紫もやし尽くし。 |
紫色と茶色にて。
「あら、こんにちわ」
古ぼけた椅子に深く腰掛けた紫の少女は、ふと現れた来訪者に一礼をしたあと、手元の本に視線を落とした。
「・・・」
訪れた茶色の来訪者は、入って来た扉の前に立ちすくんでいる。
ふぅ、と一息つくとこれまた古ぼけたテーブルを挟んで少女と向かい合うように椅子に腰掛けた。
少女は少し顔をあげて来訪者を見ると、また視線を落とす。
来訪者は大きいテーブルのうえを見渡すと、無造作におかれた本の一つを手にとった。
革の表紙に、金で装飾が施されている。
「・・・ふぁ・・・ん?」
「ファンタスマゴリア」
いつの間にか本を閉じて紅茶を啜っていた少女が答えた。
その声に気づいた来訪者が、視線を上げる。。
「よく読めるな」
「魔導書としてはそこまで難しい部類に入る本ではないわよ」
ふむ。と来訪者が一つ。
手始めに表紙をめくる。
だが、ものの数秒とも持たずに、苦い顔をしたあとに本を閉じた。
「死霊術はお気に召さなくて?」
少女が薄く笑う。
「やっぱ小難しい本は駄目だ。絵本でも読んでたほうがよっぽどわかるし教養になる」
来訪者が苦笑いすると、首を竦めた。
その言葉と動作が可笑しかったのか、少女はまた口元を緩めた。
「紅茶は飲める?」
「品種とかは嗜んでると言えるほど知らないが、甘いもんなら好きだよ」
そう、と一言返すと、紫の少女は丁度そこを通った紅髪の少女に耳打ちをする。
「一番聞き慣れてると思うアップルティーにしたわ」
「奇遇だな。自分は林檎が好きなんだ」
少女の注文に満足したように、来訪者は笑った。
「そうなの?お茶受けにアップルパイも如何かしら」
少女は席を立つと、すぐ後ろの戸棚にあったパイを取り出す。
作り立てというわけでもないが、アップルパイ独特の甘い匂いが二人の鼻をくすぐった。
「本当に気が効くんだな」
「淑女の嗜みです」
そういうと慎ましやかにお辞儀をし、その動作に来訪者も可笑しくて笑ってしまった。
「―そういえば、名前を聞いてなかった」
二人は紅茶を飲んで一息ついたあと、不意に少女がそう言った。
そういえば、と来訪者。
「あまりにも違和感がなくてびっくりしたわ」
「俺もちょっとびっくりだ」
そういって二人で笑う。
「ま、名乗るほどじゃございませんが。自分は―。」
「あら、外見からは似つかず綺麗な名前ね」
少女はクスリと笑うと、来訪者はほっとけ、とそっぽを向いた。
「まぁまぁ。私はパチュリー・ノーレッジ。知り合いからはパチェで親しまれてるわ、以後御見知りおきを」
そうと言うと、またうやうやしく頭を下げる。
「こちらこそ」
来訪者はそう返すと、皿に残った一切れのパイを口に運んだ。
「そろそろお暇するよ」
来訪者はありがとう、と残してその椅子を立った。
「今度はいつ来るのかしら?」
「…暇なときと、ネタに詰まったときと、寂しいときかね」
そうとだけ言い、右のポケット、随分と前から我慢してた1本の煙草とライターを取り出す。
煙草を口に咥えると、火を着けることなく最初に入ってきた扉に向かった。
扉を出る間際、そこで煙草に点火したのが見えた。
「そういうところは貴方も紳士じゃないかしら」
少女の声に気付いた来訪者は、少し立ち止まってから、振り返らずに手をあげてぶらぶらと振った。
説明 | ||
ふと思いついた妄想をつらつらと並べる超短々小説。 いや、妄想日記か。 TINAMIにログインする癖がついた頃に、パチェとの妄想対話形式で日記をつらつらと綴って行きたいと思います。 チラ裏とか言ったやつは俺の嫁になるべき 東方Projectの創造主、ZUN氏に最大の敬意を。 東方Projectで一番好きなキャラ、ぱちぇに最大の愛を。 完全なる2次創作妄想なので、お暇なときにでも読み流して頂ければ幸いです。 |
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