伝えられない想い
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「ん……んぅ」

 私の隣で気持ちよさそうに寝息を立てている櫻子。いつものように『宿題手伝え!』

なんて言っておきながら、真っ先に寝てしまうなんて……まったく櫻子ったら……

「んん……んっ」

「本当に櫻子はしょうがないですわね」

 我が儘で自分勝手。いつもいつも私を振り回す。

 そんな好き勝手に動く櫻子ですが――――

「こうして眠っている姿は可愛らしいものがありますわね」

普段の活発な櫻子も可愛いのですが、やはり櫻子の寝顔は特別可愛らしいですわ。

「ん……ふがっ」

「これくらいは許されますわよね?」

 眠っている櫻子の頭を撫でる。ふわりとした柔らかい感触。そして、髪に触れるたび

に櫻子の口から漏れる小さな吐息。その吐息がまた色っぽくて――普段とは違った魅力を出している。

「これは少し癖になってしまいそうですわ♪」

 櫻子本人には言えませんけど、こうして眠っている時くらいはいいですわよね?

「櫻子……あなたが好きですわ」

 小さく呟くような告白。聞こえるか聞こえないかのような告白。それでも自分の想いを伝える。

 眠っている相手に対してこれでは、起きている本人に本音を伝えるのは、当分先になりそうですわね。

 

 

『櫻子……あなたが好きですわ』

 向日葵からの突然の告白。えっと……これはどういう……

 いやいや、分かってるよ! 向日葵が私に告白をしたわけで……冗談とかじゃなくて、マジな告白で――

 ぐあー! ど、どうすればいいの? 私はどうしたらいいの!?

 今すぐ起きて向日葵の告白に返事をするべき? それとも、このまま寝たふりをするべき?

 あぁ、何で私が向日葵のことで、こんなにも悩まないといけないんだよ!

 それに、向日葵のやつさっきからずっと私の頭を撫で続けてるし……マジでどうしたらいいの!?

「櫻子……」

 えっ!? な、何!?

「好きですわ。本当にあなたが……」

 〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?

 は、恥ずかしすぎる! 向日葵に好きだと言われるのがこんなにも恥ずかしいなんて――

何で向日葵は平然と好きだなんて言えるんだよ!

 バカ! 向日葵のバカ! 私にこんな恥ずかしい思いをさせるなんてバカだよ!

「向日葵の…………ばか」

 

 

『向日葵の…………ばか』

 不意に聞こえた櫻子の寝言。相変わらず人をバカ呼ばわりして――バカなのは櫻子の方でしょうに。

 ですが……そうですわね。私もバカなのかもしれません。恥ずかしがって自分の素直

な気持ちを伝えられない。そういった意味では私はバカなのでしょうね。

 これでは、櫻子に対してバカとは言えませんわね。

 自分勝手なバカと素直になれないバカ。バカ同士私達は相性がいいのかもしれませんわね。

 まぁ、そんな考察は置いておいて――――

「櫻子、起きなさい。起きて宿題の続きをしますわよ」

「んぅ……ん」

 櫻子が目を覚ます。意外なことに簡単に起きましたわね。もう少し手こずると思ったのですが。

「櫻子。宿題をしますわよ」

「…………うん」

 小さく頷き机に視線を落とす櫻子。一瞬、櫻子の顔が真っ赤に染まっていたような気

がしましたが……あれは気のせいですわよね?

 とにかく今は宿題をするのが先決ですし、考えるのは後にしましょうかね。

 私の櫻子への想いも、それを伝える方法も全て――後に回しましょう。

 

 一応、言っておきますが、私は逃げているわけじゃありませんからね!!

 そこは勘違いしないでくださいね。

説明
\アッカリ〜ン/は出てきません。
ほい、ゆるゆりです。
向日葵と櫻子のお話……こんなんで大丈夫かな?
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ゆるゆり 大室櫻子 古谷向日葵 

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