【大罪シリーズ】Ira/Acedia |
「彼女」は「睡眠障害」だ。
俺は「彼女」の目がしっかりと開いている時すら見たことがない。
いつもベッドで睡眠を貪る「彼女」を、俺は静かに見つめる。
流動食を口元に持っていけば眠りながらも咀嚼をし、俺が話しかければ寝返りを打ち反応しているようにも見える。
ただそれだけだ。
気が狂う。声が聞きたくて。
俺が狂う。君と話したくて。
まるで人形のような君を、人形遊びのように愛でる俺。
狂う狂う狂う。
この苦しみ怒りはどこにぶつければいい?
気が付けば、俺の周りには粉砕したガラス片。
血に染まる両手を見降ろして、こんな手では「彼女」に触れないと思い出す。
ああ、人形のように白い君の肌を汚い赤なんかで汚したくはないんだ。
汚してしまったら怒り狂って、俺をころしてしまう。
「ぉ…はよ…」
振り返れば「彼女」が珍しく身体を起こし、目を開き、俺を見ている。
ああ、君の瞳に俺の姿が映るのは何年振り…?
「だめ…ねむ…ぃ…おやす…み」
ほんの一瞬だって、俺が君の傍に居続けるには十分なんだ。
愛してる愛してる愛している。
この堪えられない孤独に対する怒りは、ガラスを砕くことで晴らせばいいさ。
***
いとしくて おろかなひと
わたしなんか おいて どこかにいってしまえば らくなのに
あいしている という ことばで じぶんのじゆうを 憤怒に かえて
いつまでも いつまでも わたしのそばに いる おろかな ひと
すきに いきて いいんだよ そうつたえることすら 怠惰
わたしは きょうも ねむる
あの おろかなひとの 血と赤と あいじょう に かこまれて
【Ira/憤怒】情緒不安定
【Acedia/怠惰】睡眠障害
説明 | ||
七つの大罪モチーフその2 | ||
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