魔女と魔法少女と3
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■少女■

 

「私の願い事は、"皆を生き返らせて"だって言ってるよ!?」

「うん。それは聞いたよ。でも僕はきちんとこう返しているじゃないか。

 "起こってしまった因果は無くせないし、死んだ人間を生き返らせることはとても難しい。"って」

 

「だって、キュゥべえは"なんでも叶える"って言ったじゃない!」

「まぁ、確かに言ったけど、君は本当にそれを望んでいるのかい?

 願いを叶えれるかどうかは、君の感情に依存しているんだよ?」

 

「……」

「ふぅ。そんなに見つめられても、現状の君の想いの強さでは無理なんだけどな。」

「……」

「しょうがない、もう一度説明するよ?」

 

「まず一つ。願いを叶えるためのエネルギーは、絶望から希望への相転移。

 つまり、どうしようもない現状を覆そう、という君の想いのエネルギーを使用するんだ。

 二つ目。起こってしまった事を無かった事にするのはたくさんのエネルギーが要る。

 対象が多ければ多いほど、範囲が広ければ広いほど、ね。

 三つ目。君は本当にそこに横たわっている人間全てを生き返らせたいのかい?

 もしかして「生き返らない」って心のどこかで思っているんじゃないのかい?

 四つ目。最も決定的なのは、あの子達は全員、…」

「いいから生き返らせてよ! 私はまた皆と遊びたいの!」

 

「はぁ。しょうがないなぁ…。契約者の契約内容を僕が決めるだなんて、普通やっちゃ駄目なんだけどな…。

 まぁ、そうだね。例えばこんな願いならどうかな…?」

 

「――――――」

 

「! うん、それで良い! それが良いよ!」

「…」

 

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■魔法少女■

 

「やったよ! アイちゃんが魔女を倒せたみたいだよ!」

「そのようだね」

「えへへー。今日はシイちゃんも大活躍だったね!」

「まぁ、仲良き事は良い事だけどね。ソウルジェムの穢れは大丈夫かい?」

「えっ あ。うん、ソウルジェムでしょ? うん。うん。

 ほら、大丈夫だよ色も変わってないでしょ?」

 

 

「今日はね、皆に新しい子を紹介するよ。

 ケイちゃんって言うの。よろしくね。」

「…それが君の能力だっだね。別に良いけどね。

 あまり仲間を増やしすぎると、消耗した魔力の回復が大変になるよ?」

「そうそう、だからね、皆で頑張って魔女を倒さなくちゃね!」

「はぁ。…判っていないかもしれないから、一応言っておくけどね、

 キミのソウルジェムは真っ黒だ。この意味を良く考えておくと良い。」

「うん、大丈夫だよ。みんなの力を合わせればできない事なんてない。

 ずっと、ずっと一緒にいようね。」

 

 

「残念だけどね、君は、君たちは強くなりすぎた。

 使用する魔法も、魔法少女としての体を維持するための魔力も、

 尋常ではない規模になっている。」

「あは。ねえキュゥべぇ? 何を言っているの、ねぇ?きゃはは。」

「もう一度言うよ。君のソウルジェムは真っ黒だ。

 そして、君のソウルジェムは既に濁りきっている。

 だから、君はもうすぐ、魔女になる。」

「別に良いじゃない。魔女も、魔法少女も私のお友達よ?うふふっ」

「あぁ、そうだったね。でも事実は事実だし、君がソウルジェムの濁りを取れないなら

 楽しい時間は終わりなんだ。皆とも、これ以上、一緒には居られない。」

「きゃはは。キュゥべえおかしい。私がみんなと離れ離れになる訳ないじゃない。

 私が皆で、皆は私なんだよ? あはは。」

「…やっぱり判ってないね。

 ソウルジェムがグリーフシードに変わったら、キミ達の主観なんて存在しない。

 何も感じない、考えられない。君自身が存在しなくなるのと同じなのさ。」

「うふふ。キュゥべえがさっきから訳わからない事ばっかり言ってるー。」

「困ったね。判りやすいように言ってるつもりなんだけど。

 つまりね、キミ達の一番近い概念で言うなら、"死ぬ"って事だよ。」

 

 

 

 

「死んだら、誰とも会えない。一緒にいれない。

 

 "さようなら"

 

 って事さ。」

 

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■魔女■

 

「お疲れ様、漆黒のソウルジェムを持った魔法少女。」

「実はね、魔法少女を生き返らせてくれ、と言われた時にはどうしようかと思ったんだ。

 僕たちの技術では肉体から分離したソウルジェムを戻す事なんて出来ないし、

 まして、破壊されたソウルジェムを復元して魂を再構築する事も出来ない。」

「これからはもっと細心の注意を払わなくちゃいけないよね。"魔法少女が魔女になる"。

 その現実を知った君たちがこれほどに脆いとは思わなかったし、

 自らソウルジェムを破壊するなんて、これまで無かったから。」

「でも、これで壊れてしまったソウルジェムから回収しそこなった感情エネルギーも回収できたし、君には感謝しているんだ。」

「 ―皆とずっと一緒にいたい― か。

 ソウルジェムの融合による、因果の収束とエネルギーの受け皿としての器の拡大。

 能力としては、ソウルジェム及びグリーフシードを取り込む事でその能力を使用できる事。

 おかげで君自身は無力であるにもかかわらず、君たちは結界が不要なほど強い魔女になった。

 そしてこれから、たくさんの魔法少女を絶望させる事だろう。

 本当に面白い実験だったよ。ありがとう。」

 

 

 

 

 

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■後書き■

 

 

後書き兼、考察とチラシ裏とネタ晴らし。

駄目な人はブラウザバック。

 

割と自己設定が多目です。

真っ黒なソウルジェムは、割れた複数の魔法少女のソウルジェムを融合したから。

故に"濁っているのが判らない"というのをやってみたく。

急に割っても良かったんですが…。うーむ。

QBはソウルジェムの濁りを"感情エネルギー"で見る事が出来る的な設定も。

感情エネルギーを見れないと"エントロピーを凌駕するか"を判らないでしょうし。

名前のネタは「夢の樹が接げたなら(森岡 浩之)」から。男の子も居れば、ジェイ君とか出せたんだけどね。

 

ところで、割れたソウルジェムからは感情エネルギー取得できない感じがするのです。

1週目でマミさんが死んだのって物理攻撃でも直撃したのかな…。

まどかは、SGが濁りきって魔女化した抜け殻をほむらちゃんが見つけた可能性があるけど。

まぁそこら辺も考えつつ、「出来るだけ割らずに濁りきらせる」のがQBさんの仕事で、

失敗しちゃった後始末をどうしようって言うお話が、コレ。

でもやっぱり、QB自身にはソウルジェム自体を融合させるような能力はないので、

実験結果が活用される事は無さそうな…。

説明
魔女の生前と経緯を妄想するシリーズその3
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タグ
魔法少女まどか☆マギカ 魔女 

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