告白? |
目の前で揺れる二つのネコ耳と尻尾。そしてメイド服に包まれた二人の女の子。
あぁ、どうしてこうなった? 何でこんな変な状況になっているんだ!?
桐乃と黒猫。この二人がネコ耳メイド姿で俺の前に居る。
黒猫はともかく何で桐乃まで……?
「うぐぐ……っ、ど、どうしてあたしがこんなのを着ないといけないのよ……」
「こんなのって……自分から言い出したんでしょ」
「――ぐっ! で、でも……やっぱり恥ずかしいっていうか、そのなんていうか――」
「まったく……今更、そんな風にしおらしくしても可愛くないわよ。京介、あなたも
そう思うでしょ?」
な――っ!? こ、ここで俺に話題を振るのかよ! こんなの、なんて言えばいいんだよ。
下手なことは言えないし、『似合ってるぞ。可愛いぞ』なんて言うのも、それはそれで
変な空気になっちまう。
黒猫のやつ、俺を殺しにかかってきているな。精神的にだけじゃなく肉体的、社会的にも
殺しにかかってきている。
「どうしたの京介?」
黒猫がイヤらしくニヤリと笑みを浮かべる。
こ、コイツ……この状況を楽しんでやがる……
「あ、あの……な、桐乃――」
「ふぇ? あ、う、うん……」
もじもじと指を弄りながら俺の言葉を待つ桐乃。こんな風にしおらしい桐乃は初めて見る。
「に、似合ってるんじゃないか? そ、その……可愛い……ぞ」
後半、消え入りそうな声で桐乃に自分の感想を伝える。
は、恥ずかしい。すっげぇ恥ずかしいぞこれ。ただ妹を褒めるってだけなのにこの恥ずかしさ
はなんなんだよ。
しかも俺の感想を聞いた桐乃も――
「そ、そそそ、そう……なんだ。へへ、えへへ……」
なんだよこの反応。いつもの桐乃らしくない反応だ。
普段のあいつなら――『当たり前でしょ! あたしに合わない服なんてないのよ!』って
感じの自信満々な反応をするだろ。それなのに何でこんなにしおらしい反応なんだよ!
ヤバイ。この空気はヤバイ気がする。どうにかしてこの空気を変えなければ……
「そ、そういえば、黒猫のその姿もに、にに……似合ってるぞ」
「――っ!? ば、ばかっ、京介!」
不意を突かれたみたいで、顔を真っ赤にして文句を言う黒猫。
ふ、ふん! 黒猫には余計な恥をかかされたからな。こんくらいのことはしないとな。
「…………」
「――っ!?」
げしっと、桐乃に脛を蹴られた。
「デレデレしてんじゃないわよ!」
物凄い不機嫌である。何で桐乃はこんなにも不機嫌なんだよ。俺が何をしたっていうんだよ。
「――ふんっ!」
「ふ……っ、本当に京介はバカね」
「ぐ……っ」
確かにバカなのは否定しないが、そこまで言う必要はないだろ。
「どうしてここまでバカで鈍感でいられるのかしらね」
ぐぐぐ……
「私達がこういう格好をして、あなたの前にいる。それだけで気持ちを察しなさい」
見ただけで察しろって、なかなか難しい注文だな。つーか、ほんとに分からねぇよ。
「――ったく、ばか兄貴」
「ええ、バカね」
バカバカと連呼する二人。マジでそこまで言う必要はないだろ。
「バカですっごくバカだけど――」
「ええ、バカでスケベでバカだけど――」
まだ言うか……てか、黒猫は二回も『バカ』って言うなよ。
「「それでも京介が好きなの」」
「――っ!?」
二人からの告白。こんな時にこれはちょっと反則だろ。
訳の分からないタイミング。ほんとにこのタイミングで言うのはおかしい気がする。
それでもこの二人がこんな台詞を言ったんだ。だったら俺がするべきことは一つだろ。
たった一言、言ってやればいい。
“ああ、俺も二人が好きだ”ってな。きっと、この判断は間違ってないだろう。
そう……だよ、な?
「黒猫、桐乃。俺もお前らが好きだぞ」
――あぁクソ! 恥ずかしすぎるぞこれは。
でも……悪い気はしない……かな。
説明 | ||
黒猫さんと桐乃です。 京介この野郎…… |
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 桐乃 黒猫 高坂京介 | ||
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