魔理沙草ちゃん可愛い可愛いって |
『魔理沙草ちゃん可愛い可愛いって』
植木鉢を買った。
幻想郷に生きる少女達の首が植木鉢に乗っかってる感じ。
種によっては喋るらしい。店主はそう言った。
発芽前の芽は目を瞑っている。
目だけに? と店主に訊いたら笑われた。
私は金髪の、片方のもみ上げが三つ編みになっているものを選んで買った。
これから毎日自分の部屋で面倒を見てやるつもりだ。
ああ、私は紅魔館でメイド長をやっております、十六夜咲夜といいます。
一ヶ月ほど前に「妖夢草」を飼ったのだが、可愛がりすぎたらしく一週間持たなかった。
私が愛を注ぎ込んであげたというのに、枯れてしまったのだ。
口があるからと思って、自分に陰茎を生やしてしゃぶってもらい、射精しただけだというのに。
そのときの妖夢草の嫌がりっぷりときたら。
興奮のあまり二度目の衝動時にたくさんぶっかけてしまいましたわ。
だが妖夢草ちゃんにとっては刺激が強すぎたらしく、次の日枯れてこの世から去ってしまったのだ。
店主が「寿命は長く、飼い主に尽くす」と言うので飼ったのに。
今回買ったのは「魔理沙草」ちゃん。よく喋るから初心者に人気だそうだ。
この子で妖夢草ちゃんを失って癒すことができないでいる心をケアしてもらおう。
『一日目』
芽が出るまで数日かかると言われた。
水は朝と夕方に。三日に一度薄めた液体肥料を土にふりかける。
鉢は日当たりの良い窓際に置き、時々窓を開けて外の空気も吸わせてやる。
それが良いらしい。
『四日目』
芽が出てきた。
昼食を食べた後自室に戻り、時間を止めてこっそり昼寝でもしようと思ったときに気付いたのだ。
魔理沙草ちゃんの目蓋が開いていて、私を見た。
「よう!」
「魔理沙草ちゃん!」
「水と肥料、ありがとうな! お陰でこうして生まれてきたぜ!」
「ウフフ」
「お前の名前は何て言うんだ?」
「咲夜よ」
「咲夜か。お前が私のご主人ってことだよな? よろしくな!」
「魔理沙草ちゃん可愛い可愛い」
頭を撫でてやると目を瞑り、頬を赤くして照れてくれた。
「なあ……良かったらでいいんだが、帽子をくれないか? とんがった、三角帽をさ」
「良いわよ」
「本当か!? ありがとうな!」
魔理沙草ちゃんと喋っていると眠気も吹っ飛んだ。そろそろ仕事に戻ろう。
「そろそろ仕事に戻るわね」
「おお、そうか……じゃあまたな! がんばれよ!」
「魔理沙草ちゃんウフフ」
片目を瞑ってウインクしてくれた魔理沙草ちゃんに手を振って部屋を出た。
帽子か。現実の魔理沙ちゃんが被ってる帽子をコピーしたようなのを被せてやれば喜ぶんだろうな。
しかし帽子が付属品でないとは。いや、確かセットで売られていたような気もするな。
ただ私はそのとき手持ちがなかったので、帽子は買わずに帰ったんだった。
まあいい。自分で縫ってしまおう。
魔理沙草ちゃんウフフ。
あの子とちゅっちゅしたいと思えば仕事を早く終わらせてしまおうという気になりますわ。
『五日目』
魔理沙草ちゃんと呼ぶのが面倒になってきたので、もう魔理沙ちゃんと呼ぶことにする。
魔理沙ちゃん可愛い可愛いって私の愛という肥料を注ぎ込みたいですわ。
帽子を作って頭に被せてやると、それはもうすごく喜んでくれた。
ちょっと私が興奮してきたので、キスを迫ってみると顔を左右に振って嫌がられた。
「そ、それはお前ちょっと待ってくれよ! 私たち、昨日今日出会ったばかりだろ!?」
「……魔理沙ちゃんは私とちゅっちゅしてくれないの?」
「い、嫌とかじゃないけどさ……心の準備ってもんがあるだろ?」
魔理沙ちゃんの処女を奪ってやりたいですわ。
でもこの子はあくまでも植物なので、性交なんて出来ないのです。
この子を人間にする薬でもあれば今すぐに与えて、この場で強姦してやろうと思うのに。
でもそういうことはもうしないと誓った。今度は出来る限りプラトニックに付き合うよう努めるのだ。
「魔理沙ちゃんが光合成して出来た酸素で肺を満たしたいですわ」
「お前、何言ってんだ?」
「魔理沙ちゃんウフフ」
『六日目』
部屋の窓ガラスが割れた。
窓の割れた音を聞いて駆けつけた私は魔理沙ちゃんが酷く苦しんでいるのを見つけた。
「た、助けてくれ咲夜……」
近くで行われている弾幕ごっこの流れ弾が飛んできたせいの様だ。
その流れ弾は運悪く魔理沙ちゃんの鉢にまで届いたのか、魔理沙ちゃんの本体が地面に落ちていた。
根っこが露出しており、危険な状態にあるということはわかった。
応急として鉢代わりのものに土を盛って、魔理沙ちゃんを植える。
「ほ、本当に怖かったぜ……」
私はそのときの魔理沙ちゃんの怖がった顔、絶望の淵に立たされたみたいな表情に興奮していた。
かといってこの興奮を冷ますために魔理沙ちゃんを慰みモノにするわけにはいかない。
私はトイレに駆け込み、先ほどの魔理沙ちゃんを思い浮かべて自慰行為に耽った。
部屋に戻ると、魔理沙ちゃんが暗そうな顔をしていた。
「どこに行ってたんだ? 寂しかったんだぜ……」
「魔理沙ちゃんウフフ」
「咲夜?」
「魔理沙ちゃん可愛い可愛い」
「ああ……今日は傍に居てくれよ。もうあんなのは勘弁だぜ」
魔理沙ちゃんは泣いていた。魔理沙ちゃんの涙ぺろぺろ。
魔理沙ちゃんウフフ。
『七日目』
また窓ガラスが割れた。
魔理沙ちゃんはまた泣いた。
お徳用の鉢を買ってきたので問題はありませんわ。
そして私は怖がっている魔理沙ちゃんを目に焼きつけ、トイレに急ぐ。
小一時間堪能したら手と股をよく洗ってから部屋に戻って魔理沙ちゃんを泣き止ませた。
魔理沙ちゃんウフフ。
『八日目』
ガラスの割れた音を聞いてから部屋に入り、魔理沙ちゃんの表情を確認してから新しい鉢に入れてトイレに入る。
自慰行為を楽しんだら泣き止ませる。
これは中々良い癒しになる。
種明かしは簡単。
私が窓の外から鉢に向かって弾を配置。時間を止めたまま紅魔館内に戻ってから時間停止を解除。
窓が割れた音を聞いてから慌てた表情で部屋に飛び込む。これだけだ。
後は怯えている魔理沙ちゃんウフフするだけ。
これから毎日これをやることにしよう。
こんな簡単な工作で魔理沙ちゃんの怖がっている表情を拝めるのだから本当に素晴らしいですわ。
魔理沙ちゃんウフフ。
『九日目』
魔理沙ちゃんが死んだ。
朝起きて挨拶しようとしたら首が前に倒れていて、うんともすんとも言わないようになっていた。
慌てて植木を買い求めた店に相談しに行ってみたら「過剰なストレスで死んだみたい」と言われた。
ストレスか。あの怖がる顔がみたいのに、毎日していたせいで駄目になってしまったのか。
私が自分の性欲を満たすためだけに、魔理沙ちゃんを殺してしまったのだろう。
今度買ったときは二、三日に一回にしておこう。
今日は「さとり草」というものが入ってきているらしい。
なんでも普段は目を瞑っており、死ぬ間際になって目を開けて何か喋って死ぬそうだ。
こんな子でも嫌がったりするのだろうか。
だがさとり草ちゃんを見た瞬間に私は興奮していた。
この子を飼育したい。この子に自分の性欲をぶちまけてみたい。
さとり草ちゃんは気のせいか、嫌そうな顔をしていた。
まさか私の心の中が見えているとでもいうのだろうか?
店主に値段を訊いてみると、相当な値段を要求された。
なんでもこの手のマニアには高く売れるからだそうだ。
私は自分のへそくりを崩してさとり草ちゃんを購入した。
飼育するにあたっては妖夢草ちゃん、魔理沙草ちゃんよりも難しいらしい。
だが私は育てきってみせる。そしてこの子に「気持ち悪い」と罵ってもらえるよう頑張るつもりである。
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あとがき
さとり草は次の日には枯れていた。
説明 | ||
「妖夢草」を失い、心のケアをする手段を失った十六夜咲夜は「魔理沙草」と出会った。 | ||
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