秘密結社・きのこ研究所 #3 謎が謎呼ぶ! きのこ研究所(前編) |
第3話 「謎が謎呼ぶ! きのこ研究所(前編)」の巻
(某時刻・きのこ研究所(リン所長のとこ)所長室)
リン:ふぁ〜ぁ、ひまね〜
レン:大変なんだよーん!!
ミク:ミクミクミクミクーン!
レン副所長とミク副所長が所長室に駆け込んできた。リンは中途半端に腰掛けていた所長椅子からこけて落ちた
リン:いたた・・・ちょ!、なによ!、落ち着いて!
レン:落ち着けるような事じゃないんだよーん!
ミク:ミクミクミク!
リン:だから、何が起こったの!、これでも飲んで、ちゃんと1から説明しなさい!
リンは、レンにバナナジュース、ミクには葱ジュースをコップ1杯ついで渡した
ゴクゴクゴク(飲み干した)
レン:ぷは〜、やっぱ、バナナジュースは最高なんだよーん!
ミク:葱ジュースが一番美味しいのね ミクミク!
リン:で、何が起こったの?
レン:なんだっけ?
ミク:ミクぅ?
リン:ちょっと・・・
???:ここから先は私がちゃんと説明します
リン:あ、がくぽチーフ!。このボンクラ達に変わって頼みますね
レン:ボンクラじゃないんだよーん! ネジが100本抜けているだけだよーん!
ミク:それ同じ事 ミクミク
がくぽチーフ:ずばり、この前のベニテングダケ用の成分X及びZの前駆体成分Yが入った褐色瓶が盗まれました
リン:え・・えーーーーー!!、だってアレ、厳重に・・・っていうか成分Yだけなの?
がくぽチーフ:はい、Yだけで反応物のXとZは無事です。それとセキュリティは確かに厳重でした。が、全てが突破されたらしく、何故か保存棚には荒らされた形跡が無く、さらに全てのカギがちゃんと締まってました。先ほどの昼チェックで棚を開けた時、初めてわかったのです。申し訳ありません。セキュリティ担当の私の落ち度です。
リン:初動捜査になるけど、指紋は?
がくぽチーフ:開錠に関連する所だけになりますが、ふき取られてます。常識的に考えると、“誰かの犯行である事”を立証してしまう犯人のミスかもしれませんが、肝心の犯人の指紋が検出できないので、先手はとられました。
リン:誰かの犯行・・・普通に考えたら、事情を知っている“内部の犯行“って事になるわね。全ての所員のチェックはしたの?
がくぽチーフ:リン所長以外の全ての所員の持ち物及び机上はチェック済みです。あの研究の関係者でもある、私と私の研究室全員、プリマ医師だけでなく、リン所長のこの部屋以外、失礼ながらチェックさせて頂きました。勿論、全員シロです
リン:一応、ここも調べる?
がくぽチーフ:リン所長の今の言動から、その必要はないでしょう。内部の犯行でないか、もしくは既に瓶はどこかに移動されたか、です。
リン:内部でないとするなら、組織内限定での来所者である外部ね。一応秘密結社だから完全外部の来所者はいないから
がくぽチーフ:重要物品扱いの保存棚だったので、例え組織限定の来所者でも立ち入ることは出来ません。来所者のIDカード携帯は必須で、携帯していないと所内を移動できません。ので、外部の犯行は消えます。
リン:え、じゃぁ、残るは、“どこかに移動された”、ね。
がくぽチーフ:現在、セキュリティ担当チーム全員で、机上だけでなく、所内全体のチェックを行ってます
リン:その結果待ちね
(数分後)
誰かがノックをしたあと飛び込んできた
担当者:失礼します!!。セキュリティ担当の者です!。見つかりました!!
がくぽチーフ:!、どこにあった!
担当者:それが・・大変申し上げにくい所なのですが・・・
がくぽチーフ:緊急時だ!、かまわん!
担当者:・・・がくぽチーフの執務室です
がくぽチーフ、リン、レン、ミク:!!!
担当者:正確には執務室にある“茄子ワイン用の棚”の奥に隠されてました
がくぽチーフ:な!・・・・、わ、私は知らんぞ!、全く身に覚えがない!、大体常識的に考えてみろ!、セキュリティ管理者が犯罪起こすか?!
リン:・・・灯台もと暗し・・・・ね。セキュリティ担当だからこそ、行動も発言も自由自在だものね。担当者さん、がくぽチーフを組織内治安部署の独房へお願いします。ミクとレンも同行して。私は本部へすぐ連絡します
がくぽチーフ:ちょっと待て!、私の話を聞いてください!
リン:取調室で後日、たっぷり聴かせていただきます
(低いミクの声):暴れるがくぽチーフを3人でやっとこ拘束し、無理矢理だが部屋に連れて行かれてしまいました。そしてリン所長は机上の端末から本部のKAITO社長へ直接連絡を取りました。
KAITO社長:何用だ。
リン:重要危険薬品無断横領の容疑で、がくぽチーフを拘束しました。現在独房に入れております。
KAITO社長:有事だな。事大きい故、簡単な経緯説明を送ってくれ。MEIKO会長へ私から連絡する。
リン:はい。
リンが経緯説明書類を送ってから10分後・・・
KAITO社長:これはどういうことなのか、正直わからんのだが・・・リン所長、がくぽチーフをすぐ釈放してくれ。
リン:!、え、だって、明らかに・・・
KAITO社長:証拠不十分であること、罪を着せるために、がくぽチーフの部屋に誰かが侵入して置いた可能性があること、成分Yは危険物だが反応させなければ毒性が無いこと、セキュリティ担当者の起用は厳重な審査で行われている事、等がMEIKO会長から直接届いたメールの中身だ。いずれにしても、“今後危険物の管理は所員全員がより厳重に行うこと”、で今回の件は終えるとの事だ。私にも会長のお考えがよくわからん。
リン:(本当にそんなんでいいの?!)わかりました。そのように処理します。
KAITO社長:頼むぞ。では。
通信はこれで終わった。
リン:レン君、ミクさん、独房担当者に連絡して、がくぽチーフをすぐ釈放してもらって。MEIKO会長のご判断で無罪放免なんだって。もう、わけわかんない・・・。
ミク:わかりました ミクミク
レン:もしかして、MEIKO会長と、がくぽチーフ、いい感じなのかもだよーん
リン:レン君、まだ死にたくないでしょ?、この部屋に盗聴器がないって確認調査、まだやったことないのよ?
レン:い、今のはミクがさっき言っていたことだよーん
ミク:葱ブレードで切り刻まれたい?
レン:・・・・ごめんだよーん、許して頂戴だよーん・・・・
リン:(はぁ、それにしても、今回のコレ、どうなってるのよ?)
(某時刻・女子トイレ内)
誰かが特殊通信機で誰かと交信していた。
???:こちらアン、応答願います。
???:こちらビッグ・アル、どうやら依頼はこなしてくれたようだな。
コードネーム「アン」:はい。目的の物の加工と発送のための安全な時間を稼ぐために所内の人物を使いました。意外に早く解決させられてしまいましたが、送付品の加工、発送は無事終了しました。
コードネーム「ビッグ・アル」:そうか。ご苦労だった。知っていると思うが、これでこちらからの依頼は最後になり契約解除となる。勿論、私との交信は出来なくなり、報酬も今回で最後になる。毎回のきっちりした仕事、感謝する。
コードネーム「アン」:了解しました。では、お元気で。
コードネーム「ビッグ・アル」:そちらもな。
交信はここで終了した。交信していた人物は、通信機をバラバラにしてから廃棄物箱に通信機のパーツを分割して捨て、交信前にいた部屋に戻った。
(某時刻・某所)
鍵を開けて入ろうとしたら、鍵は開いていた。思い当たる事はある物の、不思議に思いながら、コードネーム「アン」と呼ばれていた人物が入ると、中には誰かがいて、椅子に座っていた。
???:来たか。コードネーム「SWEET」
コードネーム「SWEET」:あら、初めてね、あなたの方からこっちの部屋に来るなんて。よほど緊急のミッション連絡なのかしら?、コードネーム「EGG・PLANT」さん?
コードネーム「EGG・PLANT」:今回はMEIKO会長がらみのミッション連絡ではない。訊きたいことがあるので、合い鍵で入って待たせて貰った。
コードネーム「SWEET」:レディの部屋に合い鍵で入るのは、ちょっといかがな物かしら?。ここの部屋の鍵は、私とあなたしか持っていないけどね。
コードネーム「EGG・PLANT」:それはこちらが言いたいことだ・・・・がくぽチーフに一度罪が着せられる事件が起こったそうだな・・・これはどういうことだ?
コードネーム「SWEET」:なぜ、私に?
コードネーム「EGG・PLANT」:あの部屋の鍵を持っているのは、私とおまえだけだからだ。
コードネーム「SWEET」:そうですわね、ご自分の部屋の鍵くらい、ご自分は当然もっているはずよね、コードネーム「EGG・PLANT」、いえ、がくぽチーフさん?
がくぽチーフ:そうだ!!。あの部屋になんらかの件で鍵を開けて入れる人物は、私とおまえだけだ!。私に身に覚えがないのなら、消去法的に、お前だけだろうが!。それも今回の事は“MEIKO会長の指令”でもなんでもなく、私からのミッション内容でもない!。考えられる事は2つ。1つはお前の個人的理由でやった事。もう1つは・・・
コードネーム「SWEET」:・・・『二重スパイ』って言いたいのね。当然だと思うけど、両方に関して一切ノーコメントよ。
がくぽチーフは日本刀を抜いた。
がくぽチーフ:どちらかであるかの答えや、やったやらないの答えは、最初から望んでいない。“怪しい者は斬る“、それまでだ。これまでの共同ミッションの成果の件もある故、一刀で両断してやる、感謝するのだな、コードネーム「SWEET」、いや、「プリマ医師」?。
プリマ医師:・・・まさか、あの“ミリアム潰し”の報告会が最後のミッションになるとはね・・・
がくぽチーフ:問答無用!!!
がくぽチーフは一歩前に踏み込み、日本刀を振り下ろした!、が・・・
シャキーン!、ギギギ!
プリマ医師の左手のメス2本であっさり受け止められてしまった!
がくぽチーフ:うぬぬ!、日本刀を・・・片手のメスで・・・受け止めるとは・・・・さすが相棒だった女・・・
プリマ医師:知っているなら軽率な行動は控えたら良かったのに。私、右手は空いているんだけど・・・
プリマ医師の右手には、メスが1本握られていた
がくぽチーフ:!・・・・・やれ!、武士に情けは無用!
プリマ医師:でも、そういう訳にはいかないみたいよ。おじゃま虫ご登場よ
がくぽチーフ:なに!?
入り口のドアが叩かれ、ドアの前でレンの声がした
レン:プリマせんせー!、連絡事項があるんだよーん!、直接申し送りしないとだめなんだよーん!、入ってもいいですかだよーん!?
がくぽチーフ:くっ!、この勝負、今は預けておく!
がくぽチーフは日本刀をしまい、すぐさま窓から退室したのだった。プリマ医師は窓を閉めて、ドアを開けた。
レン:よかったんだよーん!、先生探したんだよーん!。
プリマ医師:なんで内線で連絡しなかったの?
レン:内線も所内放送もやったんだけど、繋がらなかったんだよーん。コードが切れているみたいだったんだよーん!?
プリマ医師:(がくぽチーフね)で、連絡事項って?
レン:MEIKO会長が、すぐ連絡が欲しいって事なんだよーん。せんせいのプライベートライン経由を使って欲しいって事だよーん
プリマ医師:(ライン切られていたから、ここへ連絡できなかったのか)わかったわ、ありがとね。すぐ連絡するわ。
レン:これで連絡終わったんだよーん、帰るんだよーん。
レンは退室して帰っていった。プリマ医師はレンが帰った事を確認した上で、“重要連絡中につき、入室禁止”の札をかけ、切られたラインを修理してから、プライベートライン経由でMEIKO会長へPCのTV電話をかけた。
(低いミクの声) 風雲急を告げる、後編に続く!
<備考>
第2話「報告会だよ! きのこ研究所(後編)」の???だった所は、今回謎の一部が公開されたので、開示させていただきます。
○???:(よし、頃合いだ!) → がくぽ(チーフ):(よし、頃合いだ!)
○以下の3人の台詞部分。
???:(GJだったぞ!)
???:(さすがのサプライズね。タイミングピッタリだったわよ)
???:(これも仕事の内なんでね)
↓
メイコ(MEIKO会長):(GJだったぞ!)
プリマ(医師):(さすがのサプライズね。タイミングピッタリだったわよ)
がくぽ(チーフ):(これも仕事の内なんでね)
***
CAST
リン所長:鏡音リン
レン副所長:鏡音レン
ミク副所長(兼ナレーター(低いミクの声)):初音ミク
がくぽチーフ(密偵・コードネーム「EGG・PLANT」):神威がくぽ
プリマ女医(密偵・コードネーム「SWEET」、スパイ・コードネーム「アン」):PRIMA
KAITO社長(マフラー総帥):KAITO
MEIKO会長(アルコル大帝):MEIKO
コードネーム「ビッグ・アル」:???
セキュリティ担当者、隊員、他の所長達:エキストラの皆さん
説明 | ||
○ボーカロイド小説シリーズ第1作目の”秘密結社・きのこ研究所シリーズ”の第3話です。ボカロ達がスタッフのおかしな研究所を中心に、おかしな日常が展開します。 ○事件発生!? |
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