ピースプログラム1-7/36
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『ちきしょーさっきまで一本腕だったのに』

『さっき澄川君が渡してたプログラムはこのためだったのね。ゆうじ先輩は目も潰せてないみたいだし』

 

 秋吉達は雄二達が入り込んだわき道の入り口で突入の機会を覗っていた。

 

『みーちゃんは攻撃失敗かな。オーガがバーグナムの足を潰してる。二人とも玉砕だけどバーグナムも動けないみたいだ。どうする班長。そろそろ撃ち尽くすよ』

 

 小型の対戦車ミサイルを満載したプレートマンに乗る松ヶ瀬が問う。

 

『一台の足を止めるに二台がかりか。トホホ』

『泣き言言わない。大和はカメラミサイルで支援。あたしと度会は撃ち尽くした松ヶ瀬を盾に突入!』

『俺そんなんばっかー』

『そういう戦車でしょ!あ!』

 

 秋吉達の足元に投げ込まれた閃光手榴弾が破裂する。

 

『フラッシュボム!?逃すか!』

『出るな!』

 

 わき道に飛び出ようとした渡会の赤いレイチェの腕を秋吉のアリスが掴み、引き寄せる。

間に合わずに飛び出た半身が蜂の巣にされて、度会のレイチェは機能を停止していた。

 

『トホホな野郎だ。後でいじめちゃる……目をやられた俺よりましか』

『んもう!大和。目の様子は?今日は何発積んでるの?』

 

 秋吉が渡会の残骸をわき道に放り込んでみると、あっという間に蜂の巣にされて弾け飛んで行く。

威嚇のつもりだろうか?腕二本にチェーンガンを配して消耗が激しくなっているはずなのに、と秋吉は息を飲む。

 

『すぐ回復する。あと一本だ。マツ、残弾報告』

『対戦車中型1、小型6。丁度フルファイア』

 

 秋吉が間接カメラをわき道に出して様子を見ようとすると二秒と経たずに打ち抜かれる。

ただ、こちらに銃口を向けるレフトハンドと、動けないバーグナムの様子を見ているのだろうレイチェの姿は捕らえる事ができた。

 

『おっけ。突入と同時に道を塞ぐように一斉発射!大和のミサイルは撃っちゃ駄目よ』

『背中に銃括ってあっからさ、持たせておくれ』

 

 幅広寸胴なプレートマンの背中に括ってある銃を、体の側面に申し訳のように飛び出ている腕に持たせる。

 

『よし。いける』

『ナウ!』

 

 秋吉の合図とともに松ヶ瀬が通路に飛び出し、それに隠れるように二人も飛び出す。

 

『あがが!ゆれるゆれるー』

『!?大和!』

 

 わき道にいたのはレフトハンドのみで、七発のミサイルを打ち落とし、松ヶ瀬に一射浴びせてきたかとおもうとすぐに瓦礫の向こうに飛び込んだ。

大和の単眼レイチェがその瓦礫の山にバズーカを打ち込むと、察していたように飛び出し、また別の瓦礫の陰に隠れる。

 

『待ってる?』

 

 秋吉は松ヶ瀬の背中に背中を合わせ、周囲を警戒する。

 

『上か!』

『うひゃー』

 

 廃墟ビルの上から飛び降りてきた宮川のレイチェが、真鉄のソードで大和のレイチェを真っ二つにすると、掬い上げるように秋吉のアリスに向かって斬り付ける。

秋吉は片足を切られながら飛び上がって宮川の頭を蹴り上げ、無防備になった首に、上からマシンガンの銃弾を浴びせる。

浮かび上がったアリスの側頭部を雄二のチェーンガンがなぎ払う。宮川は機能停止した。

レフトハンドはびくりと体を震わせて足を止め、その瞬間に松ヶ瀬が蜂の巣にする。

 

『班長!?』

『生きてるよ。バーグナムが見えないわ。爆散した?いや。あれがくる!?避けて!』

 

 どん、という大きな音。

松ヶ瀬と秋吉が逆方向に飛ぶと同時に、プレートマンからガツンと音がして、一瞬の間を置いて爆発する。

片足で瓦礫の陰に飛び込んだ秋吉が顔を上げると、すぐ目の前に手榴弾が見えた。

説明
小説というよりは随筆とか、駄文とか、原案とか言うのが正しいもの。 2000年ごろに書きはじめたものを直しつつ投稿中。
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