if… |
何も無い場所。
此処で最後だと彼は言っていたが、使役獣や堕天使の影は無く、ただ道だけが続いていた。
自分が取り残されているようで、不安が募る。
あとどれ程この道は続くのだろうか…
そんな事を考えていた時、前方に見覚えのある後ろ姿を捉えた。
「ルシフェル?」
いつも一緒にいるのだから見間違える筈が無い。
エリアを間違えたのだろうか…遠慮がちに声を掛けると、彼はゆっくりこちらを向いた。
「やぁ、イーノック…待っていたよ」
にこり、形作られた笑顔はいつもの穏やかなものではなく、どこか冷たい。
目が、笑っていない…?
「ルシフェル…これはどういう…」
「此処が最後のエリアだと私は言っただろう?君は本当に話を聞かないなぁ」
口調はいつも通りなのに、何かが違う。
黒くどろりとした物が彼の中に渦巻いているような…。
アークエンジェルが言わずともわかる闇の気配。それが彼を取り巻いているのだ。
「堕天…したのか?」
そう問うても彼は無言で微笑むだけだ。
嘘だと、いつものように冗談だと言って欲しかった。
彼はいつも神々しく、どんな天使より美しかったのだ。
そんな彼が堕天だなんて…。
「どうしてこんな…」
「原因が知りたいのか?知ったところでどうなる」
「貴方を説得する」
「それは無理だろうな。私を堕天させたのは…」
キ ミ ナ ン ダ カ ラ
美しく笑う彼が歩み寄ってくる。
殺されるのか…
そう思っても、思いがけない一言に足が竦んで動く事が出来ず、ただ彼を見つめる事しか出来ない。
持ち上げられた手が頬に触れる。
「ずっと…本当の意味でお前に触れたかった…」
ばさり、音を立てて広がる翼はまだ燃え尽きていなかったが、真っ黒に染め上げられていた。
出会った頃は純白で染み一つ無かったのに…どうして。
何故、どうして、そればかりがぐるぐると頭の中を巡り続ける。
未だに動けないままでいる私の目の前には彼の顔が有った。
「なぁ…私と一緒に…堕ちてくれないか?」
そう甘い声で囁き微笑む彼は天使のようでいて、悪魔のようだ。
思わず吸い寄せられそうになるのを耐えつつ、私は口を開いた。
「私は…─」
─…ック!
「イーノック!」
水の中から引き上げられるような感覚に目を開くと先程とは違う風景が広がっていた。
何もかもがいきなりすぎて状況が飲み込めていない、今のは一体…?
「私…は…?」
「随分とうなされていたようだが大丈夫か?」
「あ…あぁ、大丈夫だ、問題ない」
私の顔を覗き込んでいる彼はいつも通りの彼だ。
先程のは夢だったのか…?それにしては妙にリアルというか…。
だが指を鳴らす素振りは無かったし、きっと夢、なのだろう。
「私が祝福をし忘れていたからだな…すまない」
申し訳なさそうな顔をして額へ落とされた口づけ。これは寝る前の儀式のようなもので、習慣となっている。
口づけ一つで先程までの不快感はすっかり無くなっていた。
やはり彼は神聖な存在だ。
だが、夢で見たように私の選択によっては、彼が堕天する可能性も有るのだろうか…。
もし、彼が堕ちてしまったなら…
私は──…
あとがき
突発的に出来上がったもしもシリーズからの夢オチ←
イーノックの選択によって未来はどうにでもなるわけなので、その中にはルシフェル堕天フラグだってあると思うんです。
寧ろサポート時から既にだてーん☆とか、サポート前にだてーん☆したんだけど戻ってきちゃったよ。なんて事も……まぁ最後のは有り得ないでしょうね…神はそこらへん厳しいようですから。
捏造して何が悪い←
いや、すみません…何でもないです調子乗りました。
某サイトに投稿したものを加筆修正しました。
説明 | ||
もしものお話。 発売前に描いたものなので完全に本編とは別物と考えてくださいませ。 某サイトにあげたものを一部加筆修正しました。 |
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エルシャダイ ルシフェル イーノック | ||
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