お空の世界征服
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「あたしが地上を取り返してやる!!」

 あたしはそう意気込んでいたのよ。だってそうじゃない?

 地上の妖怪達はさとりさまを地上から追い出したんだから、あたし達にだって地上を奪い返す権利ってのがあるはずだのもね!

 

 せっかく手に入れたこの力……最強で究極の核の力を使って、地上を火の海にしてやるの。

 地上ならいくらでも力が使い放題だし、灼熱地獄以上の灼熱地獄で地上はもうパラダイスよ!

 

 あ、そうだ。地上を灼熱地獄にしたら、そこに地霊殿の国を作ろう!

 女王さまがさとりさまでお燐がお手伝いさんで……こいしさまがお姫様ね!!

 私はガンガン炎で国を大きくするんだ。どっかんドッカン!火に炊いて、さとりさまに褒めてもらうんだ!なんせ、さとりさまを追い出した奴等を炎で炙るんだから、きっと褒めてくれるに違いないよね。

 

 ある程度、地上が地霊殿になったら……次は地底の妖怪達を連れてこよう!

 勇義さんには大暴れしてもらって、パルシィには地上の妖怪を狂わせてもらって、ヤマメには川を汚してもらうの。

 きっと毎日が楽しくなるね!みんながみんな、好きなように暴れまわるんだから、楽しくないはずがないものね!

 

 

 ふふ、そんな毎日を作り出したあたしってば英雄だよね。

 みんなから、「うつほさまーうつほさまー」なんて言われちゃうんだろうなぁ……えへへ、照れるなぁ。

 

 「うつほさまーうつほさまー!」ふふ、気持ち良いなぁ。

 

 もしかしたらアイドルになれるかもしれないね。英雄じゃなくてアイドルよ。

 ふふ、それも悪くないね。

 

 私の撃ち出すお星さま。ぐるぐる回るお星さま。その中心で歌って踊るのがこのあたし。

 

 やっぱりあたしは英雄よりもアイドルの方が性にあってるかもね。

 『熱かい踊る神の火』って、とってもぴったりじゃないの。

 ようし、今日から私はアイドルね!それならお燐にはまねーじゃーをやってもらわないといけないわ。

 

 「おーい、おりーん!!」

 

 ……って、来ないや。いつもは大声で呼べば来るんだけどなぁ……。

 まぁ、いいか。お燐よりも最近会った……ああっ!!

 

 

 そうだ!忘れてたよ!!前に地霊殿に攻めてきた巫女や魔法使いはどうしたらいいんだろ?

 地上を取り返すって言うと、絶対に邪魔しにくるよね……うーん、あの二人は強かったからなぁ……あっ!でも大丈夫!!

 私にはたくさんの仲間がいるんだから!お燐だって勇義さんだってパルシィもヤマメも……さとりさまやこいしさまだって力を貸してくれる。

 みんなの力があれば、いくらあの二人が相手だって楽勝だよ!間違いない!!

 

 

 あぁ、何も間違いないよね

 

 明日からは楽しい……楽しい毎日が……うにゅにゅ……。

 

 

 

 「こら、起きなさい!お迎えが来てるわよ」

 うん……むー、ここは神社なの?地霊殿の国はぁ……?

 「……?何を言ってるか分からないんだけど……とにかく、あんたのとこのさそりだっけか……あのこわいのが来てるから早くつれて帰ってよ」

 別にさとりさまは怖くないよ。失敗したら、「ご飯抜きです」って仕方なさそうに怒るけど、少ししか怖くないんだよ?

 逆に褒めてくれる時なんかは優しく頭を撫でてくれるの。この力加減が絶妙でね、本当に気持ち良く思っていると、

 「ふうん……」

 って言って、ちょっと笑ってくれるんだから!

 

  「ふうん。さとりがねぇ……」

  

 もういいわ。霊夢には何を言っても馬鹿だから分からないものね。

 外でさとりさまが待ってるって言ってたし、早く外へ出ないとね。

 

 

 だんだんとお燐みたいに地をかけるあたし、これでも鳥なんだけどね。

 

 

 「あっ……」

 

 正面にはこの神社には似合わないほど立派な鳥居があって……その下には、さとりさまと……みんなが居た。

 さとりさまだけじゃなくて、お燐にこいしさまに勇儀さん、パルシィにヤマメ……みんながいるのよ……。

 

 

 「ほら、さとりさま、お空のやつ驚いてるでしょ?あたいの思ったとおりだよ」

 「へえ、あんなに間の抜けた顔をして……本当に驚いているんだねえ」

 「ほんと間の抜けた顔だわ。見ていて面白いくらいよ」

 

 みんな口々に好き勝手言ってる。

 でも、あたしは本当に驚いているんだよ?

 だって……お燐やさとりさまだけじゃなくて、勇儀さんにヤマメまでいるんだもん。

 

 「それはですね。みんながあなたのことが好きだからですよ」

 

 えっ?あたしはまだ何も言っていないのに……あぁ、さとりさまってば、あたしの心を読んだんだ。

 そうか……あたしは愛されてたんだった。

 地霊殿の国なんか作らなくても、あたしの毎日はとっても楽しいんだった。

 その毎日の中に、霊夢や魔理沙もいるし、地上の妖怪達もいる……

 地上を灼熱地獄にするなんて、とんでもないことだったよ。

 

 

 そして帰りがけにさとりさまは言ったの。

 「別に、私は地上の妖怪を恨んではいませんよ」って……。

 それにみんなで迎えに来たのだって本当は物見遊山だって……。

 

 

 ものみゆさん・・・って何だろう?さん付けだし誰かの名前なのかな?……まぁ、いいや。今日も楽しい一日だったし。

 

 明日も楽しいことがあるといいな。うふふ。

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やんわりとした東方SSです。 興味のある方はどうぞ。
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