対魔征伐係.11「桜瀬綾音@」
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「それでは〜・・・HRを終える前にひとつ皆に聞きたいことがあります」

1日の授業も終わり、挨拶をして帰るだけとなっていた教室に郁先生の声が響く。

帰り支度をしていたもの、これからの予定を考えていたもの・・・皆が教壇の方へ向き直る。

「今から学校の周りを掃除してもらう人を2名ほど選びます。部活動に入っていない人は手をあげてー」

郁先生の発言にクラス中からブーイングの嵐が起こる。

(・・・普通こういうのって事前に連絡があるんじゃないのか・・・)

今までも掃除を手伝わされるようなことは何度かあったが、どれも数日前には連絡があった。

だが、今回は無い。

どう考えても郁先生の言い忘れだろうと思ったが、自分が聞いていなかっただけかもしれない。

しかも郁先生を怒らせるとどれほど恐ろしいかは皆分かっているので、誰も突っ込めないでいた。

しばらくすると部活動に入っている生徒たちは言われたとおり、挙手をし始めた。

「それじゃあ・・・まぁ、ぶっちゃけ誰も好き好んでやるとは思えないし・・・委員長、頼めるかしら?」

嫌がることとザックリ言ってしまう辺りが郁先生らしい。

名指しされたクラスの委員長。桜瀬綾音はさして驚くことも無く予想していたかのようなリアクションだった。

「はい、分かりました」

聞きやすく綺麗な声で即答する綾音。

皆が面倒くさがるような仕事を任されるのも委員長の役回りのひとつだ。

「それでは〜・・・もう一人は男子がいいわね・・・日比谷、よろしく」

「ちょ、何で俺がッ!?」

運動部が盛んな鎮守高校だが、真司以外にも少数だが帰宅部はいる。

だが、明らかに郁先生に迷いは感じられなかった。

やはりそれは生徒であり弟子である故の後腐れの無さが理由だった。

(・・・今後が不安だ・・・)

今回のことを皮切りに今後は雑用を一手に任されそうで急激に億劫になる真司であった。

 

 

-PM04:21 鎮守高校前-

 

 

帰宅部が帰っていく様子を横目に見ながら、真司と綾音は学校前の歩道上に居た。

真司達のクラスが割り当てられた清掃場所は学校の正門付近。

正門から出ると通学路になっている綺麗に舗装された歩道がある。

その歩道上おおよそ100メートル前後を綺麗に掃き掃除することが今回の任務だった。

(あー・・・何で俺がこんなところに・・・)

普段の教室掃除ですらやる気がない真司。

特別に与えられた自分(と委員長)だけの掃除などはやる気が起こるはずも無かった。

竹箒を適当に前後左右に振っているだけだ。

(今日はバイトもないし、修行・・・ん・・・?)

ふと何かに気がつく。

「ちょっと、日比谷クン・・・ずっと同じところに居ても仕方ないでしょ・・・?」

(これを口実に今日はスパルタ修行サボれるんじゃね・・・?)

一人黙々と考え事をしている真司には綾音の声は届いていない。

「日比谷クンってば!」

「おおぅ・・・あー、考え事してた。で、何だって?」

「・・・だから、同じ場所で掃き続けても終わらないでしょって話」

相変わらずのやる気の無い態度に深いため息を吐く綾音。

この作業が無駄ではないことに気を良くした真司は綾音に言われた通り、真面目に掃き掃除を始める。

 

 

(・・・そういえば委員長とは二人きりでちゃんと話したことはなかったなぁ)

最低限度のクラスメイトとしての会話はあっても二人きりで長い間同じ空間に居るということは無かった。

只でさえ口煩く、仕切りたがりの委員長である。

真司から好んでお近づきになろうとは思えないタイプの女子だった。

だが、流石にこのまま黙って延々掃除などは退屈で仕方が無い。

「なぁなぁ、委員長ってさ」

「・・・何?」

手はしっかり動かしつつ軽く目線だけは向けて、面倒そうにだが綾音は応えてくれた。

とりあえず、話題として真っ先に頭に浮かんだ内容を振ってみることにした。

「恋人とかいるの?」

「居ません」

 

会話終了。

 

軽いジャブを放ったつもりが厳しいカウンターを貰った。

予想以上にフレンドリーな会話をすることは難しそうである。

「じゃあー・・・好きなヤツと」「居ません」

 

会話続行不可能。

 

前々から思ってはいたことだが、委員長に色恋沙汰はありえないのかも知れない。

そんな思いが確信へと変わってきた真司だった。

美人でスタイルもよく、成績も抜群にいい。

だが、浮いた話などは一切耳にしたことが無い。

本人が興味ないのか、はたまた理想が高いのか・・・

(男だったら放って置かないとは思うんだがなぁ・・・)

そう言う真司は委員長の仕切りたがりで口煩い性格が面倒くさそうという理由でそういった対象として見ては居なかった。

「ちょっと・・・私を見てても掃除は終わらないわよ・・・?」

「あ、いや〜、相も変わらずお綺麗だなーと」

咄嗟に言い訳として思っていたことを口に出す。

良い体付きだな。と続けそうになるが、我慢する。

「・・・お世辞を言う暇があるなら手を動かしなさいよ!」

 

 

 

 

(・・・意外に褒めらることに慣れていないのか・・・)

そんな委員長の新しい一面を発見しつつ、言われたとおり掃除を再開する真司。

 

そんな仲良く(?)掃除中の二人を見つめる怪しい男の影が近づいていた。

 

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なぜなに!!征伐係!!

 

 

 

 

 

◇桜瀬 綾音(おうせ あやね)

・18歳/173cm

・鎮守高等学校に通う高校3年生。

・土野市にあるとても大きな豪邸に住んでいるお嬢様。

・シンジやリクと同じクラス。

・バイト先も同じ。

 

・学校での成績は常に学年トップ3に入る程の秀才。運動神経も優れている。

・同じく成績優秀で運動神経も良い1つ下のエリカをライバル視している。

 学力では勝っているが、運動では負けている。

・色々と仕切るのが大好き。そして仕切られるのが嫌い。

・完璧に見えるが世間知らずなところが目立つ。

・上記の理由の為、社会勉強を兼ねてバイトしている、らしい。

 シンジやリクのように金目当てではないらしい。

・クラスでは委員長として全力で仕切っている。

・シンジ達の間ではツンデレ委員長と呼ばれている。

 本人曰く、デレなんて何処にもない。とのこと。

・全くのカナヅチで5Mも泳げない(誠意努力中)。

・とても綺麗好き。そして掃除上手。

 

 

説明
1P目に本文、2P目にその話に出てきた、関するものの設定紹介、小話など。あれば読者からの質問の答えなんかも。質問をする場合はお気軽に。回答は次回の2P目になります。質問内容は3サイズとか趣味とか好きな食べ物とか、設定に記載されていないもの、或いは紹介自体されていないものなど何でもOKです。但し、有耶無耶にしたり、今はネタバレ的な意味で回答できないよ!となる場合もあることをご了承ください。

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