残暑 |
――帰り道。
今日は海沿いの道をたどって帰ることにした。
それにしてもあわただしい一日だった。とても暑い。
8月も終わりを告げ、季節も色を変え始めるはずが今のところ変わる様子は無いようだ。
明日もまた、この暑さを感じることを考えると気が滅入る。
嫌な話しだ。
汗だくのシャツのすそをパタパタと仰ぎながらそう考える。
このまま歩き続けたら、熱射病にでもなりそうだ。
気温は判らないが湿度は高いはずだ。なんとなくそう思う。
道路脇のガードレールに腰を掛けて休む。
我ながら学生という身分に対してまったく情けない話しだ。
背後には海。火照った背中を潮風が透き通る。
声がきこえた。
聞き覚えの無い誰かの声。
笑っている、幼い少女のような……。
白い服の女の子が、じっとこっちを見ている。
……そんな気がした。
あたりは人っ子ひとりいないはずの坂道。
街はずれにある海岸沿いの道に女の子がひとり。妙な話だ。
なにかの見間違いだろう。
ひときわ強く潮風が吹き目元近くまで伸びている前髪を撫で思わず瞬きをして再び目を開く。
すると、女の子の姿は気配すらも無く消えていた。
……さっきの声も空耳かもしれない。
何気なく頭上をあおぐ。
――帰るか。
ガードレールに座っていた腰を持ちあげる。
空には、大きな入道雲が立ちのぼっていた。
真っ青なこの空が、どこまでも続いている。
そしてその向こうの果てには……
昼間だというのに、透き通るような月が浮かんでいた。
掴めそうなぐらいに、浮かんでいるように見えて――遠い。
あっちの世界はどうなっているのだろう?
思わず手のひらを伸ばし空にかかげる。
潮騒が奏でる音に思わず静止してしまう。
何をするでも無く、ただ……そこに佇んで。
そしてまた、声が聞こえた。
今度ははっきりと聞き取れる。
「――今年の夏は、好き?」
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完全に思いつきのやっつけで書いたものです(笑) 内容は無いに等しく短めです。 夏も残りは少し。自分の青春が出来るのも残り僅かに←関係無い |
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