鋼の錬金術師×テイルズオブザワールド 第三十五話
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〜バンエルティア号〜

 

『ノーム?』

 

エドが面倒くさそうな声でそう答える。

 

ノームと聞いて、ロイドも少しだけだれるような声をする。

 

『ん〜……地の精霊かぁ。』

 

なんだか少しだけ苦手としているようだった。

 

『セルシウスは何て言ってんだ?その精霊の事』

 

『さぁ…。良く分からないけど、そんなに危害は加えない精霊らしいわ』

 

アンジュは、少しだけ悩むように答えた。

 

だが、ロイドは少しだけ複雑そうに答える

 

『そうか?俺達が会ったとき、襲われた記憶が……』

 

『そんな野郎に話を聞いて、どうなる事は分かるもんじゃねえけどな』

 

エドはそう言うと、さっさと身支度をした

 

『んじゃ、とっとと行こうぜ。少佐』

 

エドの対応に、アンジュは少しだけ驚いた。

 

てっきり、この組み合わせはまた苦言を言われるかと思っていたらしい。

 

『あら?今日はなんだか素直なのね』

 

『どうせグチグチ言っても、強制的に連れてかれるんだろ。もう良いんだよそういうのは』

 

どうやら、もう悟りを開いたらしい。

 

と思っていたアンジュだが、本当は違った。

 

エドは、星晶の価値や材質、物質を聞きだそうと思っていた。

 

今日の夜、行われる作戦の為に

 

『大人になったな。エドワード・エルリック。我が輩は嬉しいぞ』

 

少佐が、エドの成長を感激するようにハンカチで涙を拭う。

 

それを見たエドは、少しだけゲンナリした表情になる

 

『あ――…分かった分かった。もう良いから』

 

エドがそう言うと、エドは先に進んだ。

 

アンジュは、そのエドの素直さが逆に疑問を感じた。

 

何か、良からぬ事が無ければ良いのだけど……。

 

そう感じずには居られなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ブラウニー坑道〜

 

リッドが、ここを歩いているとき、ある言葉を口にする

 

『なぁエド、アンジュがブラウニー坑道のどこかに居るって言ってたけどよ、実際はどこに居るってんだ?』

 

リッドのその言葉に、エドは考える。

 

そして、一つの答えを導き出す

 

『ん……この坑道とは繋がってねぇ事はあきらかだ』

 

『?おい、意味が分からねぇぞ』

 

リッドが不満を言いながらも、エドと少佐はさっさと歩き続ける。

 

『僕も、良く分からないよ。兄さん』

 

アルが、少し不安そうに答える

 

『今は歩き続けるしか無えさ。どこかで近い場所が分かるはずだろうからな』

 

そう言って、エド達の後ろをただ渋々とリッドは歩き続けた。

 

何の事かは分からなかったリッドは、ただ頭を掻いた。

 

その時、リッドの腹が鳴る

 

『あ〜〜……腹減ったなぁ〜〜。』

 

その言葉を聴いて、エドは言葉を返す

 

『……朝食からまだ1時間も経って無えぞ』

 

『もう少し我慢しましょうよ。リッドさん』

 

『しょうが無えだろ。食べても時間が経てば腹の物は無くなるんだからよ。』

 

それを聞いたエドは、少し呆れた声を出す

 

『…我慢しろ。この依頼が終わったら、飯にでもなんでもすれば良いさ』

 

エドがそう吐き捨てると、リッドは黙り込む。

 

そして、言いたい事をはっきりと言った。

 

『……おいエド、お前さっきから変じゃねえか?』

 

『は?』

 

『だってよぉ。なんかさっきから悩み事しているというか、考えているというか……。なんだか冷めきってる。いつもと様子が違うよう

 

な気がしてたまらねえぞ』

 

リッドがそう言うと、エドは自覚する。

 

やはり、様子に表れていた……か。

 

地の精霊ノームの事は、正直どうでも良いが

 

この依頼の事で、エドにとってかなり大事な情報を得る事が出来る。

 

『そういえば、なんだかいつもの兄さんみたいじゃ無いみたいだ。なんだかクールだし……。何かあったの?』

 

アルの言葉に、エドの耳はピクリと動く

 

『……俺はいつもはクールじゃ無えってか……』

 

『うん。まあね』

 

アルがそう堂々と答えた。

 

その様子にイラっと来たが、何も答えなかった。

 

『…………』

 

エドは不機嫌そうに前を歩くと、今度は暑苦しい肉体が迫り寄る

 

『どうしたのだ?エドワード・エルリックよ!悩みがあるのなら、この我が輩の肉体に飛び込んでみなさい。どんな悩みでも聞いて打ち

 

砕いてやろぉおう!!』

 

『良い!!結構!!ほっといてくれ!!』

 

エドが全力で否定すると、少佐はしつこく迫ってくる

 

『遠慮しなくても良いのだぞ!!さぁ……来るのだエドワード・エルリック!!』

 

『嫌ぁぁぁあああああああああああああ!!来るなぁぁああああああああああああ!!!』

 

ようやく本調子のテンションに戻ったエドを見て、リッドとアルは納得した。

 

エドは必死で逃げていると、前があまり見えなかったのか、

 

ある人にぶつかった。

 

『痛っ!!』

 

ぶつかった相手は、エドよりも遥かに大きい人であり、エドは尻餅をついてしまったが、相手は全く動かなかった

 

『痛ててて……すいませ…』

 

顔を上げると、更に筋肉が盛り上がっている人物が居た。

 

少佐と同じくらい、筋肉がモリモリだった

 

『ああああああああああああああああああああああああ!!!』

 

声が裏返るように叫んだエドを聞いて、後ろから駆けて来る足音が響いた

 

『大丈夫か!?エドワード・エルリック!』

 

少佐が心配して言葉をかけてきた。そしてこちらに向かってきた。

 

だが、エドは後ろからも筋肉化物が襲い掛かっているように見えた

 

『うわぁぁああああああああ!!くっ来るなぁぁああああああああああああああああああああああ!!!』

 

エドがそう叫ぶと、少佐はエドとぶつかった人物を見た

 

『ムッ!?』

 

『んっ!?』

 

両者は見つめあい、そしてにらみ合った。

 

『兄さん!どうし……』

 

アルが駆けつけて来たが。その光景に絶句した

 

『おいエド!お前さっきの叫び……』

 

リッドが駆けつけて、その光景に絶句した。

 

なんと二人のものすごい筋肉がそこに立っているのだ。

 

呆然と立ち尽くしてしまった。

 

まだ両者は見詰め合っている。

 

そのまま、時が止まったかのように思えたが、

 

先に、少佐が動き出した

 

『ムン!!』

 

少佐は、更に筋肉が盛り上がるようなポーズを取る。

 

それを見て、もう一人の筋肉は少しだけ後ろに退がる

 

そして、その筋肉も。ポーズは違うものの、筋肉が盛り上がるポーズを取った

 

『ヌォン!!』

 

掛け声と共に、さらに筋肉が盛り上がり、体積が1,5倍へと増えた。

 

その瞬間、この空間の温度が上昇した。

 

その時、傍観していた三人の心が一つになった。

 

”逃げたい”

 

その心が、三人同時に通うように伝わったのだ。

 

そして、急に二人はポーズを止めた。

 

二人とも、少々息が上がっている。

 

少佐が、手を差した。

 

もう一人の男も、手を差し伸べて、二人は握手をした

 

その光景は、輝いていると同時に、熱気を発生させていた。

 

『貴方のような素晴らしい者が居るとは……。光栄です。』

 

『お前も、結構良い奴だな。見ただけで分かったぜ。』

 

エド達には理解の出来ない友情らしきものが生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺の名前はマイティ・コングマンってんだ!よろしく頼むぜぇ!』

 

その男は、筋肉が物凄い上になんとも暑苦しい性格をしていた。

 

その様子に、アルは苦笑いをするしかなかったが、

 

エドはゲンナリとした表情をしていた。

 

『おいちっこいの!!そんな顔してどうした!元気が出ないなら、ちょっと運動しねえか!?』

 

『だぁれがちっこいのだ!!俺の名前はエドワード・エルリックだ!!それ以外の呼称は認めてねぇ!!!』

 

その大噴火みたいな怒りは、逆にコングマンには清清しい物になっていた

 

『はっはっは!それくらいの元気があるなら、大丈夫だな!!そっちのでかいの、名前は?』

 

アルに指を指され、アルは一瞬だけ戸惑う仕草をする

 

『ええと……僕はアルフォンス・エルリックって言います。』

 

アルの様子を見て、コングマンは少しだけ悩む表情をした。

 

『ん〜……お前、全身に鎧を付けて恥ずかしくねぇか?』

 

『え?』

 

アルは、少し固まった。

 

エドは、コングマンの方を見た。

 

『そんな鎧に守られてばかりじゃ、身体は弱っちまうぜ!傷こそ男の紋章ってもんだろうが!』

 

『は……はぁ…』

 

その暑苦しい言いように、アルはただ普通に答えるしかなかった。

 

『ちなみに、俺はリッド・ハーシェル。アドリビドムってギルドのメンバーだ』

 

『アドリビドム?』

 

コングマンは、聞いたことの無いようにそう答える。

 

『私たちが率いる。とても優良的なギルドでございます。』

 

少佐が、丁寧にそう答える。

 

すると、コングマンは笑い出した。

 

『はっは!それは面白そうなギルドだ!』

 

すると、コングマンは背を向けて歩き出した

 

『だが、俺には関係の無い事だな。俺はリメインズってギルドの野郎だ。言えば商売敵って奴さ』

 

その言葉を聴いて、エドはゾクリとした。

 

『兄さん?どうしたの?』

 

アルが、心配そうにエドを見つめる。

 

リメインズ。聞いたことがある。

 

というよりも、恐ろしい事が頭に浮かぶ。

 

イズミ・カーティスが居るのではと考えた。

 

『ま!目的はどうあれ、ここに出会ったのも縁だ!一緒に行動しようぜ!』

 

『はは。それは光栄です』

 

エドは、背を向けて逃げようと走り出した。

 

それを、アルは逃がさないようにエドの背を掴んだ

 

『兄さん、どこ行くの』

 

エドは即座に振り向き、答える

 

『アル!!俺は逃げるぞ!!こ……こんな所に居られるか!!』

 

『兄さん!行くときはちゃんと賛成したじゃん!!』

 

アルが叱るようにそう言うと、エドは震えだしながら答える

 

『アル……知らないのだろうが、リメインズってギルドはなぁ……。師匠が居るんだぞ』

 

えっ と小さくアルが呟く

 

『せ……師匠って…あの師匠?』

 

『ああ。あの師匠だ』

 

アルとエドの言葉に、コングマンは食いつく

 

『ん?師匠って誰なんだ?』

 

『あ!いや……別に関係ないんだ!!その……』

 

エドが言い訳をしようとした瞬間、リッドが答える

 

『あの、イズミって言う人か?』

 

エドは、リッドを怒りの表情で睨みつける。

 

その表情に、一瞬驚き、リッドは後ろに退がる。

 

『イズミ!?あの……イズミを知っているのか……?』

 

コングマンの様子が、少しだけ変わった。

 

同じメンバーからか、普通に分かったようで、大人しくなった。

 

いや、イズミという言葉に恐怖していたようだ。

 

『あ……はい。僕達の師匠です。』

 

『師匠……だと……?幹部である俺が、初めて圧倒的に負けたあの女の弟子だと言うのか!?お前らは!!』

 

コングマンの表情が、恐怖で引きつっていた。

 

どうやら、イズミの試験に出ていたのはこの人で、圧倒的に負けたのもこいつなのだろう。

 

身体が、似合わぬようにガタガタ震えていた。

 

『兄さん……。どうやら師匠はここには居ないみたいだね』

 

アルが再びそう言うと、エドは確信して、安堵した息を吐いた。

 

しばらく歩くと、まだまだ道は続いた。

 

途中でクラトスが開いた扉を見つけ、その扉を開いた。

 

だが、そこで問題が発生した。

 

『おい、この扉小っさいなぁ』

 

コングマンと少佐が、この扉をくぐり抜けられないのだ。

 

そのまま置いていこうとしたが、そういうわけにも行かず、

 

結局、錬金術で扉を練成することにした。

 

その事に、コングマンは驚く

 

『ええ!?やはり弟子も、その技が使えるってのか!?』

 

『技って……錬金術の事か?』

 

エドがそう言った後、少佐は拳を見せてコングマンに見せびらかす。

 

『我が輩も、その錬金術を使う一人である。銘は、芸術的錬金術と言う。』

 

その瞬間、少佐は床を殴り、一つの銅像を作り上げた。

 

その銅像は、少佐とコングマンが握手をしている絵の銅像だった。

 

コングマンは、満足したように親指を立てて少佐に見せる。

 

『むん!!』

 

少佐も、満足そうに親指を立てた。

 

やはり、この瞬間にここの温度が上がる

 

『おい……なんだか酸素が足りなくなって無えか……?熱気がすごく……』

 

リッドが、弱音を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いていくと、行き止まりがあった。

 

その光景を見て、リッドは疑問を感じる

 

『おい、ついに行き止まりに突き当たったけど……。これからどうするんだ?』

 

リッドは、エドに問いかける。

 

するとエドは、壁に手をつける。

 

そして、壁の向こう側を感じようとした。

 

目を閉じ、そして感じる

 

向こう側に存在する光景を、手で感じて想像した。

 

目を開けると、今度は少佐に目を向ける

 

『少佐、ここだ』

 

エドがそう言うと、少佐はすぐに理解して、承諾した

 

『承知した』

 

少佐はそう言って、拳を合わし、錬金術を発動した。

 

『ぬぉおおおおおおおおおおおお!!』

 

全力で殴ったその壁は、強烈なヒビが現れ、光を発した

 

『!?』

 

コングマンが、その光景を見て絶句する。

 

それが、筋肉だけでは成せない技だと理解したからだ。

 

殴った壁からは、光に包まれ、さらに物凄い音が聞こえた。

 

光が止んでも、まだ音は鳴り響く。

 

ビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキビキ

 

 

 

ようやく鳴り終わると、一筋の光がエド達を包む

 

その向こうには、もう一つの部屋が存在した。

 

『すげぇ……』

 

綺麗にトンネル状になっていたその光景に、リッドは呟いた。

 

コングマンも、その光景には感動していたようだった。

 

『おおおお!これが、お前らが言った錬金術と腕力が組み合わさった技か!すげぇな!これは!!』

 

『うむ!これこそ我がアームストロング家に代々伝わりし芸術的錬金術!!』

 

トンネルを良く見ると、所々少佐の顔が彫られていた。

 

歩いていくと、少佐の視線を感じる正直物凄く通りたくないトンネルとなっている。

 

コングマンと少佐は、堂々と入って行ったが、どうしてもエド達は通ることが出来なかった。

 

『どうした?エドワード・エルリック、アルフォンス・エルリック、リッド・ハーシェルよ。ここを通らねば、依頼は終わらぬぞ?』

 

『そうだ!早くしろよ。折角アレックスが作ってくれた代物だ!世界一のトンネルだぞ!』

 

二人が、トンネルの向こうで堂々と立って待っていた。

 

二人とも、堂々とした顔立ちで、強い眼差しでエド達を見ていた。

 

『……それじゃぁアル、先にどうぞ』

 

『ええ!?いやいや、兄さんが行きなよ!!僕は最年少だから最後で良いよ!』

 

『それじゃぁこの中で年長なリッド。先に行けよ』

 

『その前に、このトンネル熱がこもってるぞ。食欲が三日程無くなりそうだ。ジャンケンしようぜジャンケン。』

 

全く前に進まない三人に、少佐は声を出す

 

『むん……もしかすると、この芸術的なトンネルに入ることに躊躇しているのか……?ならば問題は無い。いつでも作り直せるのだから

 

な。さぁそんなに恐れず、なんなら我が輩が付き添ってあげよう。』

 

少佐の言葉に、三人は一緒に前に進むことに決めた。

 

『いや!結構だ!!』

 

『僕達!三人で行きます!!』

 

『そこで待っててくれ!頼むから!』

 

そう言って、三人は手をつないでトンネルを通った。

 

横、天井、床からも、

 

少佐の彫刻が、こちらに視線を向けているように感じる。

 

いや、実際にこちらに向いているのだ。

 

『……想像以上の違和感を感じる……』

 

『兄さん……なんだか僕、見られてるよ……』

 

まるで、文字通り蛇に睨まれた蛙のように三人は動いていた。

 

ようやく渡り切った瞬間、三人は安堵の溜息を吐いた。

 

『さすがの芸術に、敬意を表せずには居られなかったか。すまない事をしたな。』

 

アームストロング少佐は、少しだけ申し訳ない表情をしている。

 

正直、そこを申し訳ない態度で表さないで欲しいのだが。

 

三人は、全員そう思っていた。

 

『さぁ、地の精霊と言う存在に会いに行こうではないか。』

 

アームストロングがそう言うと、コングマンは意外そうな顔をした。

 

『おお?お前ら地の精霊に会いに行くのか?』

 

コングマンがそう言うと、少佐が答える

 

『うむ。地の精霊に出会い、星晶の現状を伝えるのが、我輩達の任務でな。』

 

すると、コングマンは笑顔になって答える

 

『そうか!奇遇だな!!俺も地の精霊に用事があったんだ!がっはっは!!』

 

『そうですか。それではそれまで、お供をお願いいたします。』

 

少佐とコングマンは、笑いながら前へと歩いていた

 

リッドとエドとアルの三人は、ゲンナリした様子で二人を後ろで見つめながら歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜精霊ドーム〜

 

土で囲まれた。巨人一人が住めそうな程の大きさの部屋に辿り着いた。

 

この場所に、地の精霊が居ると聞いていたが。

 

どこにも、そんな者は存在していなかった。

 

『おい、どこにも居ねぇぞ』

 

エドが文句を言うと、少佐は言葉を発する

 

『精霊といえど、そう簡単に出会える者では無かろう。しばし待ってみようではないか。』

 

少佐の言葉に、エドは機嫌が悪そうに答える。

 

『そんな待ってられねえんだよ!あ〜〜っ!畜生!!』

 

エドがすぐにイライラし始めると、アルは溜息を吐いた。

 

『やっぱり、暇なのは性に合わない?』

 

『当たり前だ!!』

 

アルの言葉に、エドはあっさりと答える。

 

すると、リッドが続くように言葉を発する

 

『まぁ……確かに、待つと言っても何時間とか1日とか掛かったら、それはそれで困るしなぁ……。』

 

瞬間、この部屋が大きく揺れだした。

 

『ん?』

 

リッドが疑問の声を出した瞬間、揺れが大きくなった

 

『うぉお!?何だ!!』

 

エドが言葉を発すると、台座の上から鉄が材質の平らな者が現れた

 

『!!』

 

一瞬、それがなんだか分からなかったエドは、戦闘体性に入ろうとする。

 

だが、次の瞬間でそれが削がれた。

 

地から、どこか間抜けそうな顔した者が現れたのだ。

 

『……………は?』

 

間抜けそうな顔の奴は、地から現れ

 

持っているスコップを持って、地から現れた。

 

『ふ〜〜。疲れた。今日はもうこれくらいで良いや』

 

その、どう見てもマスコットのようにしか見えない姿は、エド達を呆然とさせる

 

だが、思っていたよりデカイため、ほとんどの者が絶句していた、

 

『あれ?お前ら誰?』

 

口の悪いその聞き方が、エドは一瞬イラっとしたが、

 

アルが、そのエドをなだめる様に手を出した。

 

そして、アームストロング少佐が口を出す

 

『そなたが、地の精霊ノームと申す者ですか?』

 

『うん。そうだけどお前ら誰?』

 

そのとぼけた様な態度は、どう見ても精霊には見えない。

 

ただのデカイ喋るモグラにしか見えないだろう。

 

『申し送れました。我が輩はアドリビドムというギルドに所属する、アレックス・ルイ・アームストロングと申します』

 

『ギルドォ?まぁ別に良いけど、そのギルドが僕になんの用なのさ』

 

精霊だからか、少しだけふてぶてしい態度を取っていた。

 

リッドが、その精霊に少し呆れ気味になっていた。

 

『ええ。実は折り入って相談がありまして…。星晶という物質の変化、現状の報告を希望されたいのですが……』

 

アームストロングがそう言った後、ノームは考える仕草をする

 

『ん――……。やだ』

 

そのあっさりした拒否に、真っ先に突っ込んだのはエドだった

 

『おい!!どういう事だモグラァ!!』

 

『だってさぁ、何で僕が人間の為に星晶の報告なんて面倒臭いことしなくちゃいけないの?僕だって暇じゃ無いんだよ。』

 

エドが歯軋りを立てて怒っていた。

 

怒りで、頭から湯気が出そうになっていた

 

『おいおい、そんなケチ臭い事言わねぇで、世界に関わる事なんだぜ?俺達人類にも、精霊にも危うい事なんじゃねえのか?』

 

コングマンが、説明するようにそう言った。

 

『そうだ。さらにラザリスという奴がこの世界を塗り替えようとしている。それに関しても、どうにか対処する必要があるんじゃねえか

 

?』

 

リッドも代弁するようにそう言うと、ノームはだるそうに答える

 

『んー…あのねぇ。星晶が無くなって困るのは僕も同じなんだけど、世界が変わって困るのは、人間だけだと思うよ?それに、人間が居

 

なくなれば、星晶も平穏が保たれて僕たちも幸せに暮らせるだろうし。僕も平和に暮らせるんだ。ぶっちゃけて言えば、僕は人間が滅ん

 

だほうが良いと思うけどねぇ。』

 

その言葉には、アルも動くような事があったが、気持ちを抑えていた

 

『んだとぉ!!このモグラァ!!!』

 

『兄さん!!』

 

エドは、さらに怒りを倍増させており、火山のごとく怒っていた。

 

リッドも、さすがにこの事には反応を見せ、剣を引き抜こうとしていた。

 

だが、まだリッドは自我があるようでノームに質問を出す

 

『……世界がラザリスの手に渡ったら、人間は勿論……。お前だって環境が合わず、滅亡してしまう可能性があるんだぞ……。』

 

『それは人間が思っている勘違いだよ。精霊はある程度姿が変わっても気にしないし、対応力がある。まぁそちらのおチビさんは確実に

 

無理だろうね。対応力も無ければ、我慢だって知らないんだもんね。』

 

エドの頭の中で、何かの糸が切れた。

 

『そっちの筋肉の方も、一応力はあるようだけど、無駄になるだろうね。それにどうして筋肉を付けたがる人間は理解出来ないよ。ただ

 

邪魔なだけじゃん。鬱陶しいしね』

 

コングマンの頭の中で、何かが切れた

 

アームストロングが、戦闘体性に入った

 

『……おいアル』

 

エドの口が開く、

 

そして、エドの顔は怒りが強すぎて、ほとんど笑顔のようになっていた。

 

怒りが強すぎた故に、黒い、ものすごい形相になっている

 

『アンジュに伝えておけ、今日はモグラ鍋だってなぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!』

 

エドの舌の先が二つに分かれている。

 

さらに、前の筋肉二人が戦闘体性になっており、掛け声を上げている

 

『喋る気が無えんなら、こちらは力ずくで行かせてもらうぞモグラぁぁあああ!!』

 

『我がアームストロング家に代々伝わる、芸術的筋肉を罵倒するとは……許せぬ!!』

 

その様子を見たアルが、慌てだす。

 

『リッドさん!』

 

この中では、一番まともなリッドにすがりつくように言葉を出すが、

 

その期待は見事に裏切られた

 

『………悪いアル。俺もこいつを許す気は無い。』

 

リッドの目が真剣になっていた。

 

その様子を見て、アルはついに一人になってしまったようだ。

 

だが、アルも許せない所があったのは事実だ、

 

人間を悪く思っていても、あんな事を言うのは、さすがに酷い。

 

アルは、溜息を吐きながらも、手を構える

 

『……知らないよ。皆。もう……』

 

そう言って、アルも戦闘体性に入る

 

『ぶっ殺すモグラ!!!』

 

『俺の腕力の力、見せてやるぜぇ!!』

 

『天誅!!!』

 

筋肉二人と、チビ一人がまず先頭にノームに突っ込んだ。

 

『あ〜らら。馬鹿な事をするねぇ。』

 

ノームは、地に腕を入れると、何かを引き上げた。

 

グググググ

 

地面が割れる音が聞こえた

 

『!?』

 

エドが立ち止まると、その地震が自分達を襲っているのが分かる

 

『ちっ!!』

 

これでは、まともに歩けない。

 

ここはしばらく、立ち止まるしかなかった

 

『止まってて良いかは、知らないよ!!』

 

ノームは、埋まっていた腕を引き抜いた。

 

それと同時に、巨大な岩を地中から持ち上げた

 

『!!』

 

『喰らえ!!僕に歯向かった罰だ!!』

 

ノームは、その巨大な岩をエド達に向かって投げつけた。

 

地震がまだ収まらない今、上手く動くことが出来ない。

 

それに、岩が大きすぎる、

 

避けきれないエド達は、その岩を避けることが出来ず、そのまま岩にぶつかってしまった。

 

『兄さん!!』

 

アルが叫ぶと、ノームは首を傾げた。

 

『あら?終わり?あーあ。やっぱり人間だ。呆気なかったなぁ。』

 

ノームがそう言って、微笑んだ瞬間、

 

岩に、ヒビが入った。

 

『ん?』

 

そのヒビから、一気に爆発を発生し、その岩の中から岩で出来た多数の槍がノームに向かってきた

 

『うわわわわわ!!』

 

ノームは急いでスコップで全ての槍を防いだ。

 

砂煙が止むと、その岩の中から三人が堂々と立っていた。

 

まるで、何事も無かったかのように、

 

ただ一人、少佐が拳を上に上げていただけで。

 

その様子を見ていたノームは、怒りの声で発言した

 

『何するんだ!!危ないじゃないかぁ!!』

 

『こっちの台詞だ!!ボケがぁ!!』

 

エドが、地中から巨大な突起物を練成させ、ノームに向かって攻撃をした。

 

ノームは、それしきの攻撃はスコップで防いだが、

 

意外と力が強かったのか、スコップは弾かれそうになった

 

『くおあ!!』

 

叫び声をあげたノームは、さらに怒った顔でエド達を睨みつける

 

『くっそぉ!!なんだよその技は!!僕は全然知らないぞ!!』

 

エドと少佐は、練成するポーズを取り、見せ付けるように言った

 

『『錬金術だ!!』』

 

エドはそう言うと、今度は階段を練成して、

 

ノームの方向まで練成させ、作った

 

『こんなもん効かないよ!!』

 

そう言って、ノームは地中にもぐった。

 

エドは、それを見てニヤリと笑う

 

『馬鹿が!!』

 

エドは、自分の地を練成させ、突起させた。

 

猛スピードでノームの穴へと移動したエドは、その穴に辿りついた後、手を合わせる。

 

そして、穴に手を置き、練成陣を作り出した

 

『ぎゃぁぁあああああああああああああああああああ!!!』

 

地中からノームの叫び声が聞こえる。

 

『兄さん!?何したの!?』

 

アルが質問をするが、エドはただ嫌らしい笑顔をアルに向けただけだった

 

『ぎゃぁぁぁああああああああ!!トゲが!!トゲが無数にぃぃいいいいいいいいいいいい!!』

 

地中から、またノームの叫びが聞こえる

 

『兄さん………』

 

アルが呆れた声を出すと、ノームが地中から出てきた。

 

『くっそぉ!!人間のくせにぃ〜!』

 

その瞬間を、エドは逃がさなかった。

 

地中から管を練成して、ノームを縛り付ける。

 

『うわぁ!!』

 

ノームは、これで上半身を縛り付けられた状態となった。

 

これで、もうノームは動けない。

 

その目の前に、コングマンが立っていた

 

『よぉ、モグラマン』

 

コングマンの顔は、にやけていた。

 

『よっしゃぁ!!やれぇ!!!』

 

エドがそう叫ぶと、またエドは練成をする。

 

今度は地中から突起物を練成させ、ノームは玩具のように飛び出した。

 

宙に浮いたノームを見逃さず、コングマンは一発殴りつける。

 

『ぐほぉ!!』

 

ぶっ飛ばされたノームの先には、もう一人の筋肉が居た

 

『むん!!』

 

『ぐきゅ!!』

 

さらにアームストロングが殴りつける。

 

ノームはエドの方へと飛んで向かう。

 

『これは…俺の事をチビっつった分だ!!』

 

エドの突起物の練成が、タイミング良く下からノームの背に当たり、またノームは地に浮く。

 

『これで……最後だ!!』

 

次に、先ほど作った階段に、リッドが駆け上がる。

 

そしてついに階段の最後にたどり着いたリッドは、そこから飛び上がり、ノームの真上を突く

 

『閃空衝裂破!!!!!』

 

リッドは空中のまま剣を振り下ろし

 

ノームを叩き落す。

 

 

 

大きな砂煙が舞った後、ノームはその場で寝るように蹲っていた。

 

それを見たエド達は、ノームに近づき、本題を出す

 

『さぁ、答えてもらおうか。今の星晶の現状と、今起こっている変化の状況と星晶の材質をな』

 

リッドがそう言っても、ノームに反応は無かった。

 

『おい聞いてんのか。このモグラ野……』

 

エドがそう言った瞬間、ノームの目が開き、持っていたスコップでコングマンをなぎ倒した

 

『ぐほぅ!!』

 

『コングマン!!』

 

飛ばされたコングマンは、壁にぶつかり血を吐いた。

 

『大丈夫ですか!?』

 

アルがコングマンに近づいた瞬間、ノームはまた戦闘体性に戻る

 

『はははっはぁ!!僕はまだ負けてないよ!!まんまと引っかかったね!!さぁ……ここからが見せ所だよ!!』

 

ノームはそう言って、降るままにスコップを振り回した。

 

『くそっ!!汚え野郎だ!!』

 

『人間をどんだけ見下してたか、良く分かるよな……。』

 

リッドが呆れた声を出して、スコップから剣を防いだ。

 

それを見て、エドはある事を思う。

 

いや、最初から思っていた事だ

 

『少佐!敵の動きをどれくらい止められる!?』

 

少佐は、スコップを避けて、敵を観察しながら考えていた。

 

『むっ!おそらく2秒が限界だろう!』

 

少佐の言葉を聴くと。エドは口元を笑う方向に上げる

 

『十分だ!!』

 

『おいおい、たった二秒で何が出来る、いや……二秒も待ってあげないよ!!僕は!!』

 

その瞬間、少佐は殴りかかってきたスコップに拳を向ける

 

『ぐぉおおおおおおおおおおおおお!!』

 

かなり大きな音が、部屋に響いた。

 

少佐の拳には、皮が潰れ、血が流れていた。

 

だが、それ程をしてもスコップには傷一つなかった。

 

『はっは!!そんなやわな攻撃じゃぁ、僕は倒せないよ!!』

 

そう言ってスコップを動かそうとしたが、どうしても動かせなかった。

 

『……!!なんだこりゃぁああ!!』

 

スコップは、大きく地面に刺さっていた。

 

その後ろには、エドが立っていた。

 

『こうなっちゃぁ、もうスコップは使えねぇなぁ?』

 

エドが、練成でスコップを地に埋まらせていたのだ。

 

それも、地の中ではかなり複雑な形にしている。引き抜くのは困難だろう。

 

だが、

 

『ふん……やっぱり人間は、頭が悪いや。特に小さいお前は一番悪いようだねぇ!!』

 

ノームはスコップと地が繋がっている部分をへし折り、そしてエドに向ける

 

『こんなもん、引き抜く事しなくても良いじゃないか!もっとマシな物考えなよ!!豆の脳みそ人間さん!!』

 

エドは、右手をスコップの来る方向に差し伸べた。

 

すると、スコップはエドの右手に当たった瞬間、まるでガラスが砕けるかのようにバラバラに崩れた

 

『なっ……なにぃぃいいいいい!!!!』

 

その光景をみたエドは、また嫌らしい笑顔をした。

 

『ふん。地中にあれ程の質量を入れて、スコップが軽くなったと思わなかったのかよ。』

 

どうやら、地中にスコップの量を入れた上に。

 

スコップの材質を、かなり柔らかくしたらしい。

 

すぐにバラバラになってしまった。

 

エドの右手は、先ほどのスコップに当たったにも関わらず、ピクリとも動かないどころか

 

傷一つ付いていなかった。

 

『くそぉ!!卑怯だぞ!!そんな変な技を持って!』

 

『卑怯結構!!大人は汚えんだよぉおおおおおお!!!』

 

エドは大声でそう叫んで、ノームをさらに太い管で縛り付ける。

 

これで。完全にノームは動けないようになっただろう。

 

ジタバタ必死に動いていても、全くビクリともしない。

 

手が短いから、どれくらいの強度を持たせれば良いか大体理解していたからだ。

 

『ふん。火の精霊の方がまだ強かったな。』

 

エドが笑うようにそう言った。

 

『火の精霊だとぉ!あんなのと一緒にするな!!』

 

ノームの言葉に、エドはもう全く興味を持たなくなった。

 

エドはノームの元へと近づき、再びあの質問をした

 

『今度こそ答えてもらうぞ。星晶の現状、そして材質、変化を』

 

エドがそう言うと、まだノームは強がった態度を取っている

 

『誰が言うもんか!!精霊をこんな目に合わせといてぇ……お前ら絶対に許さないからなぁ!!』

 

『おいアル、ちょっと待ってろ』

 

コングマンの手を担いで居たアルに向かって、エドは言葉を発する。

 

そして地中から、巨大な鍋を作り出した。

 

それは、丁度ノームが入れるような大きさだった

 

『さぁて、今日は何にしようかなと。醤油が良いか。味噌が良いか』

 

迫力のある声で、エドはブツブツと言っていた。

 

その様子を見て、ノームはまた怒りの表情を出す

 

『お前ら!!精霊を食べようってのか!!そうはさせないぞ!!僕を食べれば、お前ら人間は確実に死を迎える事になるんだからなぁ!』

 

『おいリッド、お前何味が良い?』

 

エドがそう言うと、リッドはしばし考える仕草をする

 

『そうだな。モグラはまず輪切りにしといた方が良いんじゃねえか?こうでか過ぎると、丸焼きには食うのも面倒臭いし。まずは皮を剥いでから……』

 

リッドの言葉に、本気だと悟ったノームは、まるで手の平返したように発言した

 

『わ……分かったよ…。言うよ!!言うからもう勘弁してくれ!!この通りだ!!』

 

その発言を耳に入れたエドは、先ほどの話を止めて表情を戻した。

 

そして。ノームの元に近づいて質問をする

 

『んじゃ、とっとと答えろ。嘘を言ったら文字通り料理してやるからな』

 

『わ……分かったよ。分かったからとっとと言えよ』

 

態度が気に入らなかったが、エドは面倒臭くなった為、その事は何も口出ししない事にした。

 

『それじゃぁまずは材質だ。星晶の材質を教えてもらう』

 

『材質なんて……。そんなもんマナに決まってるじゃないか。』

 

マナ

 

その言葉を聴いて、エドは余り理解できずに居る

 

『マナ?詳しくはなんだ?』

 

『うるさいなぁ。マナはマナだよ。世界樹と同じ材質。これ以上の説明は無いよ。』

 

そう言われ、材質の事はもうこれ以上は聞けない事を知った。

 

だが、材質が少し分かっただけで、後はなんとかなるかもしれない。

 

『分かった。じゃぁ次に現状だ。星晶はどうなってる?』

 

『どうって……。確実に減ってきてはいるだろうね。人間たちが使ってるんだから。』

 

その質問のやり取りに。コングマンは不満を言った。

 

『おい、それじゃぁ俺達が知っている情報となんら変わり無いじゃねえか。』

 

『確かになぁ。わざわざここまで来る必要も無いんじゃねぇの?』

 

エドは、その事にしばし考える。

 

その次の質問も、考えなければならないだろう。

 

そう思いながら、次の質問に移った

 

『じゃぁ、次に星晶の変化についてだ。』

 

そう質問すると、ノームは考える仕草をした

 

『変化……変化ねぇ。そういえば最近、増えたり減ったりしてるなぁ……。』

 

『増えたり?減ったり?』

 

これは、聞いたことも無い話だった。

 

『マナという材質は、世界樹から発生しているんだけど、その世界樹から、星晶が異常に多く溢れたり、全く出てこなかったり……。他には、かなり強力な星晶が一つの場所に一つ発生したりしてるよ。その際、その星晶の周りの生気が無くなるんだけどね。まぁ、僕も世界樹の事は良く知らないから、どうしようも無いんだけどね。』

 

『………!!』

 

ノームの、最後の話はどこか引っかかった。

 

最後の話、これはとんでも無い事実に繋がるかもしれない。

 

だが、それを認めるにはかなりの勇気が必要になるだろう。

 

正直、エドはノームに聞いた最後の話の、自分の中の可能性を否定しているくらいだからだ。

 

『もう良いだろ?早く開放してくれよ!!』

 

ノームが偉そうにジタバタすると、エドは考えながらノームの縛りを解いた。

 

管の巻きつきから開放されたノームは、舌打ちをしながら身支度をした

 

『全く……精霊をこんな目に合わせて……今度こそ酷い目に合わせてやるからな!!』

 

そう吐き捨てて、ノームは地へと帰って行った。

 

その様子を見たリッドは、少しだけ不機嫌な顔をしていた。

 

『なんだよ。負けたからって、大人気無え精霊だよなぁ。』

 

『精霊も、それぞれの個性があるのだろう。人間も同じだから。文句は言えません。』

 

少佐が、ヒゲを撫でながら考え事をしている。

 

『む?どうかしたか?エドワード・エルリック』

 

エドは、先ほどのノームの話の事を考えた。

 

星晶の変化で、あともう少しで真実が見えそうなんだ。

 

そう、考えていた

 

『兄さん?』

 

『ん?……ああ。どうした?』

 

『どうした?じゃないよ。何ボーッとしてるの?』

 

アルが心配そうにエドに言葉を送ると、エドは頭を掻きながら答える

 

『あ―――……ちょっと考え事をしてたな。』

 

そう言ったまま、エドは真実で少しだけ誤魔化した。

 

ふぅん、とアルが相槌を打つと

 

『何か分かった?』

 

と質問する。

 

『いや、良く分かんねぇ』

 

と、答えを返す。

 

そうすると、やれやれとアルが呆れの息を吐く。

 

エドは苦笑いをすると、コングマンの方に目を向ける

 

『んじゃ、これでお別れだな。』

 

エドがそう言って、コングマンに手を上げると。

 

コングマンは、何言わぬ顔でエドを見つめる

 

『ん?何を言っているのだ?』

 

『え?』

 

『こんなに良い奴らに会えたんだ。そのアドリビドムとやらに、ちょっくら挨拶に行っても良いじゃねえか!』

 

コングマンが、笑顔でそう言うと、少佐は微笑んだ

 

『そうですか。それは歓迎です。是非、我がアドリビドムの船へと招待させていただきます。』

 

そう言って、二人の友情がさらに深まった。

 

その光景を見たエドは、さらにゲンナリとした顔をした。

 

『なぁ……アル』

 

エドは、アルの方に目を向ける

 

『……まさかと思うけど、船に暑苦しいのが一人、増えたりしない……よな?』

 

『それは……嫌だな。飯が喉通らねぇ……。』

 

二人の不安の声に、アルは、自身なさげに答えた。

 

『ええと……多分。別のギルドの人だから……大丈夫だと思うよ……』

 

アルはチラリと二つの筋肉を見た。

 

二人とも肩を叩き合って、笑っている。

 

確実に、親友と化していた。

 

その暑苦しさ2倍に、アルは溜息を吐いた。

説明
ノーム登場。原作よりも口悪いかも
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