夏コミ新刊LAS本「XXX -KISS KISS KISS-」サンプル
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「僕だって、君が思う事と同じ事を思ってるよ」

「……」

「多分、それ以上の事も考えてる」

「それ以上?」

「そう、それ以上」

 

僕は再び頬から彼女の手を外した。

そして彼女の体を抱き締めた。

 

「一緒に居たいし、ドキドキするし、触れていたいし……」

「……」

「勿論、大事にしたいとも思うけれど、それと同時に困らせたい、泣かせたいって言う感情も混ざってる。

 壊して滅茶苦茶にしたいって思いもね」

「そうなの?」

 

彼女の瞳は不思議そうなだけでなく、信じられないという色も帯びていた。

それはそうだろう。

何せ僕の思いは、プラスな感情だけでなくマイナスな感情も含まれているんだから。

それでもこれは、彼女は知らなくちゃいけない事だ。

好きって事は、何もプラスだけじゃない。

 

「でも、それも引っ括めてプラスになる感情が好きって事なんだよ。だからもっとアスカに触れたいし、キスもしたい」

「……」

 

僕は彼女を抱き締めた腕に力を込めた。

すると彼女は頬を染めて額を僕の肩に預けると、僕のシャツを握り締めた。

頬に触れる彼女の耳が熱い。

 

――反則じゃないか。

 

一言で言うと、いじらしい。

普段の彼女も勿論可愛いのだけど、それ以上に愛らしいと言うか。

目の端に入る彼女の項も紅く染まっている。

 

「……それ、ホント?」

 

胸に込み上げて来るものを抑え切れなくなりそうになったその時、彼女は顔を上げた。

その時の彼女の表情は、何だか何処かに行ってしまいそうな程儚く見えた。

少し薬が効き過ぎたんだろうか?

僕は宥める様に彼女の背を撫でた。

 

「うん。ずっと一緒に居たい。離れたくないよ」

 

彼女は再び僕の肩に額を預けた。

そして、消え入りそうな声でポツリと呟いた。

 

「アタシも――」

 

最後の方は聞き取れなかったけど、恐らくは僕と同じ事を口にしていたのだと思う。

いや、思いたいのか。

ただ忘れちゃいけないのは、これで全てが解決した訳じゃなくてスタート地点だという事だ。

 

「だったら、僕の事も少しは考えて欲しいって言うのも解るよね?」

 

僕は彼女の耳元に口を寄せ囁く。

すると彼女は顔を上げて少し口を尖らせると、拗ねた口調で顔を背けた。

 

「それだけは嫌」

説明
夏コミ2日目(8/13)初頒布の新刊LAS本「XXX -KISS KISS KISS-」収録SSのサンプルになります。今回は全年齢本なのですが、何気にけしからぬ本だったり。最初から最後迄、タイトルに違わぬ内容でお届け致します!一応、惣流さんでも式波さんでも安心のツンとデレを目指した所存。◆表紙はラフになります。◆通販に関しましてはこちら http://t.co/ISQt64E ◆大した部数ではないのでちまちま売ってますので宜しくお願い致します。
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