仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編 すばらしき時 エンジェロイドと3つの世界 |
ここは中国の三国志時代から50年ほど経った外史。
この外史では未だに三国時代として歴史は続いていた。
しかしある人物の活躍のために三国時代でありながらも大陸は平穏が続いていた。
とある森では子供達が遊びに入っていった。
「鬼ごっこしようぜ〜」
「最初の鬼は……僕か〜」
「それじゃあ、10数えろよ」
「うん、1〜2〜3〜……………」
鬼になった子供はきちんと10まで数える。
「10。よし、待て待て〜〜〜」
子供達は鬼ごっこをして楽しむ。
「待て〜〜〜〜、痛っ!」
鬼の子供から逃げていた子供の一人が何かに躓く。
「大丈夫?」
子供達が転んだ子供のところにやって来る。
「いててて……、なんだこれ?」
転んだ子供が躓いたものを見てみる。その何かは少し大きい石くらい小さな祠だった。
「なんだこれ?」
「祠? それにしても小さいな〜」
「なんでこんなところにあるのかしら?」
「さあ?」
そんな時であった。
倒れた祠の下から何かが噴出される。
「きゃああああああ!!」
「な、なんだーーーーー!?」
子供達は恐ろしくなってその場から逃げていく。
子供達が去って行った後、噴出されたものは噴出を終えると噴出された物は人の形を形勢していく。
「ようやくか……。ようやく蘇ったーーーーーーー!!」
蘇った言う人の形を成したものからどす黒いオーラのようなものが放たれる。
その人の形を成したものが蘇った少し離れた場所では……。
「ふぁ〜あ」
この外史で三国時代を長く続かせる要因となった北郷一刀の孫、北郷矢刀が森林浴をするために木の上で寝ていた。
「なんだ今の大声……」
矢刀は大きな声を聞いて、木の上から降りる。
矢刀が木から降りてすぐに地面が揺れるのを感じた。
「なんだ?」
矢刀は思わずよろけてしまう。
「地震? …にしては揺れ方がおかしいな……」
矢刀は辺りを見回してみる。
すると森の一部が傾いてることに気づく。
「森が傾いてる? …もしかして土地が傾いてるのか?」
しかし土地が傾いている割には自分が傾いてないことにも気づいた。
「明らかに超常現象とか怪人の仕業だよな…」
矢刀は森の中心へと向かった。
北郷矢刀のいる時代から50年前の外史。
その時代にある蜀領。
「はぁ〜あ」
その外史にある蜀の王の一人であり、北郷矢刀の祖父に当たる人物、北郷一刀は頭を抱えていた。
「ご主人様…頑張って……」
ご主人様と言う女性、名前は劉備。真名を桃香と呼ぶ。
この桃香もまた蜀の王の一人であった。
「ご主人様、桃香様。まだまだ仕事は残っていますよ…」
書類を運んできた女性名前を関羽。真名は愛紗。
愛紗が大量の書類を頭を抱えている一刀と桃香の前に置く。
「こんなに〜」
「当たり前です」
「勘弁してくれよ……」
「出来ません。ご主人様、桃香様、お仕事頑張ってください」
愛紗は無愛想な態度を取りながら、部屋を去っていく。
「愛紗……嫉妬深いのは分かってたけどさ……」
「もう少し、柔らかくなってほしいよね」
一刀と桃香はなぜ愛紗が二人に対して厳しいと言うのか愛想がないようにふるまっているのかと言うと、それは矢刀の存在があるからだ。
矢刀は一刀と桃香の子供の子供であり、言うなれば二人の孫。
その矢刀と一刀達は一度会ったことがあり、その時に矢刀からそのような事実を蜀の将達は聞いていた。
一刀には桃香以外にも愛紗や他の蜀の将達との間にも孫を儲けていることを矢刀から聞いているが、矢刀はその孫達の中で最年長であるのだ。
そのため愛紗はそれに嫉妬して最近は少し愛想のない態度を取っているのだ。
「とりあえずそろそろ、愛紗ちゃんを誘わないとね」
「俺、まだ桃香も誘ってないのにか?」
この一刀はまだ桃香と完全に結ばれたわけではない。そのため二人の間にはまだ子供はいない。
「そのうち作ろうよ。孫の矢刀君のためにもね」
「はいはい」
一刀は途中でだるくなったのか返事に元気がない。
そんな時であった。部屋に愛紗がやって来る。
「ご主人様! 桃香様!」
「愛紗ちゃん」
「どうしたんだ愛紗、そんなに慌てて…」
「今、兵から報告がありました。我が蜀領にある荒野が突然森へと変わったそうです」
「何?」
一刀は報告を受けてすぐにマシンデンバードに乗り、その荒野から森に変わった場所へと向かった。
「確かに…変だな。荒野だった場所が…無理矢理土地を切り取られた感じだな」
一刀はマシンデンバードから降り、森と荒野の境界線を見てそう判断した。
「この森……」
そんな時、森から奇妙な音が聞こえてきた。
「この音……何かを斬るにしては鈍い音だな」
一刀は森の奥へと走っていく。
「音が大きくなっていく……。近いぞ」
一刀が森の中心へとやって来る。
そこで一刀が見たのはよく分からない戦闘員的怪人と戦う仮面ライダーNEW電王ストライクフォームの姿があった。
「NEW電王!? 矢刀か!」
「はあっ! !?」
NEW電王は名前を呼ばれて、最後の戦闘員怪人を斬り倒すと、一刀の方を振り向く。
「じいちゃん!?」
NEW電王はベルトを外す。するとNEW電王は矢刀の姿になる。
「なんでここに?」
「それはこっちのセリフだ。お前、なんでこの時代にいるんだよ」
「この時代って……ひょっとしてじいちゃんの時代?」
「いや、そう言ってるだろ」
「…もしかしてあの時……」
「あの時って?」
「それは……」
矢刀が説明をしようとしたその時であった。突然二人の元に突風が吹き、二人は飛ばされる。
「「うわっ!!」」
二人は飛ばされ転がる。
「なんだ、急に突風だなんて……」
「…じいちゃん、あれ!」
矢刀があるものを指差す。
すると矢刀の指差す先には人の形をした何かがいた。
「あの人……」
「民間人……には見えないな。これはお前の仕業か!」
「よく分かったな、北郷一刀」
「俺のことを知ってるだと」
「知っているさ、よ〜くな…」
「じいちゃん、こいつもしかして……」
「管輅の仲間か」
「いかにも。私の名はランダ。管理者の一人だ」
「管理者の一人だと…」
「そうだ」
ランダが手を広げるとそこから突風が放たれ、二人は森の外へと飛ばされてしまう。
「これで邪魔者はいなくなった。では始めるとしよう、世界の終焉を!!」
『仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編 すばらしき時 エンジェロイドと3つの世界』
「「うわっ(ぬあっ)!!」」
一刀と矢刀は森の外へと飛ばされ、転がる。
『ご主人様!』
二人の元に桃香達蜀の将達がやって来る。
「皆………」
「あれ? ご主人様の隣にいるのって…」
「矢刀ね」
「紫苑ばあちゃん達まで…」
「矢刀君、どうしてここにいるの? 何があったの?」
「とりあえず休める場所に連れてってくれ。そこで事情を聞くけどいいか?」
「うん」
一刀達は兵の駐屯所に移動した。
「それで矢刀、なんでお前がこの時代にいるんだ?」
「それがね…」
矢刀は自分があの森にいたこと、森の部分が突然傾き始め、終いにはひっくり返ったこと。
そして森の中心に向かったら先ほどの戦闘員怪人が現れ、戦闘になったことを…。
「そうだったのか」
「でも土地がひっくり返るって一体どういうことなんだよ」
「翠さん、俺それ調べるために森の中心に行ったんだけど…」
「結局は分からなかったんだろ?」
「いや、まったく分からんかったわけじゃない。…ただ……あれが何者なのかがよく分からないと言うところだな」
「それは私が説明しましょう」
そこに管輅がやって来る。
「お主は確か…管輅」
「覚えていてくれたのですね」
「管輅、あいつはお前の仲間だとか言ってたけど……」
「元、仲間です」
「元か…。なんであんなところにいたんだ?」
「それを今から説明します。
それはこの外史が出来てすぐのことです。
外史の管理者の一人として誕生したランダは誕生してすぐにこの外史を無くそうとしたのです」
「…ちょっと待ってよ」
「この外史が出来てすぐにこの外史を消そうとした?」
「そういうことだよね?」
「はい。ランダは管理者の中でもとても異端な存在でした。
世界は正史のみで十分と言う管理者の中でもとんでもない考えを持っていました。
そこで私のような外史を承認する管理者達の手によってこの外史に封印することにしたのです」
「でもなんでこの世界にしたの?」
「他の世界に封印すればよかろうに…」
「ランダはこの外史で生まれた存在でランダは別の外史には存在しない管理者。先ほども言ったように異端の存在でした。
そのためこの外史で封印するしかランダを止める方法がなかったのです。
そしてこの外史の……矢刀がいた森……この時代ではまだ荒野のところに握り拳二つ分くらいの大きさの祠を作り、ランダを封印しました」
「よく今まで封印が解けなかったね」
蒲公英(馬岱)がツッコム。
「封印は強力なものでしたからね。蹴ったりするくらいじゃ解けないものだったのですが……」
「どうしたの?」
「50年以上と言う長い年月が封印の力を弱めてしまったのか、子供が躓いただけで封印が解けてしまったのです」
「そうだったのか…」
「子供が躓いただけで解ける封印って……」
「そこは大目に見てください…」
管輅が頭を下げてぶつぶつ声で言う。
「てことはまた再封印が必要ってことなのか?」
「それなら大丈夫です」
「なんで?」
「一刀さんに与えた仮面ライダーの力や矢刀さんのNEW電王の力ならランダを倒せます」
「なんでまた?」
「そう言うものなのです」
「…まあいいや。とりあえずはあいつを倒さないとこの世界がなくなるってことでいいんだろ?」
「はい」
「それじゃあとりあえずあの森にまた行くとするか」
一刀達は再び森の方へと向かう。
「なんか……出来てる………」
一刀達が森の方に行くと森の中心には何やら高い塔が出来ていた。
「でかい……」
「でかいと言うより高いわね」
「塔が出来てるとはな………」
一刀が森に入ろうとした時、突然何かに阻まれて弾き飛ばされる!
「どわっ!」
『ご主人様(じいちゃん)!』
弾き飛ばされた一刀を気遣う一同。
「バリアかよ…」
「ばりあ?」
「要するに結界、見えない壁みたいなものだ。
まあ壁よりも強力なものだな」
「やはりランダは既に対策を打っていましたか」
「とりあえずランダはこの世界を終わらせる気だろうけど、どんな方法で来るんだ?」
「そこまでは……」
一刀達はひとまず様子見をすることにした。
世界は変わってまったく別の世界エリア。
「ふぁ〜あ」
ここ福岡県にある空見町。
そしてその町にある一軒家桜井家では家主であるごく平凡な中学2年生の桜井智樹が目を覚ます。
「おはようございます、マスター」
「おはようトモキ」
「お兄ちゃん、おはよう」
居候している『エンジェロイド』と呼ばれる所謂アンドロイドのイカロス、ニンフ、カオスが智樹の部屋で智樹が起きるのを待っていた。
「ああ、おはよう」
「智ちゃ〜ん」
「そはらさんです」
智樹の家の隣の家に住む幼馴染の見月そはらが智樹の家の玄関までやって来た。
「そはらの奴どうしたんだ? 今日は学校休みだってのに…」
「トモキ、忘れたの?」
「今日は一緒に都会に出かけようって言ってたじゃない」
「そう言えばそうだったな……、カオスも行くか?」
「うん♪」
こうして智樹、イカロス、ニンフ、そはら、カオス。途中で会ったイカロス達と同じエンジェロイドのアストレア、元はシナプス人でエンジェロイドに改造された改造人間であり智樹の幼馴染の一人の風音日和と会い、一緒に行くことになった。
一同は駅へと向かおうと商店街を通っていくと……。
「何だ?」
商店街が妙にざわめきあっていた。
「何かあったのかな?」
智樹達が騒ぎの中心に向かっていく。
「何かあったんすか?」
「あ、智坊、それがね……」
近所のおばさんが智樹達に気づく。
「は? 一生ちょび髭が付く代わりに1000万もらえる?」
「そうなのよ〜、それでこんな行列が出来てるのよ」
「で、おばちゃんももらったの?」
「ええ」
智樹達が近所のおばさんを見てみるとおばさんの顔にもちょび髭が付いていた。
「このちょび髭剃ろうにも剃れないのよね。何度も試した人がいるけどダメなのよ。抜くのも抜けなくてダメなの」
「ふむ、その程度のちょび髭を一生背負うだけで1000万か…」
「どうしたの? ニンフさん」
「どう考えても怪しいでしょ」
「そうね」
「これもシナプスの仕業……」
「それにしては馬鹿馬鹿しすぎるわ」
ニンフ達は気づいていない。
お金をばらまいているのが自分達の世界の存在ではないことを…。
戻って蜀の王であり仮面ライダーの力を持つ一刀のいる外史。
荒野と入れ替わった森に突如と現れた塔。
その塔の最上階にはランダがいた。
「ふふふ、別の世界で行っている欲望エネルギーは順調に溜まっているようだな」
ランダがメーターのようなものに溜まっていく液体を見る。
メーターのようなものは3つほどあり、そのうちの一つにだけ液体が入っていた。
すると液体はどんどん量を増していく。
「そろそろだな」
ランダがメーターの横に置いてある羅針盤のようなものを見る。
羅針盤のようなものも3つほどあり、一つの羅針盤のようなものは表から裏に自動にひっくり返ろうとしていた。
そしてメーターの液体が満杯になると同時に羅針盤のようなものの一つがひっくり返った。
「これでいい。ようやく世界の終わりが始まる…」
智樹達がちょび髭を付けながらもお金をもらう人達を眺めていたが……。
「怪しいからさっさと行こうぜ」
「そうだな」
智樹達がその場から離れようとした時、突然ベルのようなものがあたりに鳴り響く。
「なんだ?」
すると智樹達側の方の地面が突然円を描くように光り始める。
しかもそれはちょうど智樹達一同を分けてしまう。
智樹と智樹の傍にいたイカロス、そはらの3人は円の内側。
残りのニンフ、アストレア、カオス、日和は円の外側になってしまった。
「な!?」
「トモキ!」
ニンフが智樹に近づこうとした瞬間バリアのようなものに弾かれてしまう。
「きゃっ!」
「ニンフお姉様!」
「これって……」
同じころ、ランダのいる森の近くにいた一刀達の方でも同じことが起きていた。
「何!?」
「これは……」
ちょうど矢刀のいるところが境界線となって、土地が一時浮き、傾き始める。
「まさか、これは…元の時代に戻ろうとしてるのか?」
「いえ、この反応は……」
「なんだ?」
「この反応………、ランダは異世界に移動する気です!」
「なんだと!?」
「矢刀! 降りれるか?」
矢刀は降りようとするもバリアみたいなものに阻まれて飛び降りることが出来なかった。
「ダメだ!」
「矢刀! とりあえずお前はそのまま何とかしろ!」
「何とかしろって……そうしかないだろうな…」
戻って智樹達がいる世界。
「桜井君!」
日和の叫びもむなしく、智樹達のいた土地がひっくり返り、森が生い茂る土地へと変わる。
「うわっ!」
ニンフ達の元に一人の青年が倒れ飛ぶ。
「大丈夫ですか?」
日和がその青年の元に駆け寄る。
「ああ、大丈夫だ」
その青年はすぐに起き上がる。
「ランダめ…」
「あんたの顔どこかで…」
「あんた、北郷一刀?」
「じいちゃんのこと知ってるのか?」
「おじいちゃんって?」
「その北郷一刀だ」
「………ええええええええ!?」
アストレアが一番驚く。
「あいつ、孫いたのーーーーーー!?」
「じいちゃんの知り合い?」
「北郷一刀には2回ほど会ってるけど……ちょっと聞いていいかしら?」
「何?」
「……あんた、ディケイドの奴知ってる? マゼンタ色の奴に変身する奴」
「ああ、あのじいちゃんね」
ニンフの質問で矢刀は言いたいことが分かった。
「お兄ちゃんのおじいちゃんってアクセルってのにも変身する?」
「アクセル? なにそれ?」
カオスの質問にはよく分からない顔をする矢刀。
「俺のじいちゃんは電王とか響鬼に変身するじいちゃんだぜ」
「……本当にその北郷一刀って地蟲(ダウナー)、世界にいっぱいいるのね」
「ダウナーって何? 専門用語?」
一刀によって横文字などは学んでいるもののニンフの言ってることが分からなかった矢刀だった。
そして戻って一刀達のいる外史。
そこではランダのいる森と矢刀のいた土地がひっくり返り、ひっくり返った土地からはちょっとした現代の建物が現れた。
「なんだあれは!?」
愛紗達は動揺したが、一刀にとっては懐かしく見慣れた物であった。
「あれは…商店街の建物!?」
「しょうてんがい?」
「お兄ちゃん、何なのだ? それは?」
「簡単に言えば天の国に在った店が並んでる町ってところかな」
一刀が説明している時、商店街から車が一台現れる。
『うぉおおおおお!?』
「な、なんだよあれ……」
「心配するな。あれは車だ」
「車?」
「天の国の乗り物だ。物によって馬よりも速いぞ」
「鉄の乗り物が動くなんて……」
「そんなもん、デンライナーの時点でおかしいだろ?」
「…それもそうじゃの」
「とりあえず何があったのかあの商店街と一緒にやって来た人達に会って、聞いてみるしかないな。行こう」
「でも大丈夫かな?」
「大丈夫だ。天の国の人間はこの世界の人間とそんなに変わらないさ」
「お館がそう言うのであれば……」
「とりあえず……何人かは民達や兵達を止めておこう。朱里、桔梗、焔耶、翠、蒲公英、恋、霞はひとまず兵達を止めておいてくれ」
『分かりました(分かった)』
「俺と愛紗と鈴々と星と紫苑と雛里は俺と一緒にあの土地の行くぞ。桃香は朱里達と残ってくれ」
「え〜、なんで?」
「桃香は仮にもこの国の王なんだ。王が二人で危ない目に遭うわけにはいかないだろ」
「でも……」
「矢刀のためでもあるんだ」
「………そうだね。矢刀君の存在もあるんだよね」
「…………」
一刀が言った言葉に思わずうつむく愛紗。
「どうしたのだ? 愛紗」
「いや、別に…」
「とりあえず行くぞ」
一刀達は商店街の方へと向かった。
「智ちゃん、これって……」
「なんじゃこりゃーーーーーーー!!」
一刀達の前に現れた土地、それは智樹達がいた土地であった。
「いったいこれって…」
智樹達の目の前に広がるのは荒野であり、荒野の先には古臭い街が並び、さらにその先には城が建ってあった。
「ねえ、智ちゃんあそこにお城があるよ……」
「見た限り、三国時代…中国の城のようです」
イカロスがメモリーにあるデータを照合する。
「三国時代って…」
「三国志と呼ばれる時代です」
「「三国志ーーーー!?」」
イカロスの言葉に驚く智樹とそはら。
「智ちゃん、これって…」
「俺達過去の中国に来ちまったのか?」
『ええええええええ!?』
智樹達と一緒に飛ばされた商店街の人達も驚きを隠せない。
「私が様子を見てきましょうか?」
イカロスが上着を脱いで、翼を広げる。
「待ってくれ、イカロス」
「はい」
「どうして?」
「ここでイカロスが行けば何か分かるかもしれないけどさ、もしイカロスを見てここに住んでる人達が俺達を化け物とかと勘違いされたら……」
智樹はいつになく冷静に状況分析する。
とは言っても智樹も内心はひどく動揺し、焦っている。
「そ、そうだね。下手に出たら…」
「ここから声がするな」
智樹達の元にやって来たの一刀達であった。
「あれ? あんた…」
智樹が一刀の顔を見て何か覚えがあるようなそぶりをするが……。
「お兄ちゃん、あれ!」
鈴々がイカロスの羽を見て、驚く。
それは一刀も同じであった。
「羽!」
「貴様! 怪人か!?」
全員が武器を構える。
「うわあああああ! 違う! 違う! これは違うんだ!」
智樹が手を大きく振って否定する。
「ならばその羽はなんだ!?」
愛紗が怒鳴るように智樹に問い詰める。
「こ、これはだな………」
そんな時であった。
突如どこからか、矢刀が戦っていた戦闘員とは別の怪人が現れる。
その怪人は背中と腕に亀の甲羅、頭が豹と鰐を半分ずつ合わせたもので、足がコンドルのように鋭いものが付いていた。
「なんだありゃ…?」
現代の商店街の人達はひどく動揺した。
『逃げろーーーーー!!』
商店街の人達はすぐさま逃げて行った。
「ご主人様!」
「皆、少し下がっていてくれ! あいつは俺がやる!」
一刀は変身音叉音角を取り出す。
「とりあえずは響鬼でいく」
一刀は音角を鳴らし、それを額に当てる。
すると額に鬼印が現れ、一刀の体が紫色の炎に包まれる。
「あ、あ、あの人……」
「火に包まれてる…」
「あの火は普通の火ではないみたいです」
「はっ!!」
一刀は炎を掃うと一刀は仮面ライダー響鬼へと変身した。
「よし」
響鬼は音撃棒烈火を手に持つ。
「行くぜ!」
響鬼は混成怪人の元に突撃していく。
「鬼になった!?」
「でもあの人って…」
「あの北郷一刀と言う人の生体反応は同じです。ただ……」
「ただ?」
「ほんのわずかにですが、どこか反応が違います」
「え? 生体反応が同じなのに違う?」
「イカロス、矛盾してないか?」
「はい…、ですが、私もよく分かりません」
「おい、貴様ら!」
智樹達の元に愛紗達がやって来る。
「何故ご主人様の名前を知っている!?」
愛紗が青龍偃月刀を智樹達に向ける。
「ひいいいいいいい!!」
「マスターに何をする気ですか?」
イカロスが愛紗の偃月刀の前に立つ。
「ますたーだと?」
「はい…」
イカロスは瞳の色を緑色から赤色へと変わる。
これはイカロスがウラヌス・クイーンモードに変わった証拠である。
するとイカロスがモードが変わったと同時にイカロスを中心に衝撃が走る!
「くぅ、なんだ?」
愛紗達は何とか足を踏ん張り、衝撃から飛ばされないようにする。
「イカロス! 落ち着け!」
智樹がイカロスをなだめ、イカロスは元の状態に戻る。
「貴様いったい何者だ?」
「私は戦略エンジェロイドタイプαイカロス」
「えんじぇろいど?」
「タイプα?」
イカロスの言ったことが理解できない愛紗達。
「はっ! そりゃ!」
その間にも響鬼と謎の怪人が戦っている。
「そりゃあ!」
響鬼の音撃棒烈火に炎を溜め、その炎を投げ、攻撃しようとするが…。
「やばっ!」
響鬼はあることに気がつき、音撃棒の炎を消す。
その隙を怪人が響鬼を殴り倒す!
「ぐわっ!」
響鬼は攻撃をくらい、後方へと転がる。
「くそ……」
「………」
怪人は口から炎の弾を作り出す。
「避けなきゃ……」
響鬼は後ろを見てみるとそこには商店街の一部の人達がいた。
「出来ない!」
怪人が炎の弾を吐き出すと、響鬼はその攻撃をもろに受けた。
「ぐわああ! ぬああああ!!」
怪人の吐き出される炎の弾を何発も受ける。
「う……」
「あの鬼……」
「私達を助けた?」
響鬼は膝をつく。
「ご主人様!」
倒れそうになる響鬼の元に愛紗達が駆け寄る。
「貴様! よくもご主人様をーーーー!!」
「やめろ愛紗! ここで奴と戦うな!」
「Artemis(アルテミス)」
するとどこからかミサイルのようなものが飛んでき、怪人を襲う。
「今のは一体?」
「ミサイル!?」
響鬼達がミサイルのようなものが飛んできた方を見るとそこには服装が戦闘服で、目が赤色、翼を青くしたイカロスがいた。
「あいつか?」
「生体反応あり。Artemisをもう一度発射します」
イカロスの羽から再びArtemisの弾が飛んでき、怪人を襲う。
「どうだ? イカロス」
「生体反応ありません」
「じゃあ倒したの?」
「いえ、途中まで生体反応はありました。どうやらテレポートか何かを使ってこの場から消えただけのようです」
「でもひとまずは安心だよね?」
「はい」
イカロスは羽を元の状態にし、目の色も赤から緑色になる。
「お主は一体何者なのだ?」
星がイカロスを問い詰める。
「まあそこのところはもうちょっと落ち着いた場所で聞くべきだ」
そこに変身を解いた一刀がやって来る。
「ご主人様、お怪我は?」
「大丈夫だ。あれくらいで怪我するほど軟な鍛え方はしてないさ」
「え〜と、北郷一刀さんですよね?」
「あれ? 俺名乗ったっけ?」
「いえ、ずっと前に私達と会っています」
「会ってる? いつ?」
「正確には別の世界のあなたですが…」
「別の世界の俺? 例えば?」
「仮面ライダーディケイドと呼ばれるもの変身していました」
「ディケイド……その北郷一刀ってコートみたいの来て、カメラを首からぶら下げてなかったか?」
「はい」
「なら納得だ」
イカロスの言葉に一刀は納得した。
「愛紗、鈴々、星、紫苑、雛里、心配しなくていいぞ。どうやらあのディケイドの俺の知り合いみたいだ」
「そうですか…」
「まあ別の世界とは俺の知り合いみたいだからな。
とりあえず何があったのかきちんと聞きたいからあの城まで一緒に来てくれないか?」
「あの城って…」
「俺の城だ」
「えええええええ!?」
「一刀さん、そんなに偉いんですか?」
「無礼だぞ、貴様ら!」
「このお方はこの蜀の王の一人、北郷一刀様であらせられるぞ!」
「「蜀の王!?」」
智樹とそはらはとても信じられないと言う顔をする。
その頃、智樹達が元居た世界ではニンフ達が矢刀から事情を聞いていた。
「そんなことがあったの」
「まさか俺がじいちゃんの言ってた現代ってのに来るとは思ってなかったぜ」
「別の世界みたいですけどね」
「まあいいさ……」
矢刀が残っている商店街を見て回っていた。
「へぇ〜、これが自動販売機って奴か〜。……飲み物欲しいけど、この時代のお金ないや。ねえお金ない?」
「思ったよりずうずうしい奴ですね」
「デルタといい勝負よ」
「私も喉乾いたな」
「とりあえず何か飲みます?」
この場は日和がお金を出してくれたので、全員でひとまず自販機で飲み物を買った。
「これがコーラか。で、これどう開けるの?」
「そんなのも分からないんなんてぷすす〜」
アストレアが口を押えて笑う。
「初めて見るから仕方ねえだろ」
「そんなのデルタだって同じだったじゃない」
「ニンフ先輩〜、それは言わないで下さいよ〜」
「これはですね…」
「こうするんだよ」
日和とカオスが矢刀に缶の開け方を優しく教えてくれた。
「なるほどな、こうか」
矢刀は缶の蓋を開ける。
「お、うまそうな音」
矢刀はコーラを飲んでみる。
「ぷはっ! かぁ〜、うめぇ」
「お行儀悪いね、矢刀お兄ちゃん」
「いいだろ、初めて飲むんだから」
「ところであれどうするの?」
ニンフが突然現れたランダのいる塔の方を見る。
「当然バリアってのを破ってあの塔に突入するさ。
けどあの壁を破れない限りはどうすることも出来ないな。
まあ脆いところが見つかればいいんだけど……」
「脆いところを探すならニンフの力で簡単だろ」
そこに一人の男がやって来る。
「秋山」
その男の名は秋山総司郎。
「邪悪なる闇の魂」と呼ばれる異世界に存在した闇の神の魂が秋山の体に入り、支配しようとしたのを逆に支配し、様々な力を身に付けた男。
この秋山は元々この世界の人間ではなく、闇の魂の力により異世界から移動した人間であった。
「あんたならあんなバリア簡単に壊せるんじゃないの?」
「俺が壊しちゃダメなんだよな…。俺はちょっとしたサポートくらいだ」
秋山はそう言ってノートパソコンを召喚する。
「なにそれ?」
「ノートパソコンって言うこの時代にある高度なもんだ。色んな情報が詰め込めたり調べたりできるんだ」
「へぇ〜」
「ニンフ、あのバリア調べてくんない? 俺が脆いとこ探してやるから」
「分かったわ」
ニンフが一生懸命バリアを調べ始め、ニンフが送るバリアのデータが秋山のノートパソコンに送られる。
「すんごい文字や絵がいっぱい出てくるな〜」
関心して見る矢刀。
「これ俺の時代に持って帰れる?」
「ディケイドの一刀ならともかくお前の時代に持ち帰っても意味ないだろ。外史っても時代考証も考えろよな」
「そっか…」
少し肩を落とす矢刀。
ニンフ達がランダのバリアを調べている間、一刀や智樹がいる世界では一刀は智樹から事情を聞き、智樹達もまた一刀から一刀のいる世界のことを聞く。
「この世界って真名ってのがあるんだ〜」
「しかも許してくれた人以外が呼んだら殺されても文句ないってどうか考えたって、初めて来た奴は呼んじまうだろ」
「だろ? 俺も最初呼びそうになったんだよな…。まあそこは何とか名前を呼ばずに真名のことを聞いたから何とかなったんだけどな〜」
一刀が智樹達と親しく話し合う。
「お兄ちゃん、楽しそうなのだ」
「やっぱり同じ天の国の人同士だと話が弾むのかしらね」
「…」
「どうしたんだ? 愛紗」
「翠…いや、なんでもない」
「そうか? 元気なさそうだけど?」
「大丈夫だ」
「ならいいけど…」
愛紗はやはり気分がすぐれてなかった。
「しかし別の世界とはいえ、まさかそんなアンドロイドみたいなのがいるとは思わなかったぜ」
一刀はイカロスの方を見る。
「?」
「そりゃ、こっちのセリフでもあるぜ。あんな特撮ヒーローに変身するの今まで見たことないぜ」
「まあ俺の場合はこの外史って言う特殊な世界を管理してる人からもらった力だけどな」
「北郷さんって他にも変身できるんですか?」
「ああ、力はなくしてるけど一応変身できるのが一つと、俺がよく変身してる奴がもう一つあるぜ。それと俺のことは一刀でいいぜ。
俺もお前達のこと、名前で呼ぼうと思ってるからな。智樹とそはら、それにイカロスでいいんだよな?」
「「「ああ(はい)」」」
何かと一刀と智樹達の会話は弾む。
「本当に楽しそうだな、主は…」
「ああ」
やはりいい顔をしない愛紗。
「おーい、桃香達もこっちに来て自己紹介くらいしておこうぜ」
「はーい!」
「分かったのだー!」
呼ばれた桃香達はひとまず智樹達に自己紹介し、真名も許してもらった。(真名を許してもらった主な理由としては一刀以上に三国志の武将達の名前を普通に言うのに抵抗があったため)
そうこうしているうちに夜になる。
「今日はとりあえずここで泊まっていけよ。部屋はいっぱいあるしさ」
「どうする? 智ちゃん」
「とりあえず泊めさせてもらうか」
「それじゃあ、部屋に案内するね」
桃香が智樹達を部屋に案内する。
「………」
「どうしたのだ? お兄ちゃん」
「え? ちょっと外の様子見に…」
一刀は外へと出ていく。
一刀が城壁へと出ていく。
「よう、愛紗」
「ご主人様」
一刀よりも先に愛紗が座っていた。
「隣いいか?」
「はい……」
一刀が愛紗の隣に座る。
「愛紗、元気ないぞ。矢刀が来てからだな」
「………」
愛紗はうつむいてしまう。
「そんなにあいつが嫌いか? それとも俺との間の子供が桃香に先乗りされたことに腹を立ててるのか?」
「……そんなこと!」
「図星だろ? 最近の愛紗の態度見てれば分かるよ」
「…………」
愛紗は思わず顔を赤くする。
「ご主人様は…」
「うん?」
「ご主人様はどう思われたんですか?」
「どう思われたって?」
「矢刀のことです」
「矢刀か…。正直俺も驚いた。だってさ、孫は愚かまだ子供すらいないんだぜ。
それなのに未来からっても孫が来たんだぜ。そりゃあ、驚くさ。
でも………」
「?」
「前にも言ったけど、俺達が戦ってきたことが未来に繋がってあいつや他の孫が生まれるんだ。
たまたま桃香との間の子供とか孫が最初に出来ただけさ。もしかしたらこの後の行動で矢刀が後になるかもしれないんだぜ」
「そうでしょうか……」
「特異点みたいだから生まれることはほぼ確定的みたいだけど、生まれる順番に関しては何にも言ってないぜ。
だからさ……」
一刀が愛紗に近づき、体を抱き寄せようとする。
「ご主人様……デンオウベルトの青いボタンを押しましたね?」
「ばれた?」
一刀の側にはデンオウベルトが置いてあった。
「けどさ……、未来はどうなるか分からない。それがよく言われることさ。
矢刀だって今日会った智樹達のこと何にも言ってないんだぜ。つまりは会った事はないってことだろ?」
「そうかもしれませんが、ただ単に言ってないだけかもしれませぬ…」
「どうだろうな? とりあえず俺はもう寝ようかな」
一刀はその場から去ろうとする。
「あ、そうだ、言い忘れてた」
「なんですか?」
「俺は嫉妬深いのはどうかとは思うけど、愛紗のこと嫌いにならないぞ」
「!!」
愛紗は顔を赤くする。一刀はそんなことを言い残して去って行った。
「ご主人様のバカ……」
場所は変わり、智樹達のいた世界。
その世界でも夜になり、バリアのことは未だに解析中であった。
「ふぁ〜あ、さすがに夜となると眠くなるな。あんた達眠くないの?」
矢刀がニンフ達に声をかける。
「私達エンジェロイドは眠らないのよ」
「眠らない? 眠れないの間違いじゃないのか?」
「違うのよ。エンジェロイドは眠らないように作られてるのよ」
「…やっぱり眠れないんじゃないか」
「うるさいわね」
矢刀の言葉に少し怒るニンフ。
「まあまあニンフ先輩…」
「とりあえず、俺、どこで寝ればいいの?」
「お兄ちゃんの家……は少し遠いかな?」
「お兄ちゃん?」
「お前と入れ替わりに行っちまった桜井智樹って奴のことさ。
こいつらのマスター候補」
「マスター? ああ、主のことか。……なんで候補なんだ?」
「智樹がマスターになるの嫌だって言うんだもん。私達のマスターになってやるって言ったくせに……」
「ほんとよ」
智樹の言葉を聞いて思い出し怒りをするニンフとアストレア。
「色々あるみたいだけど、詮索すべき?」
「お前の判断に任せる」
「ところで俺、どこで寝ればいい?」
「ほいほい」
秋山が布団を召喚する。
「外で寝ろと?」
「嫌か?」
「野宿は慣れてるさ」
矢刀は出された布団をひいて、布団に入る。
「ちょっと、お風呂入らないの?」
「風呂、入れるの?」
「簡単に入れますよ。シャワーもありますし」
「シャワー?」
「知らないの?」
「知らねえよ」
矢刀はそんなこんなで銭湯に行き、その後バリアの前で野宿した。
矢刀や一刀が眠りについたころ、ランダのいる塔ではランダはメーターのようなものに液体がたまるのを眺めていたが……。
「おのれ……溜まりが悪くなったな」
一つめのメーターが満杯になり、二つめのメーターに切り替わった時から液体のたまりが著しくよくなく、すでに12時間以上は経っているのにもかかわらずメーターは半分にも満たしてなかった。
「どうすればいいだろうか……」
ランダは考える。そこであることを思い出す。
「そうだ、私を邪魔しようとした奴らの中に欲望が大きそうな奴がいるかもしれん」
ランダが水晶玉にあるものを映し出す。それに映し出されたのはランダが最初に会った矢刀に一刀であった。
「…むっ! こいつらは!?」
ランダが水晶玉に映し出された二人を見て目の色を変える。
「こいつらは…なかなかのものだ。特にこの男……、使えるな。まずはこの男をけしかけてみるとしよう。
ベラガンダ!」
ベラガンダと呼ばれた怪人、それは一刀やイカロスが戦った怪人であった。
「朝になったらこの男を襲え。いいな」
「ひょおおおおおおお!!」
そして二つの世界は朝を迎えた。
「ふぁ〜あ、……で、何かわかった?」
起きて早々に矢刀が調べてるニンフに声をかけた。
「分かったわよ。あの部分が一番脆いみたいよ」
ニンフが自分達の居る位置から上空へ15メートル、右へ5メートル部分が一番脆い部分だと説明した。
「ずいぶん変わったところだな」
「あんたが起きる前に私やデルタにカオス、それに日和と協力したんだけど、ダメだったの。
だからあんたの力、貸してくれない?」
「別にいいぜ。元々壊す気だったし」
矢刀はNEWデンオウベルトをだし、腰につける。
「なにそれ?」
「デンオウベルト」
「ディケイドって奴とは別なのね」
「ライダーはそれぞれ変身方法が違うんだ。変身」
「ストライクフォーム」
矢刀は仮面ライダーNEW電王ストライクフォームに変身する。
「さてと…」
NEW電王は背中についているマチェーテディを手に取り、握る
「随分でかい剣ね」
「慣れてるからいいんだよ。はっ!」
NEW電王がニンフの教えたバリアの脆いところまで飛び上がり、マチェーテディをぶつけるもバリアに弾かれてしまう。
「うわっ!」
「矢刀さん!」
「大丈夫だ。脆いっても思ったより固いな」
NEW電王はライダーパスを持つ。
「フルチャージ」
NEWデンオウベルトにかざし、一気にフルチャージで決めようとする。
「たあああああああああ!!」
NEW電王は再び飛び上がり、バリアの脆い部分にマチェーテディを当てる。
先ほどよりも火花が散るものの、バリアは破壊しきれず、NEW電王は再び地面へと叩きつけられるように落ちる。
「どあっ! くそ……」
「大丈夫?」
「大丈夫だ。………まだやるとしても手を変えてみるか………」
NEW電王が何か使えるものはないかと辺りを見回してみる。
「……!」
NEW電王はあるものに目を付けた。
「なあ、それ貸してくれない?」
「え?」
NEW電王はアストレアの持つ剣『chrysaor(クリュサオル)』に目を付けた。
「これ? 重いわよ」
「重い? ほらよ」
NEW電王はマチェーテディをアストレアに投げ渡す。
「え、あっと…」
アストレアは投げられたマチェーテディを受け取ろうとする。
「……重っ!?」
アストレアは思わず、マチェーテディを落としかける。
「これ……重い!?」
「それ見た目より重いから…」
NEW電王はそう言いながらアストレアに近づき、アストレアが思わず落としたchrysaorを拾う。
「…おっ、重いな。けど思ったよりは重くないなっと」
NEW電王は簡単にchrysaorを持ち上げた。
「すごい…」
「で、それでどうするの?」
「いや、なんとなく武器持ち替えた方がなんか力的にいいかなって…」
「なにそれ。計画性ないわね」
「いいだろ。それでこれどうすればいい?」
「はぁ〜」
思わずため息をつくニンフとアストレア。
矢刀がNEW電王に変身したころ、一刀達は智樹達と一時商店街の方に行っていた。
「さてどうするべきか…」
そんなことをぼやいている時であった。
突如と森の中で出現した戦闘員達が複数現れる。
その戦闘員達の名前は『デガビル』。
頭はイカ、体は至って普通な鎧で構成されていた。
「なんですか、あれ!?」
驚くそはら。
「昨日話しただろ。ランダって奴の戦闘員だ。あれは」
一刀はデンオウベルトを持ち、腰につけ、赤いボタンを押す。
「さあって、久々に、俺、参上!!」
一刀が決めポーズを取る。
「な、なんだ? 急に…」
「性格が変わりましたね」
「電王の力…」
「え?」
「ご主人様はあのベルトの色のついているボタンを押すと性格が変わるのだ。
赤なら今のように気性の荒い性格、青なら知的な気障な性格、黄色なら関西弁を話す人情的な性格、紫ならかなり子供っぽい性格に…」
「変わってるんですね」
「正直、我らもそう思っている」
一刀はライダーパスを通す。
「変身」
「ソードフォーム」
一刀は仮面ライダー電王ソードフォームに変身する。
「さあて、もう一度……俺、参上!!」
電王は再び決めポーズを取る。
「…………」
「これ笑うとこ?」
「いや」
「言っておくが俺は最初っから最後までクライマックスだ。泣き言は聞かねえぜ! 行くぜ! 行くぜ! 行くぜ!」
電王はデンガッシャーをソードモードにし、デガビル達に向かって突撃していく!
「ふん! うりゃあ! どりゃぁあ!」
電王一人でかなりのデガビル達を倒していくがデガビル達は倒しても倒してもどこからか湧いてくるように増えてくる。
「ちっ、今度はこっちだ」
電王はデンオウベルトの青いボタンを押す。
「ロッドフォーム」
電王はライダーパスを通し、ソードフォームからロッドフォームにチェンジする。
「さてと、お前達僕に釣られてみる?」
電王はデンガッシャーをロッドモードに変え、デガビル達を倒していく。
「う〜ん、このフォームでもいいけど少し力で押してみるのも悪くないかもね」
電王は次に黄色いボタンを押し、ライダーパスを通す。
「アックスフォーム」
電王はロッドフォームからアックスフォームにフォームチェンジする。
「俺の強さは泣けるで!」
電王はデンガッシャーをアックスモードにする。
「よっしゃ!」
電王はデンガッシャーだけでなく、自身の力を振るい、デガビル達を投げ飛ばす!
「どやっ!」
しかしデガビル達は一向に増え続ける。
「まだかいな」
電王は今度は紫色のボタンを押し、ライダーパスを通す。
「ガンフォーム」
電王はアックスフォームからガンフォームにフォームチェンジした。
「♪〜〜〜〜♪〜〜〜」
電王は突然踊りだす。
「なんで急に踊りだすの?」
「そう言う性格なもので…」
「お前達、倒すけどいいよね? 答えは聞いてない!」
電王はデンガッシャーをガンモードにすると同時にオーラエネルギー弾を発射させる。
「よっと」
電王がデガビル達を倒していくと、ベラガンダが大量のデガビル達を連れて姿を現す。
「あいつ倒さないとダメだよね? やっぱり…」
電王がベラガンダを撃つが、ベラガンダを庇うようにデガビル達が盾になる。
「ちぇ、ダメか」
「ぐぉおおおおお!!」
ベラガンダは電王に向かって突撃していく。
「うわっと。これでいった方がいいな」
「ソードフォーム」
電王は再びソードフォームになる。
「俺、三度参上……いて!」
電王は思いっきりベラガンダに吹っ飛ばされる。
「きちんと聞きやがれよ!」
電王はベラガンダに向かって突撃していこうとするが、デガビル達に阻まれてしまう。
「くそ! こいつらどうにかしねえと……」
このままでは商店街に出る被害が酷くなる。
電王は何とか商店街から離れて戦おうと思っているが、なかなか敵が離れてくれない。
そんな時であった。
「Artemis」
突然電王の後ろからArtemisのミサイルが飛んでくる。
「!」
電王が後ろを向くとそこにはウラヌス・クイーンモードのイカロスがいた。
「イカロス!」
するとイカロスの攻撃を見たのか商店街の人々がこぞってデガビル達と戦い始める。
「商店街の皆!」
智樹達がその場に駆けつける。
「イカロスちゃんだけに良い格好はさせないぜ!」
「それにこの世界の人達が頑張ってるんだ。世話になりっぱなしになるわけにはいかんたい!」
実は一刀の見てないところで蜀の将達である、愛紗達がデガビル達と戦っていたのだ。
「まったく、俺に内緒にしてるつもりか、愛紗達は…」
一刀はそれに気づいていた。
ベラガンダは形勢が自分に不利だと判断したのか、商店街を走り去ろうとする。
「待ちやがれ!」
電王はやって来たマシンデンバードに乗り込む。
「そうだ、お前も一緒に追うか?」
電王はイカロスに声をかける。
「マスター」
イカロスは智樹に相談する。
「イカロス、追いかけてこい!」
「はい」
イカロスは羽を大きく広げる。
「そうこなくちゃな!」
電王はマシンデンバードを走らせ、イカロスも羽を使い、二人は並ぶようにして商店街を駆ける!
そしてベラガンダは逃げきれないとし、商店街の外へと出ていく。
「……」
「とりゃあ!」
「!」
振り切ったと思い立ち止まったベラガンダに電王とイカロスの飛び蹴りが炸裂する!
「……!!!」
ベラガンダは思いっきり、吹き飛ばされた。
「それじゃあ終いだ」
電王はライダーパスを通す。
「フルチャージ」
デンガッシャーにオーラエネルギーがたまっていく。
「必殺…、俺の必殺技……」
「Artemis」
「+イカロスバージョン!」
Artemisのミサイルとデンガッシャーの先端が吹っ飛ばされるベラガンダの元に飛んでいき、二人の攻撃はベラガンダに直撃し、ベラガンダは爆発する。
「こいつで決まりだな」
「生体反応、完全に消滅しました」
電王はデンオウベルトを外し、元の一刀に戻る。
「とりあえずは愛紗達だけでなくて商店街の人達にもお礼を言わないとな」
「はい」
一刀はマシンデンバードに乗る。
「ノーヘルメットは犯罪ですよ」
イカロスの言葉に一刀はこう返した。
「この世界に道路交通法はねえよ」
二人は商店街の方へと戻っていき、商店街の人達から歓迎を受けた。
「イカロスちゃん、やったわね!」
「あんたもなかなかだったぜ」
「ほんと、智坊とは大違い!」
「うるせえ! 俺は普通なんだよ!」
商店街の人のちょっとした言葉に反応する智樹。
「まあまあ智ちゃん、そう言わないの」
「そうだぞ。そう気に病む必要はないぜ」
「別に落ち込んでないけど…」
「…そうかい。しかし愛紗達もよく頑張ったな」
「いえ、我ら将として当然のことをしたまでです」
「そう言うなっての…」
そんな時であった。
「北郷一刀、桜井智樹」
「「うん?」」
一刀とも智樹を呼ぶ声がし、全員がその方を見てみる。
するとそこには先ほど倒したベラガンダの胴体があった。
「こいつはさっきの…」
「しかし今の声は先ほどの怪人のものではありません」
「ああ、この声は……ランダって奴のだ」
「その通りだ、北郷一刀」
「お前、俺達に何の用だ?」
「簡単な話だ。貴様ら元の世界に帰りたくないか?」
「何?」
ランダは元の世界に戻そうと言ってきたのだ。
「ただし、帰れるのはお前達の世界につき、一人だけだ」
「俺達の世界につき……」
「一人だけ……」
「まあ俺は元々一人だから事実上、俺は確実に帰れるとして問題は……」
一刀は智樹やイカロスにそはら、そして商店街の人達の方を見る。
「もし俺が帰ったとして、イカロスにそはら、それに…商店街の皆はどうなるんだ?」
「消滅してもらう」
「何!? そんな話乗れるかよ!」
「だったらお前は一生この世界に残るがいいか?」
「くっ……」
智樹は考える。元の世界にはニンフ達残された者達がいる。
しかしこの世界にはイカロスにそはらもいる。
「……仕方ねえ」
一刀も思わずため息をつくように息を吐く。
「俺の分なしにしてもらっていいか?」
「え?」
「その代わりにこいつら帰してやれ」
「ダメだ。お前一人でこいつらは釣りに合わん」
「だったら、こいつにとって大事な家族みたいなこいつらも帰してやれ」
「家族……まあその程度ならいいだろう」
「けどあんたは…」
「俺は元々帰る気はない」
「なんで?」
「大事な人たちがいっぱいできたんだ。そんな人達を置いて帰るなんて俺にはできない。
俺の家族には悪いことしてるけどな……」
一刀は少し微笑みながら愛紗ややって来た桃香達の方を向く。
「それでも新しい家族の絆が出来たんだ」
「家族……」
「ああ、お前もそう言う口だろ?」
一刀がイカロスの方を見て尋ねた。
「そうかもしれませんね」
「いいだろう。では、そこの桜井智樹と家族のような者達を帰してやろうではないか」
ランダがそう言うと商店街が揺れる。
「うおっ!」
「これは………」
「転送か」
ランダの居る塔では、ランダの目の前にあるメーターが溜まっていく。
「よしよし、どんどん溜まっていくぞ。
これで世界が終わる。ふふふふ、ははははははは!!」
ランダは笑う。
ランダのいる世界の外でも揺れていた。
「うおっ!」
「ニンフ先輩、これって……」
「相当やばいわね」
「じゃあさっさとあれ、壊さねえとな…」
「でも武器変えたところで何にも変化なかったよ」
「それなんだけどさ……、こうすればいいんだよ。それちょっと返して」
「え? うん」
アストレアはマチェーテディをNEW電王に返す。
「よし」
「フルチャージ」
NEW電王はライダーパスを通し、マチェーテディにオーラエネルギーが溜まる。
「ほい」
NEW電王はエネルギーが溜まったマチェーテディをアストレアに投げ渡す。
「うわっとと…」
「フルチャージ」
NEW電王は再びライダーパスを通し、手に持っていたアストレアのchrysaorにオーラエネルギーを溜める。
するとchrysaorはアストレアが使っているようなでかい刀身になる。
「まさかデルタ以外でchrysaorを変えれるなんて……」
「ま、これでいいだろ。よっと!」
NEW電王がジャンプする。
「速く来い!」
「あ、はい!」
アストレアがNEW電王の元まで飛んでいく。
「行くぜ!」
「はい!」
「「でゃああああああああ(どっせいいいいいいいいい)!!」」
二人はバリアの脆い部分に同時に攻撃を仕掛ける!
するとバリアは完全に砕けた。
しかし……。
「ふん、バリアを破ったところでもう遅い」
メーターの液体は満杯になる。
「これで世界がおわ……」
ランダがそう言いかけた時であった。
メーターの液体がメーターを振り切って漏れ出す。
「なんだと!?」
それだけでなく、羅針盤のようなものすべてが激しく回転を始め、次第に火煙が出始める。
「まさか…これは……欲望が要領を超えているのか? しかしなぜ……」
ランダは疑問に思った。ランダはすぐに一刀や智樹達のいる世界の方に意識を向ける。
ベラガンダの胴体の方から見てみると、智樹達はその場にいた。
「これは一体、どういうことだ!? なぜ貴様ら、消滅しない!?」
ランダは非常に驚いた。
帰すとした智樹達もだが、商店街の人達まで残っていた。
「やっぱりそれが目的ってところか……。
けどな、残念だったな」
「俺達が言った家族ってのは『商店街の皆』も入ってるんだ!」
智樹が自信を持って言った。
「バカな! そんなことがまかり……」
「通る!」
一刀がランダの言葉を塞ぐように声を出す。
「俺達の願いを聞くんじゃないのか? お前の目的は欲望を叶えることじゃないのか?
そして俺はこう思うんだ。お前のような奴が約束守るってちっとも思ってないからな!」
「おのれ〜〜〜〜〜」
ベラガンダの体は力尽きるように消滅した。
「ところでさ、うまくいくと思った?」
「いや、思わなかった。それにいかなかったらあいつをぶっ飛ばすだけだ」
一刀は微笑む。
「よく笑っていられるな〜」
そんな時、商店街が揺れ動く。
「どうやら戻るみたいだな」
「じゃあ私達、早くここから出ないと…」
「ああ!」
桃香達は急いで商店街から去っていく。
「あ、そうだ。お前達!」
桃香達が走る中、一刀は一時立ち止まる。
「もしかしたら、何かの偶然でまた会えるかもな」
「「「………ああ(はい)」」」
「それじゃあな」
一刀も再び走り出し、商店街を去っていく。
それと同じころランダのいた森とその近くの土地がひっくり返ろうとしていた。
「お、あいつ戻るつもりだな」
「さっさと戻った方がいいぞ。お前、自分の世界に帰れなくなるぞ」
「そうだな」
NEW電王の変身を解いた矢刀はひっくり返ろうとする土地に入り込む。
「あ、ちょっと! 私のchrysaor返しなさいよ!」
「あ、悪い悪い。ほらよ」
矢刀はchrysaorをアストレアに投げ返す。
「それじゃあな。コーラ、うまかったぜ」
矢刀がそんなお礼を言うと土地が完全にひっくり返り、森が商店街へと戻る。
そこには智樹達、飛ばされた人達が戻って来る。
「トモキーーーーーー!!」
智樹のところにニンフが一番最初に駆け出す!
「トモキ! トモキ! トモキ!」
ニンフは涙目で智樹に抱きつき、智樹の名前を叫ぶ。
「智樹……」
「お兄ちゃん」
「桜井君、イカロスさん、見月さんも無事で…」
「はい」
「皆、心配かけちゃったね」
「もう、本当に心配したんですよ。矢刀って奴にコーラはおごらされるわ、chrysaorを盗まれそうになるわの連続で……」
「でも楽しいお兄ちゃんだったよね」
「そうですね、思ったよりも軽い人でした」
「ただ、そいつ変身したのよね〜」
「変身?」
「仮面ライダーNEW電王とか……」
「ねえその人って、北郷矢刀って名乗らなかった?」
「そはら、知ってるの?」
「そいつのじいさんと会ってたからな、俺達」
「は? おじいさん?」
智樹達は互いの情報を交換した。
「そう言うことね」
「………」
どこか上の空のイカロス。
「どうしたんだ? イカロス」
「あの人達…大丈夫かなと思いまして………」
「心配か?」
「はい」
「でも元々はあいつらの世界のことよ。私達には関係ないわ」
「でも……」
「心配なら俺が連れてってやろうか?」
秋山が声をかける。
「秋山さん」
ランダのいた土地が一刀の世界に戻って来る。
「矢刀」
「よう、じいちゃん」
「バリアが壊れてるようだけど…」
「ああ、俺の剣と世界越えた先のなんか羽生えてる、なんか少しバカっぽい金髪の女の人の剣借りて壊した」
「羽生えてるバカっぽい金髪?」
「まあ何にせよ、お前が戻ってこれて何よりだ。それに倒すべき奴も戻って来たんだ」
「それじゃあいよいよ……」
「ああ、突撃だが、愛紗達は待機しといてくれ。また戦闘員達が出てくる可能性もあるからな」
「分かりました」
「ご主人様、気を付けて」
「ああ………あ、しまった」
「どうしたの?」
「マシンデンバードって一つしかないよな」
「だったらじいちゃん乗ってよ。俺は走っていくからさ」
「悪いな、矢刀」
一刀はデンオウベルトの赤いボタンを押す。
「変身」
「ソードフォーム」
一刀は仮面ライダー電王ソードフォームに変身する。
「俺、やっぱり参上!」
電王はいつもの決めポーズを取る。
「よっこらしょっと」
電王はマシンデンバードに乗る。
「行くぜ! 行くぜ! 行くぜ!」
電王はマシンデンバードを走らせ、ランダの居る塔へ突撃、ランダのいる部屋へと入っていく。
「よう、大将。昨日ぶりだな」
「おのれ、貴様…よくもあんなことを………」
「手前がどう見ても約束守る奴には見えなかったからな。めちゃくちゃなこと言ってみたら、案外うまくいったな」
「こうなれば見せてやろう。私の本当の力を……!!」
ランダの元に欲望の液体が体につき、それが新しい体を形成するかのように形を作る。
「ふぁあああああああああ!!!」
ランダの体は頭がトリケラ、腕が熊、胴体がアルマジロ、足がカラスのものとなってた。
そして翼もカラスのものが生えていた。
「なんだありゃ? また合成動物の紛いもんか?」
「きしゃあああああああ!!」
変化したランダは突然電王を足でつかみかかる。
「て、こら! 放しやがれ!」
ランダは電王を掴んだまま、塔の外へと放り出される。
「だあああああああああああ!!」
電王はランダによって振り落とされる。
「ぐえっ!」
電王は思いっきり地面に落ちる。
「いててて……」
「きしゃああああ!!」
ランダは電王の前に立つ。
「俺の前に立ってくれるんならありがたいぜ」
電王はデンガッシャーをソードモードにする。
「行くぜ! 行くぜ! 行くぜ! どりゃあ!」
電王のデンガッシャーがランダを当てようとするが、ランダは背中の甲羅のように固い皮膚で防ぐ。
「げっ!」
「ぐりゃあ!」
ランダの腕が電王の体に直撃する!
「ぐえっ! でりゃあ!」
電王は攻撃を受けながらも何とかキックを当てようとする。
電王のキックはランダのトリケラの角に刺さりそうになるが、その角を破壊する。
「ぎえええええええ!!」
「でりゃあ!」
電王は空いていたもう片方の足で、ランダの顔を蹴り、後ろに下がった。
「いててて……」
電王は殴られた腹部を抑える。
「じいちゃん!」
そこに矢刀がやって来る。
「変身」
「ストライクフォーム」
矢刀は仮面ライダーNEW電王に変身する。
「少し遅くねえか?」
「バイクなしだよ、仕方ないでしょ」
「そうだな」
電王は改めてデンガッシャーを構え、NEW電王もマチェーテディを持つ。
「よっしゃ! 本当の正念場、見せてやるぜ!」
そんな時であった。突然ランダの電王とNEW電王、ランダの間に何かが落ちてきた。
落ちてきたものの衝撃で電王達は吹き飛ばされる。
「どわっ! な、なんだ!?」
落ちてきたものは隕石のように少し燃えていたが、すぐに火が消えた。
するとそこにいたのは見たことない電王の一刀が仮面ライダーであった。
「いててて……まだフォーゼの力は完璧じゃないな」
フォーゼと言った謎の仮面ライダーは立ち上がる。
するとフォーゼの姿は別の仮面ライダーのものとなった。
その仮面ライダーとは仮面ライダーディケイドであった。
「あああ!! お前は、ディケイドの俺!?」
「よう、蜀の俺に、その孫」
このディケイドも別の世界にいる一刀であった。
「なんでお前ここに?」
「こいつの復活聞いて急いできたんだ。まあそのついでにこの間出来たばかりのライダーカードを使ったんだが、まだ未完成品でご覧の有様」
ディケイドが両手を横に広げて傾げた。
「しかし……なんでまたオーズ的な敵なんだ?」
「オーズ?」
蜀の一刀はオーズと言われて何のことか分からない。
「お前、知らないのか?」
「ディケイドまでしか知らん」
「じゃあWも知らないんだな。っても今日はWまで見せる時間はなさそうだから、一気にオーズで行くか」
ディケイドはディケイドライバーを展開させ、オーズのライダーカードを手に持つ。
「変身」
「カメンライド、オーーーーズ! タ、ト、バ! タトバ、タ、ト、バ!!」
ディケイドはディケイドオーズタトバコンボとなる。
「なにそれ? タトバ?」
「鷹と虎とバッタだからタトバだ。なんでこれがコンボって言う正式フォームか俺も知らん」
ディケイドオーズはそう言いながら、ライドブッカーを持つ。
「とにかくは行くぞ」
「「「ああ!!」」」
電王、NEW電王、ディケイドはランダの方に突撃していく。
「でりゃあ!」
「たあっ!」
「うりゃあ!」
ランダがいかに強くても相手はそれよりも強いかもしれない仮面ライダー。しかも三人もいるためランダは形勢不利として、空を飛び始める。
「あ! てめえ! 降りてこいや!」
「大丈夫だ」
ディケイドオーズは一枚のカードを持つ。
「フォームライド、オーーーーズ! サゴーーーゾ! サゴーゾ! サゴーーーゾ!!」
ディケイドオーズはタトバコンボからサゴーゾコンボへとフォームチェンジした。
「こいつはサイとゴリラとゾウだ。うおおおおおおお!!」
ディケイドオーズサゴーゾがドラミングをするとそこから放たれる重力波が空中にいるランダを襲い、ランダは空から地面へと急降下し、地面へと落ちた!
「すげえ」
「こいつはちょっとした重力操りが出来るんでな。
そんでもって新作カードだ!」
「フォームライド、オーーーーズ! ブラカワニ! ブラカーーーーワニ!」
ディケイドオーズはブラカワニコンボの姿となった。
「せいやあっ!」
ディケイドオーズはワニレッグでランダを噛みつくように攻撃する。
「くしゃああああああ!!」
ランダはディケイドオーズに向かってパンチを放つがディケイドオーズはカメアームによる甲羅で防御する。
「でりゃあ!」
ディケイドオーズは再びワニレッグでランダを攻撃。ランダは倒れ転がる。
「今のうちにやっちまいな!」
「ああ」
「「フルチャージ」」
二人の電王はライダーパスを通し、オーラエネルギーを溜める。
「「でりゃああああああ(たああああああ)!!!!!」」
電王とNEW電王は自分達の剣をバットを振るかのように横に振り、ランダを塔の方へと弾き飛ばした!
「ぐおおおおおおおお!!」
ランダの突っ込んだ塔は爆発を起こす。
「いっちょあがりっと……」
「いや、まだのようだぜ」
「あ?」
塔は爆発を起こす。そして塔が完全に爆発して無くなるとその塔から先ほどよりもさらに巨大な姿となったランダが現れた。
「嘘だろ! イマジンじゃねえのによ!」
「だが巨大化は負けフラグだ。一気に決めてやろうぜ」
「ぐりゃあああああああ!!!」
巨大ランダが手を振るとそこには突風が発生する。
「ぬおっ! だああああ!!」
「うわあああ!!」
「ぬううあああああ!!」
三人は遥か後方、森から荒野へと飛ばされる。
「ぬう…」
三人は後方の地面に転がる。
「くそ、なんて奴だ」
ディケイドオーズは元のディケイドの姿に戻る。
「きしゃあああああああ!!!」
巨大ランダに突然尻尾が生えてくる。
「ぐぉおおおおおお!!」
巨大ランダは尻尾を振り、三人をぶつけ飛ばす!
「どおっと!」
三人は攻撃を受けながらも何とか受け身を取る。
「巨大化は負けフラグだが、さすがにこの人数はきついってところか?」
「何人か欲しいけど……」
「今から別の世界の俺を連れてくるのはちょっと無理だな」
「ぐれえええええええ!!」
巨大ランダが口を大きく開き、口から炎の弾を吐き出そうとする。
その時であった!
突如、三人の後方から何かが飛んでき、巨大ランダの口に入り、炎の弾とぶつかり、巨大ランダの口は小規模な爆発を起こす!
「な、なんだ?」
「後ろから何かが……」
「あれは……見たことあるぞ」
「奇遇だな、俺もだ」
「え? じいちゃん達、見たことあるの?」
「俺はかなり久しぶりだ」
「俺は数十分前に見たばかりだ」
三人が後ろを向くとそこにいたのは空を飛んでいるイカロス、ニンフ、アストレア、カオスがいた。
「お前、帰ったんじゃないのか?」
「はい、一度は帰りました」
「俺が連れてきたんだ」
そこに秋山がやって来る。
「お前誰?」
「秋山」
「そっちのじいちゃんは知り合いみたいだね」
「ああ、けどお前が連れてきたってどういうことだ?」
「こいつらがお前達が心配だって言うから連れてきた」
秋山がイカロス達を見て言う。
「まあさすがに智樹達はまずいと思ってイカロス達しか連れてきてないけどな」
「大丈夫ですか? 一刀さん」
「どっちのこと言ってんだ?」
今は北郷一刀が二人いる。
「どちらもです」
「本当に二人以上いるわね。変身してても生体反応は変わってないわね」
「そりゃそうだ。どっちも俺だからな」
「けど、変身してるおかげでどっちがどっちか分かりやすくて助かるよ〜」
「アストレアお姉様、バカだもんね」
「ひどい!」
末っ子のカオスにバカ呼ばわりされるアストレア。
「まあ手伝ってくれるんなら、助かるぜ」
イカロス達は地面へと降りる。
「それじゃあ、全員集合ってことでいくぜ!」
電王はケータロスを取り出し、デンオウベルトにつけ、ライダーパスを通す。
「クライマックスな変身!」
「超クライマックスフォーム」
電王の体にロッド、アックス、ガンフォームの時の仮面が付き、背中にはウイングフォームの仮面のような羽が付き、面の仮面は裂ける。
電王はソードフォームから超クライマックスフォームへと変身する。
「俺、クライマックスに参上!!」
いつもの決めポーズを取る電王。
「ダサ……」
ニンフに色々ダメだしされる。
「うるせぇ!」
「その背中、私達の真似ですか? ぷすす〜」
「んなわけねえだろ!」
アストレアにも笑われる始末。
「でも私の羽みたい」
カオスが自分の羽と電王の背中の羽を見比べる。
「言われてみれば……」
電王は思わずカオスの羽を触り、カオスも電王の羽を触ってみる。
「じいちゃん、朱里さんや雛里さんに月(ゆえ)さんがいるからってそんな子にも手を出す気?」
「出さねえよ!」
「お前さん方、そろそろ相手が待ちくたびれるんじゃないのか?」
秋山がようやく体勢を立て直そうとする巨大ランダを指す。
「おっと、やっこさん待たせちまったようだな」
「ああ」
左から仮面ライダーNEW電王ストライクフォーム、アストレア、イカロス、仮面ライダー電王超クライマックスフォーム、ニンフ、カオス、仮面ライダーディケイドが横に並ぶ。
「よっしゃ! てめえら一気に行くぜ!」
『はい(応っ)!』
「じゃあお前にこいつを渡してやる」
秋山がディケイドの三枚のカードを渡す。
「だいぶ前にお前に一枚やったよな」
「ああ、これか」
ディケイドが一枚のカードをライドブッカーから取り出す。
「こいつだな」
「ああ、そいつだ」
「なにそれ?」
「ファイナルアタックライドだ」
「ファイナルアタック………?」
「超必殺技の発動カードだ。お前達はパスでいいだろ?」
「「ああ」」
電王とNEW電王はライダーパスを取り出す。
「それじゃあ、いくぜ!」
「ぐろぉおおお!!」
「「フルチャージ」」
電王とNEW電王はライダーパスをベルトに通し、オーラエネルギーを作り出す。
「それじゃあお前達、行くぞ」
ディケイドはイカロス達に言いながら、ディケイドライバーを展開させ、ファイナルアタックライドカードを一気に五枚挿入する。
「ファイナルアタックライド……」
ディケイドはディケイドライバーを正位置に戻す。
「イ、イ、イ、イカロス!! ニ、ニ、ニ、ニンフ!! ア、ア、ア、アストレア!! カ、カ、カ、カオス!! ディ、ディ、ディ、ディケイド!!!」
「……」
「え? え?」
「体が勝手に…」
「ねえ? なんで?」
イカロス達の体はイカロス達の意思とは無関係に宙を浮き始める。
「ファイナルアタックライドの強制力だ」
ディケイドの前には金色のカードの壁が何枚も現れる。
「キックか?」
「だったら……」
電王とNEW電王のオーラエネルギーが足に溜まっていく。
「それじゃあ、全員でジャンプだ!」
「ああ!」
電王のウイングの翼が大きく広げられ、電王は空を高く飛ぶ!
NEW電王もその後を追うようにジャンプし、イカロス達も羽を使って電王の側へと飛んでいく!
ディケイドもその後を追うと、金色のカードの壁もディケイドを追いかけるように上へと行く。
「ところであいつ、誰が止めるんだ?」
電王がそんな心配をしていると巨大ランダは電王達を追い、飛んでいく!
「ちょうどいいぜ!」
巨大ランダはまた火の弾を発射させようとする。
「悪いがそんなのには負けないぜ!」
電王とディケイドは右足、NEW電王とイカロスは左足、ニンフとアストレアは両足を突きだし、カオスは両足を突きだすと同時に自身の体を回転させる。
『どりゃあああああああ(たあああああああああ)(はああああああ)(どっせえええええええい)!!!!!!!!』
七人のキックは巨大ランダの吐き出された炎の弾を完全に貫通し、そのまま巨大ランダの体を完全に貫通する!
『……』
全員が地面に着地すると、巨大ランダは空中で大爆発を起こす。
「生体反応……完全になくなりました」
「はぁ〜、終わった……」
寝起きのように思いっきり背筋を伸ばす電王。
「それでは私達はこれで……」
「ああ、元気でな」
「お兄ちゃん達も…」
「ああ」
「またコーラくれよな」
「それは無理でしょ」
イカロス達は秋山の力で元の世界へと帰って行った。
「お前も帰れよ」
「ああ、帰るよ。とりあえず、お前達……またな」
秋山も帰って行った。
「またなってまた会う気かよ」
「正直、あいつと会うのは嫌だな」
「あいつと会う=トラブルは確実だもんな。さてと、俺も帰るか」
ディケイドの一刀の前に銀色のオーロラの壁が現れる。
「じゃあな」
ディケイドの一刀も帰って行った。
「で、矢刀。お前はどうやって帰るんだ?」
一刀が後ろを向くと、ランダと共に飛んできた森は荒野へと戻っていた。
「デンライナーがあるでしょ」
「……そうだったな。けど、ちゃんと返せよって……俺が同行しねえとダメじゃねえか!」
「じいちゃん、一人ボケうまくなってない?」
「言うな……」
そして矢刀を未来へと送り返した後、一刀も城へと戻ってきた。
「お帰りなさい、ご主人様」
「ああ、疲れたぜ」
一刀は部屋へと戻ろうとする。
「ご主人様」
桃香が一刀の手を繋ぐ。
「?」
「へへ…」
「あ! ご主人様!」
愛紗がすぐに一刀の手を取る。
「愛紗……」
「あー! 愛紗や桃香お姉ちゃんずるいのだ!」
「む! ずるいぞ愛紗」
そこに鈴々や星に蜀の将達がやって来る。
「ちょ! お前達……」
皆に押し潰される一刀。
「誰か、助けてーーーーーーーーー!!」
そんなことを言いつつも笑顔でいる一刀であった。
映画的キャスト
北郷一刀
北郷矢刀
桜井智樹
イカロス
見月そはら
ニンフ
アストレア
カオス
風音日和
劉備
関羽
張飛
趙雲
諸葛亮
馬超
黄忠
馬岱
鳳統
魏延
厳顔
董卓
賈駆
呂布
陳宮
張遼
ランダ
管輅
秋山総司郎
完
説明 | ||
この話は「仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編」シリーズの続編で「仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編 クロスロード」の続編ともなっています。 今回の作品の元ネタは「劇場版仮面ライダーオーズ 将軍と21のコアメダル」となっていますので、劇場のネタバレが部分的にですがあることをご了承ください。 また他作品ともクロスとなっており、本作だけのオリジナルキャラや作者の分身となるオリジナルキャラ(秋山総司郎)も出てきます。 |
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コメント | ||
龍騎……名前すら出ず……ってブランク体だからいいのかな? とうとうフォーゼが出たか(アーマイル) | ||
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