鋼の錬金術師×テイルズオブザワールド 第二十七話
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〜ミルケル村〜

 

エド達は火山の中に存在したミイラの残った生首を持ち出し、

 

依頼先である村へと向かった。

 

そこで待っていたのは、長老だた一人だった。

 

『………悪い。死んでた』

 

エドはそう言って、首をあまり見せ付けないように長老に見せたが、長老の反応は薄かった。

 

『………そうか。やはりか。』

 

その長老の反応に、ユーリは察し、問いた

 

『……こいつの事について、何かあったんだな。』

 

『…………』

 

『教えてくれねえか?わざわざ火山の中にこいつが入ってきた理由を』

 

ユーリが言い終えると、長老はしばらく間を置き、

 

そして答えた。

 

『………その者は、かつてこの村から生まれた。名のある剣士の娘だった。』

 

エドは、持っているミイラをもう一度見つめる

 

『え……?このミイラ、女だったのかよ!』

 

そう驚いている間にも、長老の話は続く

 

『ある時……その娘が心臓に病を持って。もう医者に治らないと宣告された。可愛そうに。娘の愛人も泣いておったよ。』

 

『ちょっと待て?その娘は病気ながらも火山の中に入ってったのか?』

 

『いや、もう病気は治った後じゃった』

 

エドは、長老の話がまだ疑問だらけだったが、それは今から話される話によって、解決される。

 

『あるギルドに、病気を治してくれる赤い煙の事を知ってな。愛人と共に赤い煙が出現する丘に行った。そこで病気は治ったのだが、その後に悲劇が起こった』

 

『…………』

 

三人は、その後の事がほとんど読めた。

 

そうだ。赤い煙を吸った者は………

 

『それから数日後、娘の身体に異変が起こってな。急に魔物へと身体が変わっていった。』

 

『ジョアンとか、暁の従者と同じか……』

 

その後、長老は話すのをためらったが、

 

しばらく唸った後、長老の口は動く

 

『………時間が経つごとに身体が魔物に変わり、それは身体にも留まらず、ついには精神をも魔物に支配されようとした。』

 

暁の従者も、ついには自我を失くし、

 

ついには、俺達が処分した。思い出したくも無い。悲劇だった。

 

『それで……娘は知らぬ内に、愛人を食べていた。気がついたときは、愛人の身体は半分も無かったという。』

 

赤い煙

 

それはまだ研究中だが、とんでもない物だと言う事はエドも直感で分かっていた。

 

それで、その赤い煙の症状は、錬金術で解決する可能性があるという事も、分かっていた。

 

『それで娘は叫びながら、火山の方へと向かっていった。これでは行かぬと、わし達はそなたらのギルドに……』

 

『依頼したって事か。』

 

ユーリがそう言うと、長老は頷く

 

『それは……さぞ悲しき運命で……』

 

『しかしよ、俺達に依頼したのはそんなにすぐなら、どうしてこいつはこんなにミイラになってんだ?』

 

ユーリがそう言うと、エドはある事を思い出す。

 

ジョアンが、赤い煙の力に負け、体中の液体を全て放出され、やがてはミイラのような実態になる事を。

 

おそらくこの娘は、途中で赤い煙の力に負け、そして死んでいったのだろう。

 

それは、アームストロングも見た光景であるため、ミイラであった理由は、すぐに理解した。

 

エドとアームストロングは、その場で俯いてしまった。

 

『……だが、これで私達の心も晴れた。ありがとうございます。頭部だけでも、シャンバー君と一緒の墓に、入れてやろうと思います。』

 

長老はそう言って、エドからミイラの生首を受け取った。

 

そして、長老は三人に背を向け、その場から去ろうとした。

 

『ああ……。報酬はそちらに届けますゆえ。安心してください。私の依頼を、ありがとうございました。』

 

そう言って、長老は三人から離れた。そして、消えていった。

 

むなしい思いのまま、三人はその場に立ち尽くし、ただこの村を見ていた。

 

『……かなり良い奴だったよな。この村の長老さん』

 

『ああ。』

 

エドは村から背を向け、そして歩き出す。

 

二人も、ついてくるように村に背を向け、そして歩き出していった。

 

エドは後ろを振り向くと、もう村が小さくなっていた。

 

そして、皮肉るように、言葉を発する

 

『………だけど、優しすぎるだけじゃぁ報われねぇ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜バンエルティア号〜

 

『氷の精霊様に、ヒトの祖って奴を聞きに来たわよ〜』

 

ハロルドが、アンジュに向かって手を振りながら歩いてくる

 

近くに居たスパーダが、座りながら眠りそうになっていた。

 

『それで一体、どのような物だったの?』

 

『んーとね、私達は遥か昔のその昔、精霊に近い非物質な存在だったらしいわ』

 

ハロルドのその言葉に、アンジュは首を傾げる

 

『非物質?存在していなかったって事?』

 

『というよりは、物体が無かったという事かしらね。んで、物体をその非物質が設計して。今ある人として地上に増えていったらしいわ。』

 

アンジュはしばらく考える。

 

そこで、ある事が思い浮かぶ

 

『………それって、要するにドクメントだけの存在だった。ってこと?』

 

『そそ。前にエドちゃんから聞いた、しいなが作った人工精霊のような感じね』

 

そのぶっ飛んだ内容に、アンジュは驚きを隠せないで居た

 

だが、そこである疑問が生まれる

 

『………でもそれって、その創世の事を知る非物質の”ヒトの祖”は、今は居ないんでしょ?』

 

『でもねぇ。なんだか”ヒトの祖”が残した遺構なら知っているって言ってたのよねぇ。』

 

遺構?

 

そんな物があったのだろうか。アンジュは疑問に思いながら、ハロルドの話を聞いた。

 

聞き返してこないと分かったハロルドは、自分の話を続けた。

 

『それはね、天空にある……』

 

『おらぁ、帰ったぜ。』

 

その間に、エド達が依頼から帰ってきた。

 

三人共、思ったより涼しい顔で帰ってきた為、アンジュは少しだけ安心した顔をした。

 

『あらぁ〜。エドちゃん。依頼行ってきたの?お疲れ様ねぇ〜』

 

『うがぁ―――!!寄って来んなぁぁぁぁああああああああああああ!!!!』

 

抱きつこうとするハロルドに逃げ回るエドを見て、ユーリは溜息を吐き、アームストロングはアンジュに礼をして、自分の部屋へと帰っていった。

 

そしてついにエドは足の速いハロルドに捕まり、金切り声の悲鳴を上げた。

 

その声がうるさかったアンジュは、耳を塞ぎながらハロルドに話を出した。

 

『それで?ヒトの祖の遺構の話なんだけど…』

 

『ん?機構?』

 

ハロルドは一瞬素に戻り、疑問の顔でアンジュを見たが、

 

数秒後、思い出したように話を戻した。

 

『ああ、ああ。遺構ね遺構。』

 

そう言って笑顔をすると、エドは力ずくでハロルドの手から逃れ、その場から逃げ出そうとした。

 

だが、すぐにハロルドの手に後ろ襟首をつかまれ、動けなくなった

 

『まぁまぁ、エドちゃんもご一緒に。』

 

『嫌だぁああああああ!!!離せぇぇええええええええええ!!!!』

 

泣き言のようにエドはそう言っても、ハロルドは話を続けた。

 

『ええとね。そのヒトの祖である遺構がある場所は、天空にある宮殿、ヴェラトローパという場所よ。ヒトの祖であるヴェラトローパの民が、その身を物質とするまで居た場所なのよ。』

 

『ヒトの祖?天空の宮殿?』

 

エドがその話題に突っ込むと、ハロルドもエドの方を見つめ

 

『あぁらぁ?聞きたい?私の部屋でじっくりとぉ?』

 

『この場所で是非!!お願いいたします!!!』

 

エドの身体が硬くなるように直立した。

 

それを見たハロルドは、面白そうに話を続けた

 

『んまぁ、その宮殿も非物質の存在であって、見えない場所となってるんですけどね。』

 

『ん?非物質の宮殿?そんなもん、無い物と同じじゃねえか』

 

『いやいや、存在はするのよ。ただ非物質なだけ。それだけ。』

 

エドはハロルドに後ろ襟首を掴まれながら、腕組をして考えた。

 

すると、エドはある案を思いつく。

 

『つー事は、その存在する非物質を、物質にすれば行けるって事なのか?』

 

エドのその案に、ハロルドは笑顔になり、エドの頭を撫でた

 

『あら〜。よく出来ました〜。』

 

『撫でるな!!!』

 

ハロルドのその行動に怒りを露にしたものの、ハロルドはもっと強く頭を撫でた。

 

エドは、それも恐怖になっていた為、それ以上は何も言わなかった。

 

『精霊も、本来は非物質で、あまくねのものに浸透出来る精妙な物質だから、その精霊を参考にすれば、ヴァラトローパを物質化する事が可能よ。』

 

ハロルドのその説明のある部分に、エドは不穏な顔をして頭を傾げる。

 

『……精妙な物質、ねぇ……』

 

正直、エドはセルシウスがそのような物質だとは考えられなかった。

 

気に入らないのも理由だが、それ以上に、エドが見ているセルシウスは、怒りを抑えられず、負けた後に宣戦布告をしてくる幼稚な姿だったからだ。

 

『イフリートとかに聞いたほうが、巧妙だったかもな…』

 

『あら?エドワード君。イフリートに会ったの?』

 

『火山の中で会ったよ。危うく殺されそうにはなったけど、正直、セルシウスよりも話が分かる奴だと思うぜ。』

 

エドは、イフリートのその容貌には気に入る物があった。

 

角と牙に引かれる物もあり、さらにゴツイ体。そして大きな羽はエドの少年心をくすぐる物があった。

 

それ故、イフリートの事は心底気に入っていたのだろう。

 

『へぇ、エドちゃんは良いわねぇ。ねぇねぇ?どんなのだった?』

 

『そりゃぁでかくて、角があって、牙もあって翼が生えていて、そしてすごい熱くて、結構でかかったな。』

 

その容貌を創造するだけで、アンジュは暑苦しくなった。

 

アームストロングさんも、良い人なのだけど暑苦しい容貌の為、

 

それ以上の火の精霊とも言うイフリートが入ってきたら、おそらく地獄だろう。

 

だが、近くで寝そうになっていたスパーダは起き上がり、目を輝かせていた。

 

『マジかよ!!かっけぇ!!』

 

『ああ!!すっげぇかっこ良かったんだぜ!!まさにドーンとか!!ドカーンとか!!さらに角や牙がドカーン!!』

 

『あぁああ!!くっそう!!俺も行けば良かった!!!!』

 

スパーダがそう言った時、エドの興奮が冷めた。

 

そこで、最悪の結末というのを目の当たりにしてしまった為か、それ以上、エドは沈黙した。

 

エドは出来るだけこの気持ちを察しられないようにスパーダに笑顔で返した。

 

『ふふふ。やっぱりエドちゃんって。まだまだ子供ねぇ。』

 

ハロルドが不気味な笑いでエドの真後ろに立っている。

 

エドは悲鳴を上げたかったが、何かが邪魔して声が出なかった。

 

『まぁ、エドちゃんが見たように、非物質が物質となる事が、精霊が出来ると言っている事で、ある物が開発出来たのよ。』

 

ハロルドの行動は早い。

 

その場に居た話を聞いていた人が、全員そう思っていた。

 

『………で?それってどういう用途?』

 

『ん――。本当はエドちゃんが錬金術でドクメントを使って物質化してくれれば良いんだけど。まだちょっと危険でしょ?エドちゃんもドクメントの事をあまり知らないようだから、ちょっち機械を作ったの。』

 

エドはその話を聞き、嫌な顔をする

 

『何よその顔。駄目よエドちゃん。ちゃんとドクメントの構築式を知ってくれたほうが、私達も助かるんだから。』

 

『知るか!俺要らねぇじゃねえかよ!!』

 

『そんな事無いわよ。はっきり言えばね。機械というのは貴方達が使う錬金術と比べたら、結構あいまいなの。不具合を起こせば全く別の機械になるし。それは科学者が全て理解できるような物じゃないのよ。』

 

そう言って、ハロルドはエドの後ろ襟首を掴んだまま、甲板へと引きずっていった。

 

『そうと決まれば、早速実行しましょう。大丈夫大丈夫!変な事が起こっても、エドちゃんが居れば、百人馬力。』

 

『助けてぇぇぇええええええええ!!人さらいぃぃいいいいいいい!!!』

 

エドは叫びながら甲板へと連れて行かれた。

 

そして甲板へと繋がる扉が閉じられる。

 

その光景を見たアンジュは、苦笑いをした。

 

苦笑いをしながら、ぼそりと呟いた

 

『…………大丈夫かしら…。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜甲板〜

 

甲板の真ん中には、ハロルドが作ったと思われる機械が置かれていた。

 

ハロルドは、その機械をいじりながら、電源を次第につなげていく

 

『んじゃ、ちゃっちゃと済ませるわね』

 

『……………』

 

リタは、エドを睨みつけるように見つめ、敵意を見せた。

 

そんなリタを、エドも同じように睨み返し、メンチを切っていた。

 

それはもう、不良同士の睨み合いにしか見えなかった。

 

その光景を見ていたハロルドは、楽しそうにその光景を見ていた。

 

『それにしても、二人は本当に仲良しねぇ。全く妬けちゃうわぁ。』

 

『『舐めてんかぁあ!!とっとと点けろやコラァァアアア!!』』

 

二人の声が重なった。

 

どうやら、怒りの矛先は同じのようだ。

 

二つの声が重なったことが気に入らないのか、再び二人は睨み続けた。

 

今度はさらに重く、そしてさらに敵意と殺意がこもっていた。

 

それを無視して、ハロルドは電源を入れていた。

 

瞬間、機械の頭部にあった青いガラス玉のような物が発光し、辺りを光が指す

 

『あ、目は閉じたほうが良いわよ。失明しちゃうから。』

 

そう言ったエドは目を覆い隠したが、

 

リタは額に装着していたサングラスをかけた。

 

そしてしばらく発光して、一瞬エドの上に影が出来た

 

さらにその瞬間、どこからか女性の悲鳴が聞こえた

 

『ん?』

 

その影を察したエドは、目を開けようとしたが

 

『あけちゃ駄目!』

 

ハロルドに叱られたエドは、慌ててもう一度覆い隠し、そしてしばらく待った

 

『あれ?何も起こらないわねぇ……。触媒が足りなかったかしら』

 

ハロルドは顔を上げて、エドの目の前に立ち、告げた

 

『エドちゃん。もう顔を上げて良いわよ。光は発してないから。』

 

そう言われ、エドは目を開けた。

 

目の前には、ハロルドの顔があった

 

『ぎゃぁぁあぁああああああああああああああ!!!!!』

 

その唐突さに、エドは驚き尻餅をついた。

 

その光景を見ていたリタは大爆笑し、ハロルドも、エドのその反応を楽しんでいた。

 

『な……な……な!!っぅおい!!実験は成功したんだろうなぁ!?』

 

エドがそう怒鳴ると、ハロルドは頭を傾げた。

 

『ん―――……。もうちょっと手を加えないといけないかしらねぇ……』

 

瞬間。エドは不穏な顔をして。溜息を吐いた。

 

なんだか、無駄な時間を過ごした気がして、面倒臭くなった。

 

『………帰る』

 

エドが船に戻ろうとした時、ハロルドは呼び止めた。

 

『あー!ちょっと待って待って。』

 

『?』

 

振り向くと、ハロルドは書類をエドに渡した。

 

『何だこれ』

 

『この機械の設計図。悪いけど今日中に目を通してくれない?』

 

『何で?』

 

『ちょっと不具合がある可能性があるから、それに目を通して、この機械を再練成してほしいのよ』

 

そう言われた瞬間、エドはさらに嫌な顔をした

 

『貴様……っ!まさかそれが目的で……!!』

 

ハロルドの顔は、不気味に微笑む。

 

確実に計画性だと気づいたエドは、怒りに任せて地団太を踏んだ

 

『やだ!!俺にそんな義務はないし、お前の実験を手伝う義務だって無い!!それに、これは設計図自体に誤りがあるんじゃねえのかぁ!!』

 

『あぁらぁ?だったら背が伸びる薬の開発はもう、中断させようかしらぁ?しょうがないわよねぇ。この機械の方を優先的にやれってアンジュに言われたしねぇ。』

 

『…………!!!』

 

ハロルドにその話を言われ、エドの動きが止まる。

 

さすがに、身長の事を言われたらキツイのだろう。汗が滝のようにながれる

 

『………………な。』

 

『え?』

 

ハロルドがエドの呟きを聞き返すと、エドは顔を上げて、大声で叫んだ

 

『てめぇ!!この設計図自体が間違ってたら、マジでぶっ飛ばすからなぁああああああああああ!!!!!』

 

エドのその返答を聞いて、ハロルドは嬉しそうな顔をする

 

『やだぁエドちゃん。やっぱり素直なんじゃなぁい!!』

 

そう言ってエドに近づいたが、エドは全速力で部屋へと戻ろうとした。

 

その光景を見たリタは、呆れた溜息を吐いて

 

『…………使いやす』

 

エドのその性格について呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜バンエルティア号〜

 

『人が落ちてきた?』

 

『人が落ちてきたぁ?』

 

アンジュがロックスの話を聞いて、驚きの声を出した。

 

さらにハロルドから逃げてきて一周回って帰ってきたエドが、その話を聞いてロックスに疑問の声を出した

 

『ええ。先ほど展望台の上にすごい音がしまして、それでその……。女の人が落ちてきたんです。』

 

『女の子?』

 

カノンノが、ロックスに疑問の声を出す

 

『ええ。本当に奇妙な話ですが……』

 

ロックスのその態度に、少しだけ不安が生まれる

 

まるで、落ちてきたものが、信じられない物だったかのようだった。

 

だが、エドは人が落ちてきた理由についてはものすごい心当たりがあった。

 

先ほどの機械の可能性が、物凄い心当たりである。

 

『いえ、決して悪い人ではないのですが。』

 

『そんなのは期待してねぇよ。上から落ちて来たって事は、俺と同じの野郎かもしれない。』

 

『その線は、薄いかもしれません……。彼女が言うには、別の世界から来たらしいのですが。』

 

その答えをされて、疑問を感じたのはカノンノだった

 

『どういう事?』

 

『いえ、確かにこの世界とは別の人間なのですが、多分エドワードさんとは別の世界の人物かと思われます』

 

そう言われ、エドは考える

 

それはただの憶測であって、必ずしもそのような者では無いと考えていた。

 

エドはロックスに要求する

 

『なぁ、そいつをここに連れてくる事は出来るか?』

 

エドのその質問に、ロックスは少しだけ戸惑う

 

『え?こ……ここにですか?』

 

『ああ?そうだけど』

 

エドのその言葉に、ロックスはしばし考える。

 

まるで、あまり会わせたくないような考えだ。

 

『………いえ、今しばらくは安静に』

 

『どっちにしろ、この船に落ちてきたなら挨拶くらいはするんだ。連れてきたって良いだろうが。』

 

エドがそう言うと、ロックスは観念して頭を下げた

 

『……分かりました。』

 

そう言って、医務室へと繋がる扉を開けた。

 

そこから、ロックスが案内をした。

 

 

 

 

 

〜医務室〜

 

『こんにちは、初めまして。』

 

その女の子は、入ってきたエド達に出会って、すぐに挨拶をした。

 

すぐに挨拶をした事は、あまり頭には入らないだろう。

 

エド達は、その女の子に挨拶出来ないでいた

 

『…………おいロックス。確かに俺の世界の奴じゃ無さそうだ。』

 

『……恐縮です』

 

二人が話し合っているのを見て、女の子は首を傾げる。

 

その女の子を見て一番驚いたのは、カノンノだろう。

 

その女の子は、まるで……

 

『あ、自己紹介がまだだったね。私の名前はカノンノ・イヤハートって言うの。よろしくね!』

 

カノンノ、そっくりの容姿だったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜アスベルとソフィの部屋〜

 

『アスベル!それは本当か!?』

 

ロイドが、迫力ある表情で、アスベルに発言する

 

『ああ。この場所で間違いない。ここに居るはずだ。』

 

アルベルは、入ってからしばらく。ある人を探していた。

 

探してやると約束した人の為に、同じ弟が居る身として放っておけなかったのだろう。

 

大きな鎧、その目撃談がある場所が見つかった。

 

その場所に、確かに居るのだろう。

 

『早くエドワード君に教えてあげないと。』

 

『ああ。きっと喜んでくれるはずだ…!!』

 

ロイドは嬉しくなり、アンジュの元へと駆けていった。

 

そうだ、見つかったのだ。

 

不毛だと思っていた。エドの弟の散策が。

 

『2メートルを超えた鎧……。うん。間違いない。』

 

恐らく、この地図の場所にエドの弟は居る。

 

力になれた。同じ痛みを持った友人の役に立てるというのは、嬉しかった

 

『アスベル…。これで良かった…?』

 

ソフィが、心配そうにアスベルを見つめる。

 

そうだ。弟が見つかると共に、エドはこのギルドから去る約束をしている。

 

だが、それでも嬉しいと感じた。

 

家族と一緒に過ごせるというのは、遥かに嬉しいことなのだろう。

 

『良かったんだ。エドワード君がこのギルドを去ったとしても、エドワード君はそれが幸せなんだよ。』

 

少しだけ寂しい気持ちだが、アスベルの心は決まっていた。

 

『良かったな。エド……。』

説明
次回から佳境。多分。
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