GROW4 第三章 天真爛漫な女子高生ちゃんは武器を使っても最強なんだよ |
1
「焔の槍・・・」
ボボッ
刹那さんは、持っていた青い棒を紅い棒に変えた。
「ふふっ、氷はやめたのか刹那?」
「これ以上コロッセオが無くなるのはまずいからね。それにいつでも変えられるんだ、
使い分けるのは当然だよ・・・
「なるほど。“刀一本”しか使わんわたしからしたら十分脅威だよ・・・」
ギャギャギャギャギャァァァ
「ん?」
神威に向かってくる猛獣。しかし神威は動じるどころか笑っている。
重心移動絶対領域(ムービンググラビレイ・ファアクスプラチナロデオ)
スカスカスカスカッ
「後ろを向いたままなのに、あんなにたくさんの猛獣の攻撃がかすりもしないなんて・・・」
あまりの最小限の動きに、神威自身動いていないようにすら見える。
「わたしに攻撃を当てるのは不可能だ。思い知ったなら刹那のところへ向かえ・・・」
ギャギャギャギャギャ
「向かえ」ボソッ
ゾクゾクゾクゾクッ
「・・・・・」
ギャギャギャギャギャ
猛獣達は神威の気迫に押され、刹那さんに向かっていく。また感じるあの冷たい覇気。内に秘め
たる力はまったくの未知数だ。
「荒っぽいね神威。」
「猛獣は嫌いだったかしら?それとも勝てないとか?」
『ふふふ』、と笑う神威。まだまだこの試合を楽しんでいるような表情を見せる。
「神威にちょっと本気を出させるために、こちらも少々暴れてみようか・・・
九式煉獄(きゅうしきれんごく)、半焼き猛獣(マードリーテ・ティルマログリル)」
「煉獄の炎・・・」
ボボボボボボボボッ
ドサァッ
猛獣達は丸焦げになって倒れる。
「刹那は甘いね、手加減するなんて。こいつらはソリッド・ヴィジョン、いわば実体を持つ幻影
だよ。」
シュウウウウウ
電子の粒になって消えてしまう猛獣達。
しかし、そんなセリフを吐く神威に対し、刹那さんは言った。
「造り物だろうが命だ!」
「なるほど・・・
根っからの偽善者気どりか。わたしはそういうのが嫌いでね。とことんまでぶっ潰したくなるのさ」
グググ
「よせっ、神威」
「こんなのは所詮幻影さ。そんなに言うのなら守って見せろ!!
煌く電光石火(ピューラメリティオール・ビライ)」
猛獣を攻撃し出す神威。
「炎の盾(フレイム・シルド)」
ガキィィィィン
「あれに反応したのか。なるほど、ハァァァァァッ」
ギギギギギギギギギギギン
ガガガッガガガガガガガガガガ
激しく打ち合う二人。しかし、棒術使いの刹那さんのほうが武器的に不利だ。
「くっ、なんでその剣は溶けない・・・」
「太陽の石を使用しているからさ。太陽の表面を覆う石の成分には、マーゴレミニシアンと呼ば
れる鉄よりも堅い功績が入り混じっている。たとえその焔の槍の力でも溶かすことは不可能だ。
更に、この成分は氷にも強い。つまり二つを封じたわけだ・・・」
「なるほど。だがお前の考えは誤算だったな。この焔の槍の力を甘く見過ぎた。」
シュゥゥゥゥゥ
「なっ!?溶けている、だと・・・」
「そう。斬り合うわずかな時間ならば溶かせないが、長時間触れればどうなるかな?」
「そのために長々と話をさせたのか。せこいマネを・・・」
「そして次の誤算。熱せられた鉄は急激に冷えるとどうなるでしょうか?
零無の槍、六式凍鬼(ろくしきとうき)」
ビキビキビキビキッ
「まさか・・・」
ガチガチに凍ってしまう神威の剣。熱せられた鉄を急激に冷やすと固まってしまうのだ。しかも
強度は落ちる。
「黒天の槍、一式黒刀一文字(いっしきこくとういちもんじ)」
ビシビシビシビシィィィ
バキャァァァン
「け、剣が。剣がぁぁぁぁぁっ」
剣が折れてしまい叫ぶ神威。
「もう終わりだな神威」
「剣が、剣がーーーーーーーーーーーーー・・・
なーんちゃって・・・」
ボッツ
「新たな剣、だと?剣は一本じゃなかったのか?」
「ふふふ、馬鹿笑いしおって。そんなわけないだろww
期待させてしまったかな?」
新たに剣を出す神威。最初に言ったのは嘘だったのか?
「どうした、そんなひきつった顔をして?さっきまでの勢いはどうした?笑え、笑えよ刹那ぁ」 「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「随分とお楽しそうだね神威。遊びはよかったのかな・・・」
「遊びじゃないよ。このために最初から一本という付箋を出して、わざと剣を折らせ、刹那の
反応がどんなのかなー、みたいなわくわくしていたのに・・・」
「すべて無駄な茶番だったな神威ww」
「ちょ、おま。」
どんだけだよ神威。試合しろよ神威。
「茶番は終わりだ神威。これからこの黒天一本で倒す」
「なるほど。でもわたしに対してはさっきの二本のほうがいいんじゃないか?」
たしかに神威が能力を使わない以上、さっきの二本のほうが有利といえるが・・・・
「純粋な剣術と棒術の戦いがしたい。それだけだよ」
「そこまでとことん決めたいか。いいだろう」
「・・・・・」
「なっ?いまのは別にDBのセリフを意識したわけじゃないんだからな。フリ〇ザさんなんて知
らないんだかな・・・」
「神威って、ばかなんだな・・・」
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「・・・・・」
2
「さっきまでの茶番は終わりにしてさっさと勝負を決めようじゃないか神威」
「うーん、作者も後悔してるよww
なんせ茶番で一時間以上も悩んであの程度だからなww」
「いずれにせよこっからちゃんと戦えば問題ないさ・・・」
「てゆーかページ1飛ばしてこっからでいいだろww」
茶番だーーーww
なんかまた茶番だよww
「ぐだって来たな、さっさと決めさせてもらう。剣舞(けんぶ)、龍の斬撃(りゅうのざんげき)」
「三式煎慈の苞(さんしきせんじのつつみ)」
ガキィィィン
「棒でわたしの攻撃を包みこんだ?」
「カチ割り甲冑(カチワリカチュウ)」
ゴシャァァァァ
「くっ、」
斬撃ごと神威を包みこみ、そのまま地面に叩き落とす。その際神威は自分の斬激をモロに受けた。
ばばっ
両手を着いた状態で逆立ちのまま回転をして立ち上がる。
その際空中に振り上げた刀を瞬時に攫み取り、再び攻撃に転じる。
「その甲冑もかなりの業物みたいだね。さっきの攻撃で傷一つついてないよ。」
「そう簡単には壊れないさ。襟巻坑木(えりまきこうぼく)」
「回転式の攻撃、しかも突きを交えてランダムに斬撃まで・・・
春雨交叉香炉(はるさめこうしゃこうろ)」
ギギギギギギギギッ
「うわっ」
斬撃に吹き飛ばされバランスを崩す刹那さん。攻撃はすべて受けきったが、回転力までは抑えきれなかったみたいだ。
その一瞬のすきを神威は見逃さない。
「一刀流宴舞、?昏夜叉烏(やしゃぐれやしゃがらす)」
ドドドドドドドドドドド
「ああああああああああああっ。くくっ、流水御篝(りゅうすいみかがり)」
強力な連続突きが刹那さんを襲うが、途中でなんとかかわしていく。しかし、受けたダメージは
想像以上だ。
「気まぐれ夜叉烏の気まぐれな突きを、うまくわたしの剣の淵に当て往なし続けるとは流石だよ
刹那。だがそのダメージはでかくないかな?」
無数に受けた突きのせいで、身体のあちこちから血が溢れだす。
ビリビリビリビリッ
「服を破いて止血か?それじゃ間に合わないよ・・・
風化孤高の雲海(ふうかここうのうんかい)」
ギラッ
追撃をする神威。その刀が波状に揺れる。
「珀式麻玉五掬(ひゃくしきあさたまごすくい)」
ガキィィィィン
「ばかなっ?この攻撃は肉眼では目視不可能な揺れる斬撃だぞ。しかも風の追加効果でそちら
からの攻撃は当たらないはず・・・」
神威の手から弾き飛ばされる剣。今は丸腰だ。
「黒天の槍は能力の無力化。正々堂々の勝負が勝敗を分けたね、神威。」
「能力の無力化、だと・・・
何の力も発しないからただの棒だと思っていたらそういうことか・・・」
ニヤリと笑う神威。まだ勝負はついていない。いつでも反撃できる。
ぐぐっ
神威の甲冑に黒天の槍を着けた刹那さん。
「破砕点(はさいてん)っ!!」
ガコオオオオオオン
「無駄だ、この甲冑は打ち抜けない」
強力な突きが入るが、甲冑にはヒビすら入らない。
落ちていた剣を拾う神威。すぐさま反撃に出る。
「まさかこのわたしが避ける暇さえ無いほどの速い突きがあるなんてね。でもこの甲冑には届か
ない。欄間刀刃崩咲(らんまとうじんほうしょう)」
ギラッ
一寸先の剣筋を見据える刹那さん。その剣筋を見切っていた。
黒天の槍を斜め上に挙げ、身体の重心を斜め下に下げながら神威の懐の下に入り込む。
ギャァァァァァン
と、激しく火花を散らす両者の武器。完全にかわしきれない強力な斬撃が、下部に入り込んでいた
刹那さんの背中をかするように抉(えぐ)る。
ほとんどかわしきっていたため傷は浅いが、背中全体から血が滲(にじ)み出てくる。
痛みを堪(こら)えながらも、刹那さんは攻撃を加える。
「珀八式(ひゃくはっしき)、貫(カン)・・・」
神威は攻撃の反動で防御には回れないが、頑丈な甲冑があるため安心しきっているが、その甲冑
を槍の一線が貫いた。
ドシュッ
「そん、な・・・」
周りに一切のヒビを入れることなく、攻撃した部位だけを強力な突きで貫通させた。
「たった一撃でこの甲冑が・・・」
「一撃じゃないよ。さっき壊れるように打ち込んだからね・・・」
「『破砕点』か。く、やるじゃないか刹那。最強である剣の使い手であるこのわたしに一撃を
いれるなんてな・・・」
神威は急所を突かれてふらついている。そんな神威に刹那さんは言った。
「わたしが知る限りでは最強の剣の使い手は孔雀院舞華だ。おまえはあいつの足元にも及ばない。」
「孔雀院、だと。妙なオーラを感じてはいたがなるほど。剣術使いだったか・・・
刹那、今度腕を上げたら、こんな甲冑なしで、正々堂々とやりあいたい、ぞ・・・」
ドサァッッ
「まったく、勝手なことを。約束だぞ神威」
「勝者、御狩懈刹那」
「会長に文句を言ってやりたかったが、正直そんな元気も出ないな・・・」
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そのあとの第一回戦第六試合。
本田苦汁(辛羅2)VS龍神スサノオ(今井1)の戦い。
苦汁はかなりの実力者だったらしいのだが、スサノオの使う妙な術のせいで、手も足も出ずに
意識が飛ばされてしまった。
今井高校のスサノオ、輝夜月姫の二人。
この二人は失われた禁呪(ロスト・ギミック)を使用するらしい。
月姫のほうは、去年はでなかったものの、あのシグマーさんと肩を並べる程の実力らしい。
更に、今井高には、まだまだそんな連中がいるとか・・・
更に本選が荒れそうな噂が流れる中、次の試合が始まろうとしていた。
4
第一回戦第七試合。
織物衣(流水学院2)VS人形焼姿(冷門1)
人形焼姿、見かけは130cm無いくらいの幼児体型に、純白のメイド服姿であちこちにぬいぐるみを縫い付けてある。髪は茶色に近い黒のロング。両目の色が違うのは使用なのだろうか?
「妙なやつだな、まったく生気が感じられない・・・」
勘ぐり気味に言う衣さん。姿からはまったく生き物特有の気が無いのだ。
「織物衣さん。姿は殺戮冥土(さつりくめいど)として造られた自立型人形(オートマタ)
です。よろしくです?」
「オート、マタ?人間じゃねぇのか?」
「冥土旅行の一歩手前まで連れて行ってあげます(*^_^*)」
頭を斜めにしてニッコリ笑う姿。その無機質な表情の奥にはいったい何が隠されているのだろうか?