【真・恋姫†無双 三国子園児 外伝 ー休み時間・1『明命と白いノート』ー】
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【真・恋姫†無双 三国子園児 外伝 ―休み時間・1『明命と白いノート』― 始 】

 

 

明るい色で統一された綺麗な部屋

あまり物は多くない

ただ、ネコ系の小物やぬいぐるみを除いてだが…

 

そこに小さな女の子がいる

机に、向かってなにやら一生懸命書き物をしているようだ

 

キュッ、カキカキ、ケシケシ、カキカキ

明命「ふぅ〜、とりあえず、今回の調査対象の、纏めはこんな物でしょうか」

ぱたん

書き物を終え、彼女は書いていたノートを閉じる

そこには、こう書かれていた

『ごくひ:忍々ねこぴょんふぁいる(そうそうへん)』

 

略して『忍ねこふぁいる』、対象人物のありとあらゆる事を纏めた極秘資料である

題名が、ほぼひらがななのが、妙に可愛らしさを強調する

 

カチッ、カチャカチャ、ガゴン、ウィーーン

彼女が机の仕掛けを操作する

すると部屋の壁の一部がスライドし、その向こうには、巨大な本棚が置かれていた

 

本棚には千を超える程の、『極秘』や『ごくひ』と書かれたノートがある

棚の上段のは、かなり年季が入っているのか、黄ばんでいる物が殆んどだ

これは、彼女の祖母が書いた物

中段は、上段程でもないが、それでも少し古びている

これは、彼女の母が書いた物

そして、棚の下段に、今、彼女が書いていたノートをしまう

下段には色とりどりのノート、そのいずれも真新しい物ばかりである

それでも数十冊はあるだろうか

 

赤いノートには、それぞれ、そんさく、そんけん、そんしょうこう、しゅうゆ、と彼女と同じ幼稚園で同じ組の子の名前が書かれている

緑のノートには、りゅうび、かんう、ちょうひ、しょかつりょう、等しょく組の

紫のノートには、先ほど戻した、そうそう意外に、かこうとん、かこうえん、じゅんいく、等と書かれている、ぎ組のものだ

他にも黄色や黒いノートもある

 

そして、その中で一番真新しく、雪のように真っ白・雲のように純白のノートがある

他にたくさん有る物の中で、『白』はこの一冊だけである

 

紫の本を戻した彼女は、その『白』を取り出す

『白』の題名、それは

『超ごくひ:忍々ねこぴょんふぁいる(北郷一刀様?)』

そう書かれている、名前に様付け、横にハートマークまである

タイトルに若干、いや、かなりヒイキ臭がするが、そこは目を瞑ろう…

 

すっ

明命「ふぅ〜……ぽっ////」

ノートのタイトル(一刀の名前の部分)をそっとなで、薄っすら頬を赤め、彼女はため息をつく

その表情は、『恋する乙女』そのものだろう

 

明命「(一刀様、今頃何ををしているんでしょうか、もう夜も遅いですし、既にお休みになられているのでしょうか。はぁ〜、私も一緒に…)、はぅあっ!わ、私はいったい何を考えて…////」

ブンブンッ

と頭を振り、今考えた事を、無理やり振り払う

 

※ お忘れかもしれないので、改めて言っておこう、彼女は5歳児だ。

 

ぱらぱら

白いノートを開く

そこには、調査対象の名前が記されている

『ちょうさたいしょう・北郷一刀』

名前の横には、ハートではなく、ねこのシールが貼ってある、一般人には0か1つ、祖母の代から仕える、孫家の三姉妹にはシール4つ、大好きな幼馴染の、亞莎ですら、このシールは5つ

なのに、出会って間もない彼には6つ、彼だけが6つ…

 

その名前を見ながら、彼女は『白い』彼との、そして彼と出会わせてくれた、あの子のことを思い出す

 

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=3月某日=

 

―― 明命視点 ――

 

がさごそ、がさごそ

明命(あれ、消しゴムないなー、そうか、この前切れたんでしたっけ、私とした事が、うっかりしていました。)

 

明命「そうだ、消しゴム買うついでに、新しい『忍ねこふぁいる』用のノートも買ってきましょう」

 

服を着替えて、財布持ってと。

明命「新しいファイルは、何色が良いかな、まだ持ってない色は、ピンクとか、オレンジとか、後は水色も持ってないですね」

 

 

 

私は商店街を歩きます。

商店街には、かつて調べた人たちがいます。

 

八百屋のおじさん「いらっしゃい、いらっしゃい」

八百屋のおじさんは、今奥さんと別居中、嫁姑問題が原因です。

 

お肉屋のおばさん「あら、周泰ちゃん。今日は呂蒙ちゃんと一緒じゃないの?」

お肉屋のおばさんは、最近3キロ太ったので、ダイエットの為に、ビリーさんのDVDを通販で購入しました。

明命「はい。今日は、消しゴムが切れてしまったので、買いにきました」

お肉屋のおばさん「あら、まだ小さいのに偉いわね、そうだ、コロッケ揚げたてだから持って行きなさいな」

私が一人で買い物に来ると、こうしていつもコロッケをくれます、とても美味しいです。

明命「いつも、ありがとうございます!」

 

魚屋のお兄さん「お、周泰ちゃん、買い物かい?」

魚屋のお兄さんは、彼女居ない歴=年齢、でも最近気になる人が出来たみたいです。

明命「はい、切れた消しゴムの補充に」

魚屋のお兄さん「そっかー、うーん残念。今日は活きの良いのが入ったんだけどねー」

明命「あのぅ、ごめんなさいです」

魚屋のお兄さん「いいの、いいの。またお母さんと来た時にでも寄ってってよ、安くしとくからさ」

明命「はい、ありがとうございます」

 

ウィーン

店員のお姉さん「いらっしゃいませー」

ここの店員のお姉さんは、最近彼氏と別れました。

魚屋のお兄さんの気になる人が、このお姉さんです、今度お兄さんに教えてあげましょう。

 

明命「えーっと、消しゴム、消しゴム」

あった、少し大きめの何の変哲も無い消しゴム。

私はネコグッズが好きです、でも消しゴム等の、消耗品は、出来るだけお猫様にしません、だって削られると可哀想です。

 

明命「あ、そうでした、『忍ねこふぁいる』も買わないといけません」

えーと、確かファイル用のお気に入りノートはこの辺りに…、ありました!色はどれが良いでしょう。

そうして品定めをしていると、私の目を引き付けた『色』のノートがありました。

今までは無かった『色』、雪のように真っ白・雲のように純白。

私はその『白』を棚から取る。

 

店員のお姉さん「その色は今日入荷したばかりの、最新カラーなんですよ」

そう言ってお姉さんが、こちらに微笑んできた。

明命「そうなのですかっ、では、これをください!」

店員のお姉さん「はい、ありがとうございます」

明命(真っ白です、とても綺麗なノートです)

そう思って、私はウキウキと心が弾んでしまう。

消しゴムと、白いノートを買い、お店を後にします。

 

明命「今日は、何だか良いことがありそうですっ!」

そう一人呟き、来た道とは、違う道を通って、駅の方まで少し足を延ばします。

 

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この辺りは、服・アクセサリ・日用雑貨とお洒落なお店がたくさんあります。

しばらく歩いていると、私は凄いものを見つけてしまいました!

茶色い髪・丸いメガネ・そばかすのお猫様です!!

頭にはネコ耳・スカートにはネコ尻尾……、もう我慢できません、

明命!トッカンしまーすっ!!

 

 

明命「お猫様ですーーーー!!ネコ耳ですーーー!!////」

お猫様?「きゃっ、な、なんなのー」

お猫様が何かしゃべりました、でもお猫様なのでもっと抱きつこうと思います。

明命「ネコシッポですーーー!!////」

お猫様?「や、やー、なのー、くすぐったいのー」

明命「お猫様ー、にへへへへ♪////」

お猫様?「やめてー、や、や、やめろっていってるのー、このビ〇グ〇野郎ーなのー」

明命「はぅあっ!……もっ、申し訳ありません、お猫様」

私は、お猫様?の姿には似つかわしくない、放送禁止用語的な言葉に、とても驚いてしまいました。

よく見ると、お猫様?は可愛い服を着た、自分と同じくらいの女の子でした。

 

私は、この女の子を知っています。

紫色のノート、『ごくひ:忍々ねこぴょんふぁいる(うきんへん)』の調査対象、于禁さんです。

情報通・ミーハー・お洒落・語尾に『なのー(のー)』と付ける特徴的喋り方・キレると放送禁止用語を使う…。

 

一度調査した相手とはいえ、真っ先に『調査対象』として見てしまう、そんな自分に少し嫌気が差します。

 

于禁さん「沙和は、『お猫様』じゃないのー」

そい言って、頬をぷくーと膨らませる、于禁さんです、とても可愛いです。

明命「すみません、于禁さん。そのネコ耳とネコ尻尾が、あまりにも可愛かったもので、つい。////」

于禁さん「そうなのー、このネコ耳とネコ尻尾は下ろしたてで、今日一番のお洒落ポイントなのー」

于禁さんは、自慢のポイントを褒められて、とてもご満悦です。

于禁さん「あれ?でもおかしいのー、まだ沙和名乗ってないのー、どうして名前分かったのー?」

この時、自分がうっかり于禁さんの名前を呼んでいた事に気が付きました。

明命(はぅあっ!やってしまいました…、どうにかして誤魔化さないと)

そう考えていたら

于禁さん「と、思ったら、同じ幼稚園のしゅうたいちゃんなのー」

于禁さんは、どうやら私の事を知っているようでした。

 

明命「私の事を、御存知なのですか?」

純粋に、そう思ったので聞いてみました。

于禁さん「あたりまえなのー」

そう聞いて少し警戒してしまいます。

私の役目は、隠密・諜報、あまり人に知られるのは避けたいのです。

でも、そんな警戒は意味の無いものでした。

 

何故なら、

于禁さん「だって、しゅうたいちゃん、とっても可愛いって、かりんさまが前に言ってたのー、あ、かりんさまって言うのは、沙和の組の組長さんの、そうそうさまなの。それに沙和もそう思うのー」

もちろん、曹操さんのことも知っています、でも同じ轍は踏みません。

 

それよりも

明命(か、可愛いと言われてしまいました////)

曹操さんは、無類の可愛いもの好き(主に女の子ですが)、そして于禁さんも、自他共に認める、お洒落さんです。

そんな人達に『可愛い』と言われて嬉しくないわけがありません。

于禁さん「あとー、しゅうたいちゃんが、とーってもねこさんが好きだって言うのも知ってるの」

あぅあぅ、ネコ好きまでばれています。

 

明命「あ、あの、于禁さんは、何をなさっていたのですか?」

恥ずかしいのを誤魔化すために、無理に話を変えます。

于禁さん「沙和はー、『阿蘇阿蘇』の新刊にのっていたお店巡り中なのー」

『阿蘇阿蘇』于禁さんが毎月欠かさず買っている、情報雑誌です。

 

全国版と地域版があり、そして、この地方の地域版には『玉子倶楽部』『雛鳥倶楽部』『親鳥倶楽部』といくつか種類があります。

 

明命「そうなんですか(やっぱり、ネコ耳ネコ尻尾、可愛いです、にへへへ〜♪)」

返事をしながらも、于禁さんの動きに合わせて揺れる、ネコ耳ネコ尻尾をついつい眼で追ってしまう。

于禁さん「しゅうたいちゃんは、何してたのー?」

明命「はい、私は、切れた消しゴムとノートの補充に、そのついでに、此方まで足を延ばしてみました」

やはり、気になります…。

 

明命「あ、あの、于禁さん。そのお猫様の耳と尻尾は、何処で?」

聞いてしまいました!

于禁さん「えっへへ〜、これは、しゅうたいちゃんにとっての『とーげんきょー』で手に入れた物なのー」

私にとっての『桃源郷』、それはいったい何なのでしょうか。

于禁さん「しゅうたいちゃん、この後時間あるのー?」

明命「はい、買い物は済ませましたので、後は家に帰るだけです」

駅の方まで来たとは言え、別段用事があるわけではないので、素直に答えます。

于禁さん「そっかー、なら一緒に、しゅうたいちゃんの『とーげんきょー』に行こーなの」

断る理由も無いので、行こうと思います。(それに『桃源郷』が、何なのか、とても気になります)

明命「はい、是非」

 

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なんという事でしょうか、世の中にこれほど素晴らしい場所があったなんて…

于禁さんは、私にとっての『桃源郷』と言いました。

そして、于禁さんに、つれらて向かった場所、そこは、

正に!正に!!正に!!!

TO・U・GE・NN・KYO

なのでしたっ!

 

私は、この感激をどう表現したら良いか分かりません。

右を向いても、左を向いても、見渡す限りに埋め尽くされた、ねこ!ネコ!猫!

お猫様のグッズが、沢山有るではありませんか。

 

とりあえず

明命「にへへへへへへへ〜♪///////」

 

于禁さま「ね、しゅうたいちゃん。『とーげんきょー』でしょー?」

そう言って、于禁さまは私に笑顔を向けてきます

明命「はい!于禁さま!此処は正に『桃源郷』です!」

本当に、なんて素晴らしい所なのでしょうか。

于禁さま「へ?なんか、しゅうたいちゃん、沙和の呼び方が変わってるのー、凄く偉い人みたいなの」

于禁さまが、不思議そうに問いかけてきます。

明命「当然です。于禁さまは、『桃源郷』を教えてくれた、素晴らしい方です」

私は、思った事を于禁さまに、そのまま答えました。

于禁さま「うむむー、そう言ってくれるのは嬉しいけど、なんか恥ずかしいの」

明命「駄目でしょうか?」

于禁さま「出来れば、『さま』でも『さん』でもなくて、『ちゃん』が良いの。沙和もしゅうたいちゃんの事は、『ちゃん』で呼んでるのー」

于禁さまが、そう仰るのならと

明命「わ、わかりました。う、于禁ちゃん////」

その瞬間、ぐっと于禁ちゃんとの距離が近くになった気がしました。

于禁ちゃん「へへへ〜、これで、しゅうたいちゃんと、おともだちなの////」

于禁ちゃんも、同じように感じていたのかもしれません。

 

于禁ちゃん「そだ、しゅうたいちゃん、何か欲しいものあった?沙和はねー、この『とっこー服』を着たネコさんのぬいぐるみにするの」

于禁ちゃんは、特攻服姿のお猫様のぬいぐるみを私に見せました。

これは、私の母が若い時(母に言ったら、今でも十分若いと怒られそうです)に、流行ったお猫様です。その姿が愛くるしく、蕩けてしまいそうです。

明命「えーっと、その、于禁ちゃんと同じ、お猫様の耳と尻尾が欲しいです…」

 

 

試着室から出ると

于禁ちゃん「わー、おそろいなのー♪」

と于禁ちゃんがとっても喜んでくれます。

鏡の前に立ち、その姿を見ました。

そこに写っていたのは、自分であって自分でない、1匹の黒いお猫様でした。

明命「にへへへへ〜♪にゃ〜です♪////」

ポーズをとる、その動きに合わせて、揺れる耳と尻尾

于禁ちゃん「にゃ〜なの〜♪」

同じように、ポーズをとる、于禁ちゃん、そして揺れる耳と尻尾

お店では、鏡の前で、しばらく、『にゃ〜』と鳴く2匹のお猫様が居ました。

 

 

たっぷりとお猫様を堪能した、私は、耳と尻尾を付けたままレジへ向かい、そのまま清算を済ませました。于禁ちゃんも、ぬいぐるみを購入したようです。

2匹は、仲良くお店を後にします。

 

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于禁ちゃん「ねーねー、しゅうたいちゃん、『阿蘇阿蘇』に載ってたアイス屋さんが、近くにあるんだけどー、行ってみない?」

于禁ちゃんが誘ってきます。

明命「はい、行きます」

もちろん断るつもりはありません。

于禁ちゃんの目的は、元々『阿蘇阿蘇』巡り、でも私の為に、ネコグッズ専門店『にゃんころにー』に連れて来てくれたのですから。

 

 

于禁ちゃん「うー、このベリーベリー苺アイス、とっても美味しいのー」

明命「私の頼んだ、弾けるシャワーアイスもとっても美味しいですっ」

于禁ちゃん「ほんとにー、ちょっと貰っても良ーい?」

明命「はい、どうぞ」

于禁ちゃん「きゃー、ありがとうなのー、…あ、ホントだ、口の中に入れるとパチパチして、こっちも美味しいの。お返しに沙和のも、どうぞなの」

明命「はい、では頂きます。…はぅ〜、甘酸っぱくて、とっても美味しいです〜」

 

明命「それにしても、『阿蘇阿蘇』には色んな事が載っているのですね」

私は、『阿蘇阿蘇』は知っていたけど、それ自体を読んだ事がありませんでした。

于禁ちゃん「そうなの、今一押しのお店とか、ファッションとか、後は占いなんかも載ってるのー」

明命「占い、ですか?」

情報雑誌に良くある、星占いなどの類でしょうか。

于禁ちゃん「うん、『カンロちゃんの占いコーナー』っていうの」

明命「『カンロちゃん』ですか、可愛らしい名前の方ですね」

于禁ちゃん「だよねー、でもその『カンロちゃん』、占いを絶対に外さないって、とっても有名なの」

明命「そうなのですか、それは凄い占い師さんですね」

それが本当なら、とても凄い事です。

于禁ちゃん「そうなの、でも今回の占いは、何だか難しくてよく分からなかったの」

明命「難しい、ですか?それはいったいどのような占いなのですか?」

于禁ちゃん「んとね、ちょっと待ってて、『阿蘇阿蘇』見てみるから」

そういうと于禁ちゃんは、バッグから雑誌を取り出しました。

 

于禁ちゃん「んとんと、あったの

 

“東方より春風吹く時、純白の衣を纏い赤き鉄の馬を駆りし者、月下に舞い降りん、その者、子供たちの園を守りし園の御遣いなり”

 

ね?難しくてよく分からないでしょ」

その占いを聞いたとき、私は何か、不思議な感覚にとらわれました。

暖かいような、切ないような、それでいて懐かしい、そんな…。

普段私は、占い等は信じないのですが、これは何故だかとても気になります。

于禁ちゃん「いつもは、もっと分かりやすいのー」

明命「そうですね、少し言葉が抽象的ですね」

于禁ちゃん「そそ、ちゅーしょーてきで、なんかいなの」

明命「でも、何だか気になりますね」

于禁ちゃん「しゅうたいちゃんも、気になるの?実は沙和もなの。この占い見たときから、胸の奥が温かく、でもギュッって締め付けられる様な、そんな気がして、凄く気になってたの」

于禁ちゃんも、私と同じように、占いが気になっているようです。

明命「そうなのですか、…でしたら、この占い、調べてみませんか?」

于禁ちゃん「調べるなの?」

明命「はい。私、こう見えても、調べ物は凄く得意なんですっ」

于禁ちゃん「わかったの、沙和もこの占いの事、知りたいの。…でもしゅうたいちゃん、内容、難しくて分からないの」

明命「大丈夫です、初めから順番に解読していきましょう」

確かに、抽象的だが、解けない事は無い。

于禁ちゃん「オッケーなのー、じゃあ最初の『東方より春風吹く時』なの」

明命「はい。あ、ですがその前に、この『阿蘇阿蘇』の占いは、全国版にも載ってるのですか?」

もし、全国版に同じ占いが掲載されていたら、さすがに調べきる自身が無いです。

于禁ちゃん「えとね、占いは地方版だけみたい、それに各地方で占いの内容も違うみたいなの、でもそれがどうかしたの?」

明命「はい、全国版に同じ占いが載っていたら、調べるのがとても困難になると思いましたので」

于禁ちゃん「あっ、そっかー」

明命「はい、では、解読していきましょう。于禁ちゃんが言った部分ですが、東方=東から、春風吹く時=春、だと思います」

于禁ちゃん「あれ、東から春風が吹く、じゃないの?」

明命「はい、この地方は春の風は、西か南からしか吹かないんです。だからこの場合、東から春に、となると思うんです」

于禁ちゃん「そっか、なるほどなの、じゃあ次の『純白の衣を纏い赤き鉄の馬を駆りし者』なの、純白の衣って、きっと真っ白いお洋服なの」

明命「はい、そうですね。でも赤き鉄の馬とは何なのでしょうか」

于禁ちゃん「うーん、赤いお馬さんは幼稚園にもいるけど、お馬さんは鉄じゃないの」

私たちの通う、三国幼稚園には、牧場があり、そこには色々な動物が放牧されている、もちろん馬も。

園児が乗馬するようにポニーなどもいます…。

あっ、もしかすると…

明命「于禁ちゃん、この『馬』と言うのは、乗り物の事を指すのではないでしょうか?」

于禁ちゃん「乗り物?ひこーきとかお船とかなの?」

明命「はい、赤い色で鉄で出来た乗り物、と言う意味かと」

于禁ちゃん「おぉー、だいぶ解けてきたの」

確かに半分は解読出来ました、でも鉄で出来た乗り物は、それこそ沢山あるので、これだけではまだ具体性が無いです。

明命「はい、もう少しです」

于禁ちゃん「えーっと、『月下に舞い降りん』、お月様の下に舞い降りるのかな?」

明命「どうなのでしょうか、お月様と言う事は、夜なのでしょうが」

于禁ちゃん「沙和、この前、昼にお月様出てるの見たの」

明命「む〜、そう考えると、ただ単純に、夜と言うわけでは、ないのかもしれませんね」

于禁ちゃん「それに、もし夜だったら、沙和達じゃ調べにいけないの」

明命「それでしたら、大丈夫ですっ!何を調べてるかさえ報告すれば、私の家は、夜間外出できますので」

元々私の家系は、諜報などが役目、それ故、夜間外出にも比較的寛容である。

于禁ちゃん「そっか、でもそうなったら、しゅうたいちゃんだけで調べることになっちゃうの。しゅうたいちゃん一人だけにまかせっきりは、やなの」

明命「いえ、于禁ちゃんには、別にお願いしたい事があるので、私一人と言う事にはなりません」

于禁ちゃん「お願いしたい事?沙和に出来る事かな?」

明命「はい、于禁ちゃんだからこそ出来ることです」

于禁ちゃん「ホントに?わかったの、沙和何すれば良いの?」

明命「于禁ちゃんにやって貰いたい事は、『人の輪』を使って、占いの事を調べてもらいたいのです」

『人の輪』、つまり人脈を使っての情報収集です。

私の知る限り、于禁ちゃんの人脈はかなり広い。

この人懐っこい笑顔と、誰とでも垣根無く話せる性格、誰とでも打ち解けてしまう于禁ちゃんならではの収集方法です。

今の私には、出来ない事です。

于禁ちゃん「おっけー、わかったの。沙和とーっても顔が広いから、まっかせといてーなの」

えっへん、と胸を張る于禁ちゃんです

明命「はいっ。その分、夜間等の特殊な状況下での調べ物は、私に任せてくださいっ!」

于禁ちゃん「ふふふー、なんか沙和たち、良いコンビなの!」

確かに、于禁ちゃんの出来ない事を私が、私の無理な事を于禁ちゃんが、互いを補う事のできる、良いチームワークです。

明命「ふふ、そうですね」

于禁ちゃん「それじゃ、このコンビネーションで、最後の謎も解いちゃうの!」

明命「はい!最後は『その者、子供たちの園を守りし園の御遣いなり』ですねっ」

于禁ちゃん「うーん、『子供たちの園』ってどこだろ。そこを守る人が『園の御遣い』さんだって言う事は分かるんだけどー」

子供たち、と言う事は、沢山子供が集まれる場所の事でしょう。

となると

明命「子供の集まる場所って言うと、公園や学校でしょうか?」

于禁ちゃん「うへ〜、公園も学校もいっぱいあるの〜」

明命「そうですね〜、この地方の幼稚園・保育園・小学校・中学校等を合わせて、ざっと100位でしょうか。大・小の公園を合わせると…」

于禁ちゃん「あう〜〜、とーっても大変なの」

確かに大変です、全国版でなくて本当に良かったです…。

明命「やはり、『月下に舞い降りん』が、キーポイントでしょうか」

于禁ちゃん「お月様・夜・お星様・星座、んー、わからないのー」

明命「そうですね。とりあえず、解けたところを一度整理してみましょう」

于禁ちゃん「わかったの」

 

東から春に、真っ白い服を着て、赤い鉄の乗り物に乗って、『月下に舞い降りる』、その人は、『子供たちの園』を守る、園の御遣い

 

于禁ちゃん「うーん、春に来るって事は、転校生とか新しい先生とか?」

明命「後は、入園・入学生でしょうか。でも『子供たちの園』が公園だとしたら、また変わってきますね」

于禁ちゃん「よおっし、公園は沙和が『おともだちネットワーク』使って調べてみるの」

明命「でしたら、私は学校関係を調べてみます」

于禁ちゃん「うー、でも学校を調べるのって、難しくなーい?」

明命「そうでもないですよ、少しお邪魔して、春に来る人の名簿を調べれば良いだけですので、一週間もあれば可能かと思います」

于禁ちゃん「えぇーー、凄すぎるのーー」

さも当たり前のように言う私に、于禁ちゃんは驚いているようです。

于禁ちゃん「沙和も、一週間もあれば『おともだちネットワーク』行き渡ると思うの」

さすが、于禁ちゃんです。

明命「では、一週間後にもう一度会いましょう」

于禁ちゃん「わかったの、場所と時間はどうするの?」

明命「場所は『にゃんころにー』で、時間はお昼の12時にしましょう」

于禁ちゃん「りょうかい、なのー」

 

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=一週間後=

 

 

明命「はぅ〜〜〜〜、幸せです〜〜〜♪////」

私は、『にゃんころにー』で于禁ちゃんを待ています。

時間は12時より少し前

実は開店の10時からずっと此処に居たりします。

もちろん、お猫様の耳と尻尾付です。

 

カランコロンッ♪

???「あ、しゅうたいちゃんいたのー」

誰かが、私の名前を呼んだような気がします、でもお猫様が居るので気のせいです。

明命「はぅ〜〜、お猫様は神様です〜〜////」

???「って、しゅうたいちゃん、顔がとろけてるの!しっかりするの!!」

なにやら、騒がしいです、でもお猫様が居るので気のせいです。

明命「あぁ、お猫様、あなたはどうしてお猫様なのですか?////」

???「し、仕方ないの、こうなったら、沙和もネコ耳とネコ尻尾を付けるの!」

がさごそ、シャキーン!

???「こ、これでどうだーなの!」

なんということでしょう、目の前にお猫様が現れました!

明命「お猫様ー!!」

お猫様?「やっと反応してくれたなの…」

おや、お猫様だと思っていたのは、どうやら于禁ちゃんだったようです。

それにしても、今日もお猫様の耳と尻尾を付けてくるなんて、于禁ちゃんも相当のお猫様好きなのでしょう。

 

于禁ちゃん「こんにちはなの、しゅうたいちゃん」

明命「こんにちはです、于禁ちゃん。では調べ物について報告しましょうか」

于禁ちゃん「ま、待ってなの、とりあえず、ここを出ようなの」

明命「えぇーーっ、此処でしないんですかっ!!」

そんな、此処にはこんなにも沢山のお猫様がいらっしゃるのに…。

于禁ちゃん「ここだとお店の店員さんに、めいわくになっちゃうの」

それもそうですね、ちょっとだけ…、本当にちょっとだけ残念です。

明命「そうですね…、ではこの前のアイス屋さんの所に行きましょうか…」

本当に本当に、ちょっとだけ残念です…。

 

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于禁ちゃん「しゅうたいちゃんは、調べ物どうだった?」

明命「私の方は、ある程度絞れました、ですが決定打に欠けると言った所でしょうか。于禁ちゃんはどうでしたか?」

于禁ちゃん「沙和の方も、こーほが多すぎて、難しいの」

やはり、月下と園、この2つが解らないとこれ以上調べようが無いのでしょうか。

明命「月下…、園…、何か共通点でもあれば良いのですが…」

于禁ちゃん「うーん、月・つき・げつ、な〜んかどっかで見たこと有る気がするような、そうでないような」

明命「ほ、本当ですかっ!」

于禁ちゃん「うー、しゅうたいちゃんはどっかで見たこと無い?月と園が関係するの」

明命「わ、私ですか?えーっと、うーん。さっき于禁ちゃんが言った意外に、月の読み方ってありましたっけ?」

于禁ちゃん「えーっとね、英語だと『Moon・ムーン』ラテン語だと確か『Luna・ルーナ』、中国語だと『月亮・ユエリャン』だったかな」

明命「す、凄いですね」

英語のムーンぐらいなら解るが、ラテン語や中国語は全くです。

于禁ちゃん「えへへ〜、『おともだちネットワーク』は色んな人が居るの!」

なるほど、納得です。

明命(ラテン語でルーナ、中国語でユエリャンですか、勉強になりました…、…あれ?)

于禁ちゃん「そういえば、園長先生の真名も『月』って書いて、中国語読みするの」

明命「あっ、あーーーーー!それです!それ!」

どうして気が付かなかったのでしょうか、月下と園、園長先生と三国幼稚園、共通点があります。

于禁ちゃん「え?え?どーゆーことなの?」

よく分かってない様子の于禁ちゃんに説明します。

明命「えとですね、園長先生の真名を月下の『月』、三国幼稚園を『園』とすると、2つの謎はピッタリなのです」

于禁ちゃん「でもでも、その他の謎も合うの?」

明命「はい、ちょっと待っててください」

がさごそがさごそ、

私は、お猫様バッグの中から、それを取り出す

明命「ありました!これを見てくださいっ!」

少し興奮気味に、于禁ちゃんに取り出したものを見せる

于禁ちゃん「えーと、『三国幼稚園、教員採用書』って、しゅうたいちゃん!どうしたのこれ!」

明命「はい、お邪魔してコピーしてきました!」

于禁「しゅうたいちゃん、何だか犯罪臭がするの…」

明命「大丈夫です、慣れてますから!」

于禁ちゃん「な、慣れちゃダメなのー」

明命「それは良いんです「良くないのー」、とりあえず中身を見てください」

于禁ちゃんの突っ込みをスルーして、中を見るように促します。

于禁ちゃん「わ、わかったのー…」

 

ぺらぺらぺら

明命「そこです、写真と出身大学の所を見てください」

『三国幼稚園、教員採用書』

中身は、ある人物についての事が詳しく書いてある

于禁ちゃん「あっ!この人、白衣着てるの、それに東京の大学出身ってなってるの」

 

柔らかな風貌、証明写真なのに、何故か白衣、東京の大学出身、そしてなにより

明命「于禁ちゃん、その人の写真見て、なんか不思議な感じしませんか?」

于禁ちゃん「え…、うん、するの。なんか凄く胸が苦しくなるような感じ…」

明命「まるで、占いの時の様な、ですか?」

于禁ちゃん「そうそう、初めて占い見た時と同じ感じなの!もしかして、しゅうたいちゃんも?」

明命「はい…。ですが月下と関係がなさそうだったので、最初の方で三国幼稚園は候補から外してしまいました」

失敗です、写真を見たときに感じた『感覚』をもっと深く追求するべきでした。

于禁ちゃん「こーほ外したのに、しゅうたいちゃん、さいよーしょよく持ってたの」

明命「そ、それは…ぽっ////」

于禁ちゃん「はっは〜ん、分かったの!しゅうたいちゃん、その写真の人に一目ぼれしちゃったの!」

明命「な、h;おいdvsp:おけ9ああ////」

于禁ちゃん「隠してもダメなの、だって沙和も…////」

于禁ちゃんも私も、まだ合った事すらない人に心を奪われてしまったようです。

 

于禁ちゃん「この人のこと調べるの?」

明命「はい、調べましょう」

私だけではなく、于禁ちゃんにも『感覚』が有るなら、この人で間違いない気がします。

于禁ちゃん「でも、住んでる所も載ってるから、直接会った方が良いのかな?」

明命「いきなり押しかけて、占いについて訪ねても、困惑されたりはぐらかされるかもしれませんね」

于禁ちゃん「じゃぁ、どうするの?」

明命「そうですねー、暫くは引き続き情報収集でしょうか」

于禁ちゃん「おけ−、りょうかいなのー」

明命「では、私は調査対象(チクッ)の近辺を調べます、于禁ちゃんは『おともだちネットワーク』でお願いします」

『調査対象』…、この言葉を使っていて、これほど胸が苦しくなる事は今までありませんでした…。

(本当に…、どうしてしまったのでしょう)

こうして、私と于禁ちゃんは別れた。

 

-8ページ-

 

 

=翌日=

 

 

― 明命視点 ―

 

?楽成荘?

 

私は、今、調査対象(チクッ)の住むアパートの前に来ています。

まだ朝も早いので、あまり人も居ません。

それでも、丸っきり無しと言うわけではないので、怪しまれないように気配を消します。

管理人(女性)さんが、掃き掃除をしています。

しばらく待ってみます。

 

約30分程足ったでしょうか、調査対象(チクッ)が玄関から出てきました…、管理人さんに笑顔を向け朝の挨拶をしているようです。(何故だかモヤモヤします)

資料の写真のように、白衣を着ています。

 

調べていて分かった事ですが、調査た(ズキッ)…、

明命(やはり、あの方をそう呼びたくはありませんっ!)

 

一刀さん(ぽっ///)を、調べていて分かった事ですが、一刀さんのご両親は、海外で、主に紛争地域などで活動する、お医者さまだそうです。

いつも着ていらっしゃる白衣は、そのお父様から、一刀さんが小さいころ頂いた宝物だそうです。

 

そうこうしているうちに、一刀さんは駐輪所から真っ赤なMTBに乗ってきました。

明命(純白の衣・赤き鉄の馬、占いのとおりです)

尾行してみます。

明命(あ、ちなみに私は徒歩ですっ!)

 

 

シャー   スタタッ

シャー、シャー  スタタタタッ

シャー、キー   スタタタッ、ピタッ

どうやらコンビニへ買い物をしに来たようです。

 

かごの中は、飲み物とカップ麺、それに…、えーっと…、大人の雑誌です////

レジで清算するようですね。

あぁ、笑顔で店員さん(女性)と会話してます、大人の雑誌は見て見ぬ振りなのでしょう。

明命(なんと言いますか、店員さんは店員の鏡ですっ!)

でも、あまり一刀さんと仲良くしないで欲しいです…。

 

どうやら戻るようですね。

では、尾行しましょう。

 

シャー  スタタッ(この件はもう良いですね)

アパートに着きました。

管理人さんが洗濯物を干しているようです、管理人さんに挨拶しています、凄く楽しそうです…(何だかムカムカします)

話し終わったようです。

部屋に戻るようですね。

と、部屋に戻ってすぐ出てきました、またどこかへ行くのでしょうか、今度は歩きですね。

もちろん、レッツ尾行ですっ!(何だか楽しくなってきましたっ!)

 

とことこ  ササッ

とことことこ  サササッ

とことことことこ   ササササッ

あ、角を曲がるようです、見失わないように付いて行きましょう。

 

………あれ?いません、曲がった直後に私も付いていったはずですが。

???「ねぇ、君、何してるの?」

明命「え?」

尾行していたはずなのに…。

 

-9ページ-

 

― 一刀視点 ―

 

俺は、女の子に話しかける。

一刀「ねぇ、君、何してるの?」

気配の主はこの子で間違いない。

女の子「え?」

 

俺は、今朝の事を思い出す。

〜 時は早朝まで戻る 〜

 

一刀「ふぁ〜、もう朝か」

引越しの荷物もすっかり片付いた部屋で、一人呟く

最近は、こっちの生活にもだいぶ慣れた、及川の顔が無くてさび…(うげ、キモッ!何処のホモメガネだよ)

今のは無し!

 

最近は、こっちの生活にもだいぶ慣れた、なんと言ってもここ『楽成荘』は美人の管理人さんもいるし、今年の春から働く、園にも可愛い子や美人が大勢だっ!

一部例外もいるが…、この際その事は無視だ!無視!!

ま、まぁ、あの先生方も決して悪い人ではないんだけど…。

 

一刀「……喉渇いたな、コンビニでも行くか」

気分が悪くなったので外の空気でも吸おう

 

財布持って、鍵を閉めてっと

 

???「あら、北郷さん、おはようございます」

アパートの入り口で、声をかけられた。

一刀「あ、管理人さん、おはようございます、朝早くからお掃除ご苦労様です」にこり

このアパートの管理人さんだ、いつ見ても綺麗な人だ。

管理人さん「ふふ、ありがとうございます…////」

ん?顔が赤いな、カゼかな?

管理人さん「北郷さんは、お買い物ですか?」

一刀「はい、昨日遅かったもので、気分転換に。管理人さん何か入用なものありますか?買ってきますが」

管理人さん「あら、よろしいのですか?「はい」、ではお言葉に甘えて『阿蘇阿蘇・雛鳥倶楽部』の4月号をお願いします」

一刀「はい、『阿蘇阿蘇・雛鳥倶楽部』の4月号ですね。わかりました」

管理人さん「あ、種類が多いので、忘れないようにメモお渡ししますね」

カキカキ

管理人さん「はい、どうぞ」

一刀「ありがとうございます、では行って来ますね」

管理人さん「はい、いってらっしゃい」

メモを貰い、駐輪所へ向かう

赤いMTBを出し、跨る

一刀「…」

 

-10ページ-

 

シャー

シャー、シャー

シャー、キー

 

ウィーン

店員さん「いらっしゃいませー」

このコンビニの店員さんも、なかなか可愛い人だ。

一刀(おっと、買い物買い物っと)

俺は、飲み物と新発売のカップ麺をかごに入れ、雑誌のコーナーへと向かう。

一刀(えっと、何買うんだったっけかな)

ごそごそ

管理人さんから貰ったメモを見る。そこには『カタカナ』でこう書かれていた

アソアソ・ヒナドリクラブ4月号

一刀(えーっと、アンアンのヒナドリクラブはっと)

雑誌を探し始める。

 

結果から言おう。確かに雑誌はあった…

コンビニの雑誌のコーナーの一番奥に…。

つまり、大人の雑誌のコーナーだ。

一刀(ちょ、管理人さん、俺にいったいどうしろと、これはアレですか?新種のいじめですか?イジメカッコワルイ…)

 

俺は、意を決して大人の雑誌コーナーに置かれていた、ソレを取る

『アンアン・ヒナドリクラブ4月号:熟女にくい込む荒縄、激しく乱れる熟れた肢体、今日も私の体は夜鳴きする』

………………まじで?これ買うの?本気で?

 

一刀(し、仕方ないよね、管理人さんにはいつもお世話になってるし…)

え?違うよ!お世話ってそういう意味じゃないよ?ホントに違うからね!

俺は、誰にするでもない言い訳を必死でする。

 

かごに入れた、物を清算する、店員さんの笑顔が痛い…

ピッ!ピッ!ピッ!

一刀「いや〜、友達に頼まれちゃいましてね〜」

と言う俺の苦しい言い訳に

店員さん「ふふ、そうなんですか」

と笑顔で返してくれる、店員さんあんた店員の鏡だよ!

そんな店員さんに俺も笑顔で返す。にこり

店員さん「……ぽっ////」

一刀(あ、赤くなった、今『こいつ、なに白々しい事言ってんだよ』って絶対思われた…)

 

ウィーン

店員さん「ありがとうございましたー」

も、もういい、早く帰ってブツを管理人さんに渡してしまおう。

乗ってきた、MTBに跨る

一刀「……」

そしてコンビニを後にした。

 

-11ページ-

 

シャー(この件は良いか…)

駐輪所に自転車を停めて、管理人さんの元へと向かう

 

一刀「ただいま戻りました」

管理人さんは、洗濯物を干していた

管理人さん「おかえりなさい、北郷さん」

笑顔でお出迎え、この人が本当にアレを読むのだろうか…

一刀「えーっと、管理人さんに頼まれていた雑誌ですが、これですよね?」

そう言って、ブツを渡す

管理人さん「ありがとうございます、北郷さん」

……おや?反応がない?

管理人さん「えっと、北郷さん、これはなんでしょう?」

一刀「管理人さんの、メモに有った物ですが…」

何だか様子がおかしい

管理人さん「あの、メモを貸してもらえますか?」

一刀「はい、どうぞ」

メモを渡す

管理人さん「あー、なるほど。これは私のミスですね」

ん?話がつかめない

一刀「ミスって?何がでしょうか」

管理人さん「えぇ、北郷さん、このメモなんて読みます?」

一刀「え?『アンアン・ヒナドリクラブ4月号』ですよね?」

管理人さんの言いたい事が、今一分からないでいると、

管理人さん「やはり…、このメモなんですが、『アンアン』ではなくて『アソアソ』なんですよ」

え?え?えーっと…

管理人さん「まさか、私も似た名前の雑誌が有るとは思ってもみなかったので、漢字が難しいとはいえ、せめて『ひらがな』で書けばよかったですね」

なるほど、そういうことか、つまりアレだ、もっとちゃんと読め!俺!

一刀「い、いえ、管理人さんのせいじゃないです!もっとちゃんと読まなかった俺がバカ過ぎただけです、すみません」

ひでー、俺バカ過ぎ、こんな事で管理人さんを困らせるとか…、困らせ…?

何だか困ってない、と言うよりむしろ悪戯っぽい笑顔でこっち見てる…

管理人さん「でも、北郷さんも、いやですわ、私がそんなに欲求不満に見えるんですか?クスクス」

一刀「す、すぐにコンビニ行って取り替えてきます!」

管理人さんは、悪戯っぽい笑顔から、艶っぽい微笑みへと表情を変え

管理人さん「ふふ、良いですわ、今夜はこれを使いますので…」にこり

一刀「え、あの、その」

管理人さん「ふふふ、どうしても取り替えてらっしゃると言うのなら、そうですね…。今夜は北郷さんの所にお邪魔しましょうか…」にこにこ

一刀「い!!あ、え、そ、あ、な……ボンッ//////」

思考が追いつかない、このお方は何を言ってらっしゃるのだろうか。

一刀「お、俺!行く所あるんで、し、失礼します!!」

そう言って部屋に戻る。

 

― 管理人視点 ―

 

北郷さん「お、俺!行く所あるんで、し、失礼します」

ダダダダダッ

北郷さんは、顔を真っ赤にして部屋に戻ってしまいました。

 

私「ふふふ、かわいい」

少しからかい過ぎたかも、と思う一方で、いつも天然笑顔でこっちが真っ赤にされてるのでお相子だろう、とも思う。

???「ねぇねぇ、なんのおはなししてたの?」

 

-12ページ-

 

― 一刀視点 ―

 

一刀(やっべー、まじやっベー)

内心の焦りを落ち着けるため、深呼吸する

一刀「はぁー、すー、はぁー、すー」

確か深呼吸ってのは、最初に息を吐くのが正しいんだったよな?

などと、どうでも良い事を考え気持ちを落ちるつかせる。

 

一刀「よし、おちちゅいた!!」

まだ若干焦ってるが、見ない振りをするのが優しさだ。

一刀(管理人さんは…、部屋に戻ってるな。)

俺は周囲の気配を感じ取り、管理人さんが部屋に居る事を確認し、部屋から出る。

 

一刀「………」

 

楽成荘を出て、道を歩き出す

 

とことこ

一刀「…(殺気・邪気・闘気は無し、か)」

とことことこ

一刀「…(消し方はうまい、けどまだ少し甘いな、ムラが有る)」

とことことことこ

一刀「…(感じからして、子供かな、だとするならかなり末恐ろしい子だな。よしあの角で仕掛けてみるか…)」

 

俺は、足にゆっくりと氣を練り、数十メートル先の角を見据える。

徐々に近づく曲がり角。

そして、ゆっくりと角を曲がる

曲がった瞬間に、氣を開放

ブワッ!

開放した氣の勢いで、高く舞い上がる。

下を見ると黒髪の小さな女の子が角を曲がり、きょろきょろと何かを探している

一刀(いやー、じっちゃんの地獄の修行、まさかこんな使い方することになるとはね…)

 

すとっ

女の子の後ろに静かに着地する、そしてまだ何かを探す女の子に声をかけた

 

〜回想終了〜

 

女の子に声をかけた、までは良いのだが、

振り返りざまに

女の子「はぅあっ!!」

と言う声とともに

ブオン!

一刀「あぶなっ!」

さっきまで俺の居た所を、刃が横凪ぐ。

(い、いきなり物騒な物を振り回してきましたよ、この子!)

一刀「ちょちょちょ、待って待って、俺怪しいもんじゃないから!」

自分で自分を怪しいですと言う奴が居たら見てみたいが…。

一刀(なんて、冷静な突っ込みいれてる場合じゃないよね、これ)

女の子「あぅあぅ////」

女の子は、日本刀に似た武器を手に慌てている。

ほのかに顔が赤いが、驚いているせいだろう。

女の子「あ、あの、その、えっと、その…」

一刀「お、落ち着いて、一回深呼吸しようか、ね?」

女の子「は、はい、すー、はぁー、すー、はぁー」

深呼吸する女の子に、再度話しかける

一刀「だ、大丈夫?落ち着いた?」

女の子「はいっ!おちちゅきましたっ!」

一刀(どこぞの誰かさんも、そんな事やってたな…、いや、俺だけどさ)

一刀「そう、思わず噛んでしまうほど落ち着いた所で、何で俺をつけてたのか教えてもらえるかい?」にこり

女の子に、出来るだけ優しく笑顔で語りかける。

女の子「……ボンッ////」

一刀(やば、驚かせすぎたかな、顔が真っ赤だ)

 

 

すっ、ぽん、なでなで

俺は、謝罪の意味もこめて、彼女の頭に手を乗せ、黒髪をなでる。

一刀「ごめんごめん、そんなに驚くと思わなかったんだ」

女の子「あぅあぅ〜////」

一刀「許してくれるかな?」

女の子「ははい、あ、あの、もうだ、大丈夫ですっ!」

一刀「そか、よかった」

俺は女の子から、手をどける

女の子「あ……」

ん?

一刀「どうかした?」

女の子「い、いえ、何でもありませんっ」

心なしか、しゅんとしてる気がするが…。

一刀「話の続き、良いかな?」

続きといっても、まだ始まってすらないんだけどね。

女の子「はいっ、先ほどは大変失礼しました、一刀さん!」

うむ、礼儀正しい子だな…、あれ、俺名乗ったっけ?

一刀「いや、俺もいきなり声かけたし、お相子って事でね」

女の子「いえ、一歩間違えてれば、大変な事になる所でした、なんとお詫びしたらよいか…」

うーむ、このまま行くと謝罪合戦になりそうだな、よし

一刀「それじゃ、君の名前を教えてよ、いつまでも『君』はまずいでしょ。それにどうやら俺のことは知ってるみたいだしさ」

 

 

-13ページ-

― 明命視点 ―

 

明命「あ、あの、その、えっと、その…」

一刀さん「お、落ち着いて、一回深呼吸しようか、ね?」

明命「は、はい、すー、はぁー。すー。はぁー」

一刀「だ、大丈夫?落ち着いた?」

明命「はいっ!おちちゅきましたっ!」

はう〜〜、思いっきり噛んでしまいました。

一刀さん「そう、思わず噛んでしまうほど落ち着いた所で、何で俺をつけてたのか教えてもらえるかい?」にこり

明命「……ボンッ////」

そ、その笑顔はずるいですっ、一刀さん////

 

すっ、ぽん、なでなで

一刀さん「ごめんごめん、そんなに驚くと思わなかったんだ」

明命「あぅあぅ〜////」

な、な、なでられてます!今一刀さんに頭をなでられてます!!

一刀さん「許してくれるかな?」

明命「ははい、あ、あの、もうだ、大丈夫ですっ!」

一刀さん「そか、よかった」

一刀さんは私の頭から、なでていた手をどける

明命「あ……(もっとなでて欲しかったです)」

 

一刀さん「どうかした?」

明命「い、いえ、何でもありませんっ」

もっとなでて欲しいといったら、なでてくれるでしょうか?

一刀さん「話の続き、良いかな?」

そうでしたっ!なでられて喜んでいる場合じゃないですっ!

明命「はいっ、先ほどは大変失礼しました、一刀さん!」

いきなり後ろを取られたので、思わず本気武器の『魂切(こんせつ)』を抜いてしまいました。

でも、さすがは一刀さんです、私の一撃を難なくかわしました!(かっこいいですっ!)

一刀さん「いや、俺もいきなり声かけたし、お相子って事でね」

やはり、一刀さんはとってもお優しいです。

明命「いえ、一歩間違えてれば、大変な事になる所でした、なんとお詫びしたらよいか…」

そう、もし一刀さんでなく、一般の方だったら、そう思うとゾッとします…

一刀さん「それじゃ、君の名前を教えてよ、いつまでも『君』はまずいでしょ。それにどうやら俺のことは知ってるみたいだしさ」

な、なんと言う事でしょう、私はまたやらかしてしまったみたいです…

明命「あ、あの、申し訳ありません。わ、私の名前は、姓を周、名は泰と言います」

一刀さん「そっか、周泰ちゃんか」

名を呼ばれました、凄く嬉しいです。

明命「あ、あああ、あの、差し支えなかったら、明命とお呼び下さい」

でも、一刀さんには、『真名』で呼んで欲しいです。

一刀さん「いや、でも初対面でいきなり真名は、まずくない?」

明命「呼んで欲しいんですっ!お願いしますっ!明命と呼んでください!!」

どうしてここまで、一刀さんに『真名』を呼ばれる事にこだわるのか、正直分からないです。

初対面、しかも異性に『真名』を預ける、これはある意味結婚をして下さい、と言ってるようなもの。

でも、心の奥底で、一刀さんに『真名』を渡せと強く思う自分が居ます。

明命(そ、それに一刀さんなら、結婚しても良いと思って…、違いますね、結婚したいと思ってます。子供が欲しいとすら思えてます)

 

一刀さん「分かったよ、明命ちゃん。君の真名大切に預からせてもらうね」にこり

一刀さんが、また笑顔です。

明命「ありがとうございます、(もうどうにでもしてください…)////」

一刀さん「それで、どうして俺を知っていたのかと、何故つけていたのか。聞かせてもらえるかな?」

そ、そうでした、キチンとお話しなければ。

明命「あの、私、三国幼稚園の年長の『ご組』なんです、だから、その」

占いの事は、黙っています、だって一刀さんに変な子に思われたくありません。

一刀さん「あー、なるほど、今度やってくる新米の先生の俺を見に来たのか」

明命「はいっ!そのお写真とかは、園長先生の机の所にあったのでそれを見て…」

忍び込んだのも、言いたくないです、一刀さんに嘘つきたくないけど、それよりも嫌われたくありません。

一刀さん「へぇ〜、凄いね、良くあそこに忍び込めたね」

な、何故ばれたのでしょうか…。

明命「い、いえ、あの」

内心の焦りが、言葉を詰まらせます。

一刀さん「なぜ忍び込んだのがわかったかって?」

明命「……コクコク」

どうしましょう、泣きたいです。

一刀さん「写真と言う事は、おそらく教員採用書、園長先生には『かくちゃん』って言う、物凄くしっかり者が付いていてね、その子が重要書類をその辺に放置する事は有り得ない」

 

私は、『園長先生』・『かくちゃん』という二人の名前を一刀さんが口にされたとき、なんとも言えない、激しい感情がわいてきました…

一刀さん「と言う事は、しまって有る物を見つけるしかない、人が居る所をどうどう入って行って、見せて貰える物でもないしね。なら忍び込むしかないかなーと」

やはり、凄いです、少しの情報で此処まで導き出されてしまいました。

一刀さん「合ってるかな?」

明命「はい、ご推察のままです…」

叱られるのでは、嫌われるのではと言う恐怖、一刀さんの口にされた二人の名前、そしてそれに対する『嫉妬』と言う感情、色々な物がごちゃまぜになり、本当に泣きそうです。

 

一刀さん「そっか、だとすると、明命ちゃんは本当に凄いね」

思いもしない言葉に、何を言っているのか気づけませんでした。

一刀さん「あそこって、化け物みたいな人いっぱい居るでしょ?そこを忍び込んで無事って、かなり凄い事だよ!」

一刀さんは、私の事を褒めてくれているようです。

明命(どうして褒めるのですか?私は園に忍び込んで一刀さんを調べていたんですよ?)

一刀さん「まだ幼いのに、それをやってのけるなんて、将来相当の『忍』になれるね」

明命(どうして笑顔を向けるのですか?私は先ほど嫌われたくないからと、一刀さんに嘘を吐こうとしていたのですよ?)

 

明命「……グスッグスッ」

そう思ったら、もう涙が止まりませんでした…。

一刀さん「え、あれ、どどうして泣いてるの?」

一刀さんは、優しいです、優しすぎます…。

一刀さん「えっと…」

 

すっ、ギュっ、なでなでなで

一刀さんは、泣いている私をそっと抱きしめてくれました。

一刀さん「よしよし、ごめんね。俺さ、友達にもよく『鈍感』だって言われるんだよね。だから明命ちゃんを、知らない間に傷つけていたんだよね…」

一刀さんは、泣いている私の頭を優しくなでてくれます。

一刀さん「傷つけた理由を知らないのに、謝るのは無責任だと思う。でもね泣いている女の子をそのまま放って置けるほど、俺薄情じゃないつもりだよ」

明命(胸か苦しいです、声を聞くたびに、心がギュッと締め付けられる気がします、でも全然いやじゃありません)

 

明命「違うんです…」

私はもう、一刀さんには嘘は付きません。

だから…

 

-14ページ-

 

一刀さん「そっか、その占いに俺が当て嵌まっているから、そして明命ちゃんとお友達が、占いと採用書を見て不思議な感覚にとらわれたから、それを調べていたのか」

一刀さんに、全てをお話しました。

(于禁ちゃん、ごめんなさい、勝手な事をして)

明命「はい…」

 

明命「あの、一刀さん、私の事を嫌いになりましたか?」

一刀さん「え?なんで」

明命「私は、一刀さんを勝手に調べたり、嘘吐こうとしたりしました」

一刀さん「なーんだそんな事か」

明命「そんな事って!」

一刀さん「あぁ、ごめんごめん、明命ちゃんにとっては重要な事なんだよね」

明命「はいっ!」

一刀さん「うん、でもね俺にとっては『そんな事』なんだよ。だって、勝手に調べたと言っても、時間をかけて俺と明命ちゃんが仲良くなれば、普通に分かる事でしょ?」

明命「……」

一刀さんの懐の広さに、私は何もいえませんでした

一刀さん「そのかかる時間を、一気に短縮したと思えば良いんじゃないかな?」

明命「で、でも嘘吐こうとしたのは「この世に嘘を吐かない人は居ないよ」、え?」

一刀さん「この世に嘘を吐かない人が居たら、俺は気持ち悪いと思うよ、そんな人の傍には居たくないかな」

明命「確かにそうです、でも…」

一刀さん「明命ちゃんは、どうして嘘を吐こうと思ったの?」

明命「そ、それは、一刀さんに嫌われたくなかったから…」

恥ずかしいのと、本音を言うのが怖くて後半はボソボソになってしまいました。

一刀さん「そっか、ありがとう、そして、ごめんね」

ちゃんと聞こえていたようです。

明命「え?」

そして何故お礼を、そして謝罪を言われたのか分かりませんでした。

一刀さん「うん、俺に嫌われたくないから嘘を吐こうとしてくれたんだろう?」

明命「はい」

一刀さん「だから、ありがとう。そしてその為に嘘を吐こうとして苦しませて、ごめんね」

明命「うっ……、うわぁぁぁーん」

また泣いてしまいました、一刀さんの余りの暖かさに、そして底知れない優しさに…。

その間、一刀さんは、ずっと私を抱きしめてくれていました、頭をなでながらずっと…。

 

-15ページ-

 

明命「あ、ありがとうございます…////」

恥ずかしいです。

一刀さん「ん、どういたしまして」にこり

笑顔でそう返してくれる一刀さん。(今日一日、一刀さんの笑顔にやられっぱなしです)

明命「あの、もうそろそろ暗くなるので、今日は失礼します」

話して泣いて、そうしている間に、あたりは夕方になっていた。

一刀さん「送るよ、治安が良いといっても、暗いのは危ないからね」

一瞬その申し出を断ろうかとも思いました、今日は一刀さんに沢山迷惑をかけてしまいましたので。

でも、

明命「はいっ!お願いしますっ!」

もっと一緒に居たかったので、私は素直にお願いしました。

 

帰りの間、沢山の事を話しました。

両親の事、友達の事、園の事

楽しすぎて、家に着くのがあっと言う間でした。

 

一刀さん「それじゃ、明命ちゃん、またね」

離れたくない

明命「はい、今日はありがとうございました」

もっと傍にいたい

一刀さん「うん、こちらこそ色々楽しかったよ」

……もう限界です

明命「一刀さんっ!」

そう叫んで、私は一刀さんの所へ…

 

ちゅっ?

 

短い、とても短い、でも確かに触れた…

私は一刀さんから離れると

明命「おやすみなさいっ!一刀さん////」

赤い顔がばれないように、そそくさと家の中に入っていった。

 

 

― 一刀視点 ―

 

明命ちゃん「あ、ありがとうございます…////」

顔を真っ赤にしている、泣き止んでくれてよかった。

一刀「ん、どういたしまして」にこり

明命ちゃんが少しでも安心してくれるように、笑みを向ける

明命ちゃん「あの、もうそろそろ暗くなるので、今日は失礼します」

明命ちゃんを、支えてあげている間に、あたりは夕方になっていた。

一刀「送るよ、治安が良いといっても、暗いのは危ないからね」

俺は、さっきまで泣いていた子を放って置けるはずもなく、家まで送ると言った。

明命「はいっ!お願いしますっ!」

笑顔で返してくれたので、凄く安心した。

 

帰りの間、沢山の事を話した。

明命ちゃん両親の事、明命ちゃんの友達の事、明命ちゃんの園での事

楽くて、明命ちゃんの家に着くのがあっと言う間だった。

 

一刀「それじゃ、明命ちゃん、またね」

離れたくない

明命ちゃん「はい、今日はありがとうございました」

もっと傍にいたい

一刀「うん、こちらこそ色々楽しかったよ」

……どうして、惹かれてしまうのだろう

明命ちゃん「一刀さんっ!」

そう叫んで、明命ちゃんは俺の所へ…

 

ちゅっ?

 

短い、とても短い、でも確かに触れた…

明命ちゃんは俺から離れると

明命ちゃん「おやすみなさいっ!一刀さん////」

顔を真っ赤にして、そそくさと家の中に入っていった。

 

 

一刀「…柔らかかったな」

思った事を素直に口に出してしまう。

相手はまだ子供、しかも、俺が勤める幼稚園の園児…。

でも、今は自分の唇に残った温もりを思い出す…。

 

 

-16ページ-

 

 

 

 

『白い』ノートを見つめる、彼を思い出し胸が温かくなるのを感じる。

それと同時に、ひとつの痛みが走る。

 

 

私は、あの時始めて、仕える主に嘘をついた、

 

明命「はい、ですが『会った』と言うより、それっぽい人を『見つけて尾行した』ですが…」

 

言いたくなかった、あの時の出会いは私と一刀様だけのもの、あの時の感情は私だけの物、あの時交した会話は、二人だけのもの。だから話せなかった…

だから話した、一刀様に関する『情報』を、そこには私の『感情』も『想い』も『ときめき』もこもっていない、ただの『情報』を

あの時の事は、私だけの思い出、誰にも、仕える主にすら、決して汚して欲しくない、そんな思い出。

それは降り積もった真っ白な雪、まだ誰も汚していない、足跡の無い雪

あの方のように、ただただ真っ白い…

 

 

分かっている、あの方は大人・私は子供

 

知っている、あの方は先生・私は園児

 

でも、それでも、年齢の差を恨むでもなく、園児と先生と言う立場を悔やむでもなく、

 

ただただ心の中で問いかける

 

 

子供が、大人を、好きになってはいけませんか?

                      

                   園児が、先生を、想ってはいけませんか?

 

 

と・・・

 

 

 

 

 

【真・恋姫†無双 三国子園児 外伝 ―休み時間・1『明命と白いノート』― 終 】

 

-17ページ-

 

 

〜おまけ〜キャラ崩壊注意

 

ぱらぱら

一刀さん「それにしても、やっぱ凄いな、これだけの情報をたった9日で調べたのか…」

そう言って一刀さんは、私の渡した『白い』ノートを見る。

 

『超ごくひ:忍々ねこぴょんふぁいる(北郷一刀様?)』

家の者以外は決して見る事の許されない物。

私は、それを一刀さんに見せている。

『真名』を異性に預ける事が、この地方の求婚なら、このノートを見せる事は我が家の求婚を意味する。

そして、それを今している…

 

迷惑かもしれない、でも自分の想いは偽れない…

明命「あ、あの、一刀さん…」

一刀さん「ん?どうしたの、明命ちゃん」

明命「あの、異性に『真名』を預ける事がなんなのか知っていますか?」

一刀さん「え、あの、う、うん。『求婚』だよね?」

明命「はい、でも今は余りそこまで拘っている人は少ないでしょう」

一刀さん「そ、そうだよね」

一刀さんは安心したように、ホッとしています

明命「はい、でも私は本来の意味で『真名』をお預けしました」

一刀さん「え?えぇーー!?」

驚いています、ちょっと可愛いです。

そんな一刀さんに、止めの言葉を言います

明命「そして今一刀さんが見ているノート、それは我が家の者以外は決して見る事の許されない物です、それを見ると言う事は、我が家の仕来たり上『結婚をする』と言う事です…」

一刀さん「えぇぇぇーーーーーーーーーーーーーー!!!」

もっと驚いてます、物凄く可愛いです。

一刀さん「え、でも明命ちゃんは、まだ…」

明命「はいっ!5歳児です。ですが、これも我が家の仕来たりなのですが、我が家は一人で諜報活動が出来るようになるまで一人前とは認められません」

一刀さん「そ、そうなんだ…」

明命「でも、逆を言えば、一人で諜報活動が出来るようになりさえすれば、何歳でも一人前と認められるということです」

一刀さん「へ、へぇ〜」

若干青ざめてます、でもそこも可愛いです。

明命「そして、私は去年、つまり4歳の時にそれを認められました」

一刀さん「す、凄いね、明命ちゃん」

明命「ありがとうございます。この国の法律上女性の結婚は16歳からです。」

一刀さん「そうだよね、うんうん」

納得顔の一刀さんです、でも逃がしません。(何だか楽しいですっ!)

明命「ちなみに、我が家は一人前と認められれば、いつでも結婚できます、もちろん正式な結婚は16歳ですが、事実婚と言う奴です」

一刀さん「ちょ、まっ、えぇーーーーーーーー!!」

可愛いです、一刀さん。(私Sじゃないはずなのですが…)

明命「あ、私の両親が認めれば、肉体関係も大丈夫です」

さらに、爆弾を投下してみます。

一刀さん「ちょーーーーー、お父さん!お母さん!どんな育て方してるんですかーーーー!!」

明命「そ、そんな、お父さん・お母さんだなんて、もう挨拶の練習ですか?でも嬉しいです…////」

一刀さん「違うよ、そういう意味じゃないよ?」

明命「私、自分で言うのもなんですが、尽くすタイプだと思います」

一刀さん「そ、そうなんだ、良いお嫁さんになるね」

明命「はいっ!手でするのも口でするのも、前も後ろも大丈夫ですっ!」

一刀さん「ちょ!そっちの事ですか!!」

明命「でも、初めてなので優しくしてください…ぽっ////」

一刀さん「頬赤らめないで、お願いだから!」

一刀さんは、だいぶ参っているようです。(もう一押しですねっ!)

明命「もしなんでしたら、今から一刀さんの家でいたしましょうか?両親には事後承諾で構いませんので」

一刀さん「も、もうやめて!一刀のライフは0よ!!」

 

 

ちゃんちゃん

〜おまけEND〜

 

-18ページ-

 

アート餓鬼

 

こんにちは、こんばんは、おはようございます、作者です。

 

今回は休み時間ということで、外伝をお送りしました。

突っ込みどころ満載ですよね!でも大丈夫!

だってこれは、『妄想文』なんだもん!

 

明命ちゃんは、作者の好物です。(てか恋姫ヒロインで嫌いな子居ないんですけど!)

キャラは、少し崩れてますよね…、面目ない…orz

最後の部分とかかなり崩れてますね。(おまけは態となのでノーカンでお願いします)

嫉妬深い・一刀君>主・微妙にストーカー

 

でも明命ちゃんにされるなら作者は本望です!

 

そして

沙和ちゃんですが、これまたキャラが崩壊気味ですね

出来る限り頑張っては見たんですが…。

作者の勝手なイメージですが、三羽烏のなかで、どうにも沙和ちゃんの印象が薄い気がするんです。

凪ちゃんは一刀君一途のワンコキャラ(これでヤラレタ凪ちゃんファンは多いはず)・激辛大好き・氣の使い手、

真桜ちゃんは関西弁・おっぱい・まおうえもん(作者は、魏√は一刀君と真桜ちゃんが居なかったら負けていたんでは?と思ってます)

沙和ちゃんは、お洒落好き・軍曹キャラ、でもお洒落ももっと出番で出る度に変わるくらいなら納得ですが、イベント以外いつも同じ服ですし…。

軍曹キャラも声が可愛すぎて今一締ってなかった気がします。(その時だけ若本さんにするとかすれば…、はい、ごめんなさい)

 

と言う事で、沙和ちゃんに関しては、2時間目からガンガン情報通キャラと言う事で出して行ってます!

 

本文中はまだ明命ちゃん&沙和ちゃんの真名を交換してません、クレープ屋さんの話はまた今度です。(やるかな?)

 

 

アンアンとアソアソのネタは、初めて本家の雑誌があったのを知った時から暖めていたネタです!

アイスのはまんま三十一です!

他にもちらほらネタを放り込んでいます。(わかるかな?)

 

次は本編を書くつもりです!(脳内キャラが会話を始めなければですが)

 

3時間目が終わったら、一度一刀君の詳細設定を入れましょうかね。(いきなり『氣』とか使っちゃったし)

 

まぁ、こんな感じです

今回はあとがき短かった!

(本文がべらぼうに長かったけど…)

 

 

あ、そうそう、エクシリアやるから、ちょっと間あくかもね

(うわ〜、駄目な作者だな…、ごめんなさい)

 

てことで、またに(・д・)ノン

説明
こんにちは、こんばんは、おはようございます、Rocoです。
この作品は『小説』ではありません、作者の頭の中の『妄想文』です。
なので、生暖かい目で見守ってやってください!
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コメント
アルヤ>ありがとうございます、誤字の修正完了しました。PSP版の明命の猫耳モードは結構凄かったと思うのですが、勢い任せな『妄想文』、ご迷惑おかけします(Roco)
転生はりまえ$様>明命のキャラ崩壊の事ですよね、落ちちゃってますね・・・、口調等確認でPSPで呉と魏やって号泣し、その勢いで仕上げたもので、すみません;;(Roco)
原作では明命の猫好きもあそこまで暴走してなかったのに・・・・・・やっぱり年齢か?(アルヤ)
誤字報告です 2p彼女いない暦=年齢→彼女いない歴=年齢 3p同じ鉄→同じ轍 7pしゅたいちゃんは→しゅうたいちゃんは ですね(アルヤ)
そこまで落ちちゃあいけないと思います・・・・・・(黄昏☆ハリマエ)
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恋姫†無双 真・恋姫†無双 明命 三国子園児 妄想文 

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