２

　「いくぞ舞華。雷神の遊び、風神の悪戯（ドゥーラムヘムラティオ・プリュード・ロキ）」

　雷神と風神が衣さんの前に現れる。

　「なっ？二つもやなんて卑怯やで衣さん。

契約によって目覚めよ、悪魔の鬼斬り刀、月夜を紅く染めよ・・・

月血鬼桜（げっちきざくら）・・・」

　「月血鬼桜だとっ？ふざけんなよ舞華！！、鬼をも桜の花びらの如く、一瞬にして散らせてし

まう伝説の禁辞刀（きんじとう）じゃねぇか！！」

　驚く衣さん。どうやらとんでもない刀らしい。

　刃渡り二メートルを優に超すその刀には、鬼と桜の大彫が施されている。

　そんな刀を片手で軽々と持ち上げて、舞華ちゃんは衣さんに向けて言った。

　「雷神はまだしも風神のほうは盾にもなりませんね・・・

では・・・参るっ！！」

　ダダッ

　一瞬で間合いを詰める舞華さんに風神が止めにかかる。

　「そんな紙でウチは止められへんで。一刀流神殺しの一太刀、神散崩納舞曲（しんざんほうのうぶきょく）」　

　ズバァァァッッ

　もはや肉眼で目視できないほどの素早い太刀筋。桜が散るかのように見事に風神がばらばらに

散らされた。

　「月血鬼桜の付加能力で斬撃の速度が遥かに増しているのか・・・雷神っ！」

　「ん？」

　「雷神の無限槍（ヒューメルティナーム・ロクボウフィマルガ・カルドラウェイ）」

　ドドドドドドドドドドドドドドドドッ

　「無限に出てくる雷神の槍やな。やっかいやね・・・」

　電気を帯びた巨大な槍が、舞華ちゃんに向かって飛んでいく。

　それをすべてたたき落としてはいるものの、雷神をなんとかしない限りは意味がない。

　「終わりだな舞華。いくら刀が優れていても従者は人間だ。この無数の攻撃は防げまい」

　ザザッ

　「全進しただと？」

　無数の槍に向かって前進する舞華ちゃん。

　「もう一本出させてもらうで。これで平等やろ・・・

異界の悪魔の造りし魔剣よ現れろ、幻魔黄刀（げんまおうとう）」

　「新たに禁辞刀をもう一本だと？」

　「二刀流奥義、双刀桜鬼桃源縁装（そうとうおうかとうげんえんそう）」

　ズババッ

　二つの太刀が雷神ごとすべての槍を斬り裂いた。

　キンッ

　舞華ちゃんは振り返り様に、刀を鞘に納めて首の後ろに担ぐような体勢を取る。

　持っているのは月血鬼桜のみだ。

　「チェックメイト・・・」

　ブシュウウッ

　突如、衣さんから大量の血が吹き出てきた。

　「斬られたのか・・・」

　「一刀流不可死期居合、月下乱血桜（げっからんけつざくら）・・・」

　ドサァッ

　「綺麗な月夜の晩に、雷雲は似合わない・・・」

　「しょ、勝者、孔雀院舞華。」

　斬る姿すら見えないほどの太刀。これこそまさに居合斬り。月血鬼桜の能力と、舞華ちゃんの

剣術をもってしてなせる神業だった。

　３

　この試合によって、予選の順位が決定した。

　一位、孔雀院舞華

　二位、織物衣

　三位、籠山三尋

　　　　エイミー＝エヴァンス

　他高の本選メンバーの発表は明日。トーナメントの発表が明後日。そして

本選は三日後だ。

　本選まであと三日しかない。

　俺はできることをしないとな・・・

　４

　本選メンバー一覧

　流水学院

　２年

　籠山三尋

　貢納松

　織物衣

　１年

　渡邊彰文

　御狩懈刹那

　孔雀院舞華

　七天国使

　湖都海天使

　エイミー＝エヴァンス

　三澤薪南

　計１０名

　中尊寺学院

　「来たか、彰文くん・・・」

　３年

　シグマー＝フェルティマ

　２年

　黒雲　紅葉（コクウン　モミジ）

　１年

　白龍（パイロン）

　死神（シニガミ）

　天上　天馬（アマカケル　ペガサス）

　最縁　我風（サイエン　ガフウ）

　下呂丸（ゲロウマル）　

　計７名

　今井高校

　「わらわの優勝に間違いないのじゃ。

せいぜい足元で足掻くがよいのじゃ愚民ども・・・」

　３年

　輝夜　月姫（カグヤノ　ウサギ）

　金太郎　親方（キンタロウ　オヤカタ）

　２年

　言峰　神代（コトミネ　ジンダイ）

　本能寺　歌麻呂（ホンノウジ　ウタマロ）

　才藤　蝦夷（サイトウ　エミシ）

　１年

　龍神　スサノオ（リュウジン　スサノオ）

　出雲阿国　業平（イズモノオクニ　ナリヒラ）

　馬慈魔　結（マジマ　ユイ）

　天海　蜜柑（アマミ　ミカン）

　修川　兼村（ジョウカ　カネムラ）

　計１０名

　冷門学院

　「六道の彼方へと誘（いざな）わんや・・・」

　３年

　六道　輪廻（リクドウ　リンネ）

　クリスティア＝アルゼフ

　２年

　烏野　林道（カラスノ　リンドウ）

　辰頭　傷英（タット　ショウエイ）

　１年

　柄羽牛頭　煉冶（ガラパゴズ　レンジ）

　人形焼　姿（ニンギョウヤキ　スガタ）

　神道　木蓮（シンドウ　モクレン）

　天埜美琴　神威（アマノミコト　カムイ）

　シュバルツ＝トルゲン

　納戸　芭蕉（ナンド　バショウ）

　計１０名

　辛羅高校

　「あれから１年・・・」

　３年

　大和　舞姫（ヤマト　マキ）

　猿渡　花（サワタリ　ハナ）

　２年

　本田　苦汁（ホンダ　ニガリ）

　天上院　千歳（テンジョウイン　チトセ）

　１年

　御霊　紅葉（ミタマ　モミジ）

　御波　奈乃（ミナミ　ナノ）

　超　天津（チャオ　テンシン）

　ノルカ　ソルカ

　間藤　ヒルカ（マトウ　ヒルカ）

　計９名

　聖☆宜保交響団体（セイント　ギボコウキョウダンタイ）

　「王者は貴殿の団体ぜよ・・・」

　３年

　緒貴田　驚殿下（オキタ　キョウデンカ）

　２年

　人妻　マリア（ヒトヅマ　マリア）

　１年

　水面　瑞希（ミナモ　ミズキ）

　不知火　記憶（シラヌイ　メモリ）

　落葉　手鞠（ラクヨウ　テマリ）

　計５名　

　５

　エピローグ

　俺は武道大会の次の日、家でゆっくりしていた。

　「しかしこの本選メンバー、ツッコミ所がありすぎてツッコめん。」

　俺がプリントを見て言うと、エイミーさんが言う。

　「今年は聖の連中も出てくるのか。この学校は代々、神父やマリアを育成する学校なん

だよ・・・」

　「ちょっ。人妻いるんだけどーー！聖なる学校なのに人妻いるんだけどーーーー」

　「・・・・」

　「おにぃたん。わたしとエイミーちゃんも、おにぃたんの人妻なの？」

　「そうだよアリスちゃん。人妻は変態なんだよ」

　「なっ？」

　「おにぃたん？わたしたち変態なの？」

　「人妻はおにーさんに奉仕するんだよ。たとえば・・・・」

　ボッ

　真っ赤になるアリスちゃん。

　「アリスちゃんに何耳打ちしやがったコラ」

　「年上の首元を攫まないでくれるかい？痛いのだが・・・」

　「おにぃたんの変態(>_<)」

　「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

　「おにーさんなにをしてるんだああああああああああああああああああああああ」

　「エイミーちゃんがおとなの階段登っちゃうよおおおおおおおおおおおおおおお」

　「放すんだよおにーさん。今度から変態って呼ぶぞ、この変態」

　「なんて可愛いんだエイミーたん。エイミーたん可愛いよおおおおおおおおおお」

　「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

　「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

　「おにぃーたああああああああああああああああああああああああああああんん」

　「でへへへへ。はあはあして誘ってるのかい、姫」

　「助けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーー」

　「エイミーちゃんが死んじゃうぅ。警察にれんらくしなきゃ・・・・・」

　「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

　「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

　「アリスちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

　「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

　「おい、マジで通報スンぞ彰文・・・」

　「止めろ夢幻、早まるなあああああああああああああああああああああああああ」

　「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ」