GROW4 第十一章 野生の美学(ワイルド・グランツェット) |
1
「す、すっごい格好だね。これからお祭りなのかな?僕もお祭りは好きだよ」
「お祭りにはなるが、貴様のな。野生発揮(ワイルドヴァイン)、白虎(ワイトマ・ランゼ)!!」
「おおっ」
2mを超える巨体が、ミシミシと音を立てて大きさを増す。その大きさは7mはあろうか・・・
見下ろす煉冶。グルルルル、とうなり声を放っている。
「気で構成された野生化ね。僕にとっては好都合。純粋な動物ほど闇の進行を早めるだけだよ。
玄焔の濃闇(ボナージャ・アンドミティーニア・フレルド・イン・ダークネス)、雁行構築千年街
道(マブルディカサビアーヌ・セルフェルデスターニャ・マブルロウガム)」
ボボボボボボ
三尋さんの闇の纏い方が今までとは違う。闇の属性に加え、炎も加えて纏っている。
ドス黒い炎は、三尋さんの身体の周りを燃え盛り、周りの大地を漆黒の黒に染め上げる。
「せっかくの自然が台無しだな。我々はもっと自然と共存するべきだ・・・」
「ごもっともな意見ありがと。でもソリッドヴィジョンだから暴れても関係ないけどね・・・」
ブチブチブチィィィィ
「ん?」
「破壊神の右腕(ガンジャラスマビーダンラ・ゴンバジオデクストラー)」
グググンっ
ドドドッ
ブシュゥゥゥゥ
「あああっ!!漆黒の焔を纏った闇の肉体をこうもあっさりと捉えるなんて・・・」
巨大な煉冶の右拳が、三尋さんを斬りつける。腹から下が巨大なかぎづめでえぐり取られたかの
ようだ。深い傷痕から大量の紅い血が流れ出している。
「闇など我には無意味。強力な野生力で逃がすものなどない・・・」
「あーあ。厄介だよまったく・・・」
左手で、斬られた部分を抑える三尋さん。傷口が黒く染まり復活していく。
「久遠の狼並みの回復速度だな。闇とは物理攻撃が効かないのか?」
「効いてるよ、かなりね。これは止血だけで体力の回復ではないよ。一撃でこの威力・・・
こちらとしても長引かせるわけにはいかない!!」
ばばっ
両手を180度で真っすぐ伸ばし、両ひざを曲げ体勢を低くする三尋さん。両腕が黒く染まり出す。
「目が虚ろになっているぞ少年。次に我の攻撃を受ければもう身体がもたんだろ!!両腕解放(ドゥプレッサ・エーミッタム、雷撃銭構(らいげきぜにがまえ)!!」
「悪いが終わりだ犬っころ。“君程度”が僕に一撃を入れられたと思うと寝不足でイライラする」
「寝不足かいwww目の下のクマはデフォかとオモターーーwww」
本気で驚いてるよ煉冶さんww
轍アニなんかしてるからです三尋さん・・・
「ちっ、まあいい。これで確実に沈める。鋼碌幕咲(カンダラ・ゾーシムルゲオレドマ・ザザレイ)」
ギラァァァァッ
「闇の波動(ダークネス・マゴリアーティネ)」
ガキィィィィン
ガリガリ・・・
「ゆ、指一本で、止めただと・・・」
三尋さんは、右手の人差指だけで攻撃を止めた。たったそれだけで・・・
三尋さんを取り巻く闇は消え、止めた指一本だけが黒い闇を纏っている。
「流動する闇、波動。闇は通常実体を持たないけど、気を込めると一時的に実体を取り戻す・・・
実体を持った闇は、触れられることを対価に通常の数千倍の威力が出る。こんな風に・・・」
ふわっ
「嬰庵の手(ジュグナイドブレッシットス・マドルマダ)」
ゴシャァァァァァッ
シュゥゥゥゥゥ・・・・
「ゲホゲホ、何が起こった?急に身体が・・・」
「実体を持った闇の攻撃は、魔力ではなく気の部類へと属性変化を遂げる。その程度の力では
僕に触れても傷一つ付かない。低級クラスとはいえまともに喰らって気絶もしないことだけは
褒めてあげる・・・」
「まだだ!魔力が気に変化しただけのこと。力押しでは我に分がある。豪気獣禅(ごうきじゅうぜん)」
ドドドドドド
更に気を上昇させる煉冶。しかし三尋さんはまったく動じない。
「残念。終わりだよ・・・」
「ほざけぇぇぇぇぇ!!!!!」
ドンッ
バシュゥゥゥゥ
「破滅の獣勢(ビーストメブラーマ・ギャド)」
地面を粉々にするほどの踏み込みで接近した煉冶。三尋さんに攻撃を叩きこむ。
すぅ
「闇の悪手(ダークネス・ベルミダズ)」
ピタァァァァッ
「畜生おおおおおおおお!!!」
あっさりと攻撃を止められて頭に血が上る煉冶。
「重力圧死(ザンドレーマヒル・マグルナディオ・グラビレイ)」
ゴシャァァァァァ
ドサァァァ
「まったく、手こずらせてくれた・・・」
潰れて血だらけになった煉冶は微かだが生きているみたいだ。しかし、もう戦えないだろう。
「勝者、籠山三尋」
「まったく。寝不足のせいで最初の攻撃をまともに喰らって、闇の身体を保てない理由が実体がな
んたら・・・
冗談に決まってるよ。そんなんで力が簡単に上がるなら苦労はしないよ・・・」
そういって両手を見る三尋さん。両手は真っ赤に染まっていた・・・
「問題は次か。ちょっとだけど寝ておかないと・・・」
2
三尋さんが問題と言った相手。
第二回戦の第5試合目。御狩懈刹那(流水1)VS輝夜月姫(今井3)の試合である。
月姫さんは、昨日までのバニーとは打って変わって、巫女服を身に纏っている。背中には天の
羽衣が浮かんでいる。身体を取り巻く静かなオーラが、戦う前からその内に秘めた実力の高さを
物語っている。
対し、刹那さんのほうは・・・
あくびしとるーーーーーwww
いやいやあなたもですかwww
「ウサギちゃんを相手にどれだけ“遊んで”もらえるか見ものだね・・・」
「え?し、シグマーさん?」
なんと、俺の隣の席にシグマーさんが座っていた。いつの間に・・・
「まさか彼女が出てくるなんてね。それに今井の三枚頭は本当に強いよ。去年と一昨年はこなかっ
たけどね・・・」
「やっぱり強いの、かな?」
「下手したら僕の数段上だよ。直接は戦ったことないけどね。彰文くんも大変だ^^」
「ニッコリ笑いかけなくても知ってて来たから。優勝するよ、絶対・・・」
「いい表情だ。僕も気合でウサギちゃんを倒さないとね・・・」
「シグマーさん。戦う相手が違うよ。刹那さんは絶対に負けない。それに、舞華ちゃんだって三尋さんだっている。簡単に勝てないのはうちも同じだ!」
「なるほど。ではお手並み拝見といこう・・・」
二人が戦うバトルフィールドは古代遺跡。砂漠地帯と遺跡地帯。オアシスまで細かく用意されている。神殿の内部でも戦えるらしい。
「ぼうやのお友達じゃな。わらわも本選に来てワクワクしておるのじゃ・・・」
「ワクワク?」
ニッコリ笑い、刹那さんに話しかけた月姫さん。
「そうじゃ。あのぼーやのオーラ、只者ではなかった。フェルティマの一目置く相手という噂を真に返る見事な気質。そして、娘もまた違った何かを秘めておる・・・
何よりあのぼーやをあっさりと負かしたと聞く。その実力者である娘ですら予選では優勝に至らなかった。予選優勝した舞華という京剣士。あれはまさに化物じゃ。挨拶時に初見殺しを受けきりおってな・・・」
「で、わたしが舞華より格下だと言いたいのか?」
「違う。話は変わるが、戦いにおいて一番つまらんことは何じゃと思う?」
「一方的に勝つこと、もしくはその逆・・・」
「わかっておる。わらわは娘のような強者と戦いたかったのじゃ。もちろん舞華とやらにも戦いたい。あのぼーやともな・・・」
「で、わたしにどーしろと?」
「分かっておろうに。わらわを全力で“楽しま”せるのじゃ」
「随分とご勝手な考えで何より。姫様だか何だか分かんないけど、こっちが弱過ぎてつまんなかった、とならないように頑張ってくれよ・・・」
「面白いのじゃ娘、名はなんと申す?」
「刹那。御狩懈刹那・・・」
「ほぅ、御狩懈道場の。面白い戦いになりそうじゃ・・・」
「家の道場有名だなぁww」
3
「第二回戦第五試合目、始めっ」
「月の閃き(ムーラン・ルージュ)」
ララランッッ
「焔の槍、零式流(ぜろしきながれ)」
シュララララ
ガシャァァァァン
「初見殺しはだめ、と・・・」
「失われた魔法(ロスト・マジック)だよね。月の力か何かかな?」
シャランランラン
「知られていないのだから失われた魔法なのじゃ。じゃが防ぐとは流石じゃ。興奮してきたww」
「・・・・」
「て、テンションを。テンションを上げるのじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「神威のときと同じパターンじゃんかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「そうじゃ刹那。暗いと思ったら中々盛り上がるのう」
「徹夜で新たな武器を造ってたからね、眠いんだ」
「新たな武器?」
「みんなだけ力を付けて、わたしだけがこのままじゃいけないと思ってね・・・」
「不二がトリプルカウンターだけでは全国では厳しいからと、フォースを開発したのと似た原理
じゃな?素晴らしい・・・」
「とりあえずその妙な術、正体を明かしてもらおうか・・・
四本目の槍、剛魔(ごうま)の槍」
「茶色の棒?地味じゃな・・・」
「ひっぱり出せよ真の力。ウサギ狩りに出かけよう・・・」
「失われし月の機能よ、そろそろ目を覚ませ・・・」
4
次回予告
えーとウサギさんの能力自体は決めてはいたものの名前がねww
月、ツキ、ルナ、ムーン、ユエとかあるけどねなかなか難しい。
技名で月落としとか月の光(ムーンライト)とか考えてるけどひどいww
刹那さんのほうも、強化しました。激しいバトル展開にご期待なすってwww
次回、GROW4 第十二章 月灯りの下で・・・
ではでは
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