双子の吸血鬼 第12章;新たな力の会得・前編
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 今日は晴天、そんな言葉が似合うくらいの空模様だった。

ここには雲ひとつも無く、太陽をさえぎるものは無かった。幾つ者鳥達が元気に鳴き声を上げている。

そして、太陽の昇り具合から見て丁度朝飯時であろうか。

「キティ、俺は自らを鍛える旅に出ようと思うのだが」

ここ、ヴァンとエヴァの住む城でヴァンから一つの提案が出された。

「え? どういうことですの?」

そのヴァンの提案に先ほどまで齧っていたイチゴジャムのついたパンをテーブルに置き、パンパンと手をはたいてからヴァンの妹エヴァ(エヴァはある一件からヴァンにはキティと呼ば

 

せている)が尋ねる。

「あぁ、先ずはチャチャゼロの話を聞いてくれ」

ヴァンはそういうと今年のエヴァの誕生日についに人形の身体を手に入れ、テーブル上でエヴァの側に置かれていたチャチャゼロを掴んで自分の前に置く。

「マァマァ ゴ主人 ソンナニ睨マネェデクレヤ 

俺ガ ラーカラ 聞イタ話ダト ソロソロ 大規模ナ 戦争ガ起キルンダゼ ゴ主人 ダカラヨ ソノタメニ 新シイ 力ヲ 手ニ入イレタイト 旦那ハ 考エタ ワケヨ」

そうチャチャゼロは言い終えると自分で元の場所に戻った。

普通なら人形は独りでに動く事はないのだが、エヴァから供給される魔力がそれを可能にしていた。

エヴァはチャチャゼロがその位置に戻ったのを見て口を開く。

「それは分かりますけど、今更何故でしょう? 兄さまならこの世の誰にでも負けはしないでしょう?」

エヴァがもっともな疑問を口にする。

今の時代、どのような者がヴァンに襲い掛かってこようとも負けはしないはずだ。

それに、ヴァンほどではないがエヴァも中々の実力を持っている。新たな力を欲する必要は無いのだ。

「だからこそ、だ。だからこそ俺はその誰にも負けない力を更に強固にしたい。誰もが俺達に挑もうなんて馬鹿な考えが浮かばないくらいにはな」

そのエヴァの質問に応えるヴァン。

確かに、エヴァとヴァンの首に賞金がかかり力を手に入れた今でも数世紀前と同じように未だ落とす事は不可能に近いこの宙に浮いている城を襲ってくる輩は多いのだ。

つい先日も隊を成していた、一つの賞金稼ぎを返り討ちにしたところだった。

「なるほど、兄さまの意見ももっともではありますわ。昨日もどこかの隊が襲ってきましたし・・・・・・」

その時エヴァに見せるため、ヴァンが闇の魔法を使いその隊を倒した。

それを見せられたエヴァはヴァンに闇の魔法の使い方の教えを請い、先日からそのための修行をしている。

いつもならエヴァに更なる力を持たせる事に反対のヴァンであったが、教えを請われた時反対をしなかった事から基からエヴァにこの魔法を教える事を考えていた事が分かる。

「エヴァも闇の魔法という新しい力を身に着ける。俺も何かしら新しい力を得なくてはならないと思ってな」

そう言って再びヴァンは朝食のパンを口につける

 

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言われてみれば数百年前と比べると、襲ってくる魔法使い達の力は強まっている傾向がある。

それは単純に昔より新しく開発された魔法がより強く、より使いやすくを考えて作られたからに他ならない。

魔力の熟練度では昔の方が強力だったが・・・・・・

「それもそうですわね。新しい力を求めるのは必然か・・・・・・」

そう考えたエヴァはヴァンの意見に同調した。

そして二人はお互いの考えが合わさる事を知ると朝食を開始した。

書き遅れてしまったが本日の朝食メニューはパン、サラダ、スープ。の三種類である。

サラダは新鮮な野菜をたっぷり使った生野菜サラダ。スープはコーンである。

パンにはジャムとバターが用意されている。

エヴァは先ほどテーブルに置いたパンを持ち食べ始める。

「それで、今回はどれほどになるんですの?」

パンを租借しながらエヴァはヴァンの方を見ながら尋ねる。

「何が?」その問いの意味が分からなかったヴァン。逆に尋ね返している。

「だから、今回旅に出ている期間ですわ」

エヴァは今回のヴァンの旅の帰還が聞きたかったようだ。

「んー・・・・・・」その問いに少し頭を考えさせるヴァン。

「大体で良いですわよ」ヴァンが間を空けたことで正確な帰還を考えているという事に気づいたエヴァは言う。

「大体・・・・・・3ヶ月・・・・・・いや、半年くらいかな? まぁ、大戦までには帰ってくる心積もりではいるが」

そう答えるヴァンは既に1枚目のパンを食べきり二枚目に今度はバターを塗っている所だ。

「正直、今回の相手は強そうなんでね、そんなに正確な日数とかわからないのさ」

そう言うヴァンに驚きの表情を浮かべるエヴァ。

「兄さまが言うほどの相手なんですの?」

ヴァンにここまで言わせるとは今回は何をしにいくのだろうと考えるエヴァ。

「あぁ、あの世の門番。閻魔の力を取り込んでくる」

先ほどまでバターを塗りこんでいたパンを一旦置きこちらを向いてニヤリと笑って言った。

 

「閻魔? あの兄さまが少し前に日本で退治したとかいうあの? あれは、以前兄さまが倒しのでは?」

エヴァが何を馬鹿馬鹿しい。といった感じで言う。

「あぁ、そうなのだが。ちょっと引っ掛かっててな」

パンにバターを塗り終えたヴァンは食べ始める。

「何がですの?」エヴァは聞く、パンを食べ終えたエヴァはサラダに手を出していた。トマトが嫌いなのか分けている。

「ちゃんと、トマトは食べないとダメだぞ。 前、対峙した時も思ったことなのだがあれがあの世の門番としては弱すぎると思ってな」

トマトを仕分けているエヴァを注意しながら言う。なので、エヴァは仕方なくトマトだけを先に食べ始めた。

「なるほど、今回の旅は本物を探してくる・・・・・・という事ですね」

エヴァはそのトマトの味と食感に苦い顔をしながらも言う。

「そういう事になるな」

ヴァンはそういうとそれからはお互いに何も喋る事は無かった。その無言の状態は皿の上が空になるまで続いた。

 

「何時ここを発つんですの?」

お互い朝食を食べ終わった頃にエヴァは可愛らしく首をかしげながら言う。

「準備もあるから、後2日の内には出発すると思うが・・・・・・なんだ? 買ってきて欲しいものでもあるのか?」

ヴァンは食べ終わり満足したのか、薄い笑みを浮かべている。

 

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「いえ、そういうわけじゃないですが・・・・・・」

そういって、エヴァは少しうつむいて「ただ、兄さまが心配なだけじゃだめですか?」と言うので

それを見たヴァンはそんなエヴァが可愛いと思い、その頭を撫で付ける。

「俺が旅に出るなど今更だろう?」ヴァンはそう尋ねる。

「でも、今まで兄さまは一度も相手のことが強そうだとか仰らないじゃないですか。だから、不老不死の私達ですけど、もしかしたら、もしかしたら兄さまが殺されるのではないか

 

と・・・・・・」

頭を撫でられながらエヴァはヴァンを上目遣いで見ながら言うと段々涙目になっていった。

「大丈夫だ。俺は死にはしないさ」

ヴァンはそう言ってエヴァの頭から撫で続けていた手を放す。すると、少しだけその手をエヴァににらまれた。

「そう睨まないでくれよ。もっと撫でてやりたいのは山々だがそろそろ、準備を始めたいんだ」

ヴァンはそういうと座っていた椅子から降りる。

そして、自室へと消えていった。

 

「はぁ・・・・・・」

ヴァンの消えていった自室に繋がる通路を見てため息を漏らすエヴァ

「ドウシタンダ? ゴ主人?」そんなエヴァに声を掛けるチャチャゼロ。さっきまで同じ所にいたはずの奴は今ワインを一本あけていた。

「・・・・・・たまにはキスの一つくらいしてくれないかしら」エヴァは誰とも無く愚痴をもらす。

「ショウガネェンジャネェカ? 旦那ダシ」

そんなエヴァに返すチャチャゼロ。そしてマァ 飲メヨとでも言うようにワインの入ったグラスをひとつ渡す。

エヴァはそれを見て朝っぱらから飲酒はどうかと思ったがどうも気分が収まらないのでそれを掻っ攫うように貰いグイッと飲み干し、チャチャゼロにお変わりを要求した。

「今回も留守番か・・・・・・人形でも作ってようかしら」

先のチャチャゼロの誕生日プレゼントから、人形作りという新たな趣味ができたエヴァであった。

その側では、チャチャゼロがエヴァの置いたグラスにワインを注いでいた。

「はぁ・・・・・・」またため息をついてワインを飲み干すエヴァであった。

 

 

 次の日ヴァンは一人部屋に篭もり、旅立つための準備をしていた。

篭もると言っても以前のように篭りっぱなしでエヴァに心配させるというほどでもなく、程ほどにだ。

そして準備をすると言っても取り出したのは手軽に持ち運びできるようなバック一つのみ中に入れた物も食料は入れず、薬、それに以前もらった結界を張るための札

だけを入れていた。

「よし、後はこれか・・・・・・」

ヴァンがそう言って取り出したのは魔法球である、これは随分前にエヴァと共にヴァンが作り上げたもので、この中に入ると別の空間に繋がっている。

更にそこは現世とは流れる時間が異なり、現世で一時間たったときこの魔法球の中では一日経っているという代物である。

二人はこれを主に旅行へと出かけたときに使う別荘として使用していた。

そして、必要だと思われる全てをバックの中に詰め込むとそのバックをベッドに置き

自分はその側にある、背が高い椅子に腰掛けた。

そして目を閉じトントンと眉間の辺りを叩く、一見すると考える人のようだ。

考えるのは勿論これからの事、ヴァン自身誰かに負けるとは思っていないが万が一、億が一という事もありうるという事も重々承知していた。

しばらく同じ動作を続けていると、ヴァンは突然目を見開き立ち上がった。

「よっし!」そう呟くヴァンの目には覚悟が現れていた。

その瞳は揺らいでいる訳では無く、確固たる意思で定まっていた。

ヴァンはベッドにおいてある、バックを引っつかみ背負う。

 

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そして、扉を開け放してこの部屋を出て行った。向かう先は玄関である。

 

 ヴァンは玄関で地平線を見つめると未だ太陽は昇りきっていなかった。かなりの早朝である。

そんな早朝特有の冷たい空気が肌を撫でる。

「ふぅ、この朝の空気は心地良いな。気分が自然と引き締まる」ヴァンの小さな独り言が朝の静寂に陰りをさす。

そう一人なのだ。エヴァはまだこの時間帯に起きてくるという事はない。起きてくるのはこの太陽がもう少し上った頃あたりだろう。

「ゴ主人には 言ッテイカネェノカ?」

「!・・・・・・ チャチャゼロか、あぁ言わないで行く。そうのがカッコイイだろ?」

だからいきなり声をかけられたヴァンは驚いたが、チャチャゼロがもう既に起きていても別段不思議ではないと思ったのでヴァンはそう言って返す。

その顔はイタズラが成功した子供のようにニヤリという擬音でもたてそうな笑みを浮かべていた。

「ソウカイ ナラ サッサト 行ッテ来ナ」

「あぁ、行ってくる。 キティのことは頼んだ」

「マカシトケヨ 旦那」

そう言ってチャチャゼロは酒瓶を持っている、方の手を振る。今まで飲んでいたのだろうか・・・・・・

そんな、チャチャゼロを見て苦笑し振り返るとヴァンも手を手を振りゲートを作り出して消えていった。

 

 その後のエヴァとチャチャゼロ

 

「兄さまが、兄さまが〜」

「トリアエズ 落チ着ケヤ ゴ主人」

エヴァは一人城の中で泣き叫んでいた。

そして先ほどからチャチャゼロがそんなエヴァを諌めているのだが如何せんエヴァはずっと発狂していて話を聞いていない。

エヴァが起きてきたときには既にヴァンは旅に出たとチャチャゼロに聞かされたせいである。

エヴァもこのように早い時間に出て行ってしまうのではないかと思っていたが、昨日、話のときに2,3日後と聞いていたので今日は普通に眠りこけていたのである。

「あぁ〜、兄さま〜」

「ハァ・・・・・・旦那 早ク 帰ッテキテクレネェカナ」

チャチャゼロは酒を飲みながら頼みのヴァンが早く帰ってきてくれることを祈っていた。

 

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あとがき

 

今回短いですね・・・・・・はい、僕の文才が無いせいです。すいません。

僕の好きな書き手さんたちは凄い量書いてらっしゃるのに・・・・・・

どうすればいいのだろうか・・・・・・

まぁ、前編やら分けなければもっと行くんでしょうけど前編やら後編やらに分ける事に憧れてまして・・・・・・テヘッ

それからもうちょっとイベントを増やしたほうが良いのかもしれませんね。

それと場景の書き方がもっと上手くなる事でしょうか・・・・・・

何時ごろそれが改善されるかは分かりませんが今後改善されるように努力してみましょう。

 

更に今回は本編とはすこし離れた位置での話です。

本来この話は無かったのですが急に電波が飛んできてですね・・・・・・

さっさと魔法大戦争の話に行けって感じですよね。ハハハ・・・・・・。すいません。

 

今後もっと早く更新をしていきたいのですがリアルが忙しくなって行きそうなのでどうなる事やら。

 

 

これからも「双子の吸血鬼」応援よろしくお願いします。                  帽子

説明
小説書き素人が無謀にも長編小説に挑戦
今作品は魔法先生ネギま!の二次創作です。
稚拙な文章ではございますが楽しんでお読みいただけたのなら
これ幸い。
では、「双子の吸血鬼 第12章;新たな力の会得・前編」をお楽しみください。
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