真面目(有栖川有栖・BL) |
「猫で思い浮かべる人は?」
アリスの突然の言葉に、またかと俺はため息をついた。
近頃、ネットではまっているらしい心理占い。
そんなので人の心が分かるはずがない。
なのに、アリスは意外に当たるといっては喜ぶ。
この前は、色で連想する人だったか・・・?
いや、アパートに住んでて隣近所のヤツラを連想するんだったか・・・?
まぁ、どうでもいい。
「あーもー、火村、まじめにやってくれ」
言って、アリスは紙とペンを差し出す。
俺が出す名前なんて、府警関係や教職員関係しかいないというのに・・・。
大体、人にやらせて何が面白いのだろう?
そんなことを思いつつ、少しだけ考えて、素直に受け取る俺。
満足に頷くアリス。
「最初は猫やで」
「あぁ」
「書いたか?」
「あぁ」
「じゃぁ、次は犬で思い浮かべる人やで」
「あぁ」
「書いたか?」
「あぁ」
「次は・・・・」
そうやって、いくつ名前を書いただろう?
全てを出題(?)し終わったアリスは、満面の笑みを浮かべて手を差し出す。
その手に紙を渡すと同時に俺は席を立つ。
温めのコーヒーでも入れてくるつもりだった。
「なんや?これ、火村」
キッチンにたどり着くと同時に、アリスが声を上げる。
「全部俺の名前やないか?親友も、恋人も、愛人も、理想の上司も・・・・
その他、全部が全部俺か・・・?」
シンクに置かれたままのサーバーを見つけ、残っていたコーヒーをカップに注ぐ。
少しぬる過ぎる気もするが・・・まぁいいだろう。
「全部が俺とか、手ぇ抜きすぎやでー。真面目にしぃやぁ〜」
非難がましい声。
何を言う。
俺はいつだって真面目だ。
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