GROW4 第十章 古きにおいて購(あがな)うは人の性(さが)なり |
1
(江戸時代より昔に作られた旧世代の禁辞刀、それらの能力は未知数。特にあの刀、鬼柱折衷御殺魔は、名は有名だが能力は一切不明。慎重に行かんとよな・・・)
「蛯名の欝蝉(えびなのうつせみ)っ、如月法中(きさらぎほうちゅう)!!」
ヒュヒュヒュヒュン
ばばばばばばばばばばばばばばばばっ
「騙くらかしはやめたのかな?技が丸見えだよ・・・・」
花へと飛び交う無数の攻撃は、先ほどとは違い目視も気も感じ取れる。それらの攻撃は、花を
囲むように責め立てる。
「姿形を消したところで完璧に感じ取られちゃぁ、わざわざ莫大な気を使って隠す必要もないのよな・・・
その剣戯、じっくり見せてもらおう・・・」
ニヤリと笑い、花を見据える紅葉。しかし花は、剣を抜くどころか動こうともしない。
グゥゥゥゥゥゥンンンン
バリバリバリバリィ
「あれはなんなのよな?」
突如として花の周りに現れた、数個の黒い次元層の歪(ひずみ)。それらが紅葉の攻撃を更に
取り囲む。
「まったく甘いんじゃないかな?こんな“低級”な技で、この刀の鞘を抜かせちまうほどこの刀は
軽くはないんでね・・・
異形攻型(ワーマン・アルカタ)、異次元からの襲撃(リリカル・ストレート)・・・」ボソッ
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュンン
ガガガガガガガガガガガガガガガガッ
次元層の歪から出てきた無数の手が、紅葉の攻撃をすべて打ち落とす。花は紅葉へ手を翳した。
バッ
「具現六枚鈍昼(ぐげんろくまいどんちゅう)」
ギラァァァァァッッ
「くっ、孔明の摩天楼(こうめいのまてんろう)っ!!」
ヒュン
ゴシャァァァァァァッ
「本気で来ないと一瞬で終わるぞ花。百式夜行(びゃくしきやこう)!!」
「速いっ!?」
花の目の前に突如として出現した次元層から、次々と放たれる攻撃。紅葉は反撃する暇さえ与え
られない。
「黒き英雄の妖(ダークヒーロー・ヘルゲンガトリーサ)」
シュゥゥゥゥゥ
バチィィィィィィィ
「むむっ?」
シャッッ
波打つ花の攻撃を、右腕一本で吹き飛ばす紅葉。周りの黒に同化するが如く漆黒な煙を纏い出す。
その状態で花に向かって一直線に飛んだ。
「急激に気が上がったな。妖化(ミフィルク・マルゲ)か・・・」
ギラァァァァァァァァッッ
腕が濃い紫色に光り出し、更に気が上昇しだす紅葉。
「破滅の右拳(プレリュード・デクストラーディオウム)」
「メザリアの掌(てのひら)」
パシィィィィィィッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
「流化崩咲(りゅうかほうしょう)」
ガキィィィィィィンンン
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ニヤリィ
「実に禍々しき刀身よな・・・」
「一瞬とはいえわたしに刀を抜かせるなんてね。長生きはできないよ・・・」
背中後方に簸(ひ)た隠していた左拳が花を襲った。それに対し、腰に挿した刀の刀身を10cm
程出して防ぐ花。まさに紙一重のタイミングと言えよう・・・
シュラァァァァァァァァァァァッッ
ぶああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっ
ザザッ
「こ、これが・・・」
剣を鞘から抜いた花。刀の全体像を見た紅葉は、その威圧感に圧倒され思わず数歩後退した。その
圧倒的な威圧感は一気に会場全体をも埋め尽くし、観戦者さえも気絶させていく。
冷や汗が止まらない紅葉。刀を目の前にして、正気を保っていることすら奇跡と言えるくらいだ・・・
2
「ぞくぞくするね。倒しがいがあるよな・・・」
「はっきり言って素手で終わらせようと思ったけどね・・・
出てしまったよ、刀が・・・」
「わたしも全力以上で掛らないとよな・・・」
ググッ
「知らないよ紅葉さん。絶命しちゃうかもね。でもこの刀が君を斬ることを選んだんだ・・・
一分、いや・・・30秒は立っていてくれよ」
ガチャッ
「いずれにせよこちらも全力で掛るのみっ。林の祭殿(リースドレム・グレッセンロレイ)」
「地固めか、無意味だよ。一線、風羅(ふうら)」
ズパパパパパッ
林の祭殿を一瞬にして切り裂く花。しかし、紅葉の狙いはここではない。
「地固め?そんなの必要ないのよな!!アンドロイド辰薪(たつまき)」
ギュァァァァァァッ
「無駄だと言ってるのに、戦国荒島稼働六越え(せんごくあらしまかどうろくごえ)」
ガキィィィィィィンン
「ん?」
「そう簡単には斬れんのよな。急激な回転によって刀身が定まらない分斬れんよな。それにこの
辰薪は砂嘴塵(さしじん)が含まれている。刀が泣くぞ・・・」
「チンケな辰薪だよ。一瞬の足どめかい?払い!」
ゴシャァァァァァァァッ
「す、素手で吹き飛ばした!?」
「何かの作成に時間を稼いでるみたいね。でもそんなことをしているヒマ、あるのかな?
囚人六千辻斬り(しゅうじんろくせんのつじぎり)」
ヒュゥゥゥゥン
「妖術蒙古(ようじゅつもうこ)、護身霊態様(ごしんれいさまさま)!!」
ボボボボボボボッ
「詰めが甘い!!獅子脅し獄演戯(ししおどしごくえんぎ)!!」
ゾクゾクゾクゾクゾクッ
「くっ・・・」
全身に走り抜ける強力な寒気。一瞬の怯みを花は見逃さない。
「獅子慟甓弧(ししどうびゃっこ)、伝統一芸嚥下(でんとういちげいえんげ)」
ズバァァァァァァァッ
ドシュゥゥゥゥゥッッッ
「ガフゥッ。ま、まだだ・・・」
「妖怪鬼道術(ようかいきどうじゅつ)の活性魂(かっせいこん)か。無理やり時間を伸ばして何を企んでるのかね・・・」
斬られたところの傷が一気に回復する。紅葉は花を睨みつけて言う。
「その刀は強すぎる。ただの上級攻撃じゃ防御するのがやっと・・・
だから力を貯めて攻撃を仕掛ける!!次で終わりよの!!!」
「ごまかし程度の治癒でどうにかなるものかな?この刀の付加能力は一方的な支配。相手の攻撃
なんてまとめて吹き飛ばせるよ・・・」
ジャキッ
「一刀流奥義・・・」
「今度は簡単には進行させんのよ。大地万世(ドレスティンク・ヴァース・エマスドグレディットフーベルマ)・・・」
「一歩遅いよ、紅葉・・・
煎簸凍結斬愚(せんびとうけつざんぐ)」
すっ
ガギィィィィィィィン
「か、片手で止めた?」
「くっ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
純悪なる古龍の鉄槌(ゼーベストマガリュゼ・ブレストミガーニオ・ジャンガスパッゼ・ヘニウム)」
ビシビシビシビシィ
「右腕だけに賭けて来たの?でも一歩も二歩も届かない・・・
砕けろっ!!!!」
バキャァァァァァァン
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ」
斬撃をやや押し返しつつあった紅葉の右拳が粉々に粉砕した。しかし、勝利の執念からか、紅葉は
左拳を強く握る。
「大した根性だよ。可愛い顔には似合わない。そんな表情を見るとあのころを思い出させる・・・」
ククク、と歯を出して言う花。右手で刀を担ぐように持っている。紅葉は向かってきてはいるも
のの、ほとんど意識は無くなっている。
「左手一本で何ができるんだ。君は良く戦ったよ。だからこれで倒れてくれ・・・
漆黒凱鳥(しっこくがいちょう)」
ヒュヒュヒュン
ふわわわわっ
「避けた?もはや意識も薄いだろう。反射神経だけで避けたのね・・・
戦術打破」
ゴシャァァァァァッ
懐まで入って来た紅葉の頭の中心を、刀の柄で抑え込む花。しかし、紅葉は倒れない。
「爆撃妖術破犀(ばくげきようじゅつはさい)」
ドゴォォォォン
「ぐっ。効いたねぇーー。まさか意図的に意識を飛ばして妖術を暴走させるなんてね・・・
今の攻撃で少し生命力が持ってかれたよ・・・」
ゴゴゴゴゴッ
シュゥゥゥゥゥゥ
再生する紅葉の右手。それに加え、気が回復してきた。
「“わたしの力”で回復しないでくれるかな。まったく、しぶといね・・・
やっぱり二刀流のほうが良かったかな?」
懐から新たに短刀を取り出す花。鞘を抜くと、刀身の色が濃い青に染まっている。
「青刀水知(せいとうみずち)、そろそろ終わりにしよう・・・」
3
右手に黒刀、左手に青刀を構える花。それに対し、体力が回復したのか目を覚ます紅葉。
「わたしがここに立ってるということは、わたしの勝ちということよな・・・」
「残念な勘違いは困るよ。これで終わるんだ。こちらも少々手加減が過ぎた」
「二刀流?」
「青い刀身はすべてを追い払う力を持つ。二刀流両式身構え、戦火双頭(せんかのそうとう)」
ビュビュッ
「そんなものっ。ああっ、身体がうまく動かない・・・」
ズバン
「あああああああああああああああああああああああああっ」
紅葉から霊力が追い出される。それと同時に意識が完全に吹き飛んだ・・・
ゴシャァァァァッ
「・・・・・」
「審判までたおれてるよ。まったく、“銃”を使うべきだったかな・・・」
4
ほとんど一方的な感じで勝利を決めた花が三回戦にコマを進めた。
そして次の試合、第二回戦第二試合。
落葉手鞠(聖1)VS御波奈乃(辛羅1)の試合である。
二人とも一回戦では圧倒的な力を見せつけたがいったいどういう風に戦うのだろう・・・
「僕に本気を出させてくれるかい?」
そう聞く手鞠に対して奈乃はゆっくりと答えた。
「“わたしが”30パーセントくらいですねぇー^^
『五パー出せば余裕だろww』」
「随分と余裕だね。まったく・・・」
「ふふふー。ちょっとだけイライラしてましてー一瞬で終わったらごめんなさい・・・
『あーあ。花さんがさっきの試合遊んでるから怒ってるよ・・・』」
「そろそろ始めます。第二回戦第二試合目、始め」
まず動きを見せたのは手鞠だった。一気に距離を詰める。
「手鞠(ケルトボール)、雷撃玉蹴(ライトニング・クレウゼム)」
ギュァァァァッ
クイッッ
「遅い・・・」
雷速を超える玉を、首を軽く反らすだけでかわす奈乃。完全に攻撃を捉えきっている。
「連撃100蹴(ディーマグレティック・ハンドレッド)」
ビビビビビビビビッ
ガガガガガガガガガッ
「ふわぁぁぁぁぁぁっ」
「なっ!?攻撃が直撃しているのにあくびなんかしてるのか?」
「痒いですね。攻撃っていうのはこういう物なんですよ・・・
器官崩壊(ウィー・バルギルド・ゼンガドラギュール)」
ゴシャァァァァァァッ
「グボォォォッ」
奈乃の手刀が手鞠の胸を貫通する。
「クソっ」
ブシュゥゥゥ
無理やり引き離したが、手鞠の臓器器官はほとんどやられてしまった。
「一撃がこの威力!?人間かホントに・・・」
「ちょっと強くなったくらいの人間と比べないでください。あなたがただ弱いだけ・・・」
「一撃入ったくらいでいい気になるなよ。流聖群!!」
ドドドドドドドドドドッ
シュゥゥゥゥゥ・・・・
「蚊、以下ですね・・・」
フィールドを打ち砕くほどの威力の流聖群がまったくの無力。これほどまで実力の差が大きいと
倒しようがない・・・
「聖の人も強いのは驚殿下さんとマリア女史の御二方だけみたいですね。正直話になりませんでし
たよ・・・
気の強奪(グダン・ディテカル)」
シュァァァァァッ
「なっ?」
ゴフッ・・・
ドサァァァァッッ
「え、し、死んでる・・・」
「死んでなんかねーよ審判。そいつの魂を抜いただけ。終わったら戻す・・・」
「は、はい・・・勝者、御波奈乃」
「怖いですねまったく。わたしも死んだかと思いましたよ・・・
『殺すかよあんなやつ・・・』
ま、これで花さんとやれるわけですね^^
『あーあ、荒れんぞまったく・・・』」
5
※作者がミスったため天埜御琴神威と柄羽牛頭煉冶が入れ替わってます。すいません・・・
次の三試合目は、シードの柄羽牛頭煉冶(冷門1)VS籠山三尋(流水2)の試合である。
煉冶の身長は2m50cmもあり、頭にヌーの頭の骨をかぶり、古代民謡族の末裔のような
動物の皮を加工なしで剥いできたようなワイルドな格好をしている。はだしなのは仕様なのか?
三尋さんはさっきから寝むそうだ。昨日の好きなテレビ番組があったとかで寝不足らしい。大丈
夫なのだろうか・・・
「第二回戦第三試合目、始めっ」
6
次回予告
まさかのミスで入れ替わった二人ww
まあ仕方ないですすいませんww
てゆうか逆に良かったと思います。
神威はシードということでめちゃめちゃ強かったですが煉冶はどうかな?
強くします!!全力でww
ミスったからには強くしてやんよっ!!煉冶さんをww
モブ担当だった煉冶さんwwをどこまで格好良く強く見せるかは次回ww
GROW4 第十一章 野生の美学(ワイルド・グランツェット)
ではでは
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