ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎 #1 ゆけむりとミステリー
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(雑誌“ゆけむり”編集部・編集長デスク)

 

編集長:ミクさん、今日から三泊四日で、この温泉郷に取材に行ってきて下さい

ミク:きのこ温泉郷内の、めぐり・・・めぐ・・・

編集長:“巡咲庵”(じゅんしょうあん)よ。この温泉郷、ちょっと訳有りみたいなのよ。来月号は「ゆけむりとミステリー」ってテーマで、ミステリースポットがある名物温泉の紹介路線で行く事になったの。あなたには、このきのこ温泉郷のゆけむり記事と由来するミステリーの記事をお願いしたいのよ

ミク:わかりました。準備して行ってきます

編集長:これが往復チケット。細かいのは領収書を切ってもらって《後清算》ね。それとこれがマップと紹介状。これを女将に見せれば協力してくれるはずよ

ミク:ここって秘湯なんですか?

編集長:秘湯じゃないわね。温泉だけの記事なら、既に紹介記事が他社から出ているんだけど、ミステリー部分は最近出てきた案件だから、まだどこも記事にしてないの

ミク:では、今回の記事で力を入れるのは『ミステリー』部分って事ですね

編集長:そうね。じゃ、頑張って行ってきてね

ミク:はい

 

(次の日・新幹線内)

 

ミク:温泉取材はいろいろ行っているけど、『ミステリー』に繋げた取材って、そういえば無かったわね。面白そうだから、頑張ろ!

 

***

 

<ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎 第1話 ゆけむりとミステリー>

 

(きのこ温泉郷駅前)

 

ミクは駅を出ると、駅前に停まっていたタクシーを1台つかまえた。

 

ミク:すいません、温泉宿の『巡咲庵』までお願いします

タクシー運転手:はい、巡咲庵さんですね

 

運転手はタクシー無線を使って、タクシーセンターに連絡した。

 

タクシー運転手:こちら1号車、これから巡咲庵まで一人、案内する、どうぞ

センターのオペレーター:了解です。お願いします

 

運転手はマイクを戻すと、メーターを上げて車を発進させた。

 

***

 

(温泉宿・巡咲庵前)

 

ブロロロ・・・

 

ミクは清算してタクシーを降りた。宿は駅からそれほど離れていなかったので乗ってから10分程度で到着した。

 

巡咲庵の外観は、一般的な老舗の温泉宿で、それほど大きいわけではなかった。とりあえずミクは玄関から中に入ってスタッフを呼んだ。

 

ミク:すいませーん

 

奥の方から3人の女性がパタパタとやってきて、ミクの前でお辞儀をした。

 

大女将:これはこれはお待たせしまして申し訳ありませんでした

 

ミク:あ、私、雑誌『ゆけむり』の温泉記者の『初音ミク』と申します。あの、これ、うちの編集長から預かった紹介状なのですが

 

ミクは大女将に紹介状を渡した。

 

大女将:確かにお受け取りいたしました。私、ここの大女将を勤めております“咲音 女威子”(さきね メイコ)と申します

女将:女将の“巡音 瑠香”(めぐりね ルカ)と申します

若女将:若女将の“鏡音 鈴”(かがみね リン)で御座います

 

ミク:これはどうも。とりあえず部屋に案内していただけますか?

 

メイコ:かしこまりました。どうぞこちらへ

 

メイコはミクを部屋に案内した。

 

(宿泊部屋)

 

部屋は和風で落ち着いた感じだった。

 

ミク:へぇ〜、綺麗な部屋ですね〜!

メイコ:有り難う御座います。こちらお茶とお茶菓子になっております。宜しかったらどうぞ

ミク:有り難う御座います。あとで頂きますね

 

到着が夕方だったので、取材は明日にする事にした。

 

メイコ:この紹介状ですが、ちょっと拝見しても宜しいでしょうか?

ミク:あ、どうぞ

 

メイコは紹介状を開封し、中の文面をざっと読んだ。

 

メイコ:お伺いしております内容の通りで御座いますね。かしこまりました。しかし、きのこ温泉郷側としましても、この内容に該当する案件をすぐにお客様に公開するわけにはまいりません。事情が事情であると言うことをご理解くださいませ

 

ミクはちょっと意外だ、という顔つきをした。

 

ミク:では、どうすれば、取材に応じていただけるのでしょうか?

メイコ:取材でもないです。まさにお客様ご本人に謎を解いていただきたいのです。なのでお客様の“謎解き”能力を試させていただきます。ご入浴、ご夕食の後に、当宿でご用意致します『謎解き問題』に挑戦していただきます。ルールなどはその時にご説明差し上げます

ミク:この謎解き、どこの出版社の記者が来ても、行われるのでしょうか?

メイコ:はい。レベルを同じにして問題を変えて、解いて頂いておりますが、残念ながら合格した方がいらっしゃらなかったので、この内容の記事は、今まで公開されずに今に至ってます

 

ミク:わかりました。ちょっと変則的な感じもしますが、記事をかかないわけには行きませんので、その勝負、お受けいたします。でもとりあえず休ませていただきます。ノートPCを使って、ココまでの記事を書かせていただきますが宜しいですか?

メイコ:今日の謎解きに不合格だった場合は、大変失礼ですがその記事は消去させて頂きますが、それでも宜しいですか?

ミク:大丈夫です。私は負けませんから

メイコ:では、ごゆっくりどうぞ

 

メイコは退室した。

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(女将の部屋)

 

ルカ:今回の記者はどうですか?

メイコ:かなりの自身家ね。でも、なんか解きそうなのよね

リン:じゃあ、あの謎に初めて挑む記者が出てくるのね

メイコ:とりあえず、この謎解き能力は試させて貰うわよ。話はそれからよ

 

(夜・ミクの部屋)

経理担当:失礼致します

ミク:はい

 

少年っぽい人が入ってきた。

 

経理担当:お初にお目にかかります。私、ここの経理担当の鏡音 蓮(レン)と申します。どうぞ宜しく。お客様、お風呂のご準備が出来ましたので、ご入浴の程、宜しくお願い致します。尚、当宿では、大浴場の他に、露天風呂も御座いますので、どうぞご利用くださいませ

ミク:はい、ありがとう。これから準備して入りますね

レン:それでは

 

レンは退室した。

 

ミク:この宿って、家族ぐるみなのかな?。今の子ってどう考えても14歳位よね〜。まぁいいわ、お風呂入ろ!

 

(夜・大浴場内の露天風呂)

 

ミクは大浴場内にある露天風呂に入っていた。

 

ミク:はふぅ〜、良いお風呂・・・。あーあ、なんかミステリーの仕事で来ていなければ、素敵な宿なんだけどな〜。風光明媚だし、落ち着いていてゆっくり出来そうだし。街にもいろんなお店があるっぽいし

 

ミクはちょっと夜空を見上げた。

 

ミク:それにしても、なんか、宿の女将の対応じゃないわよね〜。でも、不躾な対応をしてまでも、隠したくなる謎って事よね。よっし! やったるか!

 

ザバッ! トテトテ・・・

 

ミクはお風呂から上がって浴衣に着替えた。

 

(ミクの部屋・夕食)

 

部屋には夕食が運ばれていた。

 

板長:私が板長の神威 学歩と申します。こちらが今日のご夕食になります。メインは地物のきのこを使いました“きのこ鍋”、焼き物は取れたての茄子を使いました“茄子焼き”となっております

ミク:うわー、美味しそう!

学歩:有り難う御座います。そしてこちらがこのパティシエが作りましたバニラアイスとオレンジシャーベットとなります

パティシエ:パティシエの工藤 海斗(カイト)です。アイスはこの温泉郷の山頂にあります牧場で取れた牛乳を使っており、オレンジはここで取れた地物となります

ミク:うわー、凄い! 編集長、奮発したんだな〜。

学歩:それではごゆっくりと

ミク:ありがとうです

 

パクパクパクパク

 

ミクはお腹がすいていたらしく、綺麗に完食した。

 

(ミクの部屋・食後)

 

ミク:あー、美味しかった! さてと、これから宿が用意した『謎解き』ってのに挑戦するわけだけど、どんなのだろ?

 

メイコ:失礼いたします

 

メイコを含め、計6人がミクの部屋に入ってきた。

 

メイコ:さて、大変不躾なのですが、これからお客様の謎解きと記憶能力を短時間ではありますが試させていただきます

 

メイコは名刺6人分、何か文字が書いてある紙を1枚、そしてスタンプカード1枚をミクに渡した。

 

まずミクは名刺6枚を見た。漢字の名前とふりがなが書いてあるだけで、女将等の役職は書かれていなかった

 

次にミクは紙に書かれている文章を眺めた。

 

***

 

カオリ立つハスの花の茎に集まるは

スズを付けた花咲くオトメ。

今、マナビヤに通った日々を思い出す。

彼女の想い人は同じ村のウミンチュ。

二人が寄り添う砂浜に波音、再びメグル。

 

***

 

そしてスタンプカードにも目線を向けた。

 

***

 

ハンコ欄

1→2→3→4→5→6→7

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 

ハンコ所持者

咲音 女威子 ハンコ→@

巡音 瑠香 ハンコ→A

鏡音 鈴 ハンコ→B

神威 学歩 ハンコ→C

工藤 海斗 ハンコ→D

鏡音 蓮 ハンコ→E

 

***

 

ミク:(なに、これ????)

メイコ:これが謎解き用具です。ノートPCは使用不可です。ここにいる6人から、ここに書かれた文章に出てくるワードに関連する人物に順番に話しかけ、スタンプにハンコを押して貰います。重複でハンコを貰う事もありえます。そしてやり直しは出来ませんから選択は慎重に。そこにある名刺6枚は、ここの6人に対応してますが、名刺と人の対応はしません。既にココまでで全員“自己紹介”していたはずです。その記憶を辿り、正解のハンコを7つ順番通りに押して貰い、最後に私に見せてください。全部正解した場合のみ、この温泉郷のミステリーの記事に挑戦し、記事を書くことを許可します。宜しいですか?

 

ミク:名刺と人の対応をしないのですか。いいわ、やってみようじゃない!

 

こうして、ミクの謎解きが始まった。

 

(続く)

 

***

 

CAST

 

<雑誌“ゆけむり”編集部>

温泉雑誌の記者・初音ミク(ミク):初音ミク

 

<温泉宿“巡咲庵”(じゅんしょうあん>

大女将・咲音 女威子(メイコ):MEIKO

女将・巡音 瑠香(ルカ):巡音ルカ

若女将・鏡音 鈴(リン):鏡音リン

板長・神威 学歩(がくぽ):神威がくぽ

経理担当・鏡音 蓮(レン):鏡音レン

パティシエ・工藤 海斗(カイト):KAITO

その他のスタッフ:全部、はちゅねさん

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第3作目の” ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎“シリーズの第1話です。  ☆今回は推理物です! ○雑誌記者ミクが取材で訪れた温泉郷で起こる謎解きミステリー!
○まずは準備イベントです!
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タグ
Vocaloid ボカロ小説 初音ミク 鏡音リン 鏡音レン 巡音ルカ KAITO MEIKO 神威がくぽ 

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