新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第003話 |
新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第003話 「桃色の龍」
「……やっと着きましたな」
江陵の街にて三人組の女性のうちの長い黒髪を持ち、その長い髪を後頭部で結ばれている女性が発言する。
服装で言えば上は白いノースリーブのシャツに赤と白が真ん中でハーフアンドハーフに色が別れた短めのネクタイ。またシャツに合わせた緑のウエストニッパーも着ている。あとは肘上の留め金で結わせた袖。
下は紺のミニプリーツスカートと茶色のニーソックスで何故か靴は革靴だ。
彼女は関羽雲長。正史では『美髭公』や『軍神』の異名を持った者としてその名を轟かせる将だが、この世界では女性であり、(遺伝子的な意味での)椿(愛紗)の過去の姿である。
「私達の軍師になってくれる人、いるかなぁ」
黒髪の女性が話した次に、口を開いたのは頭の左右に二つ白い羽の髪留めを付けた桃色髪でロングヘアーの女性。
真ん中の服の留め具であるボタンのラインは黒。そして服の彩は白でその上から平均的な感覚を空けて縦に薄い黒線ラインが入っている。また左右のわき腹にかけてはエメラルドグリーンで、腕の袖が羽根を模した金刺繍が描かれた長袖の服。裏襟からは燕尾の様に2本の長布が膝下まで垂れており、末端が金刺繍で彩られている。胸元のリボンは((小豆|あずき))色。下が関羽より少し束の狭い小豆色のミニプリーツスカートに太股半ばまである白のスーパーロングブーツである。
彼女は劉備玄徳。正史では『仁徳の君』と言われ、幾度となく曹操の野望をその手で阻んできたが、幸か不幸か仁徳に重きを置き過ぎる故に、曹操亡き後は曹操の作った国にボロボロにされて亡くなる人物である。
「でもまずは腹ごしらえなのだ」
最後に発言した赤紙ショートの少女は左サイドを留める虎顔のヘアピンが特徴的だが、何故か少女が目を瞑って笑った時、ヘアピンも目を瞑ったのは気のせいであろうか。服は虎柄のボレロと黒のチューブトップ。下は黒のスパッツで対極印の入ったダブルベルトに首には赤い腰まで垂れるマフラーを付けている。
彼女は張飛益徳。
正史では『燕人 張飛』と恐れられる豪将で、酒飲みであった為に若い頃はそれが原因で色々やらかしてしまうが、武の力は本物で、最強と詠われた呂布と引き分けるや。曹操が「関羽の武は戦国一」と言うも、関羽は「張飛には敵わない」と返し。なんといっても年を取り戦が判ってきた時に、長坂橋にて曹軍百万を、計略を用いて一騎で足止めしたりと数々の武勇伝が存在するが、しかし義兄の関羽が殺されたことにより悪癖の酒飲みが再発し、それが原因で殺されてしまう人である。ちなみに酒が原因で殺されるのは創作であり、”そのことも”少なからず関係はしている。
「あっ、待って。叔父さんの所に挨拶に行かなくちゃ」
劉備は何か思い出したかのように二人にそう言った。
「桃香様、叔父さんとは?」
桃香というのは劉備の真名の事であろう。
関羽は首を傾げて劉備に質問すると、劉備は「えへへ」と笑いながら自身の伯父の話をするのであった。
一刀と胡花が水鏡塾に入門して一年の月日が流れた。
胡花は水鏡塾の宿舎に住み、一刀達は近く周辺のお尋ね者達をひっ捕らえては金として家を買い、時に胡花を交えながらそこで暮らしている。
皆それぞれに行っていることは、一刀と胡花は司馬徽の下で勉学に励み、愛紗は塾生に護身術を教え、瞳は修業の為に山に登っては時に愛紗の手伝いという形だ。
「まだまだ。振りが甘いよ。もっと脇を締めて打たなきゃ」
今現在、胡花は塾生達に剣術を指導しており、隣でも愛紗が行っていた。
以前の賊に襲われそうになった経験より、胡花は一刀達に弟子入りして武術を身に着け始めたのだ。
皆それぞれに剣・棒・遠当てとそれぞれに分野が上手く判れている為に、胡花自身の実力も不得手は無くなり、総合力で言えば並の将程には実力は上がっていた。
「いいか。槍はただ振るうだけではダメだ。無闇やたらに振るえば、体ごと槍に持って行かれる、軸となる自分自身がしっかりしていなければダメだ」
愛紗も彼女の得意分野である槍を懸命に指導している。
白兵戦においては剣よりリーチの長い槍の方が有利な場合がある。なればこそ塾に暴漢が来た時でも生徒たちが防衛出来るようにこうした防衛術を教えており、卒業後軍に入りたいものがあれば、その人たち様に少し厳しめな指導も行っている。
少し場所が離れた所では、瞳が弓で遠当てを行いつつ指導をしている。
彼女の得意武器は鉄砲であるが、弓も多少は嗜んでいる。っと言っても、鉄砲の有効射程距離200メートルであるが、角度によっては1キロ以上の距離を(改造銃にて)軽々当ててしまう彼女である。100メートルの遠当てなどお手の物だろう。因みに一般塾生に教えているのはせいぜい50メートル程である。
「………一刀君が来てから、皆強く逞しくなりましたね」
塾長である司馬徽が感慨深くそう呟くと、塾の門より三人の女性が入ってきた。
「あのぅ。スミマセン。水鏡先生はいらっしゃいますか?」
それらの人物は、劉備・関羽・張飛であった。
「そうですか。劉表様のご親類の方で……」
司馬徽は三人組の女性を中に通し、今は十室にてお茶を出していた。
「はい。私の名前は劉備と言います。白龍の伯父さんは私のお母さんの年の離れたお兄さんになるんです」
白龍というのは、劉表の真名である。
劉備と劉表が知り合うことになったきっかけは、劉備の母にまで遡る。彼女は通り名を劉弘と言い、彼女は中山靖王劉勝の末裔であった。
劉弘は当時荊州の文官として働いており、当時の荊州牧であった劉表の父と年が離れた恋に落ちた、周りにばれない様に逢引きなどもおこなっていたのだが、彼には既に奥と子がおり、皮肉にも子宝の神は劉弘に子供を授けてしまい、彼女は劉表の父の妻にばれないうちに雲隠れした。
当時から勘の鋭かった劉表青年は既にこのことに感づいており、父の愛した女性ということもあって劉弘とは友人としての付き合いを行っていた。
それから彼女が無事出産出来た報告を聞くと、父親にはばれない様にこっそり旅行と称して年の離れた妹に会いに行ったりしたのだ。
父親に悪いとは思いながらも、隠し事の苦手な父親に話して母親の耳に入れば何が起こるか判ったものじゃない。
だから母親の死去の後に話そうと思ったものの、残念ながら母より父が先に死去してしまったのだ。
せめて自分が父の代わりに見守ろうと思い、劉表は母の死から定期的に劉弘と劉備に手紙を送ったりして交流をしており、数年に一度の割合で会ったりもしていた。
「鈴々は張飛益徳なのだ」
張飛が元気よく挨拶を行うと、関羽も続けて挨拶をしていたのだが、その時の司馬徽の顔は呆気に捕らわれた様に目が点になっていた。
「それで、貴女達は一体何の様でここに?」
「はい。私達は世の中の困っている人達を助けたいと思い、軍を挙げようと思ったのですが……」
「((何故|なにゆえ))、私や鈴々は武骨者で、軍略等の類は苦手なのです」
劉備の後に関羽がそう発言するが、司馬徽はその高い体を傾げては関羽の顔をマジマジと眺め、見られている彼女もわけが判らず腰が引けた。
「でも、ここは勉強するところじゃないのか?何故皆武術の稽古をしているのだ?」
張飛のその発言に、マジマジと顔を見ていた司馬徽は行動を止めて説明をする。
「えぇ、今は武術の時間ですの」
「武術の時間?」
司馬徽の発言に劉備はオウム返しする。
「一年前程に四人組のうち二人がウチに入門したいと来まして、四人組のうちの三人は武芸者だったの。だからウチの塾生に護身術を教える条件で入門を許可したのよ」
「なるほど。確かに知識だけでは今の世何があるか判りませぬからな……」
関羽が発言した瞬間、また司馬徽は関羽の顔をマジマジ見始めた。
「な、何か?」
流石に関羽もじれったくなったのか、司馬徽にそう尋ねた。
「……ねぇ?貴女もう一度名前を聞かせてくれる?」
「か、関羽雲長ですが……」
「……やっぱり別人よね。ゴメンナサイ。さっき話した武芸者のうちの一人が貴女にビックリするほどクリソツなのよ。彼女は姓が関で名が椿。倭の国から来たらしくて字がないの」
「は、はぁ」
関羽が曖昧な返事をすると、司馬徽は手を叩いて思い出したかのように答える。
「判ったわ!!椿ちゃんは左の((顳?|こねかみ))に大きな傷があるのよ!!それで貴女より少し胸と身長も大きいのよ!!」
彼女は一人でウンウンと納得し、三人を会話から置いてけぼりにした後用件を切り出した。
「……それで、用件は軍師になってくれそうな子を探しているんだったわね。丁度いい子がいるわ。ウチの塾の2番と3番がね。呼んでくるから少し待っていてね」
やがて司馬徽は諸葛亮と?統を連れて部屋に戻ってきた。
ちなみに張飛は待つのが飽きたらしく、外の塾生達の訓練を見に行った。
彼女達も一年前と比べ背も大きくなっていたが、それでも一般的な女性に比べれば大分と背は小さい方だろう。
「劉備さん。こちらがウチの塾の2番と3番に優秀で、私自身も『臥龍と鳳雛』の異名を与えた諸葛亮と?統です。ほら、二人ともあいさつは?」
「は、初めまして!!諸葛亮です!!」
「は、初めぇまして……?統です。……あ、あわわ――」
二人はガチガチの緊張感を漂わせながら自己紹介をし、劉備は諸葛亮達とこれから世の中について話し合い。やがてそれぞれの信念が同調しあったことを確かめると、関羽はふと呟いた。
「司馬徽殿。こちらの二人が大変優秀で司馬徽殿が進める理由も判りましたが、この塾の1番とは一体どんな人物なのです?」
関羽は世間話をする様にそんな質問をした。
彼女自身も目の前の二人の実力は既に認めており、後は実践にてその実力を試してみたいとも思った。
だが目の前の二人を抑え付けて1番になる者はどうしても気になったのだ。
「………そうねぇ。この塾の1番はとある青年なんだけれど。彼は私の力量では測りきれないわね。最初この塾に来た時は兵法の基本を固め直すと言っていたけれども、今では私の方が教わることは何かと多いかしら……」
「そ、それ程の人物なのですか?」
「そりゃ、私が教えれることは兵法や国の定理などだけれども、実践戦略に関しては何とも言えないわね」
「でも司馬徽さん。何故その人は私に勧めてくれなかったのですか?」
劉備の言い分も尤もだ。
誰しも1番が良い。2番3番の才能が居ようとも、1番の才能の前には”ほぼ”無力と言っても過言ではない。
そんな質問の回答は意外な人物の口から出る。
「………無理ですよ。だって北郷さんはもう既に仕えるべき主を見つけているみたいですし――」
今発言に出た『北郷』なる人物が、塾の1番なのだろう。
そんな人物がいるのなら、仲間に出来ないまでも一度会ってみたい。
劉備達はそう思っていると――
「にゃ〜〜〜!!愛紗が二人いるのだ〜〜〜!!」
外より彼女達の義妹の張飛の高い声が聞こえた。
【ん?この声は】
愛紗……椿が振り向くと、そこにはその昔外史の狭間で別れた鈴々が驚いた表情をしており、自身も一瞬戸惑ったが……
「な!?私がもう一人!!?」
その視線の先には過去の自分もいたのだ。
思い出せばここは自身のいた外史とは別の外史。
自身が知っている鈴々が居るように、この世界にはこの世界の鈴々がいるのだ。
つまり目の前の鈴々はこの世界の関羽雲長の義妹の張飛益徳であり、自身の義妹の鈴々ではないのだ。
【なるほど。こちらの世界の私に鈴々か。いざこうして見てみると、案外何かクル物があるな】
愛紗は顔の汗を拭くフリをしながら、こっそりと頬の涙を拭き取った。
二度と会う筈のない義妹が居ると思いきや、それは別人なのだ。
悪い言い方をすれば、一度希望を持たされたと思いきや、その次にはその希望は絶望に変わる感じなのだから。
「もう、愛紗ちゃん、鈴々ちゃん。愛紗ちゃんに似ている人が居るって、さっき司馬徽さんが言ってたじゃない」
彼女達の後ろから一人の人物が過去の自分と張飛に諭した。
椿(愛紗)は一刀の世界に来てからは、一刀の世界の正史と言われる三国志について調べて見ると、元自分のいた外史での劉備の立ち位置が一刀だと改めて認識し、咄嗟にその関羽と張飛の真名を呼ぶ人物を勝手に頭の中で劉備と断定した。
「そ、そうでしたね。失礼しました。我が名は関羽雲長と申します」
「私は劉備玄徳だよ」
「鈴々は張飛益徳なのだ」
「これはご丁寧に。私は関椿と申します。この国の人間では無いので、字はありませんが、姓は関で名が椿です」
武人の作法に乗っ取ったお辞儀に、三人は感嘆の息を漏らし、椿の左((顳?|こねかみ))の大きな傷を見る。
それを察した椿は笑いながら傷を押さえて答える。
「……あぁ、この傷ですか?いやお恥ずかしい。これは昔母親に殴られた傷ですよ」
愛紗の((顳?|こねかみ))の傷は、まだ彼女が重昌の方針に従いきれていない時。
((善|せいぎ))が全てを救うと頑なに信じる愛紗と((善|せいぎ))だけでは全てが救えないと主張する重昌は最初そりが合っていなかった。
そんな時、彼女の主である一刀が重昌を庇って銃弾に倒れた事件が起きる。
一刀は重昌に忠義を尽くしているが、愛紗は一刀に忠義を尽くしているために、黒幕の勢力に北郷隊を率いて乗り込もうとした。
そこで重昌は彼女に自重を促すものも、彼女は受け入れず、そんな彼女の師となった恋歌が重昌に代わって再び自重を促すが、愛紗は聞き入れず、感情が高ぶっている愛紗は恋歌に言った。
「人の気持ちが判らぬ者には、私の気持ちなど判らない。重昌殿は人の気持ちも判らない、涙を忘れた鬼」だと。
その言葉に普段温厚な恋歌は最大の怒りを込めて愛紗を殴り飛ばした時に出来た裂け傷である。
「それで椿殿。………見たところここの生徒の武術を教えているのは、貴女ですか?」
関羽は自身と同じ顔を持つ椿に戸惑いながら質問をする。
「はい。主に私とあそこにいる政宗。そして私の主である北郷様で見させて頂いております。最近では北郷様の弟子である姜維も手伝ってくれていますね」
「なるほど。それにしても見事なものですね」
「いえいえ。ただの護身術です」
「ご、護身術?……これが?」
護身術と聞いた瞬間関羽と張飛は驚いた。
武に精通している彼女達だから判った事だが、今目の前で棒を振っている生徒たちの棒の速度は護身術の領域を超えており。戦わせて見ないことには詳しくは判らないであろうが、それでも14か15になるような子供たちが普通の軍の一般兵士ぐらいの実力が備わっているのだ。
余程彼女や彼女の主である北郷という者の教えが上手いのだろう。
「へぇ〜。凄いのですね。椿さん達って……」
劉備は目を輝かせながら椿と向こうの先の瞳を見る。
「……と、桃香様。くどいようですけど。北郷さん達は仲間に誘えませんよ」
「そうです。いくら聞いても『俺は既に仕えるべき主は決まっている』の一点張りです。聞いたら逆に失礼ですから聞かないで下さいね」
諸葛亮と?統が改めて劉備に釘を刺すと、彼女は「うっ、判ったよぅ」と言いしぶしぶ了承する。
「で、でも、会うくらいはいいじゃない。椿さん。北郷さんに会ってはいけませんか?」
「今ご主人様は山に滝行しに行きましたね」
「たきぎょう?」
「今から行ってみます?少し歩きますし、夏なので、何か汗を拭くもの持って行った方がいいですよ」
こうして劉備一行の三人は、塾の鍛錬の時間が終わると椿と瞳に連れられて一刀に会うために山へ向かった。
そして山に入り森の奥へとどんどん進んで行くと。そこには裸で座禅を組み、滝に打たれている一刀の姿があった。
劉備達三人は滝に打たれている一刀の引き締まった体の筋肉と周りから出ている氣の美しさに見とれているうちに、彼は立ち上がり滝から離れ。そばの木にかけてあったズボンを履いた。
「そこの愛紗と瞳と胡花以外の人達。気配がダダ漏れだよ」
そう言うと、劉備たち一同と諸葛亮らは草むらから転がり出て来た。
「か、一刀しゃん。その様な心臓に悪い事は止めてくだしゃい!!」
「ハハハ、まだまだ修業が足りないね……それよりそちらの人たちは?」
一刀は劉備達と自己紹介を交わし、諸葛亮らが劉備に着いて行くことになったことも聞いた。
「なるほど。………劉備さん。貴女はこの二人の力をどう使いたいですか?」
「はい。私は朱里ちゃんや雛里ちゃんの力を借りて、皆が笑顔になれる世の中を作りたいです」
「皆が笑顔ね………その先、仲間が・家族が・貴女の隣にいる関羽や張飛が傷つくことになろうとも、貴女はその足を止めずに進めることは出来ますか?」
「……愛紗ちゃん・鈴々ちゃんともそのことは話し合いました。……でも私はもう傷ついた人は見たくない。もし心半ばで私が倒れても、愛紗ちゃんが。または鈴々ちゃんが受け継いでくれると信じています!!」
一刀の目をしっかり見据える劉備の視線は、何かの覚悟を持った瞳であり。「なるほど」と一つ呟くと、一刀は再び着替えを再開して内シャツを着始める。
「……北郷殿。私と一戦交えてくれませんか?」
関羽は着替える一刀の背中にそう言うと、劉備は何を言い出すのか!?と言わんばかりに彼女の真名を言う。
「……何故いきなりそんなことを言うんだい?」
「貴方は強い。始めて貴方の姿を見たときから、椿殿や政宗殿とは違う何かを感じました。そして私の武人として心は揺れ動き、一度矛を交えたいと思ったのです」
淡々と一刀にそう告げる関羽に張飛は「愛紗ずるいのだ!!」と叫んだが、一刀は少し間をおいた後に一つため息を吐くと、右肩を3回程回した。
「………」
「………」
短い沈黙が続くと……
「いいよ、かかっておいで」
そう言い一刀は無手の構えを取り、人差し指で『チョイチョイ』と挑発的な態度を取る。
「……北郷殿は、塾の剣術指南だと聞きましたが?」
「そうだよ。今武器は塾に置いて来たからね」
「ッ!!貴方はその行為が相手に、武人として誇りを罵る事だとお思いになりませぬか!!?」
「だったら、戦場で自分の武器を無くしてしまった時、その相手に武器を取りにいかせる時間を君は与えるのかい?君が俺に勝負を申し込んだ時点で、この場は小さな戦場だ。それとも無手の相手なら君は、余裕を持って勝てるとでも言いたいのかい?」
「……そうだといえば何ですか?」
それを聞くと一刀は直ぐに構えを解くと、そのまま関羽に背を見せた。
「止めた。今の君では腕試しの相手すらならない」
その一言は関羽の心を大きく踏みにじる。
今まで世のため人のためと思い磨いてきた自身の武を侮辱されたのだから。関羽は「舐めるな!!」と叫びながら怒りに身を任せて一刀に切りかかるが、彼は後ろ向きあることにかかわらず初撃を避け刃の峰に乗り、一回転しながら関羽を飛び越え背後に回り込む。
関羽は振り返り際に攻撃を放つが、一刀に右腕の上腕二頭筋((辺|あた))りを押さえられ、攻撃が不発に終わり。
一刀が関羽の手より偃月刀蹴り弾き、中に舞った偃月刀を受け取り関羽の喉元に突きつけた。そこで勝負はついた。
「…っで、まだ何かある?」
彼女は成すすべもなく彼に完敗し、素直に負けを認める。
「そうだね、君の負けだね。怒りに任せた単調の攻撃では、この俺は倒せないよ。一つ言っとくけど、俺はこれでも、瞳やウチの愛紗より弱いからね」
関羽は改めて自身より高みにいる者の存在を認識させられる。
そして如何に自身が小山の大将であったかも。
「……北郷さん。私達と来ませんか?」
一刀の圧倒的な武を見て思ったのか、劉備は彼にそう言った。
「……理由を聞こうか?」
「はい。貴方の武と知があれば、この時代の戦乱は直ぐに治まると思うのです。私も貴方になら付いて行きたい」
なんと世が進めば稀代の英雄になりえる人物の眼鏡に叶い、彼女は一刀を主にしたいとも言ってきたが、一党は思った。「なにかが違う」っと。
「生憎、俺は何処にも所属するつもりは無い。俺が帰るべき場所はただ一つ。味方に付けたいなら、俺の主を倒す事だな。だが言っておくぞ、その人は君以上に慈悲深く、誰よりも優しく、誰よりも厳しいお方だ。それに知識等、俺はその人の足元にも及ばない。今の君なら無造作に捻り潰されるだろう。いいか、君主としての自覚をしっかり持てよ。あの人は容赦無いからね」
翌日。劉備達は沼に潜む竜と雛鳥と劉備軍に志願した塾に所属する未来の英傑を連れて、水鏡塾を去って行った。その一週間後にも、一刀は時が来た思い、水鏡塾を出て行くのである。
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こんにちはこんにちはヽ(^0^)ノ 我が名はザイガス。唯の駄文製作者さww 受験期受験期早く去れ(泣) ぷぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! それではどうぞww 因みにこれは修正作品です。 ご了承ください。 2015/05/02 |
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readmanさん>ありがとございまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッス!!(IFZ) 良いなあ。(readman ) |
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