【改訂版】真・恋姫無双 霞√ 俺の智=ウチの矛 一章:話の壱
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「……なんだ、あんた。何処ぞのお嬢様か?」

 

 

 振り返ると、くりっ、とした対の緑の猫目が俺を見つめていた。

 猫目の身に付けた服は、どれも小奇麗に整えられ、しみや解れも見当たらない。文字通りの高級品だ。

 まじまじと見つめる俺の視線に疑問を感じたのか頚をちょこん、と傾げると、

 降ろされた長い薄紫の髪が、風に合わせ柔らかくはためき、ふわり、と甘い香りがした。

 上級階層の下品に飾り立てた香水の異臭でも、下層の汗と金と色欲にまみれた生物臭い悪臭でもない。

 どこか安心させる不思議な香りが、俺の鼻腔をさらと撫でた。

 

 「ん〜、せやね。お嬢よりかお姫様やないかなぁ?」

 「っ、……なら悪い事は言わん。さっさと出てけ」

 

 一瞬、その自称お姫様に見呆けてしまい、

 隙を見せてしまった俺は慌てて無表情を取り繕うと、極力素気なく聞こえるように呟いた。

 しかし、その少女はその言葉を聞くと、不満げに頬をむぅ、と膨らませた。 

 

 「なんやー、アンタもそないなコトいうんか。

  ちぇ、これじゃ老師の言うことと一緒やん……つまらんわー」

 

 しかし、この頭の螺子が足りて無さそうなお姫様は一体何が楽しくてこんなゴミ溜めに足を運んだのだろうか。

 まあ理由何ぞ知らないし、知りたくも無い。どうせ物見遊山な気分で来てみたとかそんな程度だろう。

 

 「つまらないものか。老師の言う事しっかり聞いておくんだな。じゃなきゃ後悔するぞ?」

 「へへん、ウチこう見えても強いんやで! 後悔させられるんならやってみぃ、ってもんや!」 

 

 眉を吊り上げ強気な表情を作ると、へむと鼻息荒く細腕に力こぶを作って見せた。ごめん、何も見えない。 

 

 「はぁ……兎に角だ、お姫様だか何だか知らんがな。

  少なくとも親の威光か何かを頼りにそんな強気なら、此処じゃ全く効かないと思っておいた方がいいぞ。

  ここじゃあな、目に見える力こそが正義なんだぜ?」

 

 だから、ここでの正義は時として金となり、時として腕力や刃物になり、ある時は自分が従わせた人間の数にもなる。

 と、ある意味徹底的に実力主義社会なそこに、こんな如何にもな世間知らずのお嬢……お姫様が入り込めば、

 瞬く間に死体に群がる蝿の如く金と女の匂いを嗅ぎつけた連中の食い物にされてしまうだろう。

 身ぐるみ剥がれ、輪姦されて絞れるだけ絞られたら最後にゃドブの肥やしになって終いだ。

 

 と、俺が諭すように言うと、コイツは面白くなさそうにまた頬をむぅ、と膨らませた。

 

 「ならなおさらウチの出番やし! 言っとくけど、ウチ強いで? 強いんやで! アンタなんか二秒でケチョンケチョンにノしてまえるで?」

 「……なに言ってんだか。ほら、こちとらお姫様のお遊びに付き合ってるほど暇じゃないんだよ。

  さっさとお帰りなさりやがって、

  その大層ご立派な御屋敷でお女中様お侍らせになられてお勉強でも何でも、おなさりやがれたらいかがでしょうかい?」

 

 いくら細身だからって、俺も曲りなりにこんな危険地帯で五年生き抜いてきた身だ。 

 到底こんな世間知らずのバカに負ける気はしない。 

 

 「っ、ムカつくわぁっ! 

  アンタ信じてへんなっ、ええわ、そこまで言うなら勝負や、勝負!」

 「……馬鹿馬鹿しい。何が悲しくて俺がアンタと戦わなきゃいけないんだ。

  それに貧しい俺は怪我でもしたら治療費でさえバカになんないんだよ」

 

 もちろん嘘だけど。けがの治療費位なら幸いある。

 この時代から見れば未来人としては、今の衛生観念に馴染むとか到底無理だから、衣食の後には薬を優先した程だし。

 住処に戻れば一通りの薬剤位はそろってる。

 

 つまり俺は、単純にめんどくさいだけである。

 やれやれ、と頚を振ると、お嬢はさらに突っかかってきた。

 

 「んじゃ治療費もウチが出す!やで勝負しよ」

 「もし重傷を負ったらその間飯食えなくなるんだけど」

 「じゃあ飯代もウチが出すもん!やで勝負し」

 

 ……コイツ、やっぱりバカだぞ。

 勝負に頭イキ過ぎて自分で何口走ってるか分かって無いんじゃねぇのか?

 なんつーか、やっぱりバカだな。大事なことなので二度言いました。

 

 「もしそれが治らなかったら俺働き口無くすんだけど」

 「じゃあウチが雇ったる!やで勝負」

 「もしコレで俺の得物が壊れたらこれから身を守れなくなるんだけど」

 「ならウチが守ったる!やで勝」 

 

 俺が敢て最後まで台詞を言わせないようにしていると、なおさらムキになったのか。

 半分涙目で、今にもうがー!、とでも言いだそうな形相になってきた。

 ……なんだこれ、ちょっと楽しいぞ。

 

 「これで憲兵とかに目つけられたら俺暮らしてけなくなるんだけど」

 「ならウチが融通させるさかい!やで」

 「もしこれで右手が駄目になったら俺性欲処理できなんだけど」

 「ならウチが抜いたる!や「おいこらちょっと待て落ち着け冷静になるだ」

    

 いきなり何口走ってんだこのバカ。いや寧ろ俺何言ってんだバカなの?死ぬの?

 どうせ良いトコ生まれだからって舐めて掛った所為か? 自業自得なのか? 

 この時代だからなのか? 近親相姦バッチコイな時代な所為なのか? 

 15歳、二児の母です(はぁと)とかデフォな世界な所為なのか?

 てか良いトコの娘さんが抜くとか言っていいのか?

 ……てかなんでこんな俺慌ててんだ。

 

 と、猫目は俺が突然止めた所為できょとん、と俺を見つめていた。 

 何故か尻がむずむずする変に居心地の悪い感覚を覚え、こほん、と一つ咳払いすると俺は無理やり言葉を続けた。

 

 「あー、えっと……あの、だな。お前、意味分かって言ってんの?」

 「何が? ああ、抜くってこと? 当たり前や〜ん、こう、シゴいて、ウッ! てさせりゃええんやろ?」

 

 

 無駄にリアルに手をわきわきさせ、卑猥な動作を俺に向けてきた。 

 ……駄目だこのバカ早くなんとかしないと。

 心無しか、頭痛がしてきた。貞操観念、って知ってるか聞いてみようかしら。

 『なにそれ喰えるん?』とか余裕で言いそうだなおい。

 

 本当に世間知らずの男知らずで大馬鹿ものなのか。

 それとも本当に誰かれ構わず文字通りくみ伏せ、言葉を借りるなら“けちょけちょん”にしてしまえるのか。

 

 余りにも無駄な自信あふれる様に、思考が三回転半空中斜め60度ひねりして

 このバカ実は皇帝の一族なんじゃないかとか、余りにも突拍子の無い可能性さえあるように思えてくる。

 

 「って、んなコトはどうでもええねん! やでウチと勝負しようや!」  

 

 やっと台詞最後まで言えたお陰だろうか。

 満足げにぐっ、とガッツポーズして涙流し始めた。

 

 我が生涯に一片の悔い無し! って感じだ。コレなんて世紀末覇者。

 いや、目的すり替わってるだろ、なんて突っ込むような藪蛇な真似はしない。

 コレで満足したなら、俺もよく分からん決闘せずに済んで万々歳、皆幸せハッピーエンドだ。

 

 「やっと言えた……っ!」

 「あー、よかったね。それじゃあ、さよなら」

 「ん、ほななー!」

 

 そして普通にてくてくと歩いて去って行き……。

 

 …………

 

 ……

 

 …

 

 「いやツッコめよ!」

 「どわぁっ!? な、なんやいきなり!」

 「そこは“まだ終わってないやんけ!”とかってノリ突っ込みするトコだろ! 

  なんで美味しい振りをわざわざ見逃し三振なんだよ!」

 「……何言いたいねん、アンタは?」

  

 呆れられてしまった。なんだこの敗北感。

 てか本当に俺何言いたいんだ……? 

 

 「む、何と言われると本当に困るな……。俺何したかったんだ?」

 「さあ? ウチに聞かれても分からへんよ?」

 「だよなぁ……」

 「それじゃ、ウチ、見学で忙しいさかい」

 「ん、あ、ああ。じゃあな」

 

 どうやら本当にさっきの下りを忘れてるらしい。

 ……なんだろう、このすっごいカロリーとか時間とか無駄にした感じ。

 

 そのまま猫目はまた普通にてくてくと去って行き……。

 

 「って、コレちゃうやろ! 勝負忘れるなや!」

 「いやお前だけには言われたくねェよ!!」 

 

 

 すでに満身創痍です。俺、もうゴールしてもいいよね……?

 いろんな意味で。

 

 

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 とりあえず改ページの意味はなくなったと思うの。

 甘露です。

 

 はい、まずごめんなさい。

 最初から霞といちゃこらしてかわいいようふふ期待してた人ごめんなさい

 シリアスダークなかずぴーが真っ黒なまま着々と黒いことする展開期待してた人ごめんなさい

 なんかもういろいろ中途半端ですよね、このかずぴー。

 でも、構成上絶対るのよね、これ。

 というかそうでもしないと正直かずぴーが霞に惹かれる理由がないと思った 

 作者のわがままです。ごめんなさい

 

 だが濡れ場を期待してたヤツ、てめぇはダメだ!(何いってんだこいつ

 正直なところ甘露はあと一回通報されたらアカウントBANなので余裕ないですwwwっうぇwwwっうぇ

 

 なので健全にいちゃこらします。

 くそっ、誠氏ね

 

 

 

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 ※以下ちょっとネタバレです。

 かずぴー、霞以外の大抵の人だと

 かなり打算的で外道な思考を笑顔で会話しながらするタイプです。

 でも霞相手だとそうならない。ふしぎ! そこから始まる(ry

 

 って展開です。

 ※ここまでネタバレ

  

 

-4ページ-

 

 今回は約3300文字です

 

 Q、週に約3回更新だとたぶんこんなんだけど量的にどうよ?

  1、俺は怒ったぞーーー!!フリーザーーーーッ!!!!

  2、いいぞもっとやれ

 

 アンケートの結果は2でした。30票も入ってて

 今朝開いてちょwwwおまwwwwってなってました。

 たくさんのご意見ありがとうございます。

 個人連載、ということで全てを反映させることはできませんが、

 極力無駄にはしないよう努力いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
一章概要:馴れ初めと決意

Q、内容を三行で頼む
A、霞 アホの子 だがそれがいい

Q、そんな内容で大丈夫か?
A、大丈夫だ、問題しかない

・子供時代はシリアスは少なめ。
・ギャグ系で勢いで走ります。中国の高速鉄道の如く
・キャラ崩壊、似非関西弁は仕様です。
 べ、別にアホの子需要とか狙ったわけじゃないんだからね!
・そんなことよりシリアスってどこかアナルっぽい響きですよね

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コメント
シリアス・・・尻アス・・・尻ass・・・言われてみればそうかも・・・(陵戸 紫苑)
今度こそHDDをBANさせないようにバックアップをとりながらがんばってくださいね。アンケ?には2でよろwwww(さとッチ)
2です(yuk)
2ですね〜(ラピス)
2?(萌香)
一刀と霞のやり取りが面白いwww 2で(量産型第一次強化式骸骨)
いいぞもっとやれww  2で(砥石)
1とか言いつつ2でいいんじゃねぇですかねと思う今日この頃。(mokiti1976-2010)
いいぞ!もっとやれ!2(もち)
一刀、君は十分頑張った。全速力で逃げ込みなさいゴールへwww アンケートは2でw(朱槍)
おいこら一刀。いいぞもっとやれ。2で。(アルヤ)
この二人だといいコンビになりそうだ!次回が楽しみです。アンケートは2で!(シグシグ)
よし!? このまま一気に漫才コンビ(一刀&霞)で天下統一だwwwwwww!?(劉邦柾棟)
突っ込み惚けの嵐でした(黄昏☆ハリマエ)
22(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
いいギャグセンスですww アンケは2 2 1 でww(samidare)
ギャグセンスって欲しいですよね・・・・・・ ←失礼(超ニトロ)
いいぞもっとやれww(azu)
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