に用事がなくても、いつでも歓迎するから」
神裂「当麻……」
上条「なんか火織は、そう言っておかないと、いきなり押しかけて迷惑なんじゃないかーとか考えそうじゃない?」
神裂「そ、それは……」
上条「はは。本当はこっちから会いにいければいいんだろうけど」
神裂「いえ……。ぜひそうさせていただきます」
上条「ああ。遠慮なんていらないからな」
神裂「分かりました」ニコ
―第23学区 空港―
上条「もう空港か」
神裂「そうですね」
上条「なんだか、この10日間はかなり短かった気がするよ」
神裂「私もですよ」
上条「あ。そういえば、五和とか建宮も来てるんじゃないんだっけ? 一緒に帰るのか?」
神裂「昨日の土御門の話では、建宮斎字は先に帰ったと聞きました」
上条「五和がすごい顔して追いかけていったみたいだけど大丈夫だったのか?」
神裂「はぁ……。命に別状はないと言っていましたが」
上条(怖っ!? 建宮に一体何したんですか、イツワさん!?)
神裂「まあ、自業自得でしょう。アレは昔から少々遊びすぎるところがありましたから」
上条「そうなのか?」
神裂「今回の件にも一枚噛んでいたようですし」
上条「土御門と建宮のコンビか……」
神裂「私にとっては、特に扱い辛い2人ですからね……」
上条(2人ともノリいいし、気が合いそうだよな。ただ、そのせいでとばっちりを喰うのはゴメンですけどねー)
<12時発ロンドン行きの搭乗手続きを開始しました。ご搭乗のお客様は、お早めに手続きをお願いします。
神裂「おや、もうそんな時間ですか」
上条「みたいだな」
上条(もうお別れか……)
神裂「…………」
上条「…………」
神裂「当麻」
上条「なに?」
神裂「大変お世話になりました」ペコ
上条「おう」
神裂「このご恩は、必ず後日返しますので」
上条「オイオイ、今更なんだよ? 気にしなくていいのにさ」
神裂「いえ、これは私のケジメですから」
上条「ケジメって……」
神裂「今回のことで、また借りを大きくしてしまいましたからね」
上条(ここ数日、そういうこと言わなくなったと思ったら……)
神裂「……ですが、ここまで大きくなってしまうと、どれだけかかっても返せそうにありません」
上条「ん?」
上条(このフレーズは初めて聞くぞ?)
神裂「で、ですから、これから一生をかけて返すつもりですからっ!!」
上条「はい?」
上条「ええと、それはどういう……」
神裂「///」
上条(一生をかけて返す? それじゃまるで……)
上条「プロポーズ?」
神裂「!!」ビクッ
上条「えーと……」
神裂「ち、違います! そう言う意味は、込めていませんから!」アタフタ
上条「そうなのか?」
神裂「と、とにかく、そういうことで」ビシッ
上条「え? あ、うん」
神裂「こほん。それでは、また会いましょう」
上条「あ。そうだ」
神裂「どうかしましたか?」
上条「最後に、離れてても頑張れる『勇気』をあげましょうか?」
神裂「…………はい。それではお願いします」
上条「それじゃ」
「」チュッ
神裂「ありがとうございます」
上条「それじゃ、気をつけてな」
神裂「はい」
神裂「愛していますよ。当麻」
上条「俺もだよ。火織」
完
その日の夜
―上条の部屋―
上条「やっぱり、火織がいないとちょっと寂しいもんだな……」
上条(あ。そういえば、インデックスはどこにいるんだ?)
上条「土御門なら知ってるか?」
<ピンポーン
上条「っと。そう言った傍からご帰宅ですか」
上条(腹空かせてて、会った途端に噛み付くのとかは、さすがにないよな?)
上条「はいはい。今、行きますよー」
ガチャッ
上条「お帰りー」
神裂「あ。ただいま帰りました」
上条「…………え?」
神裂「ははは……」
上条「ちょっと待った。なんで火織さんがココにいるんでせう? お昼にロンドンに帰ったのでは?」
神裂「ええと、やはり説明が必要ですよね?」
上条「考えられる理由としては、飛行機に乗り遅れた……とか?」
神裂「さすがに、あれだけ時間があって乗り遅れることはないと思いますよ」
上条「ってことは、ロンドンに帰りたくなくて乗らなかったのか!?」
神裂「そうしようと少しは考えましたが、そうではありません」
上条「じゃあ、何故ここに?」
神裂「簡単なことです」
上条「簡単?」
神裂「仕事ですよ」
上条「…………はい?」
神裂「実は、神の右席の後方のアックアから果し状が届いたんです」
上条「え?」
神裂「内容は『上条当麻の右手を差し出せ』ということのようでして」
上条「ちょっと待て……」
神裂「休暇を取って日本にいた私と天草式の数名が今回の任務に当たります」
上条「マジですか……」
神裂「ええ。大マジです」
上条「前方、左方と来て、今度は後方さんですか……」
神裂「まさか、ノータイムで事件に巻き込まれるとは思ってもいませんでした」
上条「だーっ!! ローマ正教のやつらは上条さんに恨みでもあるんですかーっ!?」
神裂「その通りではないのですか? いろいろと潰してきていますし」
上条「聖人相手に生き残れるだろうか……?」
神裂「私の魔法名にかけてお守りします」
上条「salvare000、救われぬ者に救いの手を……か」
上条(確かに、火織がいれば心強いな)
神裂「そういう訳ですので、またお世話になります。当麻」
上条「ああ。こちらこそよろしくな。火織」
今度こそ終わり!
・以下後記
なんとか無事完結!!
今回、この2人を書いてみて、鈍感な上条さんと奥ゆかしい神裂さんの組み合わせは動かしづらいことが判明。
どっちかキャラ崩さないと進展が難しいんですよ。マジで。
せっかくの設定を生かしきれなかったのも反省せねば……。
ただ、当初の目標だった『神裂さんを年相応に見せる』という狙いは達成できたかと。
今のところ、後日談を書く予定はありません。
ちなみに、この後、アックアは闇の波動に目覚めた五和さんが「聖人殺し」という新術式で木っ端微塵にしました。
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50000文字いってないのにエラーがでるのはなぜ? という訳で最終日。 |
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