三枚目と会長の結婚式 ページ1 『告白』 |
ページ1 『告白』
「つ、付き合ってくださいっ!」
その言葉が、耳の奥の底まで届いた。次第に、流れる空気はひしひしと重くなる。
頭を低くして、うずうずと返事を持っている女の子の姿はかわいいと言うか……また、大人の言うか。見てるこっちは、悪い事なんだろうが、楽しさすら覚えた。
「こ、こちらこそっ!」
そして、返事。OKもらった女の子は、迅速に頭を上げて歓喜の涙。それを見て、女の子の頭を撫でた後、手をつなぎ、どこかへ消え去って行った。
そう。告白されたのは、俺じゃない。俺は……言わば、上からの見物者だった。なかなか、おいしいところを見させてもらった。正直、心が辛い。まるで、心にグラビジャを喰らったこの感触は、初めてではなかった。
『告白』。まあ、イケメン&美少女ならこの点は問題ないのかも知れないが、俺―涼美洸矢はそんな甘酸っぱい経験はまだ済んでいない。ちなみに、俺は三枚目に属するのだろう。私立金宮高校に入学してから一年経つが、こんな経験が今、この瞬間に出来るなんて羨まし過ぎて、俺は……無性に叫びたくなった。という勇気も無く、俺はその場で座り込み、高校二年生という若さで、『想い出がいっぱい』を一人で歌っていた……。
俺を寂しく見つめる空の缶コーヒーは、風に仰がれ、ころころと階段を下りていった。
ところでだ。女子との関係は薄く、水分に浸すだけで消えて無くなるオブラート並みだったが、友達は少ない方ではなかった。中でも、この隣の席にいる木下洸史はよく仲良くしてもらっている。いつからだろう? 正直、名前に一文字だけ同じ漢字があれば、それでコンビ結成できるのであろうか。『洸コンビ』って、おもしろくないぞ。若人が……あっ、俺もか。という風に、こいつとは仲良くやっている。
「そうですか……。それは見物者にはよくあることです。まあ、幸い私には無かったですけど」
「だろうな。お前はイケメンだし、そういう心配はしていないだろうさ」
「いや。ところがどっこいです。いい出会いが無くて、正直困ってます。いっそここまで来ると、結婚まで出来ないかと思うくらいです」
「うそつけ」
正直、その笑顔にはムカつく時もある。イケメンで優秀。まあ、スポーツは俺には負けているが、女子には人気。彼女の一人や二人、二、三百人いてもおかしくないはずだが、どうやら洸史は彼女を作ってないらしい。いや、作らないのか?
「嘘ではありません。でもまあ、正直、あと一年はこうして過ごすのも悪くないかと思う今日このごろです」
「余裕だな」
「結構、苦しいです。やれやれ★」
最後の星はいらねえだろ!
洸史はそういうと、クラスの中では、トップクラスに値する美少女に話しかけられ、俺は……というと、その光景を見て見ぬふりをし、窓ガラスから透き通って見える空を眺めるばかりだった。
高校生活を謳歌しているのか? それとも、していないのか? 自分の心の中では……今の心の中では、多分謳歌していない。でも、高校生活楽しいことばかりじゃない。時には苦しい時だってあるさっ! 俺はこれにしがみ付くしか……。
ガラガラッ!
いきなり勢い良く、教卓側のドア開いた。そして、一人現れる。それは大層な美少女。お姫様、マリア様、プリズム様。つか、この高校美少女居過ぎだろっ!
「なあ、洸史。あいつ誰だよ」
「洸矢君、あの方をご存知でないんですか?」
「いや……全く」
「彼女は、この学校の生徒会長、そして四人で結成される、この高校ならではのグループ『キャスト』の会長でもある、姫木ゆいです」
「そんな凄い人の名を呼び捨てとは、お前……」
「いえ。小声なので大丈夫かと」
まあ、そんな大層な人が、俺なんかには用はなねえだろ。……寝よう。
「ちょっと」
……はっ?
俺の目の前で、耳に透き通るような声がする。そして、目の前にはその姫木ゆいの姿があった。しなやかに揺れる長い黒髪は、それだけでも美しかった。ロマンチスト乙、俺。
……待てよ? 『俺なんかには用はねえだろ……』これは、もしかしての、死亡フラグ……? 俺、なんか悪い事したっけ? 俺、さっきの空の缶コーヒーをそのままにしただけだぞ?
何見てんだよ、クラス全員。普段見ないくせに……
「な、なにか……」
「あなた、名前は?」
「涼美洸矢」
正直、緊張はしていなかった。もはや、通り越していた。
「そう。初めまして。私、姫木ゆいといいます。今日は、重大なことをあなたに伝いたいと思って来ました」
「なんぞや?」
「あなたには、いませんか?」
「はっ?」
すると、なぜか知らんが、ほっぺが赤く染め、右手を胸の真ん中に当て、口を開いた。
「こんなこと、こんな場所で言うのもどういうものかと思いますが……。洸矢君。あなた、私のパ○ツ盗みましたよね」
「知りません」
即答で返してやった。くだらん、俺がお前のパンツをなぜ、盗まんといかんのだ。そして、なぜクラスの全員、特に男子、騒ぐな!
「すみません。冗談です。これが、本当です。私と結婚してください」
「ほ〜らみろ。言ったろみんな。大したことじゃないって。俺がパ○ツなど盗む訳なっ…………はっ?」
「ですから、私と結婚してください」
終焉は迎えた。さっきのパンツマソの件より、クラス、主に男子のざわめき度は、最高潮にまで達し、俺を後ろから締めてくる奴まで居る。
今、自分になにが起きているかわからない。正直夢なら覚めてほしい。
そんな、幻覚に苛まれ、俺の今の気持ちは最高潮に達した訳でして……。
説明 | ||
手当たり次第でこんにちわ。初投稿とさせていただきます、Beerabiと申します。今回は、その場で考えながら作った作品を載せたいと思います。製作時間、四十分後半。参考有り。そんな感じで、多分至らない点がいくつか出ると思いますが……。 最初から、ぶっ飛んでると思います。 最後まで見ていただけたら幸いです。 |
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