【オリジ】ツイッター小説 .2 |
手帳がないと気づいたのは映画館を出てしばらくしてからだった。ナイトショーだったから戻った所で開いていないだろう。明日予約した企業説明会はどこだっただろうか。頭の中の予定表を開くも、何もヒットしない。手帳は私の脳みそだったのだ。脳みそを失った私は、スーツのまま夜の街をかけだした。
曜日を確認する間もなく働き詰め、漸く仕事が片付いた頃には疲労で頭がくらくらした。すると「お疲れ」と同僚がチョコをくれた。ふと同僚を見ると、何故か顔全体を真っ赤にしていた。頬紅塗りすぎじゃない?と言うと同僚は怒ってチョコを取り上げた。その後カレンダーを見た。もう二月の半ばだった。
最近、外国人が増えてきた。だけど僕は普通の日本人なのでただ現状を受け入れた。その内に外国語の標識が増えてきた。反対に日本語が減ってきたが、僕は何も言わなかった。最終的に日本語がなくなり、僕は漸く声を上げた。だがその頃にはもう僕は日本人ではなかった。人々は僕を日本愛好家と呼んだ。
ガラクタを百個集めても宝物にはならない。だがキレイなものを一個見つけたなら、それだけで幸せになれる。だけどその一がないから、私は百を宝物と呼んだ。不思議な物でガラクタも百集ると自然と愛情が深い物が芽生えてきた。だけどもし一を見つけたら、私は直ぐにでもこの百を全て捨てるのだろう。
宝箱をひっそりと隠した。だが数ヵ月後、宝箱の存在があの人にばれた。私は泣いて拒んだ。けど、宝はあっさりと彼に誘拐されてしまった。やっぱり駄目。大切なものを大切にする。私にはその能力がない。ならば今度はもっと厳重に隠そう。そう強く決意して、私は宿ったばかりの我が子を抱きしめた。
肌寒い風が頬を刺激した。寒そうだね、と彼の手が頬に触れた。私よりほんの少し冷たい手。頬は温まることなく冷えていった。深夜のメリーゴーランドはロマンチックに見えたが、実際は寒いだけだった。全然楽しくない。私が呟くと彼は苦笑した。「まるで君と僕みたいだ」
私を私だと分かる人間は私を含めこの世に三人しかいない。一人は容姿も性格も瓜二つの双子の妹。もう一人は幼馴染の彼。私達は彼が大好きだった。ある日、彼はいなくなった。どうやら女と駆け落ちしたらしい。母は泣きながら私の名を訊ねた。私は全てを理解し、姉がいなくなったといい、泣いた。
「貴方の志望動機は?」面接官の質問に男は何も答えない。「何か理由があって来たんでしょう」と優しく問うと、男は小さく頷いた。後日、男は死んだ。当初は他殺の可能性を疑っていたが、男の部屋から遺書が見つかり、事件は自殺として処理された。遺書には人生に疲れたので死亡しますと書かれていた。
親が寝たのを確認し、袋の中から妖精の粉をとりだした。全身に被ると白が段々と私を満した。そしたらピーターパンが現れて、こう言った。「さぁ、一緒に夢の国にいこう」私は彼の手をとった。夢の国。そこは成長しない子ども達だけの楽園。私は開け放たれた窓から、彼と一緒に旅だった。
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第二回twittere小説大賞に応募したものの一部。 |
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