真・恋姫無双〜2人の飛将軍〜 第20話
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第20話 恋

 

「恋はおれがなんとかする」

霞たちの後ろに聖フランチェスカ学園の制服を着た一刀がそこにいた。

振り返った霞たちは全員唖然として一刀を見つめる。

 

「え・・・一刀あんた吹っ飛んだんとちゃうの・・・?」

 

「北郷どうやって・・・」

 

「お兄さん生きてたのなら早く出てきてください・・・」

霞、華雄、風が一刀に声をかけるが、一刀は恋を凝視している。

 

「説明はあとに。いまは恋を正気に戻すことを最優先にする。詠たちもここから先に恋とおれに近づくなよ。周りに気をつかって戦える相手じゃない・・・」

 

「なにいってんねん!「わかりましたー」風!?」

 

「その代わりお兄さん風と約束なのですよ」

 

「約束?」

 

「恋ちゃんと一緒に笑顔で戻ってくるのですよ?」

 

「ああ、当然だ・・・!」

一刀は風たちのところから一気に駆け出す。

 

 

「絶対に帰ってきてくださいね・・・お兄さん」

風は祈るように両手を組んだ。

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「皆の者!夏候淵将軍の部隊が夏候惇将軍を救出するまで耐えるのだぁ!」

春蘭の部隊や季衣、流琉の部下達は春蘭を守るように横陣を敷きつつ恋へ切りかかる

 

「ジャマスルヤツハミンナシネ」

黒き巨大な方天画戟を恋はその中で振り回し、魏の兵士を次々と斬り殺していく。弓矢部隊は歩兵部隊を支援せんと何度も斉射を行うがその矢は恋に叩き落される。弓矢部隊の矢を目晦ましに秋蘭、真桜、季衣は春蘭たちの救出に向かう。

 

「季衣!凪と沙和は救出したで!退却や!」

 

「でも秋蘭様が!」

 

「アホォ!いま2人を抱えた状態であの呂布の攻撃範囲にはいってみぃ!一瞬で両断されるで!ここは逃げるんや!」

真桜が凪と沙和を抱えて退却を開始し、季衣もそれに続く。

 

「姉者!大丈夫か!」

真桜たちが撤退を始めたごろに秋蘭は春蘭の下に駆け寄れた。

 

「夏候淵将軍!お急ぎ・・・グワァ!!」

秋蘭を見た春蘭隊の副長が声を上げようとした瞬間に恋に袈裟斬りに斬られ血を噴出す。

 

「っ!」

 

「・・・シネ」

秋蘭は無駄と分かってはいるものの春蘭を抱き込み盾になろうとする。そして恋は一切の躊躇もなく黒き方天画戟を振り下ろす。

 

大きな金属同士の激突音が響いた。

死を覚悟した秋蘭だったが刃が自分に振り下ろされないことに疑問をもった秋蘭が振り向くとそこには閃華を構え、太陽の光が反射して輝く白き服を着た一刀が恋と鍔競り合い状態になっていた。

 

「きさまは!北ご「夏候淵!さっさと全軍を撤退させろ!」なんだと!」

敵兵にあたる一刀からの命令に秋蘭は驚愕し、怒る。

 

「そんなに兵を死なせたいのか!」

 

「っ!きさまはどうするつもりだ!」

 

「恋を止める・・・」

一刀の小さき声は戦場の喧騒でかき消される。

 

「なんだって?!」

 

「恋をとめるといってるんだ!いいから下がれ!」

 

「っ!全軍撤退!北郷と呂布にかまうな!全力で撤退しろ!」

秋蘭が前衛の全部隊を下がらせる。

 

そして戦場の真ん中には一刀と恋だけが残された。鍔競り合い状態だったのを一刀はムリヤリ剥がし距離を取る。

 

 

「恋・・・おれすらもわからないのか?」

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目を真っ赤に染め、黒き氣を纏い、黒き方天画戟を構える恋の前に一刀が閃華を構えて立ちふさがる。

 

「恋!おれだ!北郷一刀だ!」

 

「ああああああああああああ!!」

恋は獣のごとき叫びを上げながら方天画戟を一刀に向かい振るう。それを閃華で受けながら、一刀は恋に呼びかける。

 

しかし恋は止まらない。漆黒の方天画戟の連撃を一刀は閃華に白き氣を纏わせて対抗する。

 

「ああああああああああああああ!」

 

「おおおおおおおおおおおおおお!」

黒き斬撃と白き斬撃の応酬が戦場の真ん中を染める。

 

―――呼びかけるだけじゃダメだ!こうなったら方天画戟を破壊するしかない!

一刀は攻撃を方天画戟の柄部分に集約する。

 

「恋!戻ってきてくれ!恋!」

一刀は閃華を振るいながら恋を呼びかけ続ける。

 

「レンノジャマヲシナイデ。ゴシュジンサマヲサガス」

 

「おれならいる!だから目を覚ましてくれ!」

 

「ジャマヲスルナ!」

漆黒の方天画戟を恋は振りおろす。それを受けた瞬間・・・

 

ピキッ・・・

 

「!・・・閃華が!」

恋の一撃を受けた閃華の柄にヒビが入る。その一刀の一瞬の動揺は次の恋への対応を遅らせた。

 

「・・・・シネ」

 

「っ!」

恋は振り下ろした方天画戟を一気に振り上げた。その斬撃を防御しようとするが一瞬遅れてしまい・・・

 

「ぐああああああ!」

一刀は1歩後ろに下がることで直撃は避けたが閃華は柄から斬り折られ、そして左目を通る1本の傷が一刀の顔に入り、血を噴出す。

 

左目を抑えながら恋から距離を取る一刀。

追撃してくるとおもっていた恋は動かない。理由は分からないが、一刀は自分のおかれた状況を確認していく。

 

―――閃華は完全に折れて柄の部分が2割以下になってしまった槍というよりも剣だな。目は・・・ギリギリ切られてない表面をかすっただけ・・・でも出血で左目は使い物にならないか・・・

楽進の氣弾を防御するために多くの氣を消耗してしまってる・・・それは恋も同じ状況のはず・・・

 

一刀は右目で恋を真正面から凝視する。一刀の予想どおりに恋は肩から息をし、顔にも汗がにじんでいた。黒き氣も当初に比べて薄くなっていっている。そして一刀は方天画戟に入った1つの白きヒビを見つける・・・。

 

「あの場所に賭けるしかない」

一刀は閃華の十文字のうち横に走る短い剣を取り外す。閃華は1本の長剣に変る。そして、一刀は残った氣を体と剣に纏わせる。そして左手で柄をもち、右手を剣に添える。その構えは新撰組の鬼才、土方歳三が考案したといわれる平突き。

 

―――本当は刀でするものだが・・・いまはこれにすべてを賭ける!

 

「恋・・・いくぞ!」

一刀は足に氣を込めて恋へ突撃する。白き氣を全体に纏った一刀のその姿は1本の矢のように恋へ向かっていった。

 

真正面から向かってくる一刀を迎撃しようと恋は方天画戟を構えようとするが、氣の使いすぎで動けない

 

「うおおおおおおおおお!」

一気に距離を詰めた一刀が閃華を方天画戟に走る白きヒビに向かって突き出す。閃華が方天画戟に直撃し、白きヒビは方天画戟の柄全体に伸びていき・・・

 

ピキッ!

 

という音が聞こえたと思ったら柄がバラバラに崩壊していき、閃華も剣の部分から砕け散った。

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恋は信じられないといった顔で壊れた方天画戟を見つめる・・・

 

―――・・・レンハ・・・ナニヲ・・・・

 

―――・・・ソウダ・・・ゴシュジンサマヲサガサナイト・・・

 

―――・・・ゴシュジンサマヲケシタヤツヲコロサナイト・・・

 

頭の中がグシャグシャになっている恋は突然自分がだれかに抱きしめられているのに気が付いた

しかし目を前に向けても見えない・・・・

 

―――・・・ダレ?・・・

 

「・・・・れ・・・・・」

 

―――・・・・レ・・・・?

 

「・・・れ・・・ん!」

 

―――・・・・レン・・・?

 

「恋!」

 

―――・・・・!ゴシュジンサマ?ご主人様!

グチャグチャになっていた頭のなかで一気に整理されていくのを恋は感じた。そして自分がなにをしていたかも鮮明に思い出し始めていた・・・そして・・・自分の斬撃が一刀の顔を切り裂いたのも・・・

 

一刀は恋の目は正常に戻り黒き氣の放出も止まったを確認して一安心と感じていると、突然右腕で抱きしめている恋の体が震え始めたのを感じた。

 

「恋・・・?」

 

下を向いていた恋の目が一刀が抑える左目に集中する・・・

それを見た恋の目に涙が溜まる。

 

「恋!」

 

「・・・・ご主人様・・・傷つけた・・・恋が・・・恋が・・・」

恋は一層体を震わせ、大粒の涙を流す。それを見た一刀は抑えていた左手も恋の背中に回してつよく抱きしめる。

 

「恋・・・大丈夫だよ・・・おれは生きてるし・・・目も見える・・・」

一刀はやさしさを込めた声で恋に呼びかける

 

「でも・・・・でも・・・・!」

まだ涙を目にためている恋が目をあげて顔に走る傷を見つめる。一刀は背中に回していた右手を恋の顎に添えてすこし上に向けて口付けした。

 

すこし長めの口付けをした一刀は恋に笑顔を見せて話しかける。

「恋。そんな顔はしないでくれ、おれは恋の純粋な顔がすきなんだ。ご飯食べてるときの顔。分からないときにする顔とかね」

 

「ご主人様・・・」

 

「恋は唯一の前の世界からの仲間・・・そして一番愛している女性なんだ・・・だからそんな悲しい顔はしないでくれ・・・な?」

一刀の言葉にまた泣き始めた恋だったが声は明るかった。

 

「・・・・恋もご主人様のこと愛してる・・・」

そして今度は恋から一刀に口付けをした・・・・

 

「ずっと一緒だ」

 

「・・・ん、ずっと一緒」

 

こうして魏軍との戦闘は終結を迎えることになった・・・

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体力を限界まで使用してしまい歩くのすらままなってない恋を戦闘が終ったあとに一刀たちに駆け寄ってきた霞たちに預けて、一刀は魏軍へ歩いていく。武器は詠から1振りの剣を渡されている。

 

魏軍からも華琳が歩みよってくる。

 

「こちらの負けだわ」

 

「降伏してくれて助かる。こちらもそんなに余裕があるわけではないからな」

 

「そんなことないくせに。まぁ、いいわ。覚悟はできてるわ。この曹孟徳の首を取るなら取りなさい」

 

「いいや、取らないよ。優秀な人材は多いほうがいいからね」

 

「いいのかしら?そんな甘い考えで。もしかしたら内部から切り崩すかもしれないわよ?」

 

「覇王曹孟徳がそんなことをするとは思えないけど?」

 

「ふふふ・・・・あはははは!いいわ!魏軍全員そちらに降る!」

 

こうして董卓軍は魏領地を得たことで大陸の北を掌握することに成功し、華琳・春蘭・秋蘭などの優秀な武官、文官を得て大陸で最大の勢力に成長した。

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あ と が き

 

はい、どうも作者です。前回の19話がhotのところにあり作者はかなり驚いてました(゚д゚ )

 

今回20話に到達しました。そして今回は恋vs一刀がメインテーマに描きました。原案では一刀が方天画戟の攻撃を避けていき口付けをしそれをきっかけに恋が正気に戻るという予定でした。作者はベタ展開が好きなのですよ。でも前回のコメでバッチリ読まれてたのでどうしようかなぁと考えていて武器破壊で正気にもどりトドメで口づけという形にもっていきました。

 

戦闘シーンですが、一刀は外傷は擦り傷程度しかありませんが氣はかなり消費してるということを追記しておきます。次に〆に使った平突き。分かる方は分かると思いますが「るろ剣」の牙突です。なんで使えるの?っていうのは突っ込まないでください。一刀君が修行のときに練習していたと考えていただけるとありがたく思います。

 

また今作では一刀は種馬スキルで女性から相変わらず愛されますが関係は持とうとはしません。その理由は今作の一刀は恋を愛すると決めてるというのが理由になります。

 

20話で残りは3国になり、この話はエンディングへ向かっていきます。もうしばらく駄文にお付き合いいただけると光栄です。

 

では次回お会いしましょう(´・ω・`)ノシ

説明
鬼神と化した恋を止めるために一刀は恋に立ち向かう・・・
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コメント
(゚д゚ )・・・( ゚д゚ )ですね、良く判ります。1振りの剣=七星宝刀とは誰も予想がつかないのであった!(無茶振り(通り(ry の七篠権兵衛)
>2828様 最初はガクブルでしょうけど恋の萌えさで案外すぐに慣れそう・・・(caval)
>shirou様 元々意地を見せるための戦いでしたしね。キスのくだりはまぁ、気にしないでくださいw(caval)
・・・正気に戻ったか・・・・凪は恋が近づくとガクブルですか?w(2828)
華琳も潔く負けを認めましてねぇ、流石覇王。チッスのくだりはコレが一番誰も傷つかなくてすむかなぁって思ったのですみませんでした。(shirou)
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恋姫無双  一刀  華琳  

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