【デジナミ】プロローグ【小月暁夜】
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「おかえりなさい、神城さん。

 お兄様から、お手紙とお荷物が届いていますよ」

 

学校から寮に帰ってすぐ、

寮母さんから、はいどうぞ、と押し付けられたのは、

大きなダンボール箱2箱と、1通の手紙だった。

 

ありがとうございます、と荷物を抱えて部屋に戻る。

普通なら、連絡もなしに大荷物が届いたら、首をかしげるものだろうけれど。

 

(兄さんだから、仕方ないよね・・・)

 

伝票に書かれた差出人の名前を確認して、ため息がひとつ。

そこには、しっかりと兄の名前が記されていた。

 

たとえ連絡も無く荷物が送られて来ても、いつものこと。

以前だって、いきなり大量の洋服と靴(しかも私にぴったりの)が送られてきたり、

大量の食料(非常食とか書いてあった)が送られてきたことがあった。

 

兄に常識は通じない。そういう人なのだ。

 

そこでふと、思い出す。

いつも、しつこいくらいに連絡をしてきていた兄から、

ここ数日、全くといって良いほど、電話もメールもないことを。

 

(最後に電話が来たときに、仕事が忙しくなるって言ってたっけ)

 

便りが無いのは元気な証拠、と考えて、

部屋の片隅に荷物を置き、先に手紙を開封する。

 

そこには、ホチキスで留められた、説明書のような紙が数枚と、

それとは別に、便箋が1枚入っていた。

 

便箋の方から先に、目を通す。

なぜだかとても可愛らしい、赤い竜のような動物が印刷されたそれに書かれていたのは。

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 拝啓 妹殿

 全力で楽しめ。出来るなら、俺を捕まえてみせろ

                       敬具

 追伸 職業はジェネラルを選ぶこと。        

 

 

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さっぱり訳が分からない。何がしたいんだろう、あの兄は。

 

首をかしげながら、一緒に入っていた便箋に目を通す。

それはオンラインゲームの簡単なマニュアルだった。

 

このあいだ、新しくサービスを開始したばかりだという、

「デジナミワールドオンライン」の。

 

(でも、オンラインゲーム以前に、

 私はパソコンを持ってない・・・って、もしかして)

 

 

手紙をおいて、段ボール箱を開ける。

そこには、真新しいモニタと、PCの本体、それと付属品が一式入っていた。

 

つまり、兄が私に求めているのは。

(このゲームをやって、自分を見つけてみろ、と。)

 

はあ、とまたため息がもれる。

高校に入学して、大分慣れてきた今、

部活に入っていない私には、暇な時間が結構ある。

 

だから、少しぐらいゲームをしても、問題は無い。

実際、最近は暇な時間をもてあましていた位だったし。

 

兄の思惑に従うことに抵抗を感じなくはない、けれど。

放置すると、あのひとのことだから、人様に多大な迷惑を与えかねない。

 

そうとなれば。

やることは直ぐに決まった。

 

「やるしかない、か。

 よし、やるからには本気で行くよ!」

 

丁寧に梱包されているPCの設置にかかりながら。

私は気合を入れたのだった。

 

 

はじまりは、そう。

本当に、些細なきっかけだったのだ。

 

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あらすじ(ある日の流奈の日記より、抜粋)

 

○月×日

兄から、手紙とPCとデジヴァイス+αが送られてきた。

手紙の内容は、全力で楽しんで自分を捕まえてみせろという、

意味不明なものだった。

 

でも、放っておくと、とてつもない迷惑を周りの人にかけそうなので、

デジナミワールドへ探しに行くことにした。

 

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説明
小話投稿失礼します!

うちのこ(ルナ)【http://www.tinami.com/view/260696】
の、デジナミに参加するきっかけはこんな感じでした。
これから色んな人と出会って、成長してくれる、はず……!

※簡単なあらすじは小説の末尾をご参照ください。

企画元様:【http://www.tinami.com/view/236070】
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