幻想郷奔走記(二話) |
妖精
?「コイツ…外来人?」
?「多分、そうじゃないかな…」
頭上で誰かの声が聞こえる。
目を開けると、2人の女の子がこちらをのぞき込んでいた。
?「あ、起きた」
青い髪の、活発そうな女の子と
?「大丈夫ですか?」
緑の髪の、大人しそうな女の子だ。
俺「う、大丈…ぐはっ」
体を起こしながら反射的に大丈夫と言おうとして、右足が痛いのに気付いた。
うわ、何かすっげー腫れてる。
俺「何があったんだ…?」
青「それはこっちが聞きたいよ!せっかくお昼寝してたのに」
青い髪の子が何やら半泣きで言っている。
緑「私が来た時には、二人ともここで倒れていた?んです」
緑の髪の子の話に?が浮かぶ。
俺「…何故そこで疑問系なんだ?」
?「あ、あはは…」
何か緑の髪の子が若干引いているが、気にしない事にした。
ふと青い髪の子をよく見ると、後頭部、リボンの横辺りにたんこぶが出来ていた。
ポク、ポク、ポク……チーン!
成る程、泣いてたのはコレか。
って事は…俺はこの子の頭を蹴り飛ばしたんだな。(で、俺はカッ飛んだんだな)
俺「いや悪い、ついやっちゃったんだ☆許せ!」
青「ふざ…うん。許す」
?
冗談のつもりで言ったんだが、許されてしまった…まぁいいか。
謝罪(?)も済んで、周囲の異変に気付く。
俺「それで…ここ、どこ?」
走っていた街並みは面影すらない。
周りにあるのは木々と湖、そして霧だけだ。
緑「霧の湖って言われてます」
俺「霧の湖?何か聞いたこ…」
緑の髪の子を見て、本当に今更に気付く。
緑の髪にサイドテールに羽根?
よく見ると青い髪の子にも羽根…あれ?
そういやこの2人、何か見た事が…。
俺「え、えーと、名前訊いても、いいかな?」
何か嫌な予感がしたが、訊いてみた。
青「あたい?チルノ」
緑「大妖精って呼ばれてます」
俺「ΩΩΩ<な、何だってぇぇっ!!!???」
いろんな意味で大当たりだった。
俺「幻想郷…だと…?」
俺は知らないうちに、とんでもない事に巻き込まれてしまったみたいだ…。
この世界に来るには、何かしらの限られた方法で来るしかない。
俺「(カラオケ屋の入口に何かあったのか?)」
いや、あの場所に何か出来てたら、鬼かく…じゃなかった神隠しが頻繁に起こるハズだ。
となると、考えられるのは…あちらとこちらの世界を行き来出来るあの妖怪。
そこで、ここに来る前にすれ違った女性の事を思い出した。
あの時見た、日傘の女性。
あれが…スキマ妖怪・八雲 紫。
だが、それでも疑問が残る。
俺「(犯人は彼女だとして何故、俺がスキマ送りに?)」
俺自身、幻想郷に行きたいとかは…めっちゃあったけど、そんなモンで来れる訳ないだろうし。
ん?そういえば、あの時…
『…やっと見つけた…』
確かに紫さんはそう言っていた。
俺「(見つけた?俺を?)」
至って普通の生活を送ってきたハズだが…。
何だ?無意識のうちに突然能力でも発現したのか?
そうなると、自分の能力が気になりだした。
俺「(一体どんな能力を?変形するとかか?)」
単独変形とかはしょぼいよな。
?「…ねぇ、ねぇってば!」
俺「(気持ちよく毛が抜ける能力…変態じゃねぇか)」
そもそも、そんな能力よりもっとかっちょいい能力が…あれ?
周囲がなにやら涼しくなってる?
いや、むしろ寒いくらい…。
?「アイシクルフォール!」
俺「うっひょい!?」
飛んできた氷の塊を驚きながらかわす。
見ると、目の前にチルノがいた。
チルノ「一人でブツブツ何言ってるのさ!」
考えてて呼びかけに気付かなかったみたいだ。
俺「あ、悪い悪い…何ぞ?」
チルノ「アンタ、名前は?」
俺「名乗る程の者じゃないぜ!」
カッコよく決まっ
チルノ「…もう一発撃つよ?」
俺「すいません嘘です。見(けん)というチンケな奴でございます」
らなかった。
平伏して名乗る。
だって…弾幕怖いんだもん。
大妖精「けん、さんですか」
チルノ「ケン…へぇ犬なんだ?」
見「漢字が違うわH」
チルノ「……」
見「ちょっ…パーフェクトフリーズは止めてえぇ!?」
数分後…。
見「こ、こういう字です…」
震える指先で名前を書く。
弾幕、怖い……。
チルノ「ふぅん「貝」ね…アンタはヘタレみたいね」
うわぁ、Hにヘタレって言われた!
Hのクセにっ!
チルノ「何か文句あるの?」
見「そそそんな訳ないじゃないですか…やだなぁチルノさんったら」
憎い…つくづく小者な自分が憎いっ!!
チルノ「まぁいいわ。それより、アンタ外来人よね?」
見「そうなりますね」
何故か、敬語チックになってるが気にしたら負けだと自分に言い聞かせる。
大妖精「チルノちゃん、この人はイタズラとかしないと思うよ」
大妖精(大ちゃんでいいか)のセリフで大体予想がついた。
そういやコイツ、皆からいじられっぱなしだっけ。
チルノ「あんなのイタズラじゃないよっ!殴り飛ばされたり、溶かされたり…」
自分で言って思い出したのか、泣きそうな顔になっている。
何か…苦労してるんだな。
チルノ「でも、コイツはチキンみたいだから反逆なんかしなさそうだし」
同情した俺がHだった。
見「くっそ、能力の詳細が分かったらコテンパンに…」
チルノ「何か言った?」
見「いえいえ、チルノさん最強っスねと」
あぁ…小者だなぁ、俺。
それはさておき、ここにいても犯人(紫さん)は現れないだろう。
取りあえず、いそうな場所に移動するか。
見「それで…ここは霧の湖だったな?俺は犯人を探しに行こうと思う…どっちに行ったらいいよ?」
チルノ「犯人って…スキマ妖怪?」
見「そう。あの人は神出鬼没らしいですから…まずは、人里の方でしょうか?」
安全面と情報収集的にも…あと出会いフラグ的にも。
チルノ「人里?こっちだよ」
大ちゃん「人里だったら、こっちですよ」
見「………どっち?」
教えてくれるのはありがたいが、二人して正反対を指すとかどうしろと?
いや…チルノの方を見ると何か館が見えるんですが。
見「チルノさん、ありゃ何ですか?」
チ「え?紅魔館じゃない?」
「何を今更…」といった顔をする。
やっぱ、HはHなんだな。
見「…えーっと、じゃあこっちね」
大ちゃんの指した方を見る。
道は…獣道っぽいが何とかなるだろ。
取りあえず、日が暮れる前に行くか。
見「それじゃ、二人ともありがとな」
チルノ「また暇だったら遊んであげるよ!」
大ちゃん「気を付けて下さいね」
チルノと大ちゃんに見送られ(チルノの言葉はスルーし)ながら、俺は霧の湖を後にした。
妖精 了
説明 | ||
毎度、潮です。 このお話は、某所でやってる幻想入り「幻想郷奔走記」の本編二話部分に当たります。 この頃は台本作成ペース割と速かったんだけどなぁ。 |
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