真・恋姫無双Another 風ストーリーその26
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 曹魏の弱体化を目論んだ先の戦い。

結果、弱体化以上の結果をもたらしました。

曹魏は私達の配下に収まったのです。

その広さ故、支配は依然と同じく曹操さんに務めてもらっています。

それと同時に、桃香さん達蜀と孫策さん達呉とも友好な関係を築くことが出来ました。

私達にとっても、そして大陸にとっても非常に良いことです。

まだ仮初めかもしれない。

それでも、今のこの状況は平和と呼んでいいでしょう。

今、大陸には争うべき国はなくなったのですから……。

 

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 曹操さんの治める魏。

その広大な土地と豊富な人材。

私達は、その土地から得られる資材、そして人材と知識を得られるようになりました。

逆に私達からはお兄さんの持つ天の技術や知識を提供するようになりました。

曹操さんは、その内容に感心するばかりです。

そして、すぐにもそれを実現しようと行動しました。

私達はそれをするだけの資金や人材がなかったので、曹魏を併呑したおかげでそれらが実現できそうです。

ただ、それを私達だけで行っては、それが原因でまた諍いが起きないとも限りません。

なので、それらは出来る限り蜀や呉にも伝え、大陸中が平和になるよう務めることにしました。

 

 事は全て成功しています。

各都市間の街道の整備。

水害などを防ぐ為の灌漑事業。

都市の治安維持などなど。

これらをお兄さんの知識を持って進めていきました。

安全になれば都市間、国々の間でのやり取りが活発になります。

活発になれば文明は栄え発展していきます。

発展すれば新たな技術や知識が生まれ、そしてまた発展していく。

非常に良い流れです。

このまま平和な世が続いていく。

私だけでなく、皆さんがそう思っているはずです。

ですが、そううまくはいきませんでした。

 

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 曹魏を併呑して数ヶ月。

ある事件が起きました。

 

「申し上げます!! 西方の邑より救援要請が届きました!!」

「どういう事ですか〜?」

「蜀軍に攻め込まれ甚大な被害が出ているそうです」

「蜀に!?」

 

その相手の名前を聞いたとき、お兄さんは思わず叫んでいました。

私も叫びたくなるくらい驚きました。

その相手は蜀だというのです。

何かの誤りだと思いたいです。

 

「その情報は事実なのか?」

 

白蓮さんが改めて聞きます。

 

「はい。そのように報告が来ています」

「北郷、どういう事だ?」

 

白蓮さんが聞きますが、お兄さんは首を傾げるだけです。

 

「桃香がそんなことするとは思えない。けれど、被害が出ているのは事実だ。これは行くしかないんだろうな」

「そうですね〜。行って確かめましょう〜」

 

こうして、お兄さんと私。

霞さん、華雄さんを中心とする部隊を編成して、その邑へ向かうことにしました。

お兄さん不在の間は、白蓮さん、星ちゃんに任せることにしましょう。

 

 報告のあったその日の昼過ぎに私達は出発しました。

 

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 邑への道のりはそう険しいモノではありません。

これも天の知識を生かした街道整備の賜です。

所々で休みを取りながら、数日かけてその邑へと到着しました。

邑の様子を見て愕然としました。

家々は焼けこげ煙を上げています。

大規模な焼き討ちがあった証拠です。

さらに、道を彩っていたと思われる木々はなぎ倒されその面影をとどめていません。

それら惨状の後に蜀の文字が書かれた旗がなびいていました。

そう、自らの勝利とこちらをあざ笑うかのようにです。

 

「これは……、酷すぎやな」

「まずは生存者の救助だ!! 邑の隅々まで探索しろ!! その時必ず二人以上で行動するように!!」

 

お兄さんが兵士さん達に指示を出します。

この状況では生存者の存在は絶望的ですが、それでもやるべき事はやらなければです。

 

「うちらはどうするんや?」

「探索の結果を待とう。まだ焼き討ちを行った奴がいるかもしれない」

「犯人は蜀ではないのか?」

「この状況からすればそうでしょうね〜。でも、お兄さんは信じられないみたいですよ〜」

 

華雄さんの言葉に、私が答えている間、お兄さんの表情は曇っていました。

私も正直信じたくはありませんでした。

ですが、私はとんでもない状況に巻き込まれている事に、まだ気付いていませんでした。

 

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 しばらくして、指示を受けた兵士さん達が次々に戻ってきました。

そこには、私達が喜べるような情報は何一つありませんでした。

私達は邑の中に陣を敷きこれからの事を話し合う事にしました。

ですが、それは一つの報告によって必要なくなりました。

 

「軍議中失礼します。蜀の旗を掲げた軍団がこちらに向かっているとの報告がありました」

「何やて!!」

「向こうから、やってくるとは……。これで確定的だな」

「……そう、みたいだね」

「……」

 

ここに蜀軍が攻めて来るとなると、もう確定的です。

桃香さんを信じていたお兄さんですが、華雄さんの言葉に反論する気力もないようです。

私はこの状況にあってもまだどこかに不信感を抱いていました。

あまりにも、出来すぎだからです。

ですが、これは私の勘というだけで確証は何もありません。

とにかく今は、攻めてきている蜀軍と一戦交える。

これしかありません。

 

「とにかく、今は蜀軍を迎え撃とう。風、頼む」

「分かりました〜。では、左翼に霞さん、右翼に華雄さんおねがいします〜」

「中央は誰がやるんや?」

「お兄さんです〜」

「俺?」

「はい〜。お兄さんには多くの旗を掲げてもらってよりたくさん兵士さんがいるように見せかけてもらいます〜」

「うちらはどないするんや?」

「合図の銅鑼が聞こえたら両翼から突撃してください〜」

「分かったわ。久々の実戦やから腕が鳴るわ!!」

「私もだ。この戦斧と一緒に暴れられる」

 

二人とも久々の実戦に興奮しているようです。

無理もありません。

お二人には兵士さん達の鍛錬をしてもらっていましたが、それは実戦のそれとはほど遠いモノでしょう。

お二人とは裏腹に、お兄さんは緊張気味のようです。

それなりに場数を踏んできているはずなのですが、やはり生粋の武人である二人とは違うようです。

私は、お兄さんの手を握りました。

お兄さんが驚いて、私を見ました。

 

「お兄さん、大丈夫ですよ〜。風も居ますし、皆さん居ますから〜」

「そうだぜ!! あんまり情けない姿見せてるとみんなが不安がるぜ!!」

「こらっ、宝ャ〜。口調に気を付けないとダメですよ〜」

「そうですよ、北郷様!! 私達に任せてください!!」

「風……、みんな……」

 

お兄さんへ兵士さん達も話しかけます。

 

「……みんな、ありがとう」

 

お兄さんは自分の頬を何度か叩きました。

 

「よしっ!! この邑のみんなの為にも、この戦勝利を得るぞ!!」

「おー!!」

 

こうして、私達は蜀軍への迎撃態勢を整えました。

 

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 お兄さんの手前、ああ言いましたが正直苦戦は免れないでしょう。

相手はあの蜀。

諸葛亮さんと鳳統さんがいます。

あの二人が何もせずにただ向かってくるとは思えません。

お兄さんの居る本陣の旗の数を見て、一時的にも怯んでもらえればある程度の勝機は見えてきます。

ですが、それは望み薄のようです。

蜀軍の陣形を見て、そう思いました。

 

「風、あの陣形は?」

「鶴翼の陣ですね〜」

 

通常、相手より兵士の数が少ないとやらないはずの鶴翼の陣。

それを敷いて来たという事は、旗の数による誇張は通用していないことになります。

 

「風、どうする?」

「そうですね〜。蜀軍が鶴翼の陣なら風達はこれでいきましょう〜」

 

私達は魚鱗の陣を敷きました。

これである程度相手を引きつけて、その上で側面から霞さんと華雄さんをぶつけます。

蜀軍には鶴翼の両翼で私達を塞ぎ込んでいると思わせて、実はさらに両翼から挟み込む作戦です。

さらに、おそらく防戦に徹するだろうと思っている蜀軍を動揺させる面もあります。

 

 蜀軍が進行を止めました。

こちらの動向をうかがうようです。

待っていても仕方ないので、こちらから仕掛ける事にしました。

 

「北郷軍の皆さん〜!! 蜀の皆さんを追い返しましょう〜!!」

「俺たちの強さを見せつけてやるんだ!! いくぞ!!」

「おー!!」

 

かけ声と共に、蜀軍へと向かっていきます。

しばらくして兵士さん同士がぶつかる音が聞こえてきます。

それと同時に、苦悶に満ちた声や断末魔の叫び声なんかも聞こえてきます。

何度聞いてもいいものではありません。

私は実際の戦場に出ない事が多いので、特に聞き慣れると言うこともありません。

星ちゃんとかはいつもこの環境の中に居るんだ、などと考えていると体が引っ張られました。

 

「風は下がっていろ」

「お兄さん……」

 

そう、お兄さんが私の体を引っ張っていました。

少しでも危険の少ない場所にということでしょう。

ですが、私は少なくとも戦いを先導している一人として、自分だけ安全な場所にいるわけにはいかないと思いました。

 

「いえ〜、私はここにいますよ〜。兵士さんが頑張っているのに私だけ安全な場所でというわけにはいきません〜」

「そうか。けど、そういう事最初に言っていたのは俺なんだけどなぁ」

「そういえば、そうでしたね〜」

 

私達のやり取りで、この場が少し和みました。

しかし、それもほんの一瞬です。

蜀軍が、徐々に迫りつつありました。

兵士さん達が頑張っていますが、それでも数の差は歴然のようです。

あんまり効果的ではありませんが、霞さん華雄さんに来てもらいましょう。

私は、兵士さんにお願いして銅鑼を叩いてもらいました。

大きな銅鑼の音に、蜀軍の皆さんは驚いたようです。

少し動揺が広がっています。

これは好機とばかりに、私達は反撃に転じました。

さらに、霞さん華雄さんの部隊が加わり、蜀軍を攻め立てます。

 

「ちくしょー、さらに部隊が隠れていたなんて!! このままだと桃香様の地が北郷軍に侵略されてしまう!!」

「侵略ってなんや!! 蜀軍が先にうちらの邑を滅ぼしたんやろ!!」

「そんな事私達がするはずないじゃない!!」

「なんだと!!」

 

敵軍の将と霞さん、華雄さんのやり取りはこちらにまで聞こえてきました。

今の話だと、お互いの意見に食い違いがあるようです。

 

「風、今の話どう思う?」

「そうでしょうか〜。気にはなりますね〜。もしそれが事実なら風達は凄く無駄な事をやっている事になりますね〜」

 

この戦いそのものがやる必要のないものという事になります。

でも、それを確認するには蜀の人と話をしなければなりません。

今の状況では難しいでしょう。

と思ったのですが、お兄さんは相手の将がいる所に向かい始めました。

私も数名の兵士さんを連れて、すぐにお兄さんの後を追いかけました。

 

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 お兄さんに追いつくと、すでに蜀の武将さんの前に立って話を聞こうとしていました。

 

「今の話、もう一度聞かせてくれないか?」

「あっ、北郷一刀!! ここでお前を倒して桃香様の地を守ってやる!!」

「そんな事、私がさせるはず無いだろう」

 

お兄さんへの攻撃を、華雄さんが防いでいます。

 

「お姉様が無理ならわたしが……」

「甘いわ!!」

 

今度は霞さんが防ぎます。

今のところ問題はありませんが、こんな防戦一方ではそのうち限界が来ます。

お兄さんは、相変わらず話を聞こうと必死になっていますが、蜀の皆さんは聞く耳持たないといったところでしょうか。

しかし、しばらくしてこの膠着状態を打開する人が現れました。

 

「翠さん、たんぽぽちゃん、攻撃を止めてください」

「朱里……」

 

そう、それは蜀軍を指揮している諸葛亮さんでした。

諸葛亮さんは、お二人の前に出ると言いました。

 

「先ほどの会話、私達の軍が北郷さんの治める邑を滅ぼした……。それは事実ですか?」

 

諸葛亮さんの言葉に、お兄さんは弱く頷きました。

諸葛亮さんは、お兄さんの反応に考え込んでいます。

 

「朱里、考えることはないよ!! あたし達がそんな事するわけが無いじゃないか!!」

「そうだよー!! そんなの北郷軍のでっち上げだよ!!」

「でっち上げなんかあらへんで!! 現に滅ぼされたうちらの邑に蜀の旗が大量になびいておったわ!!」

「そうだ!! それは蜀軍の侵略であろう」

 

話は平行線のままです。

この間も、諸葛亮さんは何やら考え込んでいます。

そして、顔を上げると言いました。

 

「まずは、この戦いをやめましょう。いいですよね、程cさん?」

「風はお兄さんがいいなら反対する必要はないですよ〜」

「そうだな、まずはこの戦いをやめよう。風、よろしく」

「分かりました〜」

「翠さん、たんぽぽちゃん、私達もやめましょう」

「あんまり納得できないが、朱里の命令じゃ仕方ないか」

 

蜀の皆さんも、嫌々ながら同意しました。

このやり取りで、戦いの終止符が打たれました。

 

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 戦いが終わった後、私達は本陣に戻りました。

そこには、諸葛亮さんをはじめとする蜀の皆さんも一緒です。

何がどうだったのか。

お互いの意見を交換しようというわけです。

 

「まず、俺達は邑から蜀軍に攻め込まれているので助けて欲しいという話を聞いたんだ」

「そんな事、桃香様が許すはずありません」

「俺もそう思った。だけど、実際に来てみたところ……」

「邑は滅ぼされて、私達蜀軍の旗がなびいていたと……」

「そうだ」

 

まずは、お兄さんがこちらの立場での話をしました。

それに対して諸葛亮さんが、蜀の立場での話をしました。

 

「私達は、北郷軍が攻めてくると報告があってここに来ました。桃香様は信じてはいませんでしたが……」

「ですが実際に、風達が来ていたというわけですね〜」

「はい」

「これは、見事に策略に引っかかっていますね〜」

「駆虎呑狼の計。有効な策略ですけど、まさか……」

 

諸葛亮さんが驚くのも無理はありません。

駆虎呑狼の計は確かに有効な策略ですが、そう成功するものでもありません。

ましてや、私達と蜀軍は悪い関係ではありませんでしたから余計です。

にもかかわらずこうやって戦を行ってしまいました。

これは、軍師である私の失態です。

しかし、蜀軍ととなると、呉軍ともありえます。

 

「お兄さん、まずいかもしれませんよ〜」

「まずいって何がだ?」

「蜀軍とはこうやって誤解が解けましたが、もしかすると他とも同じような策略を仕掛けられているかもしれません〜」

「それってまさか……」

 

私の言葉にお兄さんも察したようです。

すぐに戻るよう指示を出します。

 

「諸葛亮さん、ごめん。俺たちは急いで戻るのが良さそうだ」

「そのようですね。桃香様には私から伝えておきます」

「ありがとう」

 

そう言ってお兄さんは、諸葛亮さんの手を握りました。

突然の事に諸葛亮さんは驚き、そして頬を少し赤く染めました。

お兄さんは、こうやって多くの女性を虜にしていくのでしょうか……。

色々言いたいことはありましたが、今は時間がありません。

 

「お兄さん、早く戻りますよ〜」

 

私達は数名の兵士さんに、滅ぼされた邑に対する後処理をお願いして引き返しました。

 

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あとがき

 

 ようやく書き終えました26話になります。

なんかもうグダグダです。

もうちょっとスマートな展開を考えていたのですが、頭の考えをなかなか文字にするのは難しいです。

 

 分かる方も多いと思いますが、これは無印恋姫にあったイベントと同じ感じですね。

本当は原作同様相手を負かしてそして真相をという所なんでしょうが、そこはちょっとずるをしました。

実際にこういう事が可能なのか分かりませんけど、まあフィクションという事でw

 

 次はもう少し早めにアップできればなんて思っています。

終わりまで後数話程度だと思いますので、もう少しお付き合いいただけると幸いです。

ご覧いただきありがとうございました。

説明
真恋姫無双の二次小説です。
風の視点で物語が進行していきます。

またまたお待たせしてしまってすみません。
内容はちょっとグダグダになっちゃってますけど
よかったら感想など寄せていただけると嬉しいです。

前話はこちらhttp://www.tinami.com/view/226672
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コメント
エンディングは無印風で決定かな?最後のシーンが風に変わると。(ドッペルゲンガー)
↓登山家でふいたw(きの)
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