暑い、寒い? |
「あ〜つ〜い〜! 暑すぎる! 向日葵なんとかしろー!」
「なんとかって、なにも出来ませんわよ」
「クーラー。クーラーをつければいいじゃん。何で向日葵はクーラーをつけないんだよ!」
バタバタと手足を動かしてクーラーを点けろと文句を言ってくる櫻子。そんなに暑いのなら、
バタバタと暴れなければいいじゃない。
「あのね櫻子。クーラーばかりに頼るのは身体に悪いんですわよ。それに、電気代もかかりますし、
なによりクーラーをつけるほど暑くはないでしょ」
暑くないと言えば嘘になりますが、この暑さは決して我慢出来ない暑さではありませんわ。
窓を開けて外の空気を入れれば、十分ですわ。
「無理っ! 我慢なんて出来ない!」
相変わらず駄々を捏ねる櫻子。そうやって暴れているから暑さが引かないのでしょ。
「そこまで暑いのなら、服を脱いで薄着になればいいでしょ」
「なるほど! その手があったか!」
「え……」
勢いよく今着ている服を脱ぎ、薄着になる櫻子。
いや、その……今の櫻子は薄着と言いますか、むしろ下着のみの姿になっている。
正直、こんなことになるとは思いませんでしたわ。
「ん〜だいぶ涼しく感じるかな」
「そ、そうですか……それはよかったですわね」
「ほんと、向日葵がクーラーをつけてくれたら、よかったのに向日葵のケチ」
「う……っ」
櫻子が顔を近づけて文句を言ってくる。その……櫻子の顔が近づいてくるということは、
同時に櫻子の身体も近づいてくるわけでして……
うぐっ……こんなの直視することが出来ませんわ!
「け、ケチなんかじゃありませんわよ!」
「むぅ、向日葵何処向いてるんだよ。ちゃんと私を見ろよ」
「な――っ!?」
「会話をする時は相手の方を見て話すのが常識だろ」
まさか櫻子に常識を説かれるとは、思いませんでしたわ。ですが、今の櫻子の姿を見る
のはその……恥ずかしいのです。
「なぁ〜向日葵、ちゃんとコッチを見てよ!」
ギギギと私の頭を無理やり動かす。そして――
「よし。ちゃんとコッチを向いたな。向日葵、早速私に謝れ」
「は、はぁ!? 何で私が櫻子に謝らないといけませんの!?」
「だって向日葵、私の方を向いて喋ってくれなかったじゃん。だから向日葵は、私に謝る義務があるの」
「そ、そんな……」
「ほら、早く謝れ」
下着姿の櫻子が触れるほどの距離まで近づいてきて、謝罪を要求してくる。
あぁもう! そんな無防備な姿を晒さないで下さいな!
「あ、謝ればいいんですわね?」
「うん♪」
「櫻子の方を見なくて申し訳ございませんでしたわ。これでいいかしら?」
櫻子の下着姿にドキドキしてごめんなさい。クーラーをつけなくてごめんなさい。
薄着になれと言ってごめんなさい。
上っ面だけの薄い言葉での謝罪。ですが心の中では精一杯謝罪の言葉を述べる。
「うむ、許そう」
そんな私の気持ちなど知らず、満足そうな笑みを浮かべている櫻子。こういう時、
櫻子がおバカでよかったと思います。私の邪な気持ちを悟られないから。
「まったく櫻子は……」
「――あぅ……少し寒くなってきたかも……」
「風邪でも引いたんじゃありませんの?」
「私が風邪を引くわけがないだろ」
そう自信満々に答えていた櫻子ですが――
「うぅ……風邪引いた」
予想通りと言いますか、きっちり風邪を引いてしまいましたわ。まぁ、あんな薄着で
長時間居れば、風邪も引きますわね。
「向日葵〜寒い〜」
「昨日とは逆のことを言ってますわね」
「あうぅ、これも全て向日葵のせいだ。向日葵が大人しくクーラーをつけていればこんな
ことにならなかったのに……」
「何をバカなことを……全ては櫻子の体調管理が甘いからでしょうに」
「向日葵のバカ〜」
「なんなのよそれは」
バタバタと手足を動かして文句を言う櫻子。まったく、この子はどんな時でも変わらないんですわね。
ほんと、世話が焼けますわ♪
説明 | ||
相変わらずのゆるゆりですが、ちょいと向日葵の言葉がアレかもかも。まぁ、生ぬるくお願います。 | ||
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ゆるゆり 向日葵 櫻子 百合 | ||
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